君たちはどう生きるか の商品レビュー
通底しているのは個人主義的・民主主義的なヒューマニズム
本書には、父親を亡くして母親と暮らす旧制中学2年生のコペル君こと本間潤一を主人公として、学校や日常生活において直面する様々な出来事や体験を通して成長していく彼の姿が生き生きとした物語として描かれている。子どもたちに向けた哲学書、道徳の書であるという。コペル君の傍らにいる叔父が、彼...
本書には、父親を亡くして母親と暮らす旧制中学2年生のコペル君こと本間潤一を主人公として、学校や日常生活において直面する様々な出来事や体験を通して成長していく彼の姿が生き生きとした物語として描かれている。子どもたちに向けた哲学書、道徳の書であるという。コペル君の傍らにいる叔父が、彼の気付きや悩み、相談事に対し一緒に考えながら、ものの見方や考え方を教え、行動の指針を与えてくれており、それらがコペル君に宛てた私信の形式に纏められ、「おじさんのNOTE」という付票で物語の節目節目に挿入されている。物語の中で取り上げられ、問われているのは、貧困やいじめ・暴力、歴史や学問などといった普遍的とも言えるテーマに、人としてどう向き合うべきかということであるが、通底しているのは個人主義的・民主主義的なヒューマニズムである。先の大戦前の1937(昭和12)年に刊行された本書は、戦後も読み継がれてきた歴史的名著とされるが、池上彰の前書きにもあるとおり、刊行された年には日中戦争の発端となった盧溝橋事件が勃発し、軍国主義・国粋主義の浸透の中でリベラリストまで弾圧された時代であったことに鑑みれば、刊行自体が歴史的意義を持つものと言えるのではなかろうか。本書から得られる示唆や教訓を絵空事、理想論と片付けるのは簡単かも知れないが、理想のないところに人間の夢や希望そして進歩はないであろう。本書は最後に改めて読者に問う。人としてどう生きるかと。この問いかけを真摯に受け止め、自分で考え、行動しなければならないのは、子どもたちだけではあるまい。
fugyogyo
人間としてどう生きるべきか、時代も年齢も関係なく、歴史や人間の真理は変わらないものだと気付かされます。 最後の方で、根を地中深くに張り、芽はほんの少ししか顔を出していない黄水仙が描かれています。他の黄水仙は花をつけているものもあるのに、この黄水仙は少しずつ休まず春を求めて地中を...
人間としてどう生きるべきか、時代も年齢も関係なく、歴史や人間の真理は変わらないものだと気付かされます。 最後の方で、根を地中深くに張り、芽はほんの少ししか顔を出していない黄水仙が描かれています。他の黄水仙は花をつけているものもあるのに、この黄水仙は少しずつ休まず春を求めて地中を伸び続けてきたのだと思うと、伸びずにはいられない人間の可能性のようにも、人生をを象徴しているようにも感じました。
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昔この本を読んだ時は、何を伝えたいのか汲み取れず、あまり心に響かなかったのですが、今読み返してみると、印象が変わりました。なかでも2点、ハッとさせられました。 1点目は、生産者より消費者側が偉いのか?というといかけです。 私は、カンボジアに行ったことがあり、朝早くから牛を引い...
昔この本を読んだ時は、何を伝えたいのか汲み取れず、あまり心に響かなかったのですが、今読み返してみると、印象が変わりました。なかでも2点、ハッとさせられました。 1点目は、生産者より消費者側が偉いのか?というといかけです。 私は、カンボジアに行ったことがあり、朝早くから牛を引いて、時には牛に襲われそうになりながら、農地を耕している人々をみました。 一方、自分はパソコン1つで、安全で快適な場所で働けています。 でも、彼らの何倍ものお金をもらっているはずです。 「彼らは人間が生きるために必要なものを生産しており、本来自分よりも褒められるべき人間では?」「社会の仕組みってひどいな」と感じたのを思い出しました。 2点目は、ナポレオンの話の章です。 「英雄とか偉人とか言われている人々の中で、人類の進歩に役立った人だけだ。そして、彼らの非凡な事業のうち、真の値打ちのあるものは、ぢこの流れに沿って行われた事業だけだ。」 努力の方向性が間違えっていたら、元も子もない。 同じくカンボジアで、ポル・ポト政権時代のことを知りました。ポル・ポトも、私と同じように「農民が一番偉い!」という考えの元、間違った社会主義の思想で、知能の高い(と思われる)市民を大虐殺しました。 著者が、裏メッセージとしては、名誉の自死の要否など、戦争に対する問いかなと思いました。 また期間をおいて、読み直したいです。
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読みやすいストーリーでしたが、時々哲学的な要素が垣間見えました。コペル君も友人達も温かい人ばかりでした。ただ、あの映画とはどう繋がっているのかは分かりませんでした。
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少し文章内容が難しく感じたましたが、中学生以上の方にはおすすめで、今までの経験や成長を見直すことのできる一冊です!!
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元は子供向けの本ということでページ数はそこそこありましたが、大人の私は半日で読み終えました。割りとスイスイ読めてしまったにも関わらず、読み終わったあと、何かをやり遂げたような深い感慨がありました。 (実際には読み終えて何を考え、その考えを基にどう生きていくか、が大事で読み終えて感...
元は子供向けの本ということでページ数はそこそこありましたが、大人の私は半日で読み終えました。割りとスイスイ読めてしまったにも関わらず、読み終わったあと、何かをやり遂げたような深い感慨がありました。 (実際には読み終えて何を考え、その考えを基にどう生きていくか、が大事で読み終えて感慨に耽っているだけではダメなのはわかってますが…) 私には子供はいませんが、いたら読んでほしいと思うような内容でした。が、もし私が小学生や中学生の時にこの本を読んだとしても、今と同じような気持ちにはならなかったかもしれない、とすると、大人になった今読んだことに、また意義があると思いたい。 人間は狩猟採集のSociety1.0から始めて、今はSociety5.0まできているという話を他の本で読みましたが、Societyいくつまで行けば貧富の差がなくなり、主義や領土をめぐる争いがなくなるのかなぁ、何てことも考えました。
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あまりにも話題になっていたので、読まなかったというと偏屈な感じですね。でも、マスコミが良い良い言ってる本でがっかりしたことは数知れずあるので。 結果として、この本はとても良い本だと思います。多少説教臭いなと思うかもしれないけれど、現代も変わらずに存在する問題について、真摯に考えら...
あまりにも話題になっていたので、読まなかったというと偏屈な感じですね。でも、マスコミが良い良い言ってる本でがっかりしたことは数知れずあるので。 結果として、この本はとても良い本だと思います。多少説教臭いなと思うかもしれないけれど、現代も変わらずに存在する問題について、真摯に考えられるようになっています。おそらく、本をよく読む小学校高学年から中学生向けに書かれた本なのですが、大人が読んでも良いと感じる。今時の子は本を読まないからねぇ…こういう本に出会うチャンスが少ないことを残念に思う。けど、読書感想文の課題図書になんてしてしまうと、ただ優等生的な作文ができあがるばかりだから、この本はまず素直な気持ちで読んでほしい。
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コペルくん(中2)の日々のできごとや気づきからこれからどう生きるかを考えていく話。 コペルくんが伯父さんに話し、おじさんがコペルくん宛にノートを書いていく形式。 コペルくんは、友だちが上級生の暴力を受けたのに、自分がかばわなかったことを気に病んで病気になってしまう。 そのときに...
コペルくん(中2)の日々のできごとや気づきからこれからどう生きるかを考えていく話。 コペルくんが伯父さんに話し、おじさんがコペルくん宛にノートを書いていく形式。 コペルくんは、友だちが上級生の暴力を受けたのに、自分がかばわなかったことを気に病んで病気になってしまう。 そのときにおじさんやお母さんが今までの自分の経験を話して、コペルくんの心を軽くしよう、勇気づけようとするところがよかった。 こういうことって実際の出来事(かばわなかったこと)より心に残るものだよな〜。
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文学YouTuberのベルさんの 動画を観て、 読んでみたくなり、 図書館で、 お借りしました。 たくさん考えさせられました。 私にとっては、 なかなか難しい本で、 何度か、読むことを、 諦めようか、 と考えましたが、 無事、読了できて、 良かったです。 勉強になる本と...
文学YouTuberのベルさんの 動画を観て、 読んでみたくなり、 図書館で、 お借りしました。 たくさん考えさせられました。 私にとっては、 なかなか難しい本で、 何度か、読むことを、 諦めようか、 と考えましたが、 無事、読了できて、 良かったです。 勉強になる本との出会いに感謝。
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コペル君、賢すぎます。 後半のコペル君の葛藤、その後の部分がとても良いと思いました。 世界中の人々に読んで欲しいです。
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