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月のぶどう の商品レビュー

3.8

44件のお客様レビュー

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2018/07/21

ワイン醸造所で育った双子の姉弟。切り盛りしていた母親が突然に亡くなってしまう。葬儀のシーンから始まる。 寺地さんの著作に描かれる人々はだいたいが不器用だ。自分を表現することが苦手だったり、端からみればつまらないことで悩み立ち止まる。だけど、手をさしのべる何かに出会い、気付き、前...

ワイン醸造所で育った双子の姉弟。切り盛りしていた母親が突然に亡くなってしまう。葬儀のシーンから始まる。 寺地さんの著作に描かれる人々はだいたいが不器用だ。自分を表現することが苦手だったり、端からみればつまらないことで悩み立ち止まる。だけど、手をさしのべる何かに出会い、気付き、前を向いて歩き出す。そんな作品が多い。 人間は面倒くさい。ワインを作るための工程に手間と時間をかけ、細心の注意を払う。それでも天候や害虫でぶどうがだめになれば翌年に一からやりなおし。その、ままならない感じは人生にも似ている。 二人の「月のぶどう」がどうぞ亡くなった母親に届きますように。

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2018/02/17

二卵性双生児の『出来のいいほうの姉』と『出来の悪い方の弟』私には出来のいいのが弟で、どちらかといえば出来の悪いのは姉のように感じました。美味しいワインが飲みたくなりました。

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2019/07/13

初読みの作家さん。 母亡き後、ワイナリーを引き継ぐ双子の姉弟。 いっけん、よくできて、ハキハキとしていて すぐに会得するタイプと ぐずぐずしていて要領が悪くてなかなか会得できないタイプ。 二つのタイプを絵に描いたような双子。 意外と、前者は頭打ちしてしまうのが早くて、 後者の...

初読みの作家さん。 母亡き後、ワイナリーを引き継ぐ双子の姉弟。 いっけん、よくできて、ハキハキとしていて すぐに会得するタイプと ぐずぐずしていて要領が悪くてなかなか会得できないタイプ。 二つのタイプを絵に描いたような双子。 意外と、前者は頭打ちしてしまうのが早くて、 後者のタイプは伸びたときの伸び方が大きかったりする。 どっちがいいということでなくて、 どっちにもいいところがあるってこと。 二人で美味しいワインを作ってほしいなぁ。 希望のある優しい読後感でした。感謝。

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2017/09/04

隙のないと思われる人でも心に痛みを抱えているし、悪そうなやつにも理由がある。完璧な人などいない。寺地さんの描く人々は、ヒーローもヒロインもいない。 主人公の歩にしてから、できの悪い弟というレッテルを背負っている。亡くなった姉の光実は母親の理想を追い続けるしっかり者。揺るぎない、...

隙のないと思われる人でも心に痛みを抱えているし、悪そうなやつにも理由がある。完璧な人などいない。寺地さんの描く人々は、ヒーローもヒロインもいない。 主人公の歩にしてから、できの悪い弟というレッテルを背負っている。亡くなった姉の光実は母親の理想を追い続けるしっかり者。揺るぎない、ワイナリーを受け継ぐ者。かと思いきや。 物語は二人の一人称で交互に綴られていく。なぜか歩に冷たいワイン職人の日野さん。あからさまに歩を嫌う年下の森園くん。いたずら好きの祖父。母の妹である和葉おばさん。歩の親友広田くん。ちょっと気になる女の子が二人、出てくるが、歩の関わり方が面白いと思った。 たくさんの人たちに囲まれながら、ワインを作るという仕事を通じて、歩も、光実も少しずつ変化していく。 そのあたりの心理描写が、寺地さんの持ち味だと思う。 人生、こういうことかもしれない。寺地さんの物語は、そんな、ちょっと楽観的だけれど、生きていくのに辛くなった時必要な楽観さではないかと思う。

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2017/08/09

登場人物のキャラクターが掴みにくく、エピソードもぶつぎりになりがちで、ストーリーはあまり印象に残らないけれど、ワイン作り、特にぶどう作りのプロセスの気の遠くなるような大変さ、ワインに込めた醸造家の思いなどはとても丁寧に描かれているので、ワインファンにとっては興味深いテーマだと思う...

登場人物のキャラクターが掴みにくく、エピソードもぶつぎりになりがちで、ストーリーはあまり印象に残らないけれど、ワイン作り、特にぶどう作りのプロセスの気の遠くなるような大変さ、ワインに込めた醸造家の思いなどはとても丁寧に描かれているので、ワインファンにとっては興味深いテーマだと思う。

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2017/06/23

寺地さんの世界観が好きなんだなと思う。 双子の光実と歩、それぞれの視点で交互に物語が紡がれる。 地道な作業に明け暮れる毎日。何かを見て、感じて、育てていく。国産のワインが飲みたくなった。いいなぁ。何かを産み出せる人は。 歩とおじいさんの光実への言葉がとても素敵だ。 そして、お...

寺地さんの世界観が好きなんだなと思う。 双子の光実と歩、それぞれの視点で交互に物語が紡がれる。 地道な作業に明け暮れる毎日。何かを見て、感じて、育てていく。国産のワインが飲みたくなった。いいなぁ。何かを産み出せる人は。 歩とおじいさんの光実への言葉がとても素敵だ。 そして、お父さんも。いいな、こんな人たちになりたいな。

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2017/06/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

4.5 母の突然の死によって、経営するワイナリーの後を託された双子の姉・光実。 一方、双子の駄目な方の弟・歩は、光実に頼まれ渋々手伝うことに。 リーダーの突然の死、そしてその直後に闖入してきたプータローもどきの経営者の息子。 当然の風当たり。 その大部分を自然に委ねるブドウと、人の感性と技術が織り成すワインという宝石。徐々に、ものづくりへの魅力に目覚めて行く歩。 その変わりゆく歩を見つめる叔母さんの「駄目な者同士」という視点が、まさに「駄目な者」の典型でおもしろい。 祖父の、孫達や従業員への関わり方が絶妙。

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2017/05/14

急逝した母に代わって男女の双子がワイナリーを継ぐ話…とかくとなんだかずいぶん雑で乱暴ですが。 ふたごの出来の良い方「光実」と、出来の悪い方「歩」。ふたりの視点を交互にいったりきたりしながら物語が進みます。 著者の他の作品とやっぱりどこか共通していて、…もちろん舞台はそれぞれ違う...

急逝した母に代わって男女の双子がワイナリーを継ぐ話…とかくとなんだかずいぶん雑で乱暴ですが。 ふたごの出来の良い方「光実」と、出来の悪い方「歩」。ふたりの視点を交互にいったりきたりしながら物語が進みます。 著者の他の作品とやっぱりどこか共通していて、…もちろん舞台はそれぞれ違うんだけど、根底に流れてるものが同じ、というか。登場人物の雰囲気とか、彼らがいる場所がもつ意味とか。たぶんこれが彼女の作風なんだろうな。 ワイン、好きなのに体質があわなくて(二日酔いがひどい)普段はあんまり飲まないんですが、うっかり飲みたくなりました(笑)

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2017/04/14

毎年、山梨産ワインの新酒試飲会、ぬーぼー祭りに出かけていたことがある。 山梨県内だけで30社近いワイナリーが、その年収穫したワインの試飲即売を行なう。 同じ種類のブドウから作られたワインであっても、ワイナリーによって味が違う。 また、同じワイナリーの同じワインであっても、...

毎年、山梨産ワインの新酒試飲会、ぬーぼー祭りに出かけていたことがある。 山梨県内だけで30社近いワイナリーが、その年収穫したワインの試飲即売を行なう。 同じ種類のブドウから作られたワインであっても、ワイナリーによって味が違う。 また、同じワイナリーの同じワインであっても、年によって味が違う。 お気に入りの銘柄であっても、ツンツン感じられるときや、まろやかに感じられるときがあり、その年、その年て気に入ったワインを購入し、クリスマスからお花見時期ぐらいまでの特別な日に開けていく。 そんなワイナリーで育った二人の兄妹か、ワイナリー社長であった母の突然の死を乗り越え、それぞれワイン造りの道を拓いていくものがたり。 ワイナリーの見学等を味わってから読んでも良いし、本書を味わってからワイナリーを訪ねてもいい。 ワインの世界の広がりに少しだけでも触れられるような気がする。 とはいえ、本書はワインの専門書ではない。 文学作品としても、十分面白いと思う。

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2017/04/03

とても好きなタイプの小説だった。ワイナリーを営む天瀬家。社長であり、ワイン造りに情熱を燃やす母が突然亡くなる。母が全てで、母のようなワインを作るため努力し続ける姉・光実と、目標がなく、家を出て叔母のカフェを手伝う弟・歩は双子の姉弟。姉に頼まれ、歩は家に戻り、家業を助ける。「出来る...

とても好きなタイプの小説だった。ワイナリーを営む天瀬家。社長であり、ワイン造りに情熱を燃やす母が突然亡くなる。母が全てで、母のようなワインを作るため努力し続ける姉・光実と、目標がなく、家を出て叔母のカフェを手伝う弟・歩は双子の姉弟。姉に頼まれ、歩は家に戻り、家業を助ける。「出来る姉」と「そうではない弟」それぞれがそれぞれの想いでワイン造りに励む中で、特に大きな事件や山場がある訳ではないけれど、2人の葛藤が不思議と大きく胸に響いてくる一冊。ワイン造りの工程もサラッと書かれていて、興味深く読めた。

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