1,800円以上の注文で送料無料

デンジャラス の商品レビュー

3.8

48件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/03/07

明治、大正、昭和初期、女性はただの小間使いとしてしか見られなかった時代に繰り広げられた、谷崎潤一郎を軸とした女たちの戦い。 今の時代とは、違うと分かっていても、文豪と言われ愛され尊敬されてきた人間から受けた精神的苦痛には、胸が書きめぐらされた。時代が時代、今私がいる時代が女性が女...

明治、大正、昭和初期、女性はただの小間使いとしてしか見られなかった時代に繰り広げられた、谷崎潤一郎を軸とした女たちの戦い。 今の時代とは、違うと分かっていても、文豪と言われ愛され尊敬されてきた人間から受けた精神的苦痛には、胸が書きめぐらされた。時代が時代、今私がいる時代が女性が女性としていられる時代でよかった。まだまだ日本は、女性に対しての家庭や社会での偏見は他国(開発途上国も含め)より断然に後れを取っているが、少なくとも、声にだして言える時代にいれて幸せである。それとともに、やはり女でも男でもこれからの人生において挑戦し学んでいく姿勢は必要であると気づかされた。なぜなら、それが私たちの人生の局面に対したときに1つの盾になると感じたからである。

Posted byブクログ

2019/01/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

"女王様とお呼び!"、"私の足の指をお舐め!!"。『細雪』の三女雪子が谷崎潤一郎を折檻する『続・細雪』つーか『真・痴人の愛』つーか瘋癲色呆け老人谷崎潤一郎を雪子のモデルの重子が語った物語。作家と小説の本質を考察する純文学である。谷崎フェミニスト論も展開されるフェミニズムの教科書としてもアリ。女性を保護し家庭に閉じ込めて、職業婦人を馬鹿にする谷崎は似非フェミニストだと思うが、同時代の男逹が知らない、西洋のレディファーストの概念を知って、実践していたのは、DV男よりは、女性に優しくてマシだったというレベル。フェミニズム論はオマケ。メインは小説論である。身近な人物をモデルにして小説を書く作家は危険。小説世界に現実が引き寄せられて危険。が、危険な力を持つからこそ、小説に価値がある。という話です。毒にも薬にもならないありふれた小説を書いてる作家は、桐野の足の指の垢でも嘗めて反省汁!

Posted byブクログ

2018/12/01

谷崎潤一郎、国文学の大御所というイメージしかなかったが、こんな人間臭い魅力に溢れていたのか、と感じました。 多くの女性が、彼の魅力に惹かれ、惑わされ、人生を変えて行った。老いも若きも、立場も超えて。 今まで読んだ本も、読んでなかった本も読みたくなりました。

Posted byブクログ

2018/10/09

谷崎潤一郎を巡る四角関係。三人目の妻、その妻の妹、二人目の妻の息子であり妻の妹の養子の妻。文豪谷崎潤一郎とその周囲の人の遺した書により有名な話だとか。ほぼ記録のない妻の妹、細雪の雪子のモデルとなった重子を中心に描かれる女同士のせめぎ合い。ラストはフィクションか事実か…。谷崎潤一郎...

谷崎潤一郎を巡る四角関係。三人目の妻、その妻の妹、二人目の妻の息子であり妻の妹の養子の妻。文豪谷崎潤一郎とその周囲の人の遺した書により有名な話だとか。ほぼ記録のない妻の妹、細雪の雪子のモデルとなった重子を中心に描かれる女同士のせめぎ合い。ラストはフィクションか事実か…。谷崎潤一郎を知らなくとも愉しめる桐野ワールド。

Posted byブクログ

2019/01/13

谷崎潤一郎の家庭をモデルに、文豪がモデルとして必要とする女たちの葛藤を描きます。 「細雪」のヒロイン・雪子のモデルだった重子が主人公。 谷崎の3人目の妻・松子は現れるだけで場が華やぐような女性。 その妹の重子はそれほど目立たないが、小説「細雪」での「雪子」は4姉妹の中で一番大人...

谷崎潤一郎の家庭をモデルに、文豪がモデルとして必要とする女たちの葛藤を描きます。 「細雪」のヒロイン・雪子のモデルだった重子が主人公。 谷崎の3人目の妻・松子は現れるだけで場が華やぐような女性。 その妹の重子はそれほど目立たないが、小説「細雪」での「雪子」は4姉妹の中で一番大人しいが芯のある、引き込まれるような魅力のある女性として描かれていました。 重子は自分をそんなふうに見てくれた義兄に感謝し、惹かれるものがあったのです。 谷崎は、身近にいる女性との交流の中でモデルを見つけ、作品に昇華していく。 崇めるように愛した妻の松子のことはもちろん、若い女中たちも可愛がり、深い仲というわけではないが何かとお喋りしたり物を買ってやったりしていた。 その反面、好みに沿わない人物は次第に自分の生活から押し出してしまう。そんな冷酷さにも重子は気づいていました。 「細雪」では、婚期の遅れた「雪子」がやっといい相手を見つけ、旅立つ所で終わります。 夫の家柄がいいというのは同じですが、現実の重子の結婚は実はあまりうまく行かなかったよう。 しぶしぶ結婚した相手になにか不満ができると姉夫婦の家に舞い戻り、ここでの生活が一番幸せだと感じます。子供の頃から慣れている習慣や行事なども姉妹で出来るし、女性に優しい谷崎がリードする、かなり優雅な生活ですからね。 しかし、重子がキッチンドリンカーになってしまうとは。 しかも、谷崎がそんな重子にも興味を持ち、かなり気に入っていた様子なのがまたなんとも‥ 重子が養子にとった跡取り息子の嫁・千萬子は若くて物怖じしない、小説にも流行にも詳しい女性。若い世代の動向を知りたい谷崎の気持ちを掴み、すっかりお気に入りとなります。 姉の松子とともに、苦々しくそれを眺める重子。 完全に負けたかと思われましたが‥ 意外な勝ちポイントを掴むことに。 このあたりは創作なのでしょう‥か? 谷崎がイメージして作り上げたやや歪んだ麗しい環境で、意識し合う女たち。 綾なす世界の層の厚さ、危うさ、妖しさ。 谷崎作品を全部読んでいるわけじゃありませんが~ 「細雪」は大のお気に入りの小説なので、満足の行く読み応えでした。

Posted byブクログ

2018/06/26

谷崎潤一郎をモチーフにした作品で、谷崎の妻 松子の妹 重子視点のストーリー。 谷崎潤一郎の作品も読んだことないし、どんな人間だったのか自伝的なものも知らないけれども、最後の渡辺千萬子さんに取材協力してもらったという一文を読むと、物語とは別のところで、重子は本当にこういう人だった...

谷崎潤一郎をモチーフにした作品で、谷崎の妻 松子の妹 重子視点のストーリー。 谷崎潤一郎の作品も読んだことないし、どんな人間だったのか自伝的なものも知らないけれども、最後の渡辺千萬子さんに取材協力してもらったという一文を読むと、物語とは別のところで、重子は本当にこういう人だったのか?千萬子を可哀想に描いてないだろうか?と考えてしまった。 最初は退屈だった・・・最後は結構面白く読めたかな。

Posted byブクログ

2018/05/07

谷崎潤一郎の3番目の妻の、すぐ下の妹からみた谷崎潤一郎の壮年〜晩年を取り巻く物語。 思ったより読みやすかったし、事実をもとにして小説を書く小説家のそばにいるのってキツそうと思わせるストーリー。 谷崎潤一郎の小説を一冊も読んだことがないのだが、読んでみたくなった。

Posted byブクログ

2018/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

谷崎潤一郎を題材にした小説。 林芙美子を題材にした「ナニカアル」につづく似非文豪私小説です。 微妙に本当の名前をいじっていたりしてフィクションであることを強調していると思います。 とはいえ、内容は三番目の妻の妹(「細雪」の雪子のモデル)視点での谷崎と女性関係を描く、ドロドロとしながらも主人公が最後に勝利する恋愛小説と思います。 「細雪」は市川崑映画がベストと思っているので、吉永小百合とのギャップに困惑しました。 自分の性癖の一部は谷崎や遠藤周作の影響もうけていると思うので、昔読んだ小説のシーンが重なるところもあり、懐かしいやら恥ずかしいやらと思いながら読みました。

Posted byブクログ

2018/04/12

作家に限らず芸術家という人々は己の芸のためなら周囲に気を配ることなく、我が道を欲望のままに突き進む人が多いのだろうか? 周囲がそれを芸術のためと納得できるのであれば、何ら問題はないのだろうが、そうそう物分りよくなれそうにないわなぁ。

Posted byブクログ

2018/03/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

谷崎潤一郎の3度目の妻・松子の妹、重子視点での晩年の谷崎一家。自由闊達な嫁・千萬子にやられっ放しで面白くない…と思ってたら、まさかまさかの大逆転。何と言うか、山田詠美もビックリな。 とは言え、桐野ほどの御大が、今更「谷崎潤一郎」ネームに頼らなくてもの感はある。 千萬子の娘・のゆりちゃんって可愛い名前やなあと思ったら、本名はたをり。こっちも可愛い。 あと、何でこのタイトルなんだろ。センスないわ〜。

Posted byブクログ