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ハコブネ の商品レビュー

3.4

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    24

  4. 2つ

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2023/03/21

三人の女性達の女性という不確実な性別への懐疑的な思いをのせたハコブネ。 19歳の里帆は、女性である事に自信がない、あるいは懐疑的。今一度、自分の性別について考えようとする。31歳の椿は、女性としての自分磨きを怠らない。同じ31歳の友人の知佳子は、性の対象が宇宙的。彼女らは、有料自...

三人の女性達の女性という不確実な性別への懐疑的な思いをのせたハコブネ。 19歳の里帆は、女性である事に自信がない、あるいは懐疑的。今一度、自分の性別について考えようとする。31歳の椿は、女性としての自分磨きを怠らない。同じ31歳の友人の知佳子は、性の対象が宇宙的。彼女らは、有料自習室で出会い、お互いの性に関する認識とその対応を模索する。 ヒトが生きていく上で、性別という区分が必要か否かというところが主題なのかなと思う。肉体と精神の不一致を考えるとしても、性別のどちらかに統一するのではなく、全て自由で良いのではと前向きに終結する感じ。 男女という性別に悩むのは、ヒトのみなのかな。動物の雄雌という範疇から外れる事で、自由な生き方を得る?それは自由そうだけど、滅亡しそうかなぁ。

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2023/01/22

『丸の内魔法少女ミラクリーナ』以来の村田沙耶香san。 無性別を求める里帆、女であることに固執する椿、物体として生きることを選んだ知佳子。三人が乗った見えない「ハコブネ」とはー。 自分のセクシャリティーに疑問を持つ里帆から始まる物語。正直、よくある展開かな と思っていたら、第...

『丸の内魔法少女ミラクリーナ』以来の村田沙耶香san。 無性別を求める里帆、女であることに固執する椿、物体として生きることを選んだ知佳子。三人が乗った見えない「ハコブネ」とはー。 自分のセクシャリティーに疑問を持つ里帆から始まる物語。正直、よくある展開かな と思っていたら、第2章では知佳子からの視点に変わり、世の中の皆が壮大な「おままごと」をしているみたい という捉え方がとても新鮮でした。私も少し解るから。 また、随所に私の好きなフレーズが散りばめられていました。 ・声の温度が低くなったような気がして ・痛みを慈しむように、服の上から心臓を撫でた などなど。 誰かがいつか「やーめた」と言ったら、本当にいまの世界が消えてなくなり、皆、ただの星の欠片に戻っていくのかもしれません。それぞれのハコブネに乗って。

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2022/12/29

里帆と千佳子、2人の視点から描かれる描写はすごく複雑で、その複雑さがそれぞれの悩みの大きさなのかと思った。

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2022/12/20

世界は点と線で出来ていてそこに「意味」という絵の具が幾層にも塗り重ねられているという認識は非常にうつ病的認識で、そんな世界に生きながらも「おままごと」を追い求める人間というのは大きな嘘だなと感じた。 物質の世界には何一つ意味がなく、だからおままごとに対する欲求も生じえないはずだ。...

世界は点と線で出来ていてそこに「意味」という絵の具が幾層にも塗り重ねられているという認識は非常にうつ病的認識で、そんな世界に生きながらも「おままごと」を追い求める人間というのは大きな嘘だなと感じた。 物質の世界には何一つ意味がなく、だからおままごとに対する欲求も生じえないはずだ。 知佳子、里帆、椿は一見して対照的な人物に見えるけれど、本質的には、みな物質であるという本質から目をそらしおままごとに救いを求めようとしている同じ穴の狢なのだと思う。 人間が本当に地球の欠片になれるのは、きっと死んでからだろう。

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2022/11/06

千佳子と里帆の心情、一生懸命説明してくれてるけど結局よく分かってあげられなかった。 人の気持ちを汲み取るのが上手いと自負してたけど こんだけ説明されて分からないのに少し知っただけでその人全部を分かった気になるなよと言われた気がした。

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2022/11/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

普通ってなんだろう、とつくづく思う村田さんの本です。 主要な登場人物のなかでは、椿が「普通」で、知佳子が対極の「普通でない」のだろうけど、だんだん知佳子でなく椿のことがわからなくなっていきました。 里帆が枠に囚われてしまっているのはそう思います。自分で自分を苦しめてるんだろうな…だけどそれも若気の至りのような気がします。真面目なんだろうな。 知佳子のおままごとも、「灰色の突起」も良かったです。知佳子さんの目で世界を見てみたい。村田さんの感覚なんだろうか…。。

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2022/10/26

主に3人のどこにでもいる普通の人間の心情が、2人の視点から描かれている。 村田沙耶香さんは、奇妙だ奇妙だと言われがちですが、皆の"普通"を論理的にかつ感情的に言語化がものすごく上手いなと思います。 今作品もそのような作品の一つです。 3人のセンシティブでかつ普...

主に3人のどこにでもいる普通の人間の心情が、2人の視点から描かれている。 村田沙耶香さんは、奇妙だ奇妙だと言われがちですが、皆の"普通"を論理的にかつ感情的に言語化がものすごく上手いなと思います。 今作品もそのような作品の一つです。 3人のセンシティブでかつ普通な感情の揺れ動きには、とても親近感が湧きました。

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2022/10/07

たぶん椿がいちばん「普通」の女性 だけど、椿がいちばん自分には理解できない存在だった不思議 村田先生の作品は4冊目くらいですがどれも「普通」の枠を考えさせられる 「普通」の枠の飛び出し方がすごい 惑星を相手にする知佳子の見ているものはすごい 自分にも人と違う、変わってる、みん...

たぶん椿がいちばん「普通」の女性 だけど、椿がいちばん自分には理解できない存在だった不思議 村田先生の作品は4冊目くらいですがどれも「普通」の枠を考えさせられる 「普通」の枠の飛び出し方がすごい 惑星を相手にする知佳子の見ているものはすごい 自分にも人と違う、変わってる、みんなが普通にすることができないとか不自由なところを持ってて、マイナスに感じることもあるのだけど、村田先生の作品を読むと、殻のぶち破り方のレベルがとんでもなく、なんだか漠然と元気が出てしまってすきです

Posted byブクログ

2022/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

里帆が、どんどん椿が言うように甘ちゃんに思えて来たな 最初は里帆に感情移入してたが、チカコちゃんにどんどん吸い寄せられた 性別の小難しい話かと思いきや、そうではない 星とセックスするのは、昔の村田沙耶香の短編にもあったね こういう話を書きたかったのね チカコはもっと壮大な自我?恋愛しててもいつも百パーは楽しめないんだね、その気持ちは少し分かるような気がする アース…ソル… 巨大なおままごとの例えはすごく良かった、本って、創作って凄いね

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2022/09/11

最初、里帆に感情移入して読んでたけれど、だんだんアレ?違うぞ?ってなった。 逆に知佳子になんだこの人は?って読んでたけれど、なんだかわかるになった。 第二次性徴のやり直し、なんだか響きが良いというか、誇らしい何かに思えたけれど、そんなもんじゃなかった。 もっとぐちゃぐちゃでわけ...

最初、里帆に感情移入して読んでたけれど、だんだんアレ?違うぞ?ってなった。 逆に知佳子になんだこの人は?って読んでたけれど、なんだかわかるになった。 第二次性徴のやり直し、なんだか響きが良いというか、誇らしい何かに思えたけれど、そんなもんじゃなかった。 もっとぐちゃぐちゃでわけのわからない感情。 でも、よくある感情。 若い頃の何かになりたくて、その何かがわからないあの感情を思い出した。 ソルという言葉に驚いたけれど、その生き方の美しさが素敵だった。 私がよく通る道やよく行く建物と重ねながら読み進めていたけれど、その見方が一気に変わって、なんだかつやつやしたものに見えた。 不思議な感覚。 セックスってなんだったっけ? と立ち止まってしまう作品だった。 結局答えはよくわからない、それが答えなのだと思う。

Posted byブクログ