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二千七百の夏と冬(下) の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

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2017/08/01

現代社会と重ね合わせて語られる、縄文時代の恋愛・青春小説であり、サバイバル、バトル小説でもあった。閉鎖的な日本人やナショナリズムに対する皮肉も込められ、考えさせられる。分かっていても、切ないラストには泣かされた。

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2017/07/29

コーミーを有するフジミクニにたどり着いた少年。 しかし、コーミーは王の所有物であり、無闇に持ち出すことはおろか、毛人(けびと)として土人扱いされる少年には触ることすらできない。 やがて王の三の妃と目された少女と心を通わせ番うが、王の逆鱗に触れ、追われた末に命を落とす。 下巻では狩...

コーミーを有するフジミクニにたどり着いた少年。 しかし、コーミーは王の所有物であり、無闇に持ち出すことはおろか、毛人(けびと)として土人扱いされる少年には触ることすらできない。 やがて王の三の妃と目された少女と心を通わせ番うが、王の逆鱗に触れ、追われた末に命を落とす。 下巻では狩猟中心の集落の生活から一変し、水稲を生業とするクニに場面が移ります。 人同士の殺し合いを知らない少年が放った、弓は獣に向けるものであって、人間に射掛けるなど考えられないという言葉が鮮烈でした。 人は本来争う存在なのか、考えさせられます。

Posted byブクログ

2017/07/21

2700年前と言われると太古の昔に思えるのに「人生90年で換算すると30人分の長さ」と言われると、なるほどちょっと前という気がするから不思議。原始時代に想いを馳せワクワクした。現在の韓国との関係を匂わせるシーンにちょっと苦笑してしまった。 あらすじ(背表紙より) “コーミー”は暮...

2700年前と言われると太古の昔に思えるのに「人生90年で換算すると30人分の長さ」と言われると、なるほどちょっと前という気がするから不思議。原始時代に想いを馳せワクワクした。現在の韓国との関係を匂わせるシーンにちょっと苦笑してしまった。 あらすじ(背表紙より) “コーミー”は暮らしを豊かにする神の実か、それとも災いの種なのか。禁忌の南の森に入ったウルクのピナイ追放が決まった。だが裏ではコーミーを手に入れてくれば帰還を許すという条件がつけられる。初めて目にする村の外、ウルクは世界の大きさを知る。しかし、そんな彼を執拗につけ狙う存在がいた。金色の陽の獣・キンクムゥ。圧倒的な力と巨躯を持つ獰猛な獣に追い詰められたウルクは、ついに戦いを決意する―。一方、新聞記者の佐藤香椰は、死してなお離れない二体から、ある大切な人を思い出していた。第5回山田風太郎賞受賞作。

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2017/07/18

縄文時代を生きる少年ウルクの物語が完結。 2700年も前の縄文時代がどんなものであったかは想像するのも難しいけれど、荻原さんの描く物語は頭の中にリアルな映像が浮かび上がってくる。 この時代の、この物語の中の出来事は現代にも通じるものがある。 そういうことも含めて、最後はとても...

縄文時代を生きる少年ウルクの物語が完結。 2700年も前の縄文時代がどんなものであったかは想像するのも難しいけれど、荻原さんの描く物語は頭の中にリアルな映像が浮かび上がってくる。 この時代の、この物語の中の出来事は現代にも通じるものがある。 そういうことも含めて、最後はとても切なくて涙がこぼれた。 とても素晴らしい時間旅行だった。

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2017/07/17

どの作品に、また誰に文句を言ってるのかわかりませんが、「こういうのが感動する話、お前らの言う泣ける話って言うんだよ!」と言ってやりたい気分。 発見された骨の状態から、ラストはなんとなく予想してましたが、どうしても涙が流れてしまいました。 ウルクの話だけでなく、香倻のパートでは...

どの作品に、また誰に文句を言ってるのかわかりませんが、「こういうのが感動する話、お前らの言う泣ける話って言うんだよ!」と言ってやりたい気分。 発見された骨の状態から、ラストはなんとなく予想してましたが、どうしても涙が流れてしまいました。 ウルクの話だけでなく、香倻のパートでは、ネットを色々見ているとどうしても不快に思ってしまうことにも触れていました。 変なことしたり犯罪犯したりする人には、必ずと言っていいほど「日本人じゃないんじゃない?」みたいなコメントが出てくる。他の国の人を蔑むことが出来るほど、日本人ってそんなに崇高な人種なの?? そういうのって、ナチスの考えと変わらないよね。 ウルクがクムゥと戦うシーンも緊迫しててよかった。 そうそう、クマは執拗なんだよね、自分の獲物だと思ったら、しつこく追ってきたりするんだよねと、今まで読んだクマものを思い出しながら読んでました。 様々な面で、忘れられない読書になりました。

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2017/07/06

村から追い出され、生きていく為に成長を余儀なくされるウルク。自分の頭で考えること、行く道を決めることそれが活路を開く事を実感できる。好きな相手が出来て一緒に行こうとしたその時‥‥ そうして現代に行き着くのか。

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2017/07/05

三千年近く前のドラマに興味が惹かれ購入。 まるで縄文時代を見てきたような描写で、最近テレビ朝日でやってた「陸海空 こんな時間に地球征服するなんて」の部族アースと重ねてしまうほど。(とはいってもこちらのほうがもっと現代的な生活になっているけど) 確かに、縄文時代・弥生時代は線引きさ...

三千年近く前のドラマに興味が惹かれ購入。 まるで縄文時代を見てきたような描写で、最近テレビ朝日でやってた「陸海空 こんな時間に地球征服するなんて」の部族アースと重ねてしまうほど。(とはいってもこちらのほうがもっと現代的な生活になっているけど) 確かに、縄文時代・弥生時代は線引きされているけれど、今でも最先端な機器を使いこなす人類がいる一方でジャングルに住んでいる部族もいて、時代は簡単に線引きなんてできない。現代と同じじゃないか。 それはそれで興味深く読んだのだけど、ただ文庫の帯ほどの感激や感動はなかったかな。 ウルクとカヒィの末路にはちょっと切なくもなったけれど、どちらかというと、今の私たちにつながるような文明・文化、社会の成り立ちとか歴史的、社会化的な目線で読み終えた一冊。

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2017/06/28

後半戦。描かれるのは、縄文世界を出て、弥生世界に迷い込んだ主人公の孤軍奮闘。味方寄りの人も僅かにはいるけど、大方が分かり合えないいわゆる”異国人”の中、それでも共存の道が模索はされている。でも言葉の壁を第一に、両者間に立ち塞がる障壁は思いのほか高く、最終的には袂を分かつことに。読...

後半戦。描かれるのは、縄文世界を出て、弥生世界に迷い込んだ主人公の孤軍奮闘。味方寄りの人も僅かにはいるけど、大方が分かり合えないいわゆる”異国人”の中、それでも共存の道が模索はされている。でも言葉の壁を第一に、両者間に立ち塞がる障壁は思いのほか高く、最終的には袂を分かつことに。読後に感じたのは、かなりほったらかし系の作者なんだ、ってこと。別に批判的ニュアンスじゃなく。故郷は出た切りのままで終わったことも含め、回収されなかった伏線は結構あった気がする。不明な古代を舞台に、独特の世界観が構築されていたのは素晴らしかったし、一気に読みたくなる求心力もあって、素敵な読書体験にはなりました。

Posted byブクログ