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勉強の哲学 の商品レビュー

3.8

140件のお客様レビュー

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2018/02/03

著者の千葉雅也は、2013年発表のデビュー作『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』で注目を集めた、フランス現代哲学を専門とする新進の哲学者。 著者は本書について、「ドゥルーズ&ガタリの哲学とラカン派の精神分析学を背景として、僕自身の勉強・教育経験を反省し、ド...

著者の千葉雅也は、2013年発表のデビュー作『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』で注目を集めた、フランス現代哲学を専門とする新進の哲学者。 著者は本書について、「ドゥルーズ&ガタリの哲学とラカン派の精神分析学を背景として、僕自身の勉強・教育経験を反省し、ドゥルーズ&ガタリ的「生成変化」に当たるような、または、精神分析過程に類似するような勉強のプロセスを、構造的に描き出したもの」とし、補論でその学問的背景についても語っている。 よって、前半の原理篇1~3(第1章~第3章前段)には現代思想の専門ワードも登場するが、著者の思考の展開をきちんと追えば、さほど抵抗なく、むしろ共感をもって読み進めることができる。 ◆勉強するとは?・・・「勉強とは何をすることかと言えば、それは、別のノリへの引っ越しである」、「深く勉強するとは、言語偏重の人になることである。言語偏重の人、それは、その場にいながらもどこかに浮いているような、ノリの悪い語りをする人である」 ◆勉強の方法は?・・・「ツッコミ=アイロニーとボケ=ユーモアが、環境から自由になり、外部へと向かうための本質的な思考スキルである」、「勉強はアイロニーが基本である。しかしアイロニーをやりすぎず、つまり、懐疑(疑い)を深めすぎず、ユーモア的に多数の可能性を連想する。しかし、そうした可能性の増殖はきりがないので、切断して足場を仮固定するために享楽的こだわりを刃にする。その刃に、また、やりすぎないアイロニーをかける。このようにプロセスが進むのです」 そして、後半の実践編1~2(第3章後段~第4章)では、P・バイヤールのベストセラー『読んでいない本について堂々と語る方法』などを引用しつつ、著者自らの体験に基づく具体的な勉強の仕方が紹介されている。 「勉強とは、わざと「ノリが悪い」人になることである」。。。目から鱗の一冊。 (2017年7月了)

Posted byブクログ

2017/07/17

割と読みやすく、わかりやすい内容でした。 また、著者の頭の良さがよくわかるような気がします。 ただ、ここに書かれてあることについては、自分も含めて みんながある程度知らず知らずにやっていることでは ないかと思います。思考がまとまるとき、うまくいくとき にやっているやりかたであるよ...

割と読みやすく、わかりやすい内容でした。 また、著者の頭の良さがよくわかるような気がします。 ただ、ここに書かれてあることについては、自分も含めて みんながある程度知らず知らずにやっていることでは ないかと思います。思考がまとまるとき、うまくいくとき にやっているやりかたであるような気がします。 ただ、そういうことを論理に則って展開していくところ がよく考えられていると思います。 また、一般的に言語論は面白いと思います。

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2017/07/16

現状の破壊(打破)のため、方法としての勉強論を書いた本。 物事をアイロニー(懐疑的に捕らえる)とユーモア(視点をずらす、見方を多様化する)ことによって、「こうするものだ」という社会や共同体の「ノリ(暗黙の了解)」に無意識的に従っていたこれまでの自分を破壊することが出来ると主張し...

現状の破壊(打破)のため、方法としての勉強論を書いた本。 物事をアイロニー(懐疑的に捕らえる)とユーモア(視点をずらす、見方を多様化する)ことによって、「こうするものだ」という社会や共同体の「ノリ(暗黙の了解)」に無意識的に従っていたこれまでの自分を破壊することが出来ると主張している本。勉強の哲学という題名だけに、勉強するにあたっての考え方を教えてくれている。少しわかりにくい箇所もあるが、最後にまとめで要約してくれているので理解はできると思います。

Posted byブクログ

2017/07/16

タイトルに惹かれて読んだ本。視点が面白い。勉強を啓蒙するわけでもなく、勉強というプロセスが何をもって形成されるのかを訴えているように感じた。ある分野にのめり込めばのめり込むほど他の分野にも興味が移り、さらにその分野の勉強をする。来るべきバカのために勉強は続く。

Posted byブクログ

2017/07/17

勉強=いままでのノリから抜け出すこと 相対的に比較していくことで世界を認知するならば、比較対象を増やしていくことはより比較の精度を上げることになる。 懐疑(アイロニー)と連想(ユーモア)を繰り返して思考を深めていくが、それは際限がないので享楽(自分のこだわり)によってある程度...

勉強=いままでのノリから抜け出すこと 相対的に比較していくことで世界を認知するならば、比較対象を増やしていくことはより比較の精度を上げることになる。 懐疑(アイロニー)と連想(ユーモア)を繰り返して思考を深めていくが、それは際限がないので享楽(自分のこだわり)によってある程度見切りをつける。 自分の享楽について理解するためには欲望年表を作成すると良い。 「ある程度勉強した状態」はあっても「勉強完了」の状態はないので享楽を繰り返しながら深めていけば良い。 この知の有限化のプロが教師。教えられる者は何を教わっているかと同時に教師は何を切り捨てているのかも意識できた方が良い。 学問も、それぞれの世界にノることと同義。入門書→教科書→基本書→専門書と深めていく中でその学問のノリに入っていく。そうした書物はプロ・モードで書かれているためにそうして慣れていかないと理解ができないから。 本は修正が効かない分注意深く書かれていることが多い。でも間違っていることも往往にしてある。プロ・アマ両輪で読むことによって必要な分だけ自分のものにしていく。 ノートは勉強のタイムラインになる。 考えた結果を書くというより書きながら考える。箇条書き(アウトライン化)も有効。

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2017/07/02
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アイロニーとユーモアの対立から勉強の方法を示す。アイロニーが至る先の「決断主義」はまさにかつて陥ったものだな、と思ったし今もそれに引き摺られている。 アイロニーからユーモアへ移動し、ユーモア過剰を区切るのが「享楽的こだわり」。この辺りがとても現実的。そして享楽は勉強によって変化可能。以前は自分は心理学やサブカルに興味あったが、今は海外の事や政治や家庭科に興味が出てきたなーと思っており、それは試しに情報を仕入れてみた所面白かったからであった。複数のタイムラインの発生。 現在のコードに乗っかりつつも、一方でコードから離れ浮遊し他のコードのタイムラインを作成・没入し、自分に特有の享楽(バカな部分)を自由に変化させつつ、比較を続ける態度。難しいですね。 読んでると自由な気持ちになれる。コードから離れていいんだな、ユーモアへ移動していいんだな、中断していいんだな、身近な関心は学問の専門分野へと通じているし、既にそこで論じている人達がいるんだな。心地よかった。

Posted byブクログ

2017/06/29

ノリの良いバカは勉強を通してノリの悪い小賢しい人間になり、またそのうちノリの良いバカになる。 ノリとはその場の環境が持っている「コード」を読むことでありその場その時で変化するし、勉強によるアイロニー、ユーモア、ナンセンスでその「コード」を乱していく。 なぜ乱すのか。より深く、より...

ノリの良いバカは勉強を通してノリの悪い小賢しい人間になり、またそのうちノリの良いバカになる。 ノリとはその場の環境が持っている「コード」を読むことでありその場その時で変化するし、勉強によるアイロニー、ユーモア、ナンセンスでその「コード」を乱していく。 なぜ乱すのか。より深く、より広く、根源へと向かうため。でも根源へと辿り着くことは出来ず、勉強を継続していくことが重要。 ゲンロンゼロの扱う観光客の一つの表れが本書での「勉強」であるかな、と思いつつ読みつつ、どう呼応するのか、しないのか、についてを「勉強」していこう、と思っている。 iPad proを買っていたのは良いタイミングだったけど、本はお風呂で読むことが多いから、どうやって勉強に取り入れるかも考えよう。

Posted byブクログ

2017/12/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

言葉についての言及がとても興味深かった。モノ自体と言葉は完全に独立しているのか?自分が興味があると思っているテーマについて、自己ツッコミを入れられれば、もっと深く追求したいテーマにたどりつけるのかも、心がけよう。 実践編は取り入れたいこと、参考になることがとても多い。何より「教師は有限化の装置である」という言葉に大納得。

Posted byブクログ

2017/06/09

第2章の部分は話が抽象的すぎるし、次々と新しい言葉が出てくるので、それこそ言葉が浮いているような感じがして、とても読みにくかった。 でも、読み終わってみると納得できる部分は多かった。 勉強をすると賢くなるのではなく、一旦場から浮くようなやつになってから賢くなる。でも、それも結局、...

第2章の部分は話が抽象的すぎるし、次々と新しい言葉が出てくるので、それこそ言葉が浮いているような感じがして、とても読みにくかった。 でも、読み終わってみると納得できる部分は多かった。 勉強をすると賢くなるのではなく、一旦場から浮くようなやつになってから賢くなる。でも、それも結局、勉強していないバカと見分けがつかないという部分が好きだった。単純に、勉強は大事だとか素晴らしいとかいう短絡的な見方ではなくて、勉強について批判的に考え抜いたあげく、最後はスタート地点に戻るみたいな台無し感がすごい良かった。

Posted byブクログ

2017/06/02

千葉雅也『勉強の哲学』読了。「勉強」とあるけれど、広義的な「勉強」と捉えられる内容で、ある種のオタク分析のようにも読めて、非常に興味深かった。内容としては、勿論『勉強』についてではあるんだけど、勉強というツールを使ったコミュニケーション論であり、言語論といった感じで、面白かった。...

千葉雅也『勉強の哲学』読了。「勉強」とあるけれど、広義的な「勉強」と捉えられる内容で、ある種のオタク分析のようにも読めて、非常に興味深かった。内容としては、勿論『勉強』についてではあるんだけど、勉強というツールを使ったコミュニケーション論であり、言語論といった感じで、面白かった。 『勉強の哲学』読んでて、サルトルの「人間は自由の刑に処せられている」という言葉がふと浮かんだのだけれども、『勉強は自己破壊』という文中の言及、元々存在する環境(不自由)からの脱却は時として重圧である、自由(自己責任)の方が困難なこともあるよなぁと改めて考えたりしたわ。 まぁ、その読みも知識のない私の勝手な解釈に過ぎないけれど…。内容としては大枠としては理解したつもりになっているけれども、所々、前提条件とされる知識が曖昧な部分があったりして、勉強不足を痛感したよね……。言葉は多く持っているに越したことはない………。

Posted byブクログ