i(アイ) の商品レビュー
「サラバ!」に続き、読んだら止まらなくなる一冊。 自分の存在意義を世の問題と重ね合わせながら生きるってしんどいけど、マイノリティに生まれてしまうと考えがちなのかなって思う。 それでも、そういう人たちが真の自分を確立して、自分を受け入れられた時、誰よりも輝ける人生を創れるのかな...
「サラバ!」に続き、読んだら止まらなくなる一冊。 自分の存在意義を世の問題と重ね合わせながら生きるってしんどいけど、マイノリティに生まれてしまうと考えがちなのかなって思う。 それでも、そういう人たちが真の自分を確立して、自分を受け入れられた時、誰よりも輝ける人生を創れるのかなぁと思いました。
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世界で起こっていることについて考えるのをやめてはいけないと思った。自分には何もできなくても諦めてはいけないし、心を痛めてもたくさんの出来事をこの目でちゃんと見続けよう。今のことだけじゃなくて、過去のことも決して忘れず想像して思い続けていかなくては。そんな事を思わせてくれた小説でし...
世界で起こっていることについて考えるのをやめてはいけないと思った。自分には何もできなくても諦めてはいけないし、心を痛めてもたくさんの出来事をこの目でちゃんと見続けよう。今のことだけじゃなくて、過去のことも決して忘れず想像して思い続けていかなくては。そんな事を思わせてくれた小説でした。
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シリアから裕福な両親の養子となった一人の女性のお話。自分の存在に悩み葛藤しいろんな経験をしながら成長する様は逞しい。そこで語られる生と死や家族や血縁や恋愛や友情が心に刺さる。著者ならではの筆致で圧倒された。素晴らしい一冊。
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シリアで生まれた主人公の「アイ」がアメリカ人と日本人の夫婦の養子になり成長して行く過程で起きる世界情勢と本人自身の心の葛藤を描いた少女漫画を活字にしたような物語
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ちょうど今年120冊目の読了。 著者の『サラバ』を読んで非常に感動しました。 今回はどうかなあと少し懐疑的になって読みましたが 確かに少しくどいというか、そこまで人は深くものごと を考えるのかなあ・少し大げさ感がある面はありましたが。 それなりに面白く感動しました。 最後のところ...
ちょうど今年120冊目の読了。 著者の『サラバ』を読んで非常に感動しました。 今回はどうかなあと少し懐疑的になって読みましたが 確かに少しくどいというか、そこまで人は深くものごと を考えるのかなあ・少し大げさ感がある面はありましたが。 それなりに面白く感動しました。 最後のところは非常に哲学的で、感動する文書です。 ”私はここにいる!私はずっとあった。先に私はあった。存在した・・・” 自分の存在の再確認と存在意義の獲得。存在が許容される ということ。を獲得する瞬間が、主人公のバックボーン ・経緯を考えると非常に感動的です。 シリア難民の海でおぼれてなくなった子供のことは非常に クリアに記憶にあります。陳腐ではありますが心が痛みます。
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※このレビューにはネタバレを含みます
アメリカ人の父、日本人の母、そしてシリア生れの養子・ワイルド曽田アイ。高校入学式翌日の数学教師の言葉、「この世界にアイは存在しません。」これが彼女にとって呪いのように木霊し続ける。賢くも感受性豊かなアイが、言葉にならない不安や残酷な現実、行きつくエゴと向き合い、苦しみ、絡まり、もがきながら、小さくも確かな光を見出す。「自己の存在証明」という命題に答えを出したアイの人生を描きつつ、現代の人々が無意識に抱える利己的思考にも切り込んだ長編小説。 不幸な者の苦しみを描いた小説は多いが、幸福な者の苦しみを描いた小説は初めてだった。主人公アイは両親にも友人にも夫にも経済的にも恵まれた女性だ。なのに彼女はずっと苦しんでいる。幸福ゆえに、世界の悲劇をテレビで見ているだけの自分に勝手な罪悪感を抱くが特に何も行動を起こせない。声を上げて動き出しても、幸福者の利己的側面に気付いた瞬間に、自分の存在が陳腐に思えてくる。何が正しいの?一体どうすればいいのか?世界一治安が良い国のリビングで世界の悲劇をテレビで目にする私達日本人、その多くが抱える感情ではないだろうか。いや、多くの人が一瞬抱え、瞬時に眼を背け、そのまま気がつかないふりをしてきた問題ではないだろうか。著者はそれを逃がさない。主人公アイをそこに向き合い続けさせた。そしてアイなりの答えを導き出させた。 「自己認識」「幸福な者が抱える苦しみ」「家族」「血の繋がり」「愛」「友情」この小説は一体いくつのテーマを抱えているのだろう。絞られたテーマにスポットを当てたわかりやすい小説では決してない。様々なテーマを含有し、その全てが独立せず絡まり溶け合い、時には他のテーマを阻害し、しかし時には他のテーマに欠かすことの出来ない地盤となる。そういう意味で、西加奈子は「人生」そのものを描こうとしているのだと私は感じている。 その絡まり合うテーマの中でも、私が特に強く感じたのは「被る者の心理」だ。自分も何かの不幸を「被った」と感じた時、作中のアイは何か自信のようなものを漲らせ始める。これは一部の人に当てはまる心理なのだと思う。自分が被害者になったことで、自己の主張を訴える権利を得る。その権利はそのままエネルギーとなり、いつしか人生の大きな部分を占め始める。これは悪いことではないし、必要なことだ。しかし、アイが被災者意識を持った時、「水を得た魚」のようになったことに違和を感じてしまう。それはアイに限った話ではなく……。 作中で幾度となく挿入される「この世界にアイは存在しません。」という言葉。これはアイが虚しさや無力感、自己の価値が見出せない時に聞こえてくる。シリア生れの養子ということも関係があるが、更に虚数「i」という数学記号との名前の一致がとても面白い。虚数「i」と自己「アイ」を重ね合わせ、「i」の存在を「証明」するように、「アイ」の人生は「自己の存在証明」という命題を抱える。 「私はここだ!」というラストの叫び。読後、震えた。広い広い世界の片隅で、とても尊くて美しいものを見たような気がした。アイという一つの生命が輝く瞬間を見た気がした。言いようのない感動が、一過性ではない強さと優しさが心に宿る。「i」は、現代に生きる全ての人が読むべき本だと、本気で思ってしまった。
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西さんの小説を読むと、弱さを肯定してもらえた気持ちになる。時代背景も踏まえていて読んでいて考えさせられた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
最初、私の知っている西さんの(登場人物との)距離の取り方と違っていて、少し困惑した。 シリアで生まれ、養子としてアメリカで暮らすワイルド夫妻のもとへやってきた〝アイ〟は、幼い頃から繊細で頭のいい子供だった。裕福なワイルド夫妻は世界の不条理に痛めつけられる人々をいつも気に留め、できる限りのことをしようとしていた。その一環としてか、アイに対しても世界の様々な悲劇を伝え、想像することを願った。しかしアイは夫妻の気持ちを理解しながらも、違う意図でも心を痛めていく。この絵にかいたような幸福を享受できたのは自分ではなかったかもしれない。それはつまり、他のだれかを蹴落として幸福を得ているという苦しみへと変わっていった。そしてアイは自身の苦しみさえ、傲慢だと考える。 中学へ上がって父の会社の関係で日本へ渡ったアイはそこで自身の生き方を定められるような言葉に出会う。 〝この世界にアイは存在しません〟 自分の存在を肯定して丸ごと受け入れてくれる親友のミナと、年上で同じ女性と二度結婚して子供も二人いるユウとの結婚。そこから新たに芽生えるアイの困難と希望。 ページの残り少なくなるにしたがってどんどんと訝しがった距離は狭まり、抱きしめて強く頬をこすり合わせるような、その感触が体に言葉によって残されるようなラストでした。 全く境遇は違うのですが、アイの考え方、感じ方は自分にとても近かった。記憶のある3~4歳のころに見たアフリカの映像、戦争を振り返る番組でみた白黒の子供たちの生活。ああ、これは私であってもおかしくなかったんだと、過去、現在、今抱える火種に焼かれる誰かは。その事実に恐ろしさと罪悪感を抱え続けた子供時代を思い出した。相変わらずの胸のど真ん中に打ち込んでくる力強さと、物語を、人物たちを愛している西さんが大好き。
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アイがとってもピュアでハラハラしながらよんだ 次の展開がこうなるだろうなーって想像できても 血の繋がりってもともと夫婦だって他人だもんね アイ人生はまだまだもっともっと色んなことがあるから 私もこころして生きていかなくっちゃ
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メディアで特集されていて、かなり期待して読んでしまったせいで、この読みやすさが物足りなかった。もう少し時間をあけて再読しようと思う。
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