ハコブネ の商品レビュー
これは…なんだ。最初、LGBTQ的な話として読んでいってたけど全然ちがった。差別とかとも違う、なんだろう。性別に枠なんてない、勝手に枠つけてるのは自分達っ、ていうのを目の前にバーンて出されて殴られたみたいな感覚になった。 19歳フリーター里帆は、自分の性に自信が持てなくて、微妙...
これは…なんだ。最初、LGBTQ的な話として読んでいってたけど全然ちがった。差別とかとも違う、なんだろう。性別に枠なんてない、勝手に枠つけてるのは自分達っ、ていうのを目の前にバーンて出されて殴られたみたいな感覚になった。 19歳フリーター里帆は、自分の性に自信が持てなくて、微妙な男装をして会員制自習室に行くようになる。そこで出会った31歳の2人の女性。女らしく美しい椿と、「アースとセックスする」知佳子。それぞれの悩みが交差したりしなかったりするんだけど、結局それぞれ自分の答えは見つけきらないよね最後。知佳子は自分の生きて行く道?を見つけるけど、最初から最後までそれを椿にも里帆にも言わない。大地に欲情?欲情というか、大地に体が反応するという感性の描き方がすごかった。 解説で知ったけど、英語版facebookにはユーザーが選択できる「性別」が50数通りに増やされたらしい。ユーザーが新たに自分の性別を表す語を作って設定・公開できるらしい。知佳子だったら「earth」かな、って書いてて、なるほどってなった。 「自分はどれに当てはまりますか」「どういう条件ならそれになれますか」って必死な里帆は、自分が何者でもないと感じて不安だったのかな。枠に当てはめてるのは自分だよって言われても、「新しい性別を作る」こと自体がその人の負担になる場合もあるんだな。性別、って、奥が深いというか、人間の想像でははかりしれない。
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フリーターの里帆は性やセックスに違和感を抱き自分の本当を探している.会社員の知佳子は地球との交流をセックスに準えている.知佳子の友人椿を加えて三人の自習室での会合,屋上での会話が本音を言い合って驚くほどあからさまだ.誰にも共感できないが,こんな人ももしかしているかもしれない,普通...
フリーターの里帆は性やセックスに違和感を抱き自分の本当を探している.会社員の知佳子は地球との交流をセックスに準えている.知佳子の友人椿を加えて三人の自習室での会合,屋上での会話が本音を言い合って驚くほどあからさまだ.誰にも共感できないが,こんな人ももしかしているかもしれない,普通というものが崩れていく.
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三者三様の性の捉え方。いやもう性ですらない千佳子のターンが好み。読んできた作品の中では穏やかな方に分類されるでしょうか。 何がノーマルで何がアブノーマルなのかの境界線が、そろそろ怪しくなってきた...、なんてことはありません(笑)
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違う悩みを持った2人の視点から描く世界。 ノンセクシャルという分類で、人と性の捉え方が違い、自分が当てはまるセクシャリティーは何なのか分からず葛藤していた少し前の自分に似ていたので里帆には共感できた。 知佳子のような考え方は新鮮で未知でとても興味深かった。描写が繊細で、その感覚を想像しながら読むのがとても楽しかったです。 世界には人の数だけ考え方、性格、性があり、無理に分類することはない、自分は自分でいいのだということを教えてくれるとても学びの深い本です。
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自分より一回り小さな彫刻刀で彫られたみたいに、繊細なつくりをしている。顎の骨も、鎖骨も、首筋も、誰かが丁寧にヤスリをかけたように滑らかに整っていた。 誰も乗らないノアの箱舟。誰も後ろについてこないハーメルンの笛吹きね。
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女性3人の日常の話だけど、性別って何だろうと考える。知佳子は不思議な世界観を持っているとはいえ、普通って何だろうとも思う。
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十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、...
十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。
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よくわからないお話。 ハコブネに何かしらの救いを求めて訪れる3人と1人は交わり合わないんだけど、誰一人として下手に迎合しないのが良いんじゃないでしょうか… 女の人ってこんなこと考えて生きてるのかな、自分にはよくわからない。ジェンダーは鎧のように重いの?本能のままにセックスするのは...
よくわからないお話。 ハコブネに何かしらの救いを求めて訪れる3人と1人は交わり合わないんだけど、誰一人として下手に迎合しないのが良いんじゃないでしょうか… 女の人ってこんなこと考えて生きてるのかな、自分にはよくわからない。ジェンダーは鎧のように重いの?本能のままにセックスするのはそんなに難しいの? 登場人物に共感を得られなかったのは自分が男のせいか、それとも単細胞だからなのか。 ただ、村田沙耶香という人は、人類は全員変人だしそれは何も問題無いよと言ってる気がする。正しく読めたかどうかはわからないけど。
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村田沙耶香の中長編の第5作目の作品。 『コンビニ人間』『消滅世界』、そして処女作の『授乳』から上梓順に読みすすめて本作は僕にとっては7作目となる村田沙耶香作品。 本作は、自分の「女性」という性別に疑問をもってしまったフリーター19歳の里帆、自分を地球という惑星の一部であると認識...
村田沙耶香の中長編の第5作目の作品。 『コンビニ人間』『消滅世界』、そして処女作の『授乳』から上梓順に読みすすめて本作は僕にとっては7作目となる村田沙耶香作品。 本作は、自分の「女性」という性別に疑問をもってしまったフリーター19歳の里帆、自分を地球という惑星の一部であると認識している31歳会社員の知佳子、そして知佳子の幼なじみで同級生のごく普通の大人の女性である会社員の椿の3人が主人公。 本書は里帆と知佳子の視点からの描写が交互に繰り返される型式である文章構成。 3人が有料自習室という特別な空間で出会い、お互いの意見の相違を戦わせながらも友情を育んでいくというストーリーだ。 女性の「セックス」をメインテーマにした前作『星が吸う水』と同じように本書も『性』をテーマとしているが、『星が吸う水』が男女の『セックス』をテーマとしているとしたら本書は『性別』そのものをテーマとしていると言っていいだろう。 本書の主人公の一人である里帆は、女性であるが、好きな男性とのセックスが辛くてたまらない。それは自分が本当はLGBTであるからではないのかと思い悩み、男装をし、女性とのセックスにもトライするが、それもまた違うと感じてしまう。 また、知佳子に至っては、男性とのセックスに全く意味を見いだせず、結局「地球」とセックスをするということが自分のとっての『セックス』であるという回答に至る。 もう、はっきり言って訳が分からない。知佳子の域まで達してしまうともう「LGBTなんて普通じゃん」と簡単に言ってしまえるかもしれない(笑)。 しかしながら、本作は非常に読みやすいし、分かりやすい。 読了感が非常にポジティブなのだ。 『人間なんて十人十色なのだからなんでもいいじゃん、好きなようにすれば』 と決してなげやりではなく、非常に良い意味でこの言葉が読後に思い浮かぶ。 ただ、自分としては、知佳子に同情してしまうというか「なんかもったいないな~」と思ってしまう。 知佳子という女性は、非常に不思議な雰囲気を持った『不思議ちゃん』なのだが、対人スキルがないとか、そういうことは全く無い。逆に、対人スキルが高く、人から好かれるタイプだろう。 なのに「私、やっぱり地球が恋人だから」って、おいおい、ちょっと待って。それ言われた男はどうすりゃいいのよ(涙)。本当にそう言われたら、男として再起不能でしょ・・・。まあ「そっか~、相手が『地球』じゃかなわないや~」って笑ってごまかすしかないよね。とほほ。 でも男としたら『じゃあ、次行ってみようか~』ってなるまで2年くらいかかるんじゃないかな。女性不信になってさ(笑)。 あ、里帆はね。まだ若いから、いっぱい悩みなさい。 椿さんはたぶん美人で強い人だからなんの問題もないと思う。 それにしても知佳子さ~ん。あなたが一番心配だ。 本当に最終的には即身仏になって地球と同化してしまうんじゃなのだろうか。 まあ、自分が人間ではなくて地球の一部であると本当に考えているならそれもありなのか・・・。 人にはそれぞれ「幸せ」の定義があって、全く違うのだろうけど、知佳子さんの「幸せ」ってなんなんだろうな。それだけをずっと考えてしまうよ、僕はね・・・。 はい。余計なお世話でしたね。失礼しました。 と言う訳で『クレイジー沙耶香』にしては、本書はすごくさわやかで素直な気持ちになれる1冊でした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
3人の性の意識や感覚、心の動きに面白さを感じた。行動や言葉一つ一つに「はぁなるほど」とは思った。が、読み終わったあとに残った衝撃や余韻は『コンビニ人間』や『タダイマトビラ』に比べると薄かったかもしれない。 里帆パートは、「今まで読んできた村田作品(とはいっても2作だけ)に比べるとアクがないな~」と思ったが、知佳子パートになったら突然の村田沙耶香節! 「人である以前に星の欠片である感覚が強い知佳子は、こうしたさまざまな常識やルールを知るのがすきだった。」 等々、自分とは全く違う感覚を持っている知佳子の語りを読むのが好きだった。 「大変なのはきっと自分だけだ」と悲劇のヒロインになってもがいている里帆は、子どもっぽくてたまに痛がゆく感じたけれど、自分の性と向き合って、前向きに実験していく姿が好きだった。 「性別を脱ぐどころか、無性を着込んではいないか?」という問いかけには、里帆と一緒になってハッとした。 椿は、歳下の里帆にまっすぐな言葉を投げるのがかっこよかった。「女」に固執して里帆も型にはめようとしてくるのが辛かったけれども。彼女の過去や婚約相手云々の話等、彼女も彼女なりに性と向き合ってもがいるだなと思う。 1番好きになった登場人物は伊勢崎さん。 p204伊勢崎さんの言葉に私自身が救われて、「なんていい人と出会えたの…」と感動した…のだけど知佳子のお相手はやっぱりアース!!まぁ、ですよね~ 里帆に感情移入しやすかったぶん、物語に入り込みやすくスラスラ読めた。 それぞれが行き着いた結論に希望を感じたし、「一人ひとり違っていて良いのだ」という暖かいメッセージを感じた。
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