R帝国 の商品レビュー
図書館で借りた本。冒頭の朝目が覚めると戦争が始まっていた。で始まる近未来の話。情報操作をしAIが最前線で活躍する中、人々はチンパンジー並みの知性しか持たなくなり、ささやかな承認欲求を満たす為にネット上で幸せ自慢大会。そんな世の中にも疑問を持ち行動する人間も出てくるのだが国は…とい...
図書館で借りた本。冒頭の朝目が覚めると戦争が始まっていた。で始まる近未来の話。情報操作をしAIが最前線で活躍する中、人々はチンパンジー並みの知性しか持たなくなり、ささやかな承認欲求を満たす為にネット上で幸せ自慢大会。そんな世の中にも疑問を持ち行動する人間も出てくるのだが国は…という内容。後味悪い読感。
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人物に焦点を当てるよりも、R帝国ができた経緯や背景、そしてその成れの果てを「このままの流れでいくと、日本もこうなるよ!」という観点で描写して欲しかった。 連載だから仕方ないかもしれないが、設定やモチーフに雑な所が見られれた。 ※自動運転自動車がある時代に、HPは従来の使いづらい...
人物に焦点を当てるよりも、R帝国ができた経緯や背景、そしてその成れの果てを「このままの流れでいくと、日本もこうなるよ!」という観点で描写して欲しかった。 連載だから仕方ないかもしれないが、設定やモチーフに雑な所が見られれた。 ※自動運転自動車がある時代に、HPは従来の使いづらい手持ち式はないと思う(最低でもウェアラブル、場合によっては体内埋め込み式かと)。 20世紀少年や時計じかけのオレンジの二番煎じのようなところもある。 登場人物が日本名なのに、沖縄戦などを「小説」として語っていることに違和感も感じた。 つまり、R帝国≠未来の日本なら、登場人物もイニシャルか無国籍な名前にするべきだったし、「党がその歴史を改ざんした」のなら、加賀にその経緯を語らせれば良かった。
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架空でありながら現実の近未来を描いた小説。作者の今書かなければいけないという思いが伝わってくる。ただ、中村氏がこれまで描いてきた人間の内部については(描かれていないわけではないが、)弱い気がする。大衆は愚かなだけで何もできないのか?もう少し道筋を見せてほしかったな。
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今までの中村文則の作品とは少しタイプが違っていたように思う。なんだかあまり頭に入ってこなかった。暫くしたらもう一回読み直してみようかなぁ。
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党に牛耳られる国民もこわいが、HPという機器にあやつられてしまう国民もこわい。電車の中で読んでいてふと顔をあげたときにスマホにのめり込んでいる乗客ばかりが目に入り、ぞっとした。
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近未来のR帝国が舞台。帝国の住民に巻き起こる戦争や政治や社会問題なども提起されていたり、家族間の問題、住民同士の様々な感情が渦巻く世界を感じる。更に現代のSNSの投稿によって虚飾されたもうひとりの自分がいて、互いに本当の自分を見せずにいい事だけを見せたり、自己顕示欲の表れが強いこ...
近未来のR帝国が舞台。帝国の住民に巻き起こる戦争や政治や社会問題なども提起されていたり、家族間の問題、住民同士の様々な感情が渦巻く世界を感じる。更に現代のSNSの投稿によって虚飾されたもうひとりの自分がいて、互いに本当の自分を見せずにいい事だけを見せたり、自己顕示欲の表れが強いことなど、作中のことは現代に起こっていることもあったり、近々起こりゆるだろうと感じてしまう。想像すると悍ましい気持ちである。もうすぐ選挙もあり、政治は変わるのか、近未来といえば、AIが生活にどう影響するのか気になる。
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読み始めて途中で何とも言えない不安な気持ちがつのってしばらく中断してしまった。 なんだろう、この嫌な感じは。 近未来の島国R帝国。そこで起こる戦争や、続いている社会的問題、そのどれもがすぐ目の前にあるようで怖い。薄キモチワルイ。こんな未来が来るのか。 もうすぐ選挙。
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===qte=== あとがきのあと「R帝国」 中村文則氏 全体主義が覆う近未来 2017/9/16付日本経済新聞 朝刊 天才スリ師の葛藤を描いた小説「掏摸(スリ)」の英訳が米紙の2012年小説ベスト10に選ばれ、14年には優れたノワール(暗黒小説)の書き手に与えられる米デ...
===qte=== あとがきのあと「R帝国」 中村文則氏 全体主義が覆う近未来 2017/9/16付日本経済新聞 朝刊 天才スリ師の葛藤を描いた小説「掏摸(スリ)」の英訳が米紙の2012年小説ベスト10に選ばれ、14年には優れたノワール(暗黒小説)の書き手に与えられる米デイビッド・グディス賞を受賞した。海外でも注目を集める作家の新作は、近未来の島国を舞台にしたディストピア(反理想郷)小説だ。 「資本主義で民主主義、経済大国なのに独裁主義という国家を思い描いた。意識したのはジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』ですが、そこで描かれた『ビッグブラザー』という独裁者が君臨するのとは違う形を考えました」 絶対的存在の政権与党、国家党(略称“党”)が支配するR帝国。会社員の矢崎は戦争のさなか、女性兵士アルファと出会う。かたや“党”の幹部によって記憶を消されそうになった政治家秘書の栗原は、秘密組織“L”のメンバー、サキと行動を共にする。 「最初に思いついたのは『朝、目が覚めると戦争が始まっていた』という冒頭のシーン。全体主義の国だったら、たとえ戦争が起きたとしても驚かないだろうと考えた」と振り返る。 人工知能搭載の携帯電話が普及するなど情報化がさらに進展する一方で、全体主義が蔓延(まんえん)する近未来の島国を舞台に、男女4人が過酷な運命に巻き込まれる。「政治、戦争、テロ、差別など様々な問題を取り入れた。テーマが大きいので、主要な登場人物だけでも4人は必要だった」 宗教や善悪の問題に迫った「教団X」(14年)など社会的テーマを小説で取り上げてきた。「自らが疑問や不安、不満を感じたら、ためらわずに書くのが作家だと思う。僕はサルトルや大江健三郎さんに影響を受けていることもあり、政治や戦争については書いていきたい」と話す。 海外の読者を意識しながらも「日本人だから思いつくことを大切にする」という。「小説を読んでもらうことは他者への共感につながる」と信じ、幅広い作品の執筆に邁進(まいしん)する。(中央公論新社・1600円) (なかむら・ふみのり)1977年愛知県生まれ、福島大卒。2002年「銃」で新潮新人賞を受賞してデビュー。著書に『土の中の子供』(芥川賞)、『私の消滅』など。 ===unqte===
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
建前として民主主義で運営されているR帝国。国は実質「党」が支配し、マスコミも支配下にある。野党すら「党」に選定されている。しかし国民は結構豊かな生活を享受している。そんななか突如Y宗国という宗教原理主義国の侵略を受け、戦争状態に陥る。侵略されたコーマ市は島で、沖縄のように軍事基地建設を拒否していた行政区であった。この唐突に始まった戦争は、何の目的で起こったのか、その理由が徐々に明らかになっていく。 そして、主人公達の極小さなグループは、世論を操り、戦争を主導している権力に対し、真実を明らかにすることで戦争終結を試み、成功を収めたかに思えた。 しかし、「人々が欲しいのは、真実ではなく、半径5メートルの幸福なのだ」となる。 パラレルワールドであり、Rは日本、YはISIS、Cは中国みたいな世界観なので、イメージはし易い。 ただそれ故に、R帝国の悪どさも、現日本の陰湿さと似通っていて、新味が感じられないのは残念。 戦争・格差・人種差別・・・これらに対して、現代日本の(世界的なのかも知れないが)少し延長上にある考え、人間の本質をいやらしく書いた、なかなか面白い本では有る。
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夕刊連載ということもあるのか、著者の作品にしては珍しくド直球の作品。構図が単純な分、本当に考えさせられる内容だった。特に342頁からの加賀の語りは示唆に富んでいる。また作品中に「小説」として出てくる現実世界の歴史解釈にも目を見張るものがあった。深いが読みやすくあっという間に読了。...
夕刊連載ということもあるのか、著者の作品にしては珍しくド直球の作品。構図が単純な分、本当に考えさせられる内容だった。特に342頁からの加賀の語りは示唆に富んでいる。また作品中に「小説」として出てくる現実世界の歴史解釈にも目を見張るものがあった。深いが読みやすくあっという間に読了。「掏摸」とは全く違う意味で著者の作品が好きになった。北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、水爆実験をも実行している今こそ、是非読みたい一冊だと思います。
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