月のぶどう の商品レビュー
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優秀な光実と「出来の悪い方」な歩の双子の姉弟が亡くなった母の跡を継いでワイナリーで働くお話。 私も「出来の悪い」側の人間だと思い込んで生きてきたので、自分を卑下してはふてくされながら大人になった。だから歩の気持ちがよく分かったし、歩に対する周りの言葉がグサグサと刺さる。 ページをめくるハッとする言葉に出会う。歩以外にも光実やワイナリーで働く人々、友達…周りの人たち皆それぞれに共感できる部分があって、ぐんぐんと物語に惹き込まれ一気に読み切った。 1歩ずつ前に進む皆を見て、私も今から変われるかなぁなんて思った。 ●ちょっとだけ期待をしていた、というようなことを歩は言った。新しいことをはじめるたびに、いつも期待をするのだと。自分にはなにかがあるんじゃないかと。他人より抜き んでた部分が、周囲も自分自身も今まで気がつかなかった素晴らしい能力が、その新しい なにかをはじめたことで目覚める、そんなことが起こりはしないかと。(中略) 「そういうのはさ、なんの努力もしたくない人が見るタイプの夢やと思う」 ●「ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん。ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」 ●天職ではなかった。昔から夢見ていた仕事でもなかった。 それでも仕事にちゃんと向き合うことはできると思った。
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なんかこう、逃げてばかりいてなかなか向き合わない歩に最初はイライラさせられるけど、着実に成長して、それを周りが認めていくのがいいなあ。でもそれを和葉さんが悲しむのはよくわかる。 あとは、冨美雄さんの「うまくいかないことがあったらやり方が悪かったと考えてやり方を変える、自分を...
なんかこう、逃げてばかりいてなかなか向き合わない歩に最初はイライラさせられるけど、着実に成長して、それを周りが認めていくのがいいなあ。でもそれを和葉さんが悲しむのはよくわかる。 あとは、冨美雄さんの「うまくいかないことがあったらやり方が悪かったと考えてやり方を変える、自分を嫌いな人に好かれようと頑張らないっていう考え方は、正にそのとおり!! それから、光実の結婚式でのおじいちゃんの言葉にもやっぱりそのとおり!!
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寺地はるなさんらしい、一人ひとりの人生が伝わってくる内容だった ・光実の由来が素敵 ・おじいちゃんもちゃんと光実のことを認めてた ・母に憧れながらも、自分らしく 最後歩が受け取った手紙の内容が気になるけど、きっと生き生きと仕事をしてる歓びを綴ったものではないのかな
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出来のいい光実と出来の悪い歩。二卵性双生児の二人が母の死をきっかけに家業のワイナリーで一緒に働くことに。 周りの双子を思い出しても、なぜだか対照的な性格なことが多い気がする。この二人も相手を羨ましく感じたりコンプレックスを抱えているのだけど、ワイン作りを通して徐々に解き放たれてい...
出来のいい光実と出来の悪い歩。二卵性双生児の二人が母の死をきっかけに家業のワイナリーで一緒に働くことに。 周りの双子を思い出しても、なぜだか対照的な性格なことが多い気がする。この二人も相手を羨ましく感じたりコンプレックスを抱えているのだけど、ワイン作りを通して徐々に解き放たれていく様が心地よかった。 そして、祖父がいい味を出している!結婚式の言葉がよかった。
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偉大な存在だった母が亡くなった。 母の跡を継ぐよくできる姉、そして姉よりできないという思いがありつつ、戻ってきてワイン作りを手伝う弟。2人のそれぞれのありそうな生きづらさや、その中で重ねていく日々に思いを重ねながら読んだ。
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ワインが飲みたくなるお話。 お酒は全然好きじゃないけど、ワインの香りは好き。デザートワインという甘いワインはいつか飲んでみたい。
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何やっても上手くいかない歩と出来のいい方の双子の姉光実。歩は姉に引け目を感じて実家から離れて生活をしてきたが、母親が亡くなり、家業のワイナリーを手伝うことになる。不器用ながら少しずつ葡萄づくりやワインづくりをしていく歩に好感が持てる。出来の悪い弟を助けようとしている光実は心の奥底...
何やっても上手くいかない歩と出来のいい方の双子の姉光実。歩は姉に引け目を感じて実家から離れて生活をしてきたが、母親が亡くなり、家業のワイナリーを手伝うことになる。不器用ながら少しずつ葡萄づくりやワインづくりをしていく歩に好感が持てる。出来の悪い弟を助けようとしている光実は心の奥底では歩のことを蔑んでいるようなところがある。ワイナリーの職人(上司)は初心者の歩に対してちょっと冷淡かなって思える。 少しづつ成長していく歩、人間的にも一番かなって思える。
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天瀬ワイナリーが舞台。 ワイン造りを学ぶ歩と双子の姉の光実、周りの人たちとのかかわりで2人が人として成長していく。 そのままドラマになりそうな感じ。 普段はイタズラ好きの祖父が、時たま発する言葉に重みがあった。 平気で弱みをみせられる人がほんとうに強い人だ、という言葉や、...
天瀬ワイナリーが舞台。 ワイン造りを学ぶ歩と双子の姉の光実、周りの人たちとのかかわりで2人が人として成長していく。 そのままドラマになりそうな感じ。 普段はイタズラ好きの祖父が、時たま発する言葉に重みがあった。 平気で弱みをみせられる人がほんとうに強い人だ、という言葉や、結婚する光実への言葉は、とてもよかった。結婚生活が長い人にも響くと思う。 デザートワインが出来上がる頃、歩とあずみが笑顔でまた会えますように。
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展開が気になって一気に読んでしまった。双子の主人公のどちらも生きることに不器用さを抱えていて読んでいてしんどくなる部分もあった。でも、そのひたむきさから、良いワインがいつかできるだろうと思わせる明るい未来でお話が終わって救われた。
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真ん中あたりからググッと引き込む展開はさすが。 今回一番ハッとしたフレーズは、 「『ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん』 ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それ...
真ん中あたりからググッと引き込む展開はさすが。 今回一番ハッとしたフレーズは、 「『ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん』 ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」 これは寺地さんの作品を読むようになって、私がたどり着いた境地のようなもの。 私自身は姉妹で比べられたという気はしていないけれど、双子の姉たちは常に感じていたかもしれず、特に自己肯定感が低いと最近になって私に話してくれた下の姉に読んでもらいたいと思います。
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