はじめての哲学的思考 の商品レビュー
読み終わると本書に書いてある「哲学は役に立つ」という言葉がよく理解できた。 哲学はなんのためにあるのか、どういうふうに自分の人生に取り入れればいいのかがわかりやすく書かれている。哲学に親しみが持てる一冊。
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※このレビューにはネタバレを含みます
絶対的な答えのない哲学を敬遠し、あまり面白くないと思ってきたが、哲学的思考は魅力的かつ人間にとって非常に重要なものであるということを認識することができた。誰かと議論をするとき、建設的ではない議論になってしまうことが度々あった。そのようなとき、「なぜ自分の考えを理解してくれないのか」「自分の意見の方が圧倒的に正しい」などという考えを持ってしまっていた。しかし、自分の主張を全面的に押し出すのではなく、自分の主張の根底にある欲望と、相手の主張の根底にある欲望それぞれをすり合わせることが必要であるということに気づかされた。本書にあるような考え方、議論の仕方を実践していき、より良い第3の意見を創り上げられる能力が、この社会では求められているのではないかと感じた。この本をきっかけに哲学に対する興味が増したため、さらに多くの哲学関連の書籍を読み漁ってみたい。
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まずはじめに宗教があったが、宗教は宗派によって信じるものが違う ここに、タレスが「万物の始祖は水」といい、神ではなく認知可能な存在をあげ、「信じる」ことから「みんなで確かめ合う」ことを歩みだした →これが現在の科学の出発点 もともと、古代において科学と哲学は同じものであったが、...
まずはじめに宗教があったが、宗教は宗派によって信じるものが違う ここに、タレスが「万物の始祖は水」といい、神ではなく認知可能な存在をあげ、「信じる」ことから「みんなで確かめ合う」ことを歩みだした →これが現在の科学の出発点 もともと、古代において科学と哲学は同じものであったが、ソクラテスが、哲学が真に考えるべき問題は、自然哲学ではなく、私たち人間自身である(何時自らを知れ)と言い、哲学と科学が分離した。 哲学という意味の世界は、科学という事実の世界に原理的に先立つ。(事実があろうとも、そこに意味づけがなされなければ事実として観測されない) 哲学は、科学では定義しきれない問題(安楽死は正義か?クローン人間は悪か?など)に対して、共通了解が可能な答えを見出そうとする営みである。 哲学的思考とは、こうした物事の本質を明らかにする思考の方法なのだ。 【哲学的思考の方法】 1、一般化に気を付ける 「若者の学力を上げるにはどうすればよい?」という問があったとして、自分の経験から〇〇すべきだ!とするのは危険である。自分の考えが独りよがりかもしれないと自覚したうえで、自分の考えを投げ共通了解可能性を問う。 2、ニセ問題に気をつけろ 「私達人間は平等な存在か、不平等な存在か?」という問は意味がない。これは観点によってなんとでも言える問のない問題である。このような哲学的論旨を二項対立に追い込む問題に気をつけること。これは「僕たちは、お互いに何をどの程度平等な存在として認め合う社会を作るべきか?」など、建設的な意味のある問に置き換えてみる。 帰謬法(必ずしも確かとは言えない)と言い、相手を否定し続ける方法。どんな議論も真か偽かの対立に持ち込み、そのうえで相手の主張は真と言えないことを論証するもの。 しかし、この世のあらゆる命題はそもそも真か偽の二項対立では問えない。そのため、そもそも問として成り立たない方法で議論を行っている。 この厄介な議論術にデカルトとフッサールが答えを見出した。 「いくら目の前の現象を疑おうとも、その現象を認識してしまっている自分のことは疑えないでしょ?」 だから僕たちは、本当は次のように問い合うべきなのだ。 「これがわたしの確信。ではあなたはどうですか?」 →この世に絶対の真理はなく、いっさいは僕たち自身の確信や信憑を投げ合うしかない。 僕たちが様々な確信や信憑を抱く理由は、 「世界を、自分たちの欲望や関心に応じて認識している」から。 世界は僕たちの欲望に相関してその姿を現す→欲望相関性の原理 建設的な議論をしていくには… 1、対立する意見の底にある、欲望・関心を自覚的にさかのぼり明らかにする 2.お互いに納得できる「共通関心」を見出す 3.この「共通関心」を満たしうる、建設的な第三のアイデアを考え合う。 その他の議論のアイデア ・事実から、「〜すべし」は導けない。(論理的なつながりがない)→それぞれの欲望を互いに投げかけ合い、そのうえでみんなが納得できる「べし」を見出し合う ・条件を考える 困ってる人に手を差し伸べよという命令思想ではなく、「どのような条件を整えたなら、人は困っている人に手を差し伸べようと思うのだろう」と、条件を考えてみる いじめは絶対にだめ、と教えるのではなく、「人はどのような条件が整ったときにいじめをしてしまうんだろう?」 【哲学対話の方法】 好きな漫画や映画の、どの部分が好きかを語る→自分自身の価値観を知ることにつながる。また、人と語り合うことで、その作品の良さの「共通理解」を得られる。 本質観取 ①体験(わたしの確信)に即して考える ②問題意識を出し合う ③事例を出し合う ④事例を分類し名前をつける ⑤すべての事例の共通性を考える
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超お勧めです! 哲学対話、本質観取をやってみたいと思いました。 答えの出ないもやもや、そもそも答えはあるのは、私たちが知ることが出来るのか。 なぜ人を殺してはならないのか、生きる意味とは何だろうか、人生に関するものから社会の難問までを解き明かす、哲学の考え方を知ることができます。...
超お勧めです! 哲学対話、本質観取をやってみたいと思いました。 答えの出ないもやもや、そもそも答えはあるのは、私たちが知ることが出来るのか。 なぜ人を殺してはならないのか、生きる意味とは何だろうか、人生に関するものから社会の難問までを解き明かす、哲学の考え方を知ることができます。 一般化の罠、問い方のマジックなどにも注意が必要です。 サンデル教授の白熱教室に意味が見いだせなかった理由も、本書を読むとよく分かり、整理され、納得しました。 「あったのいっていることは絶対に正しいといえるの? それって絶対なの?ぜぇぇぇったいなの?」 と。 こういわれれば、どんな人でも「い、いや、絶対かっていわれたら、ちょっと......」と口ごもらざるを得ない。 晴れて、僕たちは相手をいい負かすことができる。少なくとも、相手を否定しつづけているかぎり、議論に負けることはない。 でも、これはやっぱりあまりにむなしい論法というほかない。 ー 77ページ
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*哲学とは、さまざまな物事の 「本質」を捉える営みのこと* ・本質とは、「共通了解」のこと ・哲学は人間的な「意味の世界」を扱うもの ・科学は「事実の世界」を観察や実験によって明らかにするもので、哲学があって初めて成り立つもの ・宗教は絶対的な正解のない問いに「神話」で答えを出...
*哲学とは、さまざまな物事の 「本質」を捉える営みのこと* ・本質とは、「共通了解」のこと ・哲学は人間的な「意味の世界」を扱うもの ・科学は「事実の世界」を観察や実験によって明らかにするもので、哲学があって初めて成り立つもの ・宗教は絶対的な正解のない問いに「神話」で答えを出すもの *哲学の最大の意義は 「思考の始発点」を敷くこと* ◇思考の始発点とは? ・わたしたちの「確信」や「信憑」であり、その原点は「欲望」 ・欲望は、確かめ可能な最後の地点 ◇なぜ思考の始発点を敷くことが必要か? ・誰もが納得できる思考の始発点を定めることができれば、その土台の上により実践的な力強い思考を積み上げていくことができるから ・逆に、思考の始発点を間違ってしまったら、それに続く思考は全部的を外してしまう ・たしかな思考の始発点を定めることは、哲学の命 ◇どうやって思考の始発点を敷くか?(抜粋) ・「一般化のワナ」に注意する →自分の信念や経験をただ相手にぶつけるのではなく、「ひとりよがりかもしれない」と自覚した上で相手に投げかける ・「問い方のマジック」に引っかからない →「あちらか、こちらか」ではなく、問いの立て方を変えて「あちらも、こちらも」どちらも納得できる「第3のアイディア」を考え合うこと ・「事実」から「〜すべし」を導かない →事実から当為は直接導けない。事実を自分の都合の良いように利用しない。それぞれの欲望を互いに投げかけ合い、その上でみんなが納得できる「べし」を見出し合おう ・「命令」の思想ではなく、「条件解明」の思考をする →「困っている人に手をさしのべよ」ではなく、「どうすれば人を助けたいと思うようになるのだろう?」と考えること もーーー!!すばらしかった!! 哲学?なにそれ?たのしいの? っていうレベルだったけど(ひどい笑) めちゃくちゃわかりやすくて超超面白かった!! 宗教や科学との違いについても理解できてよかった。 哲学って、すべての根源というか、 何をするにも必要なことというか… すごく身近なものに感じた。 哲学って大事!すばらしい〜!! この本に出会えたこと、 こんなすばらしい本を書いてくれた、 著者の苫野一徳さんに感謝です!\(^^)/
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竹田青嗣先生の弟子の方の著作なので、竹田現象学=欲望論に基づいた、極めて簡明で実践的な哲学の本。宗教・科学・哲学の関係と違いにはじまり、哲学的思考を学ぶことによって、解決できる世の中の問題がこんなにあるんだなと実感できます。
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哲学といえば答えのないものの印象があるけど、そうではなく共通解を見つけることが大事なのはなるほどと思った。二項対立といったそもそも答えがないものに、無理やり答えがあるようにみせる間違った問いを見抜くことが大事なのは割と目からウロコだった。 また、人々の信念の対立はそもそも欲望であ...
哲学といえば答えのないものの印象があるけど、そうではなく共通解を見つけることが大事なのはなるほどと思った。二項対立といったそもそも答えがないものに、無理やり答えがあるようにみせる間違った問いを見抜くことが大事なのは割と目からウロコだった。 また、人々の信念の対立はそもそも欲望であることを理解し、そこから話し合うことが大事だと知れた。
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苫野先生の本はいくつか読んだが「哲学」の考え方を丁寧に説明している本、だと思います。哲学を用いてどのように生きればいいか、どのように物事を考えたらいいか、苫野先生の本で紹介されていたことが詳しくわかる本ではないかと思います。 個人的には「宗教」の説明がとてもわかりやすく、「キッチ...
苫野先生の本はいくつか読んだが「哲学」の考え方を丁寧に説明している本、だと思います。哲学を用いてどのように生きればいいか、どのように物事を考えたらいいか、苫野先生の本で紹介されていたことが詳しくわかる本ではないかと思います。 個人的には「宗教」の説明がとてもわかりやすく、「キッチン掃除」に笑いました。
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苫野先生が提言してくれた哲学的思考は自分によりよく生きるための術を授けてくれた。生きている上で、他者と対立することはある。そのときにいつも「欲望相関性の原理」を思い出す。 「この人のこの意見はどのような欲望からもたらされているのか?」 「どうすればお互いの欲望に共通了解を見出し、...
苫野先生が提言してくれた哲学的思考は自分によりよく生きるための術を授けてくれた。生きている上で、他者と対立することはある。そのときにいつも「欲望相関性の原理」を思い出す。 「この人のこの意見はどのような欲望からもたらされているのか?」 「どうすればお互いの欲望に共通了解を見出し、第3の解を見出せるのか?」 と原理的に考えることができるようになった。 教師は子どもたちにとって大人のモデルとなる1番身近な存在だ。 対立するときに、相手を攻撃するだけではなく、対話を通して他者と共存していく姿勢を見せなければならない。 ふと思ったのが、 SNSなどで、職場の悪口をあげる教員は子どもたちにとってその姿は相手との共通了解を求める姿になっているといえるか? ということ。 僕も気をつけなければならない。 常に原理に立ち戻るということを忘れてはいけないし、 力強くも分かりやすい原理を提示してくれた本書に感謝したい。
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哲学とは何かー。この本はそれをとても分かりやすく解説してくれている。 自分自身哲学に対する偏見が思いの外強かったということを思い知らされた。 この本をきっかけにこれからの物事の考え方、議論のしかたを見直していきたいと思った。
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