文庫解説ワンダーランド の商品レビュー
普段、文庫の解説は注意して読むことはないが、『こういう楽しみ方もあるんだ』と新発見。読書の別の楽しみ方を教えてもらった。 ばっさばっさ切りまくる文章は痛快。著者の読書量の凄さも感じることができる。
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近現代文学史的に読めない事もないが、解説の解説なんか読んで違和感無く楽しんでると、確実にバカになるだろうな。酒・タバコみたいなものだから、気をつけないと。
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文章が小気味いい。ぽんぽんと、アラレのように飛んでくるといおうか。言っている内容はけっこう高度なようで、いて、ときにくだけたりもする。読んでいて楽しかった。著者のプロフィールをみたら、もう60を超えているんだね。もう少し近い世代の人かと思ったけど。とはいえ、前から知っている著者さ...
文章が小気味いい。ぽんぽんと、アラレのように飛んでくるといおうか。言っている内容はけっこう高度なようで、いて、ときにくだけたりもする。読んでいて楽しかった。著者のプロフィールをみたら、もう60を超えているんだね。もう少し近い世代の人かと思ったけど。とはいえ、前から知っている著者さん。そしておれ自身も40代半ばになったことを考えると、そういうものかもしれない。
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著名な作品につけられた「解説」。適当に読み流しがちな解説はよく読んでみると実はかなり面白い。独りよがりな解説、作品には殆ど触れず作者の生き様模様ばかり書かれた解説、似たり寄ったりの解説、話があらぬ方向にぶっ飛んじゃう解説、、、。笑える本でした。
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面白かった-。「岸信介の孫という以外のアピールポイントはべつにないのに」とか曾野綾子かーとか,吹いちゃうところ多しという理由もあるけど,なるほどねぇと思わされるところが多い。「よくわからないけど,スゴイらしい」になっちゃうというのは本当にそうだと思うし,「作品を相対化する視点がま...
面白かった-。「岸信介の孫という以外のアピールポイントはべつにないのに」とか曾野綾子かーとか,吹いちゃうところ多しという理由もあるけど,なるほどねぇと思わされるところが多い。「よくわからないけど,スゴイらしい」になっちゃうというのは本当にそうだと思うし,「作品を相対化する視点がまったくない」のはまさに私で,良い解説とともに読みたいなぁと思った。 いろんな本を読んで・読み返してみたくなる。とりあえず走れメロスかな。
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いやはや、大物作家達を含め、斎藤美奈子さんがバッサバッサとぶった切っていく様が痛快な一冊でした。大物作家も含むとは言え、その対象は文庫の「解説」。「解説」と言うのが単行本にはなくて、文庫になって付くものと言うこと自身今まで気付いてなかったのだが、解説といってもいろいろなバリエーシ...
いやはや、大物作家達を含め、斎藤美奈子さんがバッサバッサとぶった切っていく様が痛快な一冊でした。大物作家も含むとは言え、その対象は文庫の「解説」。「解説」と言うのが単行本にはなくて、文庫になって付くものと言うこと自身今まで気付いてなかったのだが、解説といってもいろいろなバリエーションがあるんだということが良く分かった。斎藤美奈子さんの毒舌による「解説書評」を愉しむのと併せて、読んでみたいなぁと思っている古今東西の有名な書物に触れるきっかけにもなりました。
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岩波新書は、大学の般教の授業に相当するレベル。高校生でも社会人でも手に取れる知識や教養の入り口。高校時代そう言われて読んでいた。 新赤版になってから、くだけた内容の物が増えて、それが悪いとは思わないが、ちょっと語り口が雑誌っぽすぎるのが、最初は良くても、うーんと唸った。但し…こ...
岩波新書は、大学の般教の授業に相当するレベル。高校生でも社会人でも手に取れる知識や教養の入り口。高校時代そう言われて読んでいた。 新赤版になってから、くだけた内容の物が増えて、それが悪いとは思わないが、ちょっと語り口が雑誌っぽすぎるのが、最初は良くても、うーんと唸った。但し…ここに取り上げた本たちの解説が 「これ読まないと、本当にこの本は分からない?小難しいなあ…あってもなくても変わらないよ。」 と感じた経験は、私に限らず誰にもあるだろうし、それはちっとも変じゃないんだよと提示したことには意味があると思う。 わかりやすいイコール低俗 わかりにくいイコール高尚でお偉いもの という誤った定義は、未だになんとなくはびこっているし、おエライはずの作品群も、自分なりに読みこなせれば、その時点で面白い本になりうる。やわらかい本だって、読み手の嗜好に合わなければページを閉じられるだけのこと。 解説って、1ページでも読み進めてさせるヒントだったり再読してみようかと思わせて、本を古書店に持っていくのでなく、本棚の常連にさせ、他のものも読もうかと思わせるためにあるのだから。へんてこりんな教養とか権威とか、まして 「これは俺や私には解っても、お前には分かるまい。だって作者と同じところにいるんだよ私は。」 なーんて自分自慢はいらないのだ。そこを喝破した本書は本当に痛快ではあるし、解説から、ちゃんと近代から現代にかけての文学論や教養主義に対する批評になっているのは、さすがプロのお仕事。特に、文学史的には最近の本だけど、普通の読者にはちょっと古くなった本、の分析的な読みは、地口の軽さに紛らせても、やはり鋭い。 逆に、わかりやすくて言いたいことをはっきり言っている、『わかる文学論』として本書を楽しむ時、女性雑誌っぽい、ネット語っぽいおしゃべりが、かえって邪魔になることがあって。 うわぁ、そんなに軽く喋らないでも、わかりやすい から、その飾りを省いて下さい…。 と疲れたのも本当。 冒頭に書いたように、岩波新書が、すべての人の教養の、良き入り口としてありたいなら。この本の語り口が岩波新書と思って、他の本に手を出した時、読者が、内容もろくに見ないで本当は面白いかも知れないのに。 「あ、やべ…斎藤さんの本と違うノリ…。 やーめた…」 となりかねないから…最低限崩しすぎず、わかり易さ明快さだけは維持して欲しかった…。 教えてgooなんか、誰でも書けるんだから引き合いに出したらいかんよ。メディアリテラシーって意味では、未だ紙の本の信頼性って高いのだから…。 品下らず、明快。平易。 これ、文庫解説にも通ずるし、新書で執筆する時の ルールでもあると思う。読者に媚びず、普通の地の文で、これを書いて欲しかった。 難解すぎるのもノーサンキュー。でもブログや2chの親戚みたいなスタンスも信じられないからよして欲しい。 頑張れ!岩波新書! 頑張れ!文庫の中の名作たち!
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痛快、の一言。文芸作品に対してあまり明るくないけれども十分に楽しめた。 文芸作品や文豪に造形が深ければ深いほど、素直に受け止めていた人間にほどぐさぐさとに刺さる一冊。 とげとげのくり、もしくは臨戦態勢のハリネズミ。全方向にバシバシ容赦がない。 いい意味で値段に見合っていない。
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名作とベストセラーが綺羅星の如く並ぶ文庫本。その巻末に併録されている、所謂「おまけ」である解説。本書はこれを主役に据え、毒ある筆致で寸鉄釘刺す「解説の解説」書。誰しもが知っている不朽作品のあらすじと作風と時代背景をさらりと舐め、いよいよ“なっとらん解説”の中枢へ。筆法はあくまでも...
名作とベストセラーが綺羅星の如く並ぶ文庫本。その巻末に併録されている、所謂「おまけ」である解説。本書はこれを主役に据え、毒ある筆致で寸鉄釘刺す「解説の解説」書。誰しもが知っている不朽作品のあらすじと作風と時代背景をさらりと舐め、いよいよ“なっとらん解説”の中枢へ。筆法はあくまでも鋭く容赦なく遺漏なくぶった斬り。その多くの指摘は至極尤もで、作家先生ご指名の御用文芸評論家によるものも多く、解説の解説が必要とする「屋上屋を架す」ような難解極まりないものに出くわし、著者は原理主義的命題に辿り着く。「はたして、解説はだれのためのものか」。初読者への理解促進をミッションに掲げるわけでもなく、読書の愉しみをプロモートする任務を買ってでることもなく、言辞遊戯に没入する独善的文芸評論家に筆誅を喰らわす。中々痛快な本ではありますが、文芸に明るくないと、その小気味さを玩昧できないという絶対条件があることを付記しておきます。
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この840円の本を書くため、斎藤さんがどれほどたくさんの本を精読したか考えると、本当にすごいと思う。そして、本当に面白かった! わかりやすいところでは、例えば、「走れメロス」の解説。角川文庫のカバーの紹介文みたいに、「メロスがんばれ!」と、私は一度も思ったことはないが、太宰治を知...
この840円の本を書くため、斎藤さんがどれほどたくさんの本を精読したか考えると、本当にすごいと思う。そして、本当に面白かった! わかりやすいところでは、例えば、「走れメロス」の解説。角川文庫のカバーの紹介文みたいに、「メロスがんばれ!」と、私は一度も思ったことはないが、太宰治を知らない純粋な小中学生なら思うのだろうか、そしてそういう「読み」が正しいのか、とずっと疑問に思ってきたが、それを否定するような解説もなく、太宰作品の中では最も嫌いな一つとなっていたのだが、 「<メロスは激怒した>ではじまり<勇者はひどく赤面した>で終わるテキストは、心身ともに「裸」だった若者が「見られている自分」に気づいて最後に「衣」を手に入れる物語である。この瞬間、メロスはコドモ(赤子)からオトナ(赤面を知る)に変わるわけで、『走れメロス』は「裸の王様」ならぬ「裸の勇者」の物語とも言えるのだ。」(p35~36) という斎藤さんの「読み」に初めて納得できる「メロス」の解説を読んだ気持ちになった。心から納得した。 難解と言われる小林秀雄については 「小林秀雄はかつて「試験に出る評論文」の代表選手だったのだ。試験に出る評論文の条件は名文であることではない。「論旨がわかりにくいこと」だ。」(p148) で、また納得。そして 「そうだった、思い出したよ。コバヒデの脳内では、よく何かが「突然、降りてくる」のである。こういった箇所を読むと(少なくとも私は)鼻白む。しかし、小林にとってはこの「突然、降りてくる」が重要で、こうした一種の神秘体験を共有できるかどうかで、コバヒデを理解できるか否かが決まるといっても過言ではない。」(p150) でさらに納得。 『少年H』については 「もしかして、妹尾河童も「こうありたかった少年像」を描いたのではないか。戦争の欺瞞を鋭く見抜き、母を雄々しく守り、敗戦の日に天皇の戦争責任に思いを致すような少年を。このような物語は読者に歓迎される。「日本人はみな本当はHのように戦争に反対したかったのだ」という気分を共有することで、庶民の戦争責任は免責されるからである。」(p234~235) 当時を生きた人でないとわかりにくい安保闘争やバブルの頃のベストセラーの読み解きも面白いし、もちろん渡辺淳一の部分は笑える。 納得しないまま読んできた作品やその解説を、この本で初めて納得できた。 こんなに面白くて中身が濃くて840円か。30分で読めて中身スカスカで、他の文献を当たったのか大いに疑問の本が倍の値段することもあるんだから、大いにお買い得の本。 今度は翻訳読み比べをやってほしいなあ。 ついでに言うと、この本のあとがきに引用されている、著者の恩師、浅井良夫の文章がまたわかりやすくて面白く、この師にしてこの弟子ありってことだなと深く感心したのであった。
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