三鬼 の商品レビュー
★今回も逸品揃い★生と死をつなぐ曖昧さが根底に流れる。「迷いの旅籠」では死者をむやみに呼び返しても半端な哀しみだけが戻ってくる様子を描き、「おくらさま」では拾われた恩義と呪いとがないまぜになった思いを美しかった老女から伝える。 「三鬼」では貧しい集落で見込みのない病人を間引かざ...
★今回も逸品揃い★生と死をつなぐ曖昧さが根底に流れる。「迷いの旅籠」では死者をむやみに呼び返しても半端な哀しみだけが戻ってくる様子を描き、「おくらさま」では拾われた恩義と呪いとがないまぜになった思いを美しかった老女から伝える。 「三鬼」では貧しい集落で見込みのない病人を間引かざるを得ない苦しみを書くとともに、藩の苦境を吐き出して自らのケリをつける武士が登場。「食客ひだる神」でも、料理人がおちかに秘密を打ち明け江戸を去る。人は誰かに自分だけの話を伝えたい。何かのきっかけとするために。
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以前おそろし三島屋変調百物語事始を読んで大好きな本でした。 なぜか四之続を読んでしまいましたが、やっぱりめちゃくちゃ面白いです。 2・3も買ってこようと思います。
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迷いの旅籠 村の行事 蘇ってくる人 手形 食客ひだる神 食べ物の神様 餓死した人 三鬼 山の過酷な暮らし 口減らし おくらさま お梅さん 三姉妹 火事 貸本屋
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このシリーズ面白いんだけど読むのにけっこう時間かかってちょっと体力使う。間断なく読んでたつもりが意外と飛ばして読んでたことに今更ながら気づいた。人の思いと怪異とが結び付いて物語になる、祈りと物語の話。先に新しいやつ読んじゃったからこのあとこの二人結婚するのかむふふ何て思いながら読めたし、途中から登場する次男にはほのぼのさせられた。 ひだる様のお話が一番好きだった。
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文庫化されたのに全然図書館へ返ってこなくて、予約を入れてやっと手元に!(*゚∀゚*)久しぶりの百物語、こんなに恐かったっけ?((( ;゚Д゚)))と最初の話で思ったけれど、次のひだる神で少しホッとする(^o^;)最後は前向きな おちか の姿に…(´_`。)゙瓢簞古堂の勘一好きだわ...
文庫化されたのに全然図書館へ返ってこなくて、予約を入れてやっと手元に!(*゚∀゚*)久しぶりの百物語、こんなに恐かったっけ?((( ;゚Д゚)))と最初の話で思ったけれど、次のひだる神で少しホッとする(^o^;)最後は前向きな おちか の姿に…(´_`。)゙瓢簞古堂の勘一好きだわ~(人´3`*)~♪
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と言う事で先にあやかし草子を読んでしまい、慌てて三鬼を読んだ。 なるほど、青野先生はこんな唐突に去っていったのね…… 富次郎登場の経緯もわかりました。 お話しは「食客ひだる神」がとても面白くて心が温まる話だった。神様をダイエットさせるとは、さすが宮部さん! このだるま屋の夫婦が...
と言う事で先にあやかし草子を読んでしまい、慌てて三鬼を読んだ。 なるほど、青野先生はこんな唐突に去っていったのね…… 富次郎登場の経緯もわかりました。 お話しは「食客ひだる神」がとても面白くて心が温まる話だった。神様をダイエットさせるとは、さすが宮部さん! このだるま屋の夫婦がおおらかで欲が無く本当に気持ちがいい。そして出てくるお弁当がいちいち美味しそうで食べたくなって困る。そりゃ神様も太る訳だ(笑) 「迷いの旅籠」はよくある話かなぁと思ったが、亡者と旅籠に現れた人影とは違うという事が気になる。そして迷う事なくあちらに行ってしまった貫太郎はどうなったんだろうか? 「三鬼」は一番悲しい話だった。貧しさ故に鬼を呼ばざるを得ない境遇。そしてそれを変えようともしない上役。知ろうともしない殿様。胸が塞がれる。 「おくらさま」恐ろしい。守り神と崇めていたと思ったモノがむしろ呪いであったと。そもそもの原因が中途半端にかけた温情がむしろ残酷な仕打ちだった事にあるとは、人生って難しい。色々考えさせられた。
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三島屋百物語の本も4巻目。 シリーズ最初から読んでいるけどやっぱり新作も面白かった 毎度何話か入ってるのだけど一番心に残るのは「食客ひだる神」 以前のこの三島屋シリーズの中の一番好きな作品 「あんじゅう(暗獣)」で号泣したのを思い出すような なんか笑えるのにラストすごく切なかった...
三島屋百物語の本も4巻目。 シリーズ最初から読んでいるけどやっぱり新作も面白かった 毎度何話か入ってるのだけど一番心に残るのは「食客ひだる神」 以前のこの三島屋シリーズの中の一番好きな作品 「あんじゅう(暗獣)」で号泣したのを思い出すような なんか笑えるのにラストすごく切なかった… ああいう座敷わらし的なものに私は弱いのかもしれない。 今回のはおちかちゃんの片思いが終了…(というか好きな人がお国に帰る&妻子をもらう)したけど また新たに登場人物が出てきたのでそれも楽しみ 従兄弟のお兄さんも貸本屋のあの人も。 また続編が気になる
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シリーズ4作目。 ネタバレバレです 迷いの旅籠 語り手は13歳のおつぎ。殿様の姫が亡くなった為に、毎年恒例の豊作を願う行灯祭りが行えなくなったとき、江戸から来た絵師石杖の発案でかつて名主の御隠居が住んでいた廃屋自体を一つの行灯に見立て、家の周りに...
シリーズ4作目。 ネタバレバレです 迷いの旅籠 語り手は13歳のおつぎ。殿様の姫が亡くなった為に、毎年恒例の豊作を願う行灯祭りが行えなくなったとき、江戸から来た絵師石杖の発案でかつて名主の御隠居が住んでいた廃屋自体を一つの行灯に見立て、家の周りに障子を貼り、村人は祭りの準備をする。するとそこはこの世とあの世を繋ぐ道となり、死人の旅籠となる。一人戻ってくるたびにその人と一番関わりのある者が死んだように倒れていく。この事態を収拾するために貫太郎という他の村から遣された絵師が旅籠に入り、死者を一人ずつあの世に連れ戻す。最後の一人をあの世に戻したところで貫太郎もあの世に吸い込まれ、旅籠は跡形なく焼け落ちる。 食客ひだる神 語り手は美味いと大評判にもかかわらず、夏は店を閉めてしまう仕出し屋だるまやの亭主房五郎。若い時分、母を見舞いに行った帰りにひだる神に取り憑かれてしまう。房五郎は大食いになるがひだる神の重さで店がかしいでしまう。このため夏にはひだる神の目方を減らすために商売をやめた。ひだる神のおかげもあって商売繁盛して行ったが、ひだる神がとりつくのをやめた後も夏は商売しないでいる、という話。 三鬼 第4シリーズで1番怖い話。語り手は取り潰しにあった旧栗山藩の江戸家老、村井清左衛門。若い時分、妹を誘拐した犯人を殺したために、藩の僻地洞ヶ村に流される。そこは夏は日照り、雪は大雪で生きていくのが精一杯の過酷な環境。働けない者は口減らしに殺され、殺す者と殺される者が一緒に生活しないよう二つの部落に分かれて住んでいた。ある日清左衛門とともに流された須加利三郎の妻子が産後の肥立ちが悪いことを理由に殺されてしまう。二人は村人が「鬼」と呼ぶ犯人を捕まえに山に入るが大雪崩に遭遇する。清左衛門の妹のお守りに入っていた髪の毛が手掛かりとなり九死に一生を得た二人。須加は強訴しに藩に戻り、村の窮状を訴えることで二人は城下に戻される、という話。藩の失政で民がどんな目に合うか、今の世の中に通じている気がする。 おくらさま 三島屋には奉公に出ていた次男富次郎が戻ってくる。 語り手は老婆お梅。香具屋美仙屋の三人娘の一人だが、そこには部屋蔵におくらさまという守り神がいて、家人を災いから自ら犠牲となって守る代わりに、その後には家の娘の一人を新たなおくらさまに差し出さねばならないという掟があった。ある日火事で香具屋が延焼しそうになった時、おくらさまはご出座され、燃えずに住んだが次姉のお菊がつぎのおくらさまとなってしまう。その掟と姉を失った恨みを口にしたまま語り手は消えてなくなり、おちかお勝、富次郎も気を失う。 美仙屋のその後が知りたくてちかは貸本屋の勘一、富次郎の協力も得て美仙屋を知る料亭の女将を探し当て、話を聞く。 この話と並行しておちかが密かに想いを寄せていた深考塾の青野利一郎が国に戻り、肺病で亡くなった朋友が後に残した女を妻に娶り4人の子の父親として仕官することになる。 部屋に篭って何もしないでいたらおくらさまと同じで前には進めないというメッセージが込められているように思えた。
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安定して面白いけれども地面が揺らぐようなぞーっとする恐ろしさを感じることもあるシリーズ。起こったことは本当に怖いけれど語り手がいじらしい子供だったりしてその可愛さで恐ろしさとのバランスを取ったり。怖い話、怖い話、怖くて不思議な話、怖くて不思議だけれど起こったのはしばらく前という話...
安定して面白いけれども地面が揺らぐようなぞーっとする恐ろしさを感じることもあるシリーズ。起こったことは本当に怖いけれど語り手がいじらしい子供だったりしてその可愛さで恐ろしさとのバランスを取ったり。怖い話、怖い話、怖くて不思議な話、怖くて不思議だけれど起こったのはしばらく前という話、などなど。心底怖くなってきたかも、というようなタイミングで、ホッと一息ついて和めるような柔らかく調子のいい登場人物が新たに出てきたりして、とても満足して読了。続きが楽しみです。
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連作中篇4編 相変わらずのクオリティーの高さ.最後の「おくらさま」は物語の哀しさ,不憫さも出色だけれど,従兄弟の富次郎と古本屋の勘一の登場で俄然面白くなってきた.
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