ペナンブラ氏の24時間書店 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これは、創元推理文庫という由緒正しい冠にもかかわらず、ただの本好きには面白くないかもしれない。なにしろ半分も用語が分からず放り出す可能性があるから。 この本(本の体裁をしている以上、そう書かざるを得ない)は、インターネットどころかコンピュータ言語やプログラミングを熟知し、それを動かし、Googleがすべての作業を3秒止めるということが想像しがたいほど馬鹿らしくおそろしいことか実感として理解できる、それでいて活字を読むという行動をリスペクトできる人がもっとも楽しめるエンターテイメントだと思う。思う、というのは、自分がプログラミング方面で知識を持っていないからだけれど。3D化した空間に時間のアルゴリズムをつけるなんて想像もできないから。 それともうひとつ、アメリカ人にとってのGoogleやアップルの存在の大きさとその社員に対する憧憬に似た感情も特殊だろう。日本人にとってのトヨタや国家公務員第一種とは桁が違う、それだけで力になるような存在感が大きく感じる。 だからこそ、主人公である、Googleに入るなんて考えられないような経歴の持ち主(でも多少のプログラミングがあれば片手間で上記のアルゴリズムを変えられるような)が、Googleが総力を挙げても解き明かせなかった「謎」を解き明かした(それもきわめて原始的な方法で)というところが、すかっとするほど気持ちいいのだろうなと思った。解き明かされた謎が再埋蔵されたのは、データでもCDでもなくカセットテープに残された、子ども向けのファンタジーだったということも含めて。
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単行本で買うつもりで悩んでいるうちに 文庫になったのでとりあえず購入。 装丁はやはり単行本のほうがいい。 表紙のあの高い書棚が見えるのが魅力的だったのに。
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