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わたしたちは銀のフォークと薬を手にして の商品レビュー

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111件のお客様レビュー

  1. 5つ

    24

  2. 4つ

    57

  3. 3つ

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  5. 1つ

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2019/01/30

すごく良い本だった。 二人の恋愛を深めていく上でHIVという障害があって、それがあるからこそ、一緒に居られることの尊さが伝わってきて胸がいっぱいになった。 知世がいうように、本当は人と人が近づくのはこんな風に慎重にするべきだな。 人が誰かと関係を深める時に性の問題はかかせなくて、...

すごく良い本だった。 二人の恋愛を深めていく上でHIVという障害があって、それがあるからこそ、一緒に居られることの尊さが伝わってきて胸がいっぱいになった。 知世がいうように、本当は人と人が近づくのはこんな風に慎重にするべきだな。 人が誰かと関係を深める時に性の問題はかかせなくて、それに影をさすHIVという病気は、深刻な病気なんだと実感した。 現在の医療の進歩である程度コントロールできるとはいえ、葛藤はあるだろう。 椎名さんと知世がその葛藤を乗り越える過程がすごく良かった。

Posted byブクログ

2019/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「君が好きなんだ、俺にはもったいないと思ってる。一緒にいれば楽しいし、大事で仕方ないし、きちんとしたい。だからこそ、大事にしたい相手を傷付けるかもしれない自分が歯痒いだけで よそになんていかないで、俺とずっといてほしい。できないことばかりで申し訳ないけど、それでも残りのできることで、全力で幸せにするから。」 こんな風に誠実に言われたら、それだけでいい、と思えちゃう ・あんな不毛な恋愛しながら、毎日会社に通って、笑ってお茶汲んで入力作業して。 なに一つ特別じゃないわたしだって一生懸命がんばっていて、世界の本当に隅っこで1ミリくらいは役に立ってる。 そのことを大事に扱っていないのはわたし自身だった。        彼女がいる男と付き合っている「茉奈」 ・気に入られないと興味すら持たれないけど、気に入られてセックスしたら、好きになってしまうか終わってしまうかのどっちかだから、結局いいことない。      仕事バリバリできる編集者の「飯田ちゃん」 ・どこへも行ける孤独だってあるだろう。でも、どこへも行けない孤独だってあるんだ。  八十歳とかまで生活も信頼もセックスもぜんぶ一人に背負わせるとかが大前提になってることがよく考えたら無茶苦茶なんだよ。        幼い子がいながら家を出てしまう「妹」 親だって別々の人間なのに、期待にはすべて応えなくちゃいけないとか思い通りにならなくちゃいけないとか、今まで思ってたのって呪いみたいだった ゆるぎなく、無理もなく、満たされて、だけど私たちは確実にいつか死んでいく。それを自然と想像できるくらいに幸福だと気付き、希望とはなにか足りない時に抱くものなのだと思った。

Posted byブクログ

2018/12/31

幸せな話だけれど、なんだかピリッとした痛みを感じた。 美味しいもの、見たことない景色、穏やかな幸福。 そういったものに触れるのって、 意外とハードルが高いものなのかもしれない。

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2018/12/17

美味しそうな食事たちとそれを食す人たちのお話。幸せって気づかないだけで身近にあるものなんだね。美味しいね、って言い合える人がいる幸福。

Posted byブクログ

2018/12/17

「季節の美味しいものを食べながら好きな人と少しずつ距離を縮めてく短編集」とまとめてしまうと読む気失せるんだけど、冬の朝の光みたいに控えめにキラキラしててよかった。 今までの島本理生作品ではヒールだった妹の章が好きだな。妹も好きだ。この章がなかったらつまらなかったかも知れない。

Posted byブクログ

2018/12/15

この作者の作品は初めて読んだけど、とにかく心に沁みた。人を好きになることの切なさと幸福感てこうゆうことだよな、と。手元に置いておきたい一冊。

Posted byブクログ

2018/11/05

短編が集まり長編になっているような構成でとても読みやすい。随所で登場する食べ物の表現が繊細。どのシーンを切り取ってもふたりの関係は綺麗で愛おしくて、どこか儚さを孕んでいる。美味しくときめきのある1冊でした。

Posted byブクログ

2018/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作者が直木賞を取られる前から、タイトルで気になっていた本。 基本的には1組のカップルの話で、所々に家族や友人の恋愛がスピンオフ的に描かれている。 メインのカップルは、男性がHIVに感染している。タイトルの薬は抗ウイルス薬のことだったのですね。でも、作中にもあるように、薬をしっかり使えばエイズの症状は抑えられる時代。本書でも、HIVは彼らにとって大きな問題ではあるけど、決して絶望的な雰囲気はなくて、病気と向き合いながら、でも病気に縛られすぎることなく生きていく様子が描かれている。 全編通して女性目線で、比較的「女性性」にフォーカスした描写が多かった。そういう話は苦手なんだけど、本書では拒否感なく読めた。

Posted byブクログ

2018/09/06

2017年の雑誌ダ・ヴィンチ小説部門ベスト50ということでお勧めされていて手に取った本。 本の主人公は知世(ちせ)。アラサー、IT関連の仕事で穏やかな性格ながら仕事をばりばりこなす。 その友人、茉奈は事務員、フリーライターの真澄が登場し、 それぞれの恋、それぞれの仕事や生活を描い...

2017年の雑誌ダ・ヴィンチ小説部門ベスト50ということでお勧めされていて手に取った本。 本の主人公は知世(ちせ)。アラサー、IT関連の仕事で穏やかな性格ながら仕事をばりばりこなす。 その友人、茉奈は事務員、フリーライターの真澄が登場し、 それぞれの恋、それぞれの仕事や生活を描いた短編集。 主人公と歳が近いこともあり、共感できるところが多くありました。 恋心とともに綴られる、美味しそうな食事の描写が心地よかったです。 お酒を飲めない私ですが、思わず飲みたくなりました笑 少し孤独で、でも心を許せる友人たちに囲まれて、 他者から縛られることのない自由さを感じつつ、恋をして、 好きな人たちとの美味しい食事や旅の時間を共有する。 いいな。他の方がレビューで書かれていらっしゃいましたが、 私も直島やほしのリゾートに憧れがあって、同じ感想を持った方が日本のどこかにいらっしゃることを感じられ、レビューを書いている今、嬉しく思います。

Posted byブクログ

2018/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

好きな人と美味しいものを食べながら。 好きになった年上の椎名さんは、どこか一歩引いた優しさを持っていて、その理由は彼がHIV、エイズを患っていたからだった。 薬で発症を抑えている椎名さんの感染経由と、バツイチだったことなどの過去。 それでも、彼のことが好きで、病気を少しでも知ろうとする知世。 優等生の知世、友達2人のこと。 読んでからレビュー書くまで時間空けてしまった。 島本理生さんの本、久しぶり。 優等生で繊細で脆い主人公、影のある好きになった人、相変わらず。 今回もそんな主人公の叶わぬ恋かと思いきや、成就した。 なんだか、時の流れを感じた。 みんなそれぞれ、抱えている困難があって、他人にそれを晒さないだけで、一生懸命生きてるわけで。良かった。

Posted byブクログ