R帝国 の商品レビュー
「共に生きましょう」というのは、教団Xのあとがきにもあったっけ。 こちらのほうが共に生きようの重みが強い気がする。 カルトであれ、国家であれ、未来の日本にとって脅威となる構造自体は似たようなものだが、国家が主体となるとやはり恐ろしい。 「1984年」や「華氏451度」よりも起こり...
「共に生きましょう」というのは、教団Xのあとがきにもあったっけ。 こちらのほうが共に生きようの重みが強い気がする。 カルトであれ、国家であれ、未来の日本にとって脅威となる構造自体は似たようなものだが、国家が主体となるとやはり恐ろしい。 「1984年」や「華氏451度」よりも起こりうる監視社会。 思考停止に陥らぬようアンテナを張り巡らさなければ。
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「土の中の子供」が衝撃的だった・・中身は忘れたけど(えへへ)~一部:民主国家R帝国はB国と交戦状態に至った。R帝国の最北の島コーマ市はY宗国の6本足の無人AI兵器が上陸し、地上兵も投入され侵略を受けている。生き延びた矢崎トウアは逃げ遅れた女を救おうと地下から出て行き、Y宗国の女兵アルファと一緒に逃げることに、R帝国の反撃が始まったのだ。野党党首・片岡の秘書である栗原は、コーマ市に新型ウィルスのキャリアである羽蟻が入り込んでいる情報を地下抵抗組織Lから入手し、与党国民党の大物から石油獲得のための今回の仕組みを聞かされ、与党議員になるために記憶の一部を消す薬を飲むように求められる。アルファはかつてこのR帝国に難民認定されたが、ヨマ教の信者の証である顔の入れ墨をからかわれ、栗原に救われた思い出を持っているのだった。アルファは自分が狙われていることを覚悟し矢崎に軽い毒を盛って眠らせ、ウィルスに汚染された自分の髪を置いて地上に出て行った。(栗原の腹違いの弟が矢崎)二部:栗原に情報を渡す際にLと名乗ったサキは組織の第三世代でハッキングで情報を手に入れている。たまたま見た生中継のテレビでXY人の髪を掲げる男の姿から、ウィルスが病原を顕すのがXY人だけであることを知った。栗原は党の幹部・加賀の別荘に入れるLのメンバー・藤岡の協力を得て、記憶を消す薬を飲まずに出てきた。サキは証拠を手に入れ、情報を拡散させるために無線を使って矢崎に接触し、栗原も使って信用を得た。しかし、栗原のHP(HumanPhone)は加賀の別荘にいる際にプログラムを入れられ、すべての情報を党に流していたのだった。野党のトップ片岡はR教の信者で,孫もいて癌を患い未承認新薬が欲しくてLを党に売っていたのだ。党に捕らえられた矢崎は絶望の中で薬三錠を飲まされ、栗原は片岡に別れを告げサキと人混みに紛れて逃げている最中に射殺され、HPがR帝国全土に流した情報の反響をID提示の要らないラブホテルで見ていたサキは加賀の逆にハッキングされた。不都合な真実を誰も信じないのだった。加賀は世界大戦が始まり、R帝国を舞台に投資という名の博奕が始まるといい、R人だけにはワクチンを打たせて新型ウィルスを蚊を使って広めていると言い、退屈だからサキの行動を野放しにすると言い放つ。記憶をなくした矢崎は吉川として妻の美香と暮らし、ある朝、戦争が始まっていることを知る~近未来モノを書くのって怖いだろうなぁ。ちょっと前まで夢物語だったのが現実になっているから。中村さんは、イマの具象を色々取り入れている・・AVサイトと不能男性の関係、ガールズパンツァー、無人攻撃機、AI、ネット右翼の書き込み、たった一つの失言、フェイクニュース
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中村文則の持ち味が全開で最高でした。 そのまま鵜呑みにするつもりはさらさらないのですが(それこそ作中のチンパンジーかと、、)、戦争が起きるかもしれない今、まぁとにかく不安でいっぱいになれます。 次回作も楽しみな作家のひとりです。
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第二次世界大戦の日本の歴史を小説とする別の世界。このパラレルワールドでは、日本に似たR帝国が陰謀と嘘で国民を支配していく。苦労した真実の暴露も半径5メートル内の幸福を求める人には届かない。今の日本に重なる部分が多く背筋が寒くなってきた。
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この連載を読売新聞がしていたことに驚き。朝日なら判るが・・・・。大衆、人間のさがみたいなテーマ。楽な幸せと厳しい正義、どちらをとるかと言えば、ほとんどの人は楽な幸せだよねー。国家が国民を搾取して、不満をより弱い人に掃き出すように仕向け・・・・・江戸時代のえたひにん、最近だと朝鮮人...
この連載を読売新聞がしていたことに驚き。朝日なら判るが・・・・。大衆、人間のさがみたいなテーマ。楽な幸せと厳しい正義、どちらをとるかと言えば、ほとんどの人は楽な幸せだよねー。国家が国民を搾取して、不満をより弱い人に掃き出すように仕向け・・・・・江戸時代のえたひにん、最近だと朝鮮人差別を思い起こす。どうしても困ったら海外に敵国を作ればよい。戦争も人民が肯定するように仕向けるって太平洋戦争じゃん。不都合な真実は知っても知らないふりをする人が大勢。一部の目立ちたがりの馬鹿が世論を形成する一方、沈黙を守る大勢。なんか身につまされる。 この作者は海外翻訳も多いらしい。他の作品も読んでみたくなったぞよ。
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近未来の架空の国の話なのだけれど、言い知れぬ恐怖と気持ち悪さがつきまとう。あるいはこれが、私たちの未来なのかも。
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とりあえずHPは欲しい。でもあれがあるとますます個人が完結して少子化になりほうだけどね。途中の矢崎とアルファのとこああいう感じので一冊読みたいなあ
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今の時代、これからの時代の風刺が盛り込まれている。多くの登場人物がいて、二部は繋がりを理解することは容易ではない。絡み合いながら進んでいく。
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これまで読んだ著者の本は、現実世界の路地裏でふと迷い込んでしまいそうな世界を感じさせたが、本作は現実世界の風刺も込めながらも未来世界の在り方を感じさせるスケールの大きな作品でした。 人の意識をつくるもの、人の意識がつくるものについて考えさせられた。
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これはブラックコメディーかと思わずにはいられないほど 救いは無い。 おりしも選挙。 裏の裏の裏があるとすれば それをどう読む? なんて考えさせられるところが すでにコントロールされているのか・・・・? 無気力になる薬を 飲んだ覚えはないけど。
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