いちまいの絵 の商品レビュー
見たことがある絵も紹介されているし、知らないものもある。 知っているのは、自分の見方と違うところを楽しめるし、知らないものについては、絵を見るところからのお付き合いとなる。 知らなかった画家で一番印象的だったのがモランディ。 「ブリオッシュのある静物」という絵が紹介されている。...
見たことがある絵も紹介されているし、知らないものもある。 知っているのは、自分の見方と違うところを楽しめるし、知らないものについては、絵を見るところからのお付き合いとなる。 知らなかった画家で一番印象的だったのがモランディ。 「ブリオッシュのある静物」という絵が紹介されている。 のっぺりとした背景に、ブリオッシュと陶器、ガラス瓶が配されている。 質感が違うものが取り合わされていて、面白い。 華やかな色彩も、面白いモチーフでもないのに、妙に心に残る。 この人の個展で、ずっとこの調子の絵を見続けていたらまた印象が変わるのかもしれないけれど…。 「セザンヌ夫人」や「真珠の首飾りの少女」は、モデルとなった女性と画家の関係を読み込み、彼女たちの内面を想像する文章。 この作家の「ジヴェルニーの食卓」に通ずるものがある気がする。 最終章、東山魁夷の「道」を取り上げた文章では、原田さん自身の半生と、画家の歩みが重ねられる。 アートを題材に書き続ける作家の原点が見える一文。
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一枚いちまいの絵画に対する作者の向き合い方を伺い知ることができた。美術館を巡っていると、時にある作品に目を奪われることがある。そんな瞬間の心の機微、そして作品の裏にある物語を、原田マハは鮮やかに描き出してくれる。
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「絵を見る技術」の後に読んだら余計面白かった! 「青の家」のフリーダ・カーロの話とか、マハさんの小説を読んだ時には知らなかった話も出てきてまた感動してしまった。 原田マハさんは、今の世界で人とアートを結びつけてくれる本当にありがたい存在!
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原田マハさんが紡ぐ絵画の物語が好きなわたしにとっては、フレンチのフルコースをいただくくらいの満足度の高い一冊。 絵画一つにこれだけ惹きつけるドラマを再構成できるのがすごい。 もちろん、作品をもとに作家の一生をそのまま描いていればあっという間に本が一冊出来上がると思うけど、この本は...
原田マハさんが紡ぐ絵画の物語が好きなわたしにとっては、フレンチのフルコースをいただくくらいの満足度の高い一冊。 絵画一つにこれだけ惹きつけるドラマを再構成できるのがすごい。 もちろん、作品をもとに作家の一生をそのまま描いていればあっという間に本が一冊出来上がると思うけど、この本はただの紹介じゃなくてドラマがあったなと。 まだまだ知らない画家のエピソードがいっぱいだった。多くの作家(とくに近現代絵画)に共通するのは官選(サロン)のアカデミーの潮流から漏れているという点だった。アートが常にカウンターカルチャー的な存在で大きなエネルギーを持つのには、こういう背景に通じてるのかもしれない。 一番気に入ったのはエドガー・ドガのエトワール。踊り子、舞台裏に注目するその眼差しに、自分の精神性に近いものを感じた。この本があったからこそ知れたので感謝。 あとは、原田マハさんの強い好奇心と、情熱のすごさ。連載を集めたものだったから仕方ないのかも知れないけど、「会いたかった」「一度お目にかかりたかった」「この時を待ってた」が次から次へ…! それでも、原田マハさんと絵画の対面の瞬間には常に感動が待ってる。毎回「会えて良かった!」と思える、それくらい真っ直ぐで気持ちがいい。 一つの絵に、熱い想いを絶やさずに向き合い続けることはそうそう出来ることではないが、それでこそ、年々素晴らしい作品を生み出し続けられる原動力なのかなと思ったりした。
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マハが感動した26枚の絵をめぐる随想。いちまいの絵がこんなにも豊かで多くのことを語るのか。見たそのままの印象も大事にしたいがと、絵が語ることを知ることで、一段と感慨が増す。
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生きている間に一枚でも多くの絵画に出会いたいなぁ、と思ってしまう。ここに紹介されている作品たちもしかり。一度に鑑賞した絵にも、再び。画家たちの思いを踏まえて、ぜひ観てみたいものです。
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著者の紹介する26枚の絵画。有名な最後の晩餐(ダビンチ)、プリマヴェーラ(ボッチチェリ)、聖フランシスコの伝説(ジョット)、水蓮(モネ)、踊り子(ドガ)、星月夜(ゴッホ)、真珠の首飾りの少女(フェルメール)、夢(ルソー)、ゲルニカ(ピカソ)、叫び(ムンク)などについては、改めて...
著者の紹介する26枚の絵画。有名な最後の晩餐(ダビンチ)、プリマヴェーラ(ボッチチェリ)、聖フランシスコの伝説(ジョット)、水蓮(モネ)、踊り子(ドガ)、星月夜(ゴッホ)、真珠の首飾りの少女(フェルメール)、夢(ルソー)、ゲルニカ(ピカソ)、叫び(ムンク)などについては、改めてこれらの作品に対する著者の見識を知る良い機会であったとともに、初見の作品はそこに対する著者の思い入れが興味深いものだった。セザンヌの夫人の絵、ブリオッシュのある静物(モランディ)、Number 1A(ポロック)らがそれである。そして日本人で唯一・東山魁夷の「道」これまた素朴な癒しを与えてくれる色合い、「道」の説明の中で著者自身の人生についても紹介がある。著者の美意識を共有することができた幸せな読書だった。
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アートとの出会いをふりかえる。 ゴヤとの出会いは鮮烈かつ魂が震える衝撃。 レオナルドの天性の才能は、自ら開花したのか、 未知なる力学が働いたものなのか。 いつも満ち足りていれば不要なものが アートの世界。となれば無くならない。 これからも、ずっと。
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2019年5月12日読了。 ●「アヴィニヨンの娘たち」パブロ・ピカソ →個性こそが新しい「美」の定義であると信じた画家の 挑戦であり、その後の20世紀美術を導くマニフェスト となった。 ●「真珠の耳飾りの少女」ヨハネス・フェルメール →パト...
2019年5月12日読了。 ●「アヴィニヨンの娘たち」パブロ・ピカソ →個性こそが新しい「美」の定義であると信じた画家の 挑戦であり、その後の20世紀美術を導くマニフェスト となった。 ●「真珠の耳飾りの少女」ヨハネス・フェルメール →パトロンに恵まれ、売り絵を描かなくていい状況。 →真筆と認められる作品も世界にわずか三十数点。 →特に裕福だった時期は、作品に高級な画材を使用。 「フェルメール・ブルー」は、ラピスラズリを原料 とすると高額な顔料をふんだんに使って作られた。 ●
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