水やりはいつも深夜だけど の商品レビュー
変な生々しさに胸が苦しくなる。けれど、傷に向き合うことで、救われていく人たちを見て、こちらも救われる思いがする。
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普通の家族に定義はあるのでしょうか。足るを知るとは思いながら、ただなんとなくだけでなく、時には強引に、普通の家庭を手に入れたいと、思ってきたような気もする。 なにげない毎日をやり過ごしている家庭は、さりげない思いやりと幾許かの各々の忍耐によって築かれているのだろうと思う。 “かそ...
普通の家族に定義はあるのでしょうか。足るを知るとは思いながら、ただなんとなくだけでなく、時には強引に、普通の家庭を手に入れたいと、思ってきたような気もする。 なにげない毎日をやり過ごしている家庭は、さりげない思いやりと幾許かの各々の忍耐によって築かれているのだろうと思う。 “かそけきサンカヨウ”で、突き詰めないでぼんやりとさせたまま家族を続けられなかった夫婦。 全てを語り合う事が、最良でない時もあるけれど、 全てを隠し合う事は、最良になる時はないのでしょう。 昭和の家庭小説と読み比べると、一般的な家庭表現も随分変化している。昭和の終わりの男女雇用均等法施行あたりが境界でしょうか。登場する男性陣が家事と育児を分担する。親との同居も少ない。普通は普遍ではないんですよね。どの家庭も、これからがある家族に描かれていて、読み心地が好きな作品でした。
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今から家庭を築く人、家庭に少し疲れた人にオススメです。 日常の家族仲に少し歪み違和感を感じ、家族のリアルティを共感できる短編集です。 最終章のかそけきサンヨウカは父子家庭の娘視点で話しが進む。連れ子のいる人と再婚した話。ラストは雨に濡れたガラスの様なサンヨウカがまた白く花を咲か...
今から家庭を築く人、家庭に少し疲れた人にオススメです。 日常の家族仲に少し歪み違和感を感じ、家族のリアルティを共感できる短編集です。 最終章のかそけきサンヨウカは父子家庭の娘視点で話しが進む。連れ子のいる人と再婚した話。ラストは雨に濡れたガラスの様なサンヨウカがまた白く花を咲かせた。 サンヨウカの花言葉は『親愛の情』 それは全ての家族の当てはまる一番の言葉である。 水やりは深夜。全てが振り出しに戻る前に水(歩み寄り)をやり、日に当たる所にお花(家族)を移動させたい。 そんな著者が家族に対してのメッセージを感じた。
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再読。 以前、窪美澄作品にハマって続けて何作品か読んだ時には印象が薄かった作品だったが、ふと再読。 読むタイミングでこうも読後が違うのか。 家族がテーマの連作集なのだが、どの作品も窪作品らしく、誰しもがどこかに抱えているであろう微細な歪みや人間のえぐみみたいなものを、とてもリ...
再読。 以前、窪美澄作品にハマって続けて何作品か読んだ時には印象が薄かった作品だったが、ふと再読。 読むタイミングでこうも読後が違うのか。 家族がテーマの連作集なのだが、どの作品も窪作品らしく、誰しもがどこかに抱えているであろう微細な歪みや人間のえぐみみたいなものを、とてもリアルに描き出している。 家族のような濃い関係ならではの、単純に切り離すには難しい心情の変化、再生の過程が生々しくて、そうやってなんとかやり過ごして少し衝突しながらも、日常を生きる人々に心打たれた。 とても身近でリアル。こうして一歩ずつ日々を生きていることにとてつもなく長い道のりに辟易しつつも、渇きを癒す水を与えてもらえるような作品だった。
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物語に出てくる家族は全て境遇も子どもの歳も違うけれど、全て「かぞく」であるということ。様々な家族の在り方を見ることができた。
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どの話も、自分とまったく同じ境遇というわけでもないのに共感してしまった。どこにでも、誰にでも起こりうる家庭の不和。 読んでいてヒリヒリした。 周囲の評価に怯える主婦。 妻や義理の両親から責められる夫。 発達障害の妹と我が子を重ねてしまう母。 母になった妻を受け止められない夫。 ...
どの話も、自分とまったく同じ境遇というわけでもないのに共感してしまった。どこにでも、誰にでも起こりうる家庭の不和。 読んでいてヒリヒリした。 周囲の評価に怯える主婦。 妻や義理の両親から責められる夫。 発達障害の妹と我が子を重ねてしまう母。 母になった妻を受け止められない夫。 父の再婚で家族となった継母と妹との関係に悩む女子高生。 自分の家族の形の歪さに苦しむ男子高生。 みんながみんな、思うようにいかない毎日を何とかやりきっていて、余裕がない。余裕がないから、水やりはいつも深夜になってしまう。 それでも、この6人は、全てがダメになってしまう前に家族や自分を思いやり気遣い大切にしてあげることができた。たとえ深夜だとしても、干からびてしまう前に水をあげることができた。 その僅かな希望の光があたたかく感じた。
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日常。幸せそうに見える恋人達も 周りからは、わからない問題を抱えていたり、悩みの大小は人それぞれ、傷つけるつもりじゃなく吐いた言葉は時として凶器になり、何気なく言った一言が誰かの支えになる時もある。すごく、落ち着く作品群でした。特に好きな話はゲンノショウコで 物語の決着の着き方に...
日常。幸せそうに見える恋人達も 周りからは、わからない問題を抱えていたり、悩みの大小は人それぞれ、傷つけるつもりじゃなく吐いた言葉は時として凶器になり、何気なく言った一言が誰かの支えになる時もある。すごく、落ち着く作品群でした。特に好きな話はゲンノショウコで 物語の決着の着き方に涙。
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泣けるとか帯にあるけど、そう言う小説ではないですね。どの話にも、歪みとかもどかしさが根底にあって、類似の経験もあったりして、そこは心に刺さってくる。でも、感動作でも派手でもなく、窪さんらしいと思います。
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帯にあるコピー「気がついたら涙が出ていた」は違ったけど… あまり聞かない植物をタイトルに織り込んだ短編集。 真面目に生きているけど毎日の生活の中で澱のように少しづつたまっていく感情。それにちゃんと気付いて、取り除き、それを繰り返して、もっと家族になっていくのだろう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「ゲンノショウコ」は主人公と自分の環境はそれほど近くはないけど、自分と重ね合わせて考えてしまった。子供を産むってすごい覚悟がいるよね。 あんまり考えないようにしてたけど、やっぱり色々思い出しちゃうな。苦しくなった。 「砂のないテラリウム」も、今の自分の状況と重ね合わせてキツかった。小さい子がいる家庭の話を読むと、もし我が家がそうなってしまったら?と考えてしまう癖がついてしまった
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