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二千七百の夏と冬(下) の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

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2024/11/12

たくさんの飾り物をつけた人間は、大抵人に物を分け与えるのが嫌いだ。 「地震(じふるえ)、怖い」 「そうかな」家を直せば済むことだ。地震えで潰れるような家は、皆でひと働きすれば元通りになるし、柱が細いから大きな怪我もしない。地震えは、土の中に埋まった人や獣の塊が、蘇りのために一斉...

たくさんの飾り物をつけた人間は、大抵人に物を分け与えるのが嫌いだ。 「地震(じふるえ)、怖い」 「そうかな」家を直せば済むことだ。地震えで潰れるような家は、皆でひと働きすれば元通りになるし、柱が細いから大きな怪我もしない。地震えは、土の中に埋まった人や獣の塊が、蘇りのために一斉に外へ抜け出るときに起きる。ピナイではむしろ喜ばしい出来事だった。 ウルク(縄文人)には、このクニの人間(弥生人)は面倒事が好きで、自分たちで勝手にそれを増やしているふうに見える 、、、 面白かった。最初から2人の運命はわかっていたから最後もそこまで悲しくはならずにすんだかな。

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2024/04/27

2700年前のパートと現代パート、2つの自体を軸にストーリーが進みます。もちろんメインは前者のほうですが…まあ.とってもいい話です!その辺は他の方の感想を(ごらぁ 現代のパートがなんだろ…2700年前のパートとのリンクが感涙もの。 比較するのはおかしいけど、アサシンクリードシリ...

2700年前のパートと現代パート、2つの自体を軸にストーリーが進みます。もちろんメインは前者のほうですが…まあ.とってもいい話です!その辺は他の方の感想を(ごらぁ 現代のパートがなんだろ…2700年前のパートとのリンクが感涙もの。 比較するのはおかしいけど、アサシンクリードシリーズ(ゲーム)もこのくらいやってくれるといいのに(笑) わかる人いるかなぁー?

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2023/10/29

ロマンがある感じで、けっこうよかった。縄文時代と現代が交互に進むパターンの本。現代で、縄文・弥生文化の補足をしてくれるので、わかりやすい。子供の頃に読んだ、まんが日本の歴史の第1巻を思い出す…あれはずいぶんほのぼのしていた。

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2022/10/16

「フジミクニ、ウルクに悪いことした。でも、人は悪くない」 「悪いのはワウ(王)か」 振り返ってカフィの顔を覗き込む。首を縦に振りかけてから、もとに戻していた。 「人は悪くない」 「じゃあ、誰のせいだ」 「悪霊のせい」誰かに問いかけるような調子でカヒィが言う。「悪霊、誰の心にも取り...

「フジミクニ、ウルクに悪いことした。でも、人は悪くない」 「悪いのはワウ(王)か」 振り返ってカフィの顔を覗き込む。首を縦に振りかけてから、もとに戻していた。 「人は悪くない」 「じゃあ、誰のせいだ」 「悪霊のせい」誰かに問いかけるような調子でカヒィが言う。「悪霊、誰の心にも取り憑くから」(275p) 下巻に至り、縄文のムラ、ピナイを離れた少年ウルクは、森の主のような人喰い熊(ヒグマ)を倒したあと、おそらく静岡平野に展開している弥生人たちが統べるムラにたどり着く。そこは縄文人が夢想していた夢の植物「コーミー」のお陰で遊んで暮らせる所ではなく、「ワウ」の一族の下、縄文人よりもはるかに生産力が高いのに、始終労働をしなくては暮らせない所だった。それに、奴隷、庶民、武士、王族と階層性がハッキリしていた。 森に棲むサルミミの話では、前の前の王の時、縄文のムラにやってきて、米栽培を伝授して去り、米ができた頃にやってきて住民を殺して支配したらしい。縄文人に「戦争」をする「教え」はなかった。よって簡単に支配できたのである(←これはアイヌを参考にしているだろう)。 ミミナガの孫娘たるカフィの言う「悪霊」は、弥生人が信奉する「教え」のことだろう。確かに、そう言う強引なやり方で稲作文化は急速に西日本から東日本に広がっていった処もあったろう。しかし、東日本に限っていえば、最近の研究では稲作文化からまた縄文文化に逆戻りしているのである。ホントはそう言うところまで描けば面白かったかもしれないが、無い物ねだりかもしれない。 全体的には面白かった。新聞記者の香椰と考古学者の松野が登場する現代パートも、単に本編の註釈の意味合いだけでなく、現代につながる「混血の意味」や「権力の意味」「争い絶えない世界の意味」を我々読者に一考を与える意図もあったのである。さすが、直木賞作家だ。本書のみでこの時代の小説化を打ち切りにしているのがもったいない。 ただ、小説のあらすじとしては、想定の内側に収まった。こういう単純な物語を作るのに上下巻のボリュームが要るというのは、正直やはりショック。もちろん、説明を省略すれば読者がついてこない、と作者が思ったからだろう。それもわかる。うーむ悩ましい。巻末に小説としては異様に多い参考文献がならんでいる。 ただ、この弥生人のムラはちょっと時代を700年ほど早め過ぎている。ここまでの階層性は、西日本でも稀だし、ましてや東日本にあったのだろうか?

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2022/09/22

上下巻、一気読み。 物語として、とても面白く、その上で、「豊かになる」とはどういうことなのか、とても考えさせられる内容だった。 読んだ後もしばらく、後を引く。

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2022/06/28

古い人骨が発見された。 縄文時代と弥生時代の男女が手を繋いだ状態で。 現代の新聞記者、佐藤香椰がそのスクープを追う。 2700年前の日本で生きていたであろう、ウルクとカヒィの恋と冒険の物語を中心に繰り広げられる物語は、考古学というものの夢を私たちに伝えてくれる。 ウルクやカフィの...

古い人骨が発見された。 縄文時代と弥生時代の男女が手を繋いだ状態で。 現代の新聞記者、佐藤香椰がそのスクープを追う。 2700年前の日本で生きていたであろう、ウルクとカヒィの恋と冒険の物語を中心に繰り広げられる物語は、考古学というものの夢を私たちに伝えてくれる。 ウルクやカフィの言葉は分かりにくいものの、読み解いていくのも面白い。 猪や鹿、熊などを狩り、米の栽培を始める頃の日本。狩猟民族と農耕民族の生活の違いなど興味深く、作者の想像の世界を楽しめた。

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2022/06/08

ウルクは追放されコーミーを探しに1人旅に出る。何も出来ない、未熟なウルクは悲観になるのではなく、自分が何をしなくてはいけないのか、どうすればいいのか模索しながら成長していく。読むのに苦労したのは文面が私に合わないからで、ウルクの成長をみるのは一緒に自分も成長していくような、そして...

ウルクは追放されコーミーを探しに1人旅に出る。何も出来ない、未熟なウルクは悲観になるのではなく、自分が何をしなくてはいけないのか、どうすればいいのか模索しながら成長していく。読むのに苦労したのは文面が私に合わないからで、ウルクの成長をみるのは一緒に自分も成長していくような、そしていまも昔も変わらない営みに何をもがいているんだろう。と考えさせられる。 生き抜くのは大変なのに死を拒絶するのは本能かと思っていたけど、守るもの、使命感、が生きる力になるのか。ウルクのように全力で生きていたいと思えるそんな小説だったのに、何故か好きとは思えない。 生き抜く力を教えてくれている話なのに。

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2021/10/11

想像以上に面白かった。どんどん引き込まれていった。 縄文時代から、人が集まれば理不尽な差別や意地悪は存在する。そらになんとか立ち向かって人生を切り開く勇者(ウルクは勇者に思えた)はいるのだな。 縄文時代から弥生時代のカルチャーショックや、よそ者に対する恐れや嫌悪、文化が進めば格...

想像以上に面白かった。どんどん引き込まれていった。 縄文時代から、人が集まれば理不尽な差別や意地悪は存在する。そらになんとか立ち向かって人生を切り開く勇者(ウルクは勇者に思えた)はいるのだな。 縄文時代から弥生時代のカルチャーショックや、よそ者に対する恐れや嫌悪、文化が進めば格差が生まれて、挙句殺し合い。 この2冊にギュッと押し込まれて、色々考えさせられた。

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2021/07/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

上巻は熊との対決が圧巻だった。 そして下巻は打って変わって、ウルクと異世界の話。 ウルクと彼女の結末は分かっていたけれども、応援せずにはいられなかった。 最後の終わり方がすごすぎて、この感想を書かずにいられなかった。 他の著者なら、令和のヒロインで終わっていたと思う。そこをウルクたちで終わらせていたのもよかった。それでも命は続くというか。日本人はそれでも生きているというか。 東日本大震災の後の物語という印象。そしてコロナ以前。震災が遠い昔の出来事に思えてしまった。この物語は、コロナ前に読むべきだった。 もともと大好きな著者だったけれど、ますます好きになった。政治思想も共感できたし。 これ、映画化してもいいんじゃないかな。Netflixでドラマ化するとか。映像で見てみたい。もちろん描写が素晴らしいから映像は頭の中で再現されているんだけど。 素晴らしかった!

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2021/02/07

“コーミー”は暮らしを豊かにする神の実か、それとも災いの種なのか。禁忌の南の森に入ったウルクのピナイ追放が決まった。だが裏ではコーミーを手に入れてくれば帰還を許すという条件がつけられる。初めて目にする村の外、ウルクは世界の大きさを知る。しかし、そんな彼を執拗につけ狙う存在がいた。...

“コーミー”は暮らしを豊かにする神の実か、それとも災いの種なのか。禁忌の南の森に入ったウルクのピナイ追放が決まった。だが裏ではコーミーを手に入れてくれば帰還を許すという条件がつけられる。初めて目にする村の外、ウルクは世界の大きさを知る。しかし、そんな彼を執拗につけ狙う存在がいた。金色の陽の獣・キンクムゥ。圧倒的な力と巨躯を持つ獰猛な獣に追い詰められたウルクは、ついに戦いを決意する―。一方、新聞記者の佐藤香椰は、死してなお離れない二体から、ある大切な人を思い出していた。第5回山田風太郎賞受賞作。

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