銀の猫 の商品レビュー
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読書記録です。まだの人は読まないでね。 「銀の猫」「隠居道楽」「福来雀」「春蘭」「半化粧」「菊と秋刀魚」「狸寝入り」「今朝の春」 江戸で老人介護を生業として暮らす「介抱人お咲」を主人公とした短編集。 見てきたんかい!とつい言ってしまった。現代の事情を江戸時代に移してみたら、こういう具合になるんだろうなぁ。 最期まで看取れなかった舅から譲られた根付をお守りがわりに、派遣されたお宅で介助をする主人公の気働きや気概は、この時代の女性として描くことで理想に近い内容になっています。ヘタに現代バージョンで書いたら、こんな女神はいないもんね。もちろん、主人公の周囲の登場人物たちも良い人だらけ。 私としては、大野様と菊職人の庄助さんのその後が気になる!母が一歩進んだんだから、借金を返し終わるだけのご褒美じゃなくて、娘だって自分の幸せをつかんで欲しいんだけどなぁ。 ✩5つは、やっぱりみんなに読んで欲しいから。理想だけど、現実はキビシイしこんなに全部がうまくいくはずもないけど、こういう気持ちの持ちようって大切だよねって内容なのでお勧めします。
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江戸時代に今の介護士にあたる 介抱人という仕事があったとは。 お咲のお年寄りに対しての姿勢は ただただ素晴らしいのだけど、 それがまた、無理をしているのではなく 好きでやっているっていうのが 綺麗ごとではなく伝わってきて 清々しい気持ちになった。 自身の母親との確執も抱えつつ 本当によく頑張っているお咲に頭が下がる。 ラストにはいろんなことが なんとか丸く収まりそうでほっとした。 大野様ともなにかありそうな、 というかあって欲しい、 お咲に幸せになって欲しいと思わず願った。
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昔の人って短命だったという認識でしたが、江戸時代にもなると結構長生きの人も多かったらしい。長生きな人が増えれば介護の問題が出てくるのは現代と同じ。江戸時代は一家の主が介護を受け持っていたとか、今でいうヘルパーさんは稼ぎが良かったとか江戸の介護事情を絡めた、まかてさんらしい人情味溢...
昔の人って短命だったという認識でしたが、江戸時代にもなると結構長生きの人も多かったらしい。長生きな人が増えれば介護の問題が出てくるのは現代と同じ。江戸時代は一家の主が介護を受け持っていたとか、今でいうヘルパーさんは稼ぎが良かったとか江戸の介護事情を絡めた、まかてさんらしい人情味溢れる話に浸りました。お年寄りの数だけ、それぞれ抱えている問題があり、介護があり、看取りがある。お年寄りに寄り添える主人公のお咲さんが健気でした。あの母親より彼女に幸せになって欲しかったなあ。
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すがすがしい! 朝井まかてさんの小説の読後感はいつも そんな気分になってしまう。 時代小説の設定ですが 今も昔もありつづける 介護の問題 ここに書かれていることは そのまんま 現代の問題でもある 魅力的な主人公、介抱人・お咲。 彼女を取り巻く 魅力的な脇役たち スーパーマン...
すがすがしい! 朝井まかてさんの小説の読後感はいつも そんな気分になってしまう。 時代小説の設定ですが 今も昔もありつづける 介護の問題 ここに書かれていることは そのまんま 現代の問題でもある 魅力的な主人公、介抱人・お咲。 彼女を取り巻く 魅力的な脇役たち スーパーマン、スーパーウーマンは 誰一人出てこないけれども しみじみとした滋味があふれ出てくる あぁ 良かった そんな気分に浸りたい人に ぜひ!
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L 久々にmyヒット。雑誌連載モノだったようだけれど是非まとめて一気読みしてほしい。内容は他のレビューを参考にするとして、とにかくいい。この分野、老いとは何か、老いと向き合う系は少なくないけれどみっちり現代のヘルパー職を時代小説に持ってきたのは初めて読んだので新鮮。何気に住まい...
L 久々にmyヒット。雑誌連載モノだったようだけれど是非まとめて一気読みしてほしい。内容は他のレビューを参考にするとして、とにかくいい。この分野、老いとは何か、老いと向き合う系は少なくないけれどみっちり現代のヘルパー職を時代小説に持ってきたのは初めて読んだので新鮮。何気に住まいの貧乏長屋での介護から、大店や旗本隠居の介護まで網羅。さらに親子だけでなく老姉妹や主従関係まで、ヘルパー視線で切り込んでるよ。一押しは大奥勤めを退いた姉とそんな姉の介護をする妹の話。親子とはまた違ったおもむき。全体で切ないところも多々あり、面白かったー。 そして、口入屋は時代小説の鉄板設定だと思う。
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江戸の介護の仕事をしている咲が主人公の3編連作物語。 養父母に先立たれて、疎遠の実母が、謝金をして、離縁された咲は、口入屋「鳩屋」で、年寄りの会とをする介抱人として、誠心誠意働き、少しづつ謝金を返済していく。 江戸の町は長寿の町で、描かれている。 今現在の日本を見ているような話である。 生き生きぽっくり指南なんて今のppkである。 介護の依頼者は、旗本の隠居から元気な道楽女将まで、咲は、どれも、そつなく介護している姿。 言葉では、老人の介護とは、、、簡単に述べるが、人それぞれ事情もあり、又それを取り巻く家族、そしてこの時代では家臣迄、他人の目もあり、難しい問題もある。 食事、下の世話から、泊まり込みの介護生活。 その上、咲には、幼き頃別れた、美人の母の道楽三昧の生活迄、見ないといけないのである。 でも、この本で、咲を取り巻く人情味のある人達が、描かれて、読んでいてほっこりさせられる本であり、介護する側、介護される側の考えが、同じベクトルで、動かないと、難しいと、考えさせられた。
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江戸時代の介護の話 お咲をはじめ魅力的な登場人物がたくさん出てくる。 人の生き方人生のしまい方を考えさせられる。 シリーズになるといいな。
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江戸時代の介護のお仕事小説。介抱人・お咲は、職業として、時には泊まり込みで介抱をしに行く。お咲は仕事ではよく気が利き、他の介抱人では難しいような老人相手でもやっていくことができるのに、家に帰ると実の母親とうまくいかない。そういうところが現実味があっていい。あんな母親とはうまくいか...
江戸時代の介護のお仕事小説。介抱人・お咲は、職業として、時には泊まり込みで介抱をしに行く。お咲は仕事ではよく気が利き、他の介抱人では難しいような老人相手でもやっていくことができるのに、家に帰ると実の母親とうまくいかない。そういうところが現実味があっていい。あんな母親とはうまくいかなくて当然だけど。江戸時代は一家の主(息子)が親の介護をしていたというのが意外だった。その間は勤めを休んでよくて、それが「孝」とされていた。
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長寿の町江戸で、介抱人と呼ばれる現代のヘルパーさんのお仕事を生業にする佐和が主人公のお話。短編が8話あり、それぞれ介護される老人とのエピソードと佐和自身の母との軋轢を交えてお話が展開する。とても興味深く、作者の筆の巧みさで面白い。いつの時代にも人が年を取ることによる介護する人、介...
長寿の町江戸で、介抱人と呼ばれる現代のヘルパーさんのお仕事を生業にする佐和が主人公のお話。短編が8話あり、それぞれ介護される老人とのエピソードと佐和自身の母との軋轢を交えてお話が展開する。とても興味深く、作者の筆の巧みさで面白い。いつの時代にも人が年を取ることによる介護する人、介護される人が抱える問題は本質的には変わらないんだなあと切なくもなるが『子ども叱るな! いつか来た道。年寄り笑うな! いつか行く道』という言葉もあるようにこればかりは避けようがないんだよなあ。
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お咲は、年寄りの介護をする「介抱人」。口入屋「鳩屋」の主人・五郎蔵とお徳夫婦に見守られ、誠心誠意働くお咲は引っぱりだこだが、妾奉公を繰り返してきた母親のだらしなさに振り回され、悩む日々―。そんな時、「誰もが楽になれる介抱指南の書」を作りたいという貸し本屋・佐分郎太から協力をもとめ...
お咲は、年寄りの介護をする「介抱人」。口入屋「鳩屋」の主人・五郎蔵とお徳夫婦に見守られ、誠心誠意働くお咲は引っぱりだこだが、妾奉公を繰り返してきた母親のだらしなさに振り回され、悩む日々―。そんな時、「誰もが楽になれる介抱指南の書」を作りたいという貸し本屋・佐分郎太から協力をもとめられた。「いっそ、ぎりぎりを攻めるってのはどうですかね、お咲さん」―「いいかも。そのぎりぎり」。長寿の町・江戸に生きる人々を描く傑作時代長編。
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