文庫解説ワンダーランド の商品レビュー
[図書館] 読了:2017/3/29 「これってあれじゃん」式の解説が一番面白いなぁ(ある意味Ah experience?) 小林秀雄関連のところはまったく面白くなくてサラサラーっと読み流してしまった。小林秀雄まったく分からんし江藤淳も好きじゃないから。 江藤淳の解説は、「作...
[図書館] 読了:2017/3/29 「これってあれじゃん」式の解説が一番面白いなぁ(ある意味Ah experience?) 小林秀雄関連のところはまったく面白くなくてサラサラーっと読み流してしまった。小林秀雄まったく分からんし江藤淳も好きじゃないから。 江藤淳の解説は、「作品の理解を助けるものにあらず、権威を権威たらしめるツール」であるというのは納得。 p.148 もっとも小林秀雄はかつて「試験に出る評論文」の代表選手だったのだ。試験に出る評論文の条件は名文であることではない。「論旨がわかりにくいこと」だ。論旨がすぐわかったら試験にならないからね。 ⇨ここワロタ。論旨がわかりにくいという点では試験によく出る天声人語も同じ、とのこと。 p. 222 『二十四の瞳』について「戦後民主主義的な価値観に沿って先の戦争を相対化し、読者に癒しを与える。あり得ない設定で兵士を慰撫し、戦死者を追悼し、戦時体制をやんわりと断罪する。しかもその根底にあるのは「知的な男性集団」や「知識人(教師)の苦悩」という、明治以来の日本文学の伝統だ。そりゃあ愛読もされるわね。」というのを読んで、中学・高校の頃火垂るの墓や二十四の瞳を読書感想文の題材にして戦争を叩く文章を書いたら色々と賞をもらったのを思い出した。叩く方式だと自分の心を言語化しなくて良いから楽だし賞をもらえてラッキー、ぐらいに思っていたけど今思うとこういう点が教師に受けていたのだなぁと思った。
Posted by
溜飲が下がる・・とでも言いますか。 昔の巨匠をこてんぱんにするところは楽しい。 裸の王様に「裸だ」と言う少年のようですね。
Posted by
【目次】Ⅰ あの名作に、この解説 1 夏目漱石『坊っちゃん』 2 川端康成『伊豆の踊子』『雪国』 3 太宰治『走れメロス』 4 林芙美子『放浪記』 5 高村光太郎『智恵子抄』/Ⅱ 異文化よ、こんにちは 6 サガン『悲しみよ こんにちは』 カポーティ『ティファニーで朝食を』 7 チ...
【目次】Ⅰ あの名作に、この解説 1 夏目漱石『坊っちゃん』 2 川端康成『伊豆の踊子』『雪国』 3 太宰治『走れメロス』 4 林芙美子『放浪記』 5 高村光太郎『智恵子抄』/Ⅱ 異文化よ、こんにちは 6 サガン『悲しみよ こんにちは』 カポーティ『ティファニーで朝食を』 7 チャンドラー『ロング・グッドバイ』 フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』 8 シェイクスピア『ハムレット』 9 バーネット『小公女』 10 伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』 11 新渡戸稲造『武士道』 山本常朝『葉隠』/Ⅲ なんとなく、知識人 12 庄司薫『赤ずきんちゃん気をつけて』 田中康夫『なんとなく、クリスタル』 13 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』 マルクス『資本論』 14 柴田翔『されど われらが日々――』 島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』 15 小林秀雄『モオツァルト・無常という事』 16 小林秀雄『Xへの手紙』 吉本隆明『共同幻想論』 17 夏目漱石『三四郎』 武者小路実篤『友情』/Ⅳ 教えて、現代文学 18 村上龍『限りなく透明に近いブルー』『半島を出よ』 19 松本清張『点と線』『ゼロの焦点』 20 赤川次郎「三毛猫ホームズ」シリーズ 21 渡辺淳一『ひとひらの雪』 22 竹山道雄『ビルマの竪琴』 壺井栄『二十四の瞳』 原民喜『夏の花』 23 野坂昭如『火垂るの墓』 妹尾河童『少年H』 百田尚樹『永遠の0』
Posted by
附属図書館にて。 全編通して笑った。後半は薄目を開けて読むことが多かったが。楽しい。 もし読み返すとしたら1章から3章までとあとがきを。いや、読まないけど。 せっかくのブクログ、他の人が書いていくコメントを眺めていたい。解説の批評の解説が繰り広げられるだろう。
Posted by
いくら素晴らしくても、いくら「なんだよこれ」な内容でも評価されず放っておかれることがほとんどの文庫解説を、こんなにきっちり読んで評するなんて。相変わらずすごい人です。
Posted by
中学から高校にかけて、ヘヴィメタルを愛好していました。 CDも随分と買いました。 今はどうか知りませんが、当時、ヘヴィメタルのCDを買うと、ライナーノーツ(解説文)を書いていたのは必ずと言っていいほど伊藤政則でした。 そして、この伊藤政則の書くライナーノーツを読むのが楽しみでした...
中学から高校にかけて、ヘヴィメタルを愛好していました。 CDも随分と買いました。 今はどうか知りませんが、当時、ヘヴィメタルのCDを買うと、ライナーノーツ(解説文)を書いていたのは必ずと言っていいほど伊藤政則でした。 そして、この伊藤政則の書くライナーノーツを読むのが楽しみでした。 早く読みたくて、封を開けるのがもどかしいほど。 時にはライナーノーツを読みたくてCDを買うなどという暴挙に出たこともあり、あのころは本当にどうかしていました。 ただ、ライナーノーツというのはCDに付いている「おまけ」などではない。 少なくとも、私にとってはCD本体と並ぶ1個の商品だったような気がします。 文庫本の最後に付いている「解説」も同じではないでしょうか。 自分は本も割と読みますが、この解説が結構大好物。 その文庫解説に焦点を当てたのが本書です(前置きが長い)。 著者は切れ味鋭い論評が身上の文芸評論家、斎藤美奈子さんですから、面白くないわけがない。 たとえば、先年亡くなった渡辺淳一の項なんて、何度も吹き出しました。 ナベジュンの作品の文庫解説は、ナベジュンが選考委員を務めていた頃に直木賞を受賞した(あるいは大変世話になった)女性作家が担当していることが多い。 つまり、ナベジュンには頭が上がらないんですね。 ただ、「ナベジュンが描く女性像や恋愛像は、ぶっちゃけ男の幻想か妄想の賜で、今日の女性読者には違和感のほうが強い」(213ページ)。 しかも、人並み外れて感性に優れた女性作家たちです、おいそれと褒めるわけにはいかない。 どうするか。 斎藤さんいわく、「褒めず殺さずの高等テク」を使っているのだそうです(笑)。 谷村志穂も桜木紫乃もみんな苦し紛れといった筆付きで、角田光代の解説にいたっては「もはや半分ヤケッパチである」というから笑います。 夏目漱石の「坊ちゃん」は解説を担当した人たち間でも大きく見解が分かれていたのだなとか、太宰治の「走れメロス」は解説に恵まれなかったのだなとか、個人的には得るところ大の本でした。 CDのライナーノーツもそうですが、小説の解説も「おまけ」ではないのだと再確認した次第。 これからも文庫本は解説と共に堪能したいと思います。
Posted by
子どもの頃から本の虫を自認していたのだけれど、人生も後半に入って最近は「こんなに本ばかり買って置いておいたら自分がいなくなったあと子どもたちにどれだけ迷惑かけることになるんだろうか」とか思い始めてしまい、仕事で書籍を買わざるをえない現状も手伝って専ら電子書籍を買うことにしていたの...
子どもの頃から本の虫を自認していたのだけれど、人生も後半に入って最近は「こんなに本ばかり買って置いておいたら自分がいなくなったあと子どもたちにどれだけ迷惑かけることになるんだろうか」とか思い始めてしまい、仕事で書籍を買わざるをえない現状も手伝って専ら電子書籍を買うことにしていたのだけれど、美奈子さんの本だけは(いや"だけ"ではないんだけど)店頭にあったら反射的にレジに持って行っちゃうよ! 驚くような角度から本の読み方を見せてくれる美奈子さんだけど、なんと今回は文庫解説についての本。最初から最後まで全部、解説について書かれている。それでもってこれが滅法面白いのですよ。 古典的な日本文学の解説合戦(戦ってないけど)に始まり、著名人による謎解説を斬り、返す刀でそもそも解説にすらなってないエッセイもどきが一体どこから生まれてきたのかを解体してみせる。 さらには、これぞ読者のための解説でしょ!という"お手本"もちゃーんと紹介してくれています。 美奈子さん曰く、解説とは結局端的にいうと「これって、あれでしょ」である、と。 他にも、作品を貶すためだけのものであってはいけないが、読み込んだからこそ発見できる瑕疵についてきちんと考察できている解説にはお得感がある、とも。なるほどなあ。 とにかく、最初から最後まで面白いです。好きすぎる。
Posted by
古くは『坊ちゃん』から、最近の『永遠の0』までの文庫本解説を、著者の独断と思い切りの良さで一刀両断し、まるで凄腕の剣豪小説を読んでいるかのよう。 楽しく爽快感をもって、たちまち読み終えた。 解説とは読者のためであるべきはずが、しばしば「著者のため」、あるいは解説者自身の「自分のた...
古くは『坊ちゃん』から、最近の『永遠の0』までの文庫本解説を、著者の独断と思い切りの良さで一刀両断し、まるで凄腕の剣豪小説を読んでいるかのよう。 楽しく爽快感をもって、たちまち読み終えた。 解説とは読者のためであるべきはずが、しばしば「著者のため」、あるいは解説者自身の「自分のため」に陥っていると看破する。 確かに何を言いたいのか理解できない解説や、ちょうちん持ち的解説をよく目にする。 本文で偉そうに断言した著者が、自分自身も解説を書いていることに思いを致し、冷や汗タラタラ、プレッシャーを感じてしまったと、あとがきで書いているのはご愛敬(笑)
Posted by
オリジナルは岩波書店PR誌『図書』(2014年9月〜2016年8月)の連載に大幅な加筆編集を施したものとのこと。 ちくま文庫の非売品『ちくま文庫解説傑作集I・Ⅱ』を愛読する者、単行本持っていながら解説のために文庫本を買うこともある身としては興味深いトピック。 似たような作品でも、...
オリジナルは岩波書店PR誌『図書』(2014年9月〜2016年8月)の連載に大幅な加筆編集を施したものとのこと。 ちくま文庫の非売品『ちくま文庫解説傑作集I・Ⅱ』を愛読する者、単行本持っていながら解説のために文庫本を買うこともある身としては興味深いトピック。 似たような作品でも、解説次第(そこは運)でどんどん読まれなくなることもあれば、意外な読みどころが発見されて深く読まれたり、的確な社会背景解説や見立てが功を奏してあらたな読者を得て長く読み継がれることもある。解説を批評的に読むおもしろさにはうすうす気がついていたが、たとえ大家の手によるものでも適当な仕事には物申し、一芸や愛のある解説には光をあて、ただ分類するだけでなくばっさばっさと切り込んで一冊まとめられるのは斎藤美奈子ならでは。各文庫に入っている名作の解説文を比較したり、古い解説と改版で新しくついた解説を比べたりはよほどの物好きでなければふつうなかなかできないのでおもしろかったし、読了すると俎上にあげられた古今の名作本体の輪郭がはっきりしてくるというおまけ付き。
Posted by
相変わらずの斎藤節を堪能♪もうちょっとバッサバッサと斬ってほしい気もしたけど、題材的にこんなもんか。
Posted by