ハコブネ の商品レビュー
性と日々の営みに疑問を持つ2人の女性の視点が交互に描かれます。 里帆は思春期から抜け出せない未成年の女の子で、千佳子は自分を人間と感じることの出来ない感覚の持ち主です。 千佳子の視点が非常に面白いです。 コンビニ人間を彷彿とさせる視点です。 とても哲学的な作品でした。 他の作品に...
性と日々の営みに疑問を持つ2人の女性の視点が交互に描かれます。 里帆は思春期から抜け出せない未成年の女の子で、千佳子は自分を人間と感じることの出来ない感覚の持ち主です。 千佳子の視点が非常に面白いです。 コンビニ人間を彷彿とさせる視点です。 とても哲学的な作品でした。 他の作品に比べると優しく温かい物語に感じます。 やっぱり村田沙耶香作品は面白いです。 ❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀ どうしてこんなにセックスが辛いのだろう……。 自らの性別を脱ぎ捨てたセックスを求める里帆。女であることに必要以上に固執する椿。生身の男性と寝ても人間としての肉体感覚を持てない千佳子。交差しない3人の女性達の性の行方は……。
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おもしろかった 自分もどちらかと言うと、自分の中の常識に勝手に雁字搦めになって身動き取れなくなるタイプだから、そう思ってるの自分だけじゃない?って自問自答してみてもいいかも。と思いました。
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地球と交わろうとする話で、朝井リョウさんの正欲のことを思い出した。三人の女性が登場するが、そのうち二人の視点で展開されていく。残された椿の視点が描かれていないためか、最初は好印象だったのがだんだん嫌な人間に見えてきてしまった。
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雨の中の公園のベンチで傘をさしたまま飲むお酒、あてのない電車の旅、夜の屋上で食べる夕食、忍び込んだ自習室で過ごす夜。こうして並べてみるとなんだか青春っぽくて、生々しい描写も多いのに全てが水のようでサラッとしていて、不思議なアンバランスが面白い。
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初期村田沙耶香先生的なドストレートな”性”の、というか”性別”の話だったのかな…。 自分の女性性を持て余す女たち…かなしいね… でも、それも受け入れていかなければならんのだろうか……。 それを超越した結果が今の村田沙耶香作品に繋がっていくのだろうか…。
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知佳子の考えで自分を捉えると、世界の見方が変わる。会社員として働く自分、朝と夜、性別、私が普段意識すらしないような社会の仕組みは記号でしかなくて、実際は物体同士がおままごとをしているだけ。少し気持ちが楽になる一方で、じゃあこのおままごとの世界で頑張る意味って何?とも思ってしまった。ただ、私はおままごとから目が覚めないタイプの人間なので、自分を満足させるには頑張るしかない。 でも、所詮それは人類が共通して作り上げた社会のルールの上に成り立っているもので、固執して苦しくなるのも馬鹿らしいよなと思った。「手放せばいいのに」「もっと自由に」「『やーめた』って目を覚まそう」自分はただそこにあるだけって感覚は、自己肯定のベースになるものだとも思った。
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性別に違和感を抱く女性を描いた作品。 著者の村田紗耶香さんがデビュー作から女性の性に関して、 様々書いてきていますが、今作は、発表当時(2010年)よりも 今(2023年)のほうが議論されることが多い、LGBTQを取り上げている 作品である。 主だった女性は3人だが、視点として...
性別に違和感を抱く女性を描いた作品。 著者の村田紗耶香さんがデビュー作から女性の性に関して、 様々書いてきていますが、今作は、発表当時(2010年)よりも 今(2023年)のほうが議論されることが多い、LGBTQを取り上げている 作品である。 主だった女性は3人だが、視点としては、2人の視点から交互に 物語は進んでいくのだが、最後はどうも読解力がかなり必要な感じがして、 理解するのは難しかった。 1人目の視点は、19歳のフリーターの里帆。 里帆は、セックスをした際の嫌悪感によって、自分は男性なのか、 それとも・・・と言う葛藤が始まる。 2人目の視点は、31歳の社会人の知佳子。 知佳子は、何とも理解が難しいので、読んで確認してほしい。
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3人のうちの2人の女性についてのお話でした それぞれに性についての思いや悩みがありながら 生きてる女性の物語でした 著者独特の世界観で性についてのお話が展開していった その世界になぜかよく引き込まれます
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この本を手に取ったきっかけは、村田さんの作品が好きで、ハコブネは読んだことがなかったので、読んでみたいなと思ったのと、村田さんがジェンダーに関してどう書くのだろうと気になったのがキッカケ。 ないものねだりだが、子供の頃から女性という性で生きて、それを全うしてきた椿視点のエピソー...
この本を手に取ったきっかけは、村田さんの作品が好きで、ハコブネは読んだことがなかったので、読んでみたいなと思ったのと、村田さんがジェンダーに関してどう書くのだろうと気になったのがキッカケ。 ないものねだりだが、子供の頃から女性という性で生きて、それを全うしてきた椿視点のエピソードも読んでみたいなと思った。 性の対象が大きすぎるといろんな苦しみや悩みがちっぽけに感じるのかな〜とか、ハコブネからはジェンダーに関して色んなことを考えるきっかけを与えてくた。
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ジェンダーの問題は、性自認のカテゴライズを細分化すればするほど本質が見えづらくなるという構造的な矛盾があることを作者は本能的に知っているし、それを言葉にして強く発信する力も持っている。本書は希望だと思う。
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