骨を彩る の商品レビュー
とある5人が主人公の5編。 話は繋がってないけれど、どこかに他の主人公が脇役となって登場します。 生きていけばそれだけどこかに傷がつくものだし、誰かと比べたり、自分を見失いそうになることもある。 静かに淡々と過ぎていく日々を綴っているが、そのなかで何か熱い大事なものを訴えられてい...
とある5人が主人公の5編。 話は繋がってないけれど、どこかに他の主人公が脇役となって登場します。 生きていけばそれだけどこかに傷がつくものだし、誰かと比べたり、自分を見失いそうになることもある。 静かに淡々と過ぎていく日々を綴っているが、そのなかで何か熱い大事なものを訴えられているような物語。
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とても読みやすくて文体が心地いい。 辛い経験を経ることで、相手の痛みがわかるようになる、ということを最後の物語から感じた。
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5話の微妙に繋がった短編、どれも良い話だったが、あえて一話選ぶと「指のたより」。 自分が綺麗、いいと思ったもの写真を妻に送り、その同意をもらい、自分の感覚を確認してしまうという行為い込められた、二人で共有したいという気持ちが納得できて印象的。 最終話、「やわらかい骨」での、母がいないことを当たり前と捉え、それに対して触れられるコメントを煩く思っていた娘の心の変化も腑に落ちる感じ。 2020.09.14再読-- 「ばらばら」…映画や小説では登場人物が、人の心に刺さることを当たり前のように言うが、ここで出てくる義父はそういった言葉を紡げない。そういった言葉を"魔法の言葉"と表現しているのが目に止まった。
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『やわらかい骨』なんて、そうそう!あの頃ってこんなこと思ってた!と思い出す。読むまでは全く忘れてたのに。こんな感覚が蘇る事にも、記憶の奥で覚えてたことにも驚かされた。
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読み終わってプロフィールをみたら、あら若い!ああ、だからちょっと空気がぎこちない感じがしたのか。でもその割には刺さるような一文もセリフもあったし、誰もがもつかなしみ、痛みを無理やり回収せずに描いているところが、とても、よかった。
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妻や母などがいない、家族の短編集。登場人物が一部でリンクしていて連作短編集になっている。 最後の「やわらかい骨」が良かった。 食べる前にお祈りをする人。お母さんのいない人。強く拒絶したり無自覚に言葉をはけるのはその物事に関わりがなくて、どんな人も大多数の「普通」の中で苦しんでい...
妻や母などがいない、家族の短編集。登場人物が一部でリンクしていて連作短編集になっている。 最後の「やわらかい骨」が良かった。 食べる前にお祈りをする人。お母さんのいない人。強く拒絶したり無自覚に言葉をはけるのはその物事に関わりがなくて、どんな人も大多数の「普通」の中で苦しんでいる。 「バームロール」「ばらばら」等は、屈折して何かが欠けている家族夫婦関係が息苦しく、読んでて暗くなってしまった。
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正直に言うと、このお話しが浅いのか深いのか分かりませんでした。 染み込んできそうで、あと少しのところで届かない感じ? あーそうだよなって思うとスルッと零れてしまうような。 だけど、それは自分に何かが足りないから… 小春と葵の様な素敵な繋がりには素直に共感出来ました! またいつか...
正直に言うと、このお話しが浅いのか深いのか分かりませんでした。 染み込んできそうで、あと少しのところで届かない感じ? あーそうだよなって思うとスルッと零れてしまうような。 だけど、それは自分に何かが足りないから… 小春と葵の様な素敵な繋がりには素直に共感出来ました! またいつか彩瀬さんの作品読んでみたいです。
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これだ。 これが欲しかったんだ。 黒く埋まっていた塊が ことばひとつ ミントのような涼しさで クリアになっていく。 それが自分のことじゃなくても 満たされていく。 骨を彩る という言葉の美しさが 膨れ上がる
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静かにゆっくりと流れる文章。 なのに心の奥をぐいぐい抉られた。 5つの物語が穏やかに繋がる連作短編。 「隣の芝生は青い」というように、つい自分以外の人を羨ましく思ったり時に妬んだり…。 でもその妬まれた人だって実は他人には明かせない弱さを抱えていることもある。 自分の中で骨が一本足りない気がして落ち着かなくて、足りないものを補うみたいについ力が入ってしまう…この気持ち、なんか分かる。 一人一人の喪失感が丁寧に描かれてあり何度も切なくなった。 そして最初と最後の短編の、イチョウの黄金色の雨が繋がった時、とても泣けた。
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短編5作。 決して言い表せそうにない感情の起伏を、読み取れない胸にうちを、自分ですら思いもよらないことを、どうしてこうも表現できるのか。 ただ辛いだけで終わらない優しさに、思いが込められている。
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