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銀の猫 の商品レビュー

4.4

36件のお客様レビュー

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2017/03/21

連作短編8編 介護の仕事をしながら母親の借金を返し,だらしない母親を養っている咲.身内であるからこそ言えない本音と介護によって見えてくる真実の在りどころ,そういったことが1編1編季節を進めるごとに露わになって解きほぐれてくる.口入屋の鳩屋の夫婦,往生訓を出版した佐分郎太,御用人大...

連作短編8編 介護の仕事をしながら母親の借金を返し,だらしない母親を養っている咲.身内であるからこそ言えない本音と介護によって見えてくる真実の在りどころ,そういったことが1編1編季節を進めるごとに露わになって解きほぐれてくる.口入屋の鳩屋の夫婦,往生訓を出版した佐分郎太,御用人大野氏,隠居道楽のおぶん,等々魅力的な登場人物がたくさん.シリーズ化しないかな.

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2017/03/15

江戸時代、意外と長生きする年寄りがいた。 介護を手伝う「介抱人」のお話。 薬と汚れ物の臭い、惚けた年寄り、それぞれの家の事情、 現実的な介護のシーンが、そこここに出てきた。 良い人にまとめすぎな感じもしたけど、面白く読めました。

Posted byブクログ

2017/03/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

現代の介護師の江戸版・介抱人を務める主人公・お咲 。「母」ではなく女として生きる母・佐和。事あるごとにお咲を苛立たせる。 お咲の勤める口入屋「鳩屋」の差配で、様々な事情の家へ介護に入る。 要介護者の意地や哀しみ、取り巻く家族の身勝手な考え方や無理解。 理想の介護とは・・と問いかける。 そんな中、魚河岸の旦那・光兵衛と佐和の恋がお咲の心にトゲを刺すが、光兵衛との関わりの中で佐和の意外な心を知る事に。 老いる事 老いを生きる事 死ぬ事

Posted byブクログ

2017/02/15

2014〜16年に「オール讀物」に発表した連続8話の単行本化。  口入屋(奉公人斡旋業)は普通年2両2分の給金で住み込みで働く女中などを斡旋するのだが、「鳩屋」は今で言う介護ヘルパー派遣業をしている。このあたりの設定は秀逸。時代小説の形を取っていて自由な切り口で、現代の介護に問...

2014〜16年に「オール讀物」に発表した連続8話の単行本化。  口入屋(奉公人斡旋業)は普通年2両2分の給金で住み込みで働く女中などを斡旋するのだが、「鳩屋」は今で言う介護ヘルパー派遣業をしている。このあたりの設定は秀逸。時代小説の形を取っていて自由な切り口で、現代の介護に問題を投げかけている。さすが私が直木賞取れると予言してた朝井まかてさん。  咲は養父母を亡くし、水茶屋の茶汲み女をしていて見初められて嫁いだものの離縁され、妾奉公していた実母と暮らしながら、母の借金を返すために重労働で心もすり減らす「介抱人」として3勤1休で働いていた。  江戸時代は、「孝」の実践として、当主が親の介護に当たるのが当然とされていたが、認知症などでプロの介護人が必要とされることもあるとして、いくつかのケースを描いている。これがなかなかに面白い。  貸本屋から「孝」に縛られない、する側もされる側も笑顔でいられるために「こうしたら楽になれる」という介護のための本を出そうと持ちかけられ、知恵を出し合う。  認知症になりかけている母と暮らす身には、教えられることが多かった。

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2017/02/09

総身の羽毛を膨らませて丸くなっている雀を福来雀(ふくらすずめ)というそうです。福が来る雀で縁起がいいと~!朝井まかてさんの「銀の猫」、2017.1発行、連作8話です。銀の猫、隠居道楽、福来雀、春蘭、半化粧、菊と秋刀魚、狸寝入り、今朝の春。銀の猫が入った守り袋を胸に「介抱」の仕事に...

総身の羽毛を膨らませて丸くなっている雀を福来雀(ふくらすずめ)というそうです。福が来る雀で縁起がいいと~!朝井まかてさんの「銀の猫」、2017.1発行、連作8話です。銀の猫、隠居道楽、福来雀、春蘭、半化粧、菊と秋刀魚、狸寝入り、今朝の春。銀の猫が入った守り袋を胸に「介抱」の仕事に精を出すお咲25歳の物語。江戸の町、四季折々に、様々な人の介抱を通じてわかる人の心の鬱積と温もりを軽妙なタッチと力強い筆力で描いた感動作です。読了後の深くて静かな余韻に浸っています!

Posted byブクログ

2016/12/27

【直木賞作家が描く、江戸の老人介護】美しく奔放な母を養いながら、江戸で老人介護を生業として暮らすお咲。逝く人に教わる多くの真実が深く身にしみる時代長編。

Posted byブクログ