はじめての哲学的思考 の商品レビュー
哲学 と思って構えてしまったが 後半は読む手が止まらず ふむふむと 一気に読み終えた 世界は常に僕たちの欲望の色を帯びている 欲望を知ることで自分と折り合う 不幸だと生きづらいと思うのは 欲望とのギャップによる感情 確かにその通りかもしれない 哲学について考える 価値...
哲学 と思って構えてしまったが 後半は読む手が止まらず ふむふむと 一気に読み終えた 世界は常に僕たちの欲望の色を帯びている 欲望を知ることで自分と折り合う 不幸だと生きづらいと思うのは 欲望とのギャップによる感情 確かにその通りかもしれない 哲学について考える 価値観や感受性を刺激するものに触れることで 自分を見つめること 自分の内面に気づくこと これもまた哲学の一歩 じゃあ わたしは 時々哲学できているのかしら? モノごとを すべし!という命令思想で捉えるのではなくて 条件解明思考 どのような条件が、どのような条件で そんな風に捉え考えられた方が 世界は広がって見えるかもね
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『要するに、犬やネコやカラスは、僕たちにとっての「事実の世界」と、いくらか異なった世界を生きているのだ。それはつまり、僕たちもまた、「僕たちにとっての事実の世界」をしか生きられないということだ。哲学者のニーチェ (1844-1900)は、次のような有名な言葉を残している。「まさし...
『要するに、犬やネコやカラスは、僕たちにとっての「事実の世界」と、いくらか異なった世界を生きているのだ。それはつまり、僕たちもまた、「僕たちにとっての事実の世界」をしか生きられないということだ。哲学者のニーチェ (1844-1900)は、次のような有名な言葉を残している。「まさしく事実なるものはなく、あるのはただ解釈のみと。」』―『第3講 科学とは何がちがうの?』 哲学の奥義を伝授すると著者は言う。「webちくま」のサイトで現在も読むことができる第1部「哲学ってなんだ?」の四講と第2部「哲学的思考の奥義」の初めの二講を読んで興味が湧いたので読んでみたのだが、当然のことながら深淵なる哲学の奥義を新書一冊で完璧に解説・理解することなど出来る筈はない。けれど考え方の指南という点で見れば、本書は巷に溢れる自己啓発の本よりも良書であるとも思う。それは本書がいたずらに、あなた自身の思考を大切にしなさい、と説くのではなく、他人の思考はあなたとは異なっている、と教えるからだ。 哲学は、互いに異なる考えを持つ者同士がどのように共存するのが最善かという問題を古代ギリシア以降連綿と考え続けてきた学問だと著者は言う。なるほどね、確かに小賢しい形而上学的な研究ではなくて、多様な価値観を認め合う為の実践だと考えると、急に腑に落ちたような気にもなる。奴隷に生活上必要なことは全て預けて、持て余した暇に任せて机上の空論を議論していたギリシアの哲学者、というイメージは払拭される。岩井克人の著書で、何故古代ギリシアで貨幣という概念が生まれたのかを説明された時にも思ったけれど、古代ギリシアというのは王や帝を頂点とする社会とは違って最先端のコスモポリタンな社会だったのだなあ。なんでそういうことをもう少し判り易く学校では教えないのかね。 とても為になる本ではあるし複雑なことの芯を簡潔に説明し読者を次の次元の理解へ導く手腕は、流石、教育者、という感じがする。しかし余りにも要領よくまとめられた言葉を眺めていると、そこからこぼれ落ちたものの行方が気になって仕方がない。だって人というのは一直線に思考するものではなくて、あちらこちら寄り道しながら考えるものじゃない? その寄り道が、たとえ引いた構図の中では無駄に見えても、多様性に対する理解や寛容を生む元になるのじゃないかな、と思うのだ。もちろん、著者は他者の価値観をきちんと認めているし、「問い方のマジック」で示すように白か黒かを問う問題の立て方に対してもきちんと難点を指摘するし(サンデルの白熱教室に対するやや否定的な見方には大いに共感するところあり: https://booklog.jp/users/petrohiro/archives/1/4152091312)、著者の言う「奥義」は確かに役に立ちそうなのだけれど、そこには何か短絡しているものがあるようにも感じてならないのだ。 例えば、2+□=5、の□に何が入るのかを解くのに、左辺の2を右辺に移項して、□=5-2、とすればいいんですよ、と言われているのと同じで、移項の意味を問うことや、あるいは□に1から順番に自然数を入れていくやり方の意義なんかが飛んでしまっているなあ、と感じるのと似たような読後感を抱いてもいる、と言ったらいいのかも知れない。それを無駄と思うかどうか、その問いこそ、シラバスには書き記せない本当の意味での教育なんじゃないかな、と思ったりする。
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面白く、読みやすくあっという間に読了。 「欲望相関性の原理」「本質観取」など哲学のキモを知ることが出来た。 ちょっとずつ自分の中に取り入れていきたい。
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哲学の奥義。本質観取を解説している。共通了解を作り出す努力として哲学を捉えている。ニセ問題の指摘が面白かった。
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単なる知識ではなく、考え方、話し合い方のハウツーになる。人の考え方の癖がわかる。使える!本だと思います。
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哲学とは本質を捉えるためのものであり、そのための思考法を書いている書籍。 ・一般化のワナに気をつけること ・問い方のマジックに引っ掛からず共通了解を得られるような問い方に問いを直すこと ・帰謬法とその対策 ・欲望相関性の原理 ・生きづらさを乗り越えるには →①能力を上げる ②欲...
哲学とは本質を捉えるためのものであり、そのための思考法を書いている書籍。 ・一般化のワナに気をつけること ・問い方のマジックに引っ掛からず共通了解を得られるような問い方に問いを直すこと ・帰謬法とその対策 ・欲望相関性の原理 ・生きづらさを乗り越えるには →①能力を上げる ②欲望を下げる ③欲望を変えるのどれか →欲望がないなら ①価値観や感受性を刺激するものにたくさん触れて(映画、小説、音楽)心が動く瞬間を知る ②キッチン掃除メソッド ・哲学対話の意義 ①自分自身をよく知る ②他者了解も深まる ③価値観・感受性の交換対話 哲学の考え方の基礎的なことが列挙されているため、勉強になる。
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非常に面白かった。 現代はテクノロジーの発展で豊かになったと思っていたが、本当は哲学によって発展した世界なのだと分かった 対立する意見はそれぞれの経験から導き出された物で、どちらが正しいかは本来なら決めることはできない。 「なぜ人を殺してはいけないのか」の節もとても理解しやすい...
非常に面白かった。 現代はテクノロジーの発展で豊かになったと思っていたが、本当は哲学によって発展した世界なのだと分かった 対立する意見はそれぞれの経験から導き出された物で、どちらが正しいかは本来なら決めることはできない。 「なぜ人を殺してはいけないのか」の節もとても理解しやすい 死刑は容認されて、戦争も容認されて正当防衛も勘案され得る でも人を殺してはいけないのは長い争いの末に掴み取った、「自由の相互承認」という原理を元にしたルールであるということ。 この誰もが納得できる"共通了解"を見出そうとすることが哲学なのだということが分かった。 世の中色々な問題があるが、長い哲学の歴史の中ではもうすでに答えが出ているようで、 それを知らずに生きてきたのは少なからず損をしているなと、改めて哲学に興味を持った。 著者もあとがきで「長年の修行を通して得たものを、こんな短い本に凝縮してしまっていいものなのか、と惜しい気持ちになった」と言っているように、哲学のことが分かりやすく凝縮された入門書、
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2021/3/1 読了 読んだ、だけ。実践にまで持っていくには何度か読んで理解しないとダメだなぁ。 なぜ人を殺してはいけないか、は子どもに説明ができそうでありがたい。
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苫野先生の本。はじめて読んだ。実生活において哲学の考え方がどう役立つかを記している。面白いです。過去の哲学者の考え方に触れながらも、その偉大な哲学者たちの考え方のコアエキスを集結させているのが大変勉強になる。今まで自分で考えてきた「哲学(笑)」が恥ずかしくなるくらいのわかりやすさ...
苫野先生の本。はじめて読んだ。実生活において哲学の考え方がどう役立つかを記している。面白いです。過去の哲学者の考え方に触れながらも、その偉大な哲学者たちの考え方のコアエキスを集結させているのが大変勉強になる。今まで自分で考えてきた「哲学(笑)」が恥ずかしくなるくらいのわかりやすさ。 何故殺してはならないのか、なぜ死刑は廃止されるべきなのかについて、完結かつわかりやすい説明で非常に好感が持てる。哲学の本は往々にして哲学者の歴史に着目しがちだがこの本は哲学で、本質観取し共通了解を目指す点に重きをおいている。ここが自分には新鮮だった。
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「俺の考えは正しい。 お前は絶対に間違っている!」の乗り越え方。 みんなが「そうだ」と言える本質を見出していくということ。 なるほどーーー!と思うことばかりです。 哲学教育や哲学イベントに関わる者として、 苫野さんと、 故・池田晶子さんに負うところは大きいです。 ●理性がある限り...
「俺の考えは正しい。 お前は絶対に間違っている!」の乗り越え方。 みんなが「そうだ」と言える本質を見出していくということ。 なるほどーーー!と思うことばかりです。 哲学教育や哲学イベントに関わる者として、 苫野さんと、 故・池田晶子さんに負うところは大きいです。 ●理性がある限り、絶対的に正しいことはわからない(!) ●自分の体験を普遍化しない。 ●自分の「信念」に気をつける! ●「偽の問題」に騙されないこと。 ●相手を言い負かすための方法:例外を出す。 →でもむなしい。 →共通了解しながら第三の道を建設的に志向していく対話。 ●絶対に疑えない原理 デカルト「我思う故に我あり」 フッサール「感覚」 ハイデガー、竹田青嗣「欲望」 ●信念の段階から欲望の段階で議論することで、共通了解が見えて来る。 ●事実はそのまま「すべし」に導くことはできない。 ●命令の思想でなく、条件解明の思想 ●哲学は、みんな分からなくてみんないい、ではなくて、 共通了解を生み出すこと。 ●程よい傷と、憧れが恋を生み出す。 ●世界、宇宙の根源を説明しようとする試み 宗教、神話 →神話が集団によって食い違うので、哲学が生まれる →物事を客観的に実験観察し法則を見出す科学が生まれる →あの世や神を探究しようとしていた形而上学は、 「理性では扱えない」ということで終わる。 →科学で扱えない、自我や自由や意志や意味が哲学のテーマに。 →真理は分からないが、本質、共通了解、自由の相互承認は可能。 世の中、あまりにも異なるそれぞれの持論や世界観や宇宙観が入り乱れて、自己の立場を真理と主張していて、 そんな私も例に漏れず、やはりこの世界の中で特定の立場から世界を見て、自己を主張していることに気がつきます。 私自身、子どもの頃からそうした多様な価値観の中で育ってきて、 かつ、一つのコミュニティのみに留まることが苦手でした。 また現在も、一つのコミュニティだけで完結することなく、 多様な価値観の方とうまく関係が築けていると思うのですが、 哲学というツールによる「本質看取」のクセがあるためでしょう。 哲学対話はとても楽しい。 自分自身に対して「気付き」が生まれていく瞬間が嬉しい。
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