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暗い越流 の商品レビュー

3.7

35件のお客様レビュー

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2020/12/23

若竹七海さんを代表する探偵「葉村晶」が主人公を務める2編と、ノンシリーズの3編が収録されています。シリーズものならではの面白さと、ノンシリーズならではの面白さが感じられるミステリ短編集でした。 最初に収録されている「蠅男」と最後に収録されている「道楽者の金庫」が、葉村晶の登場す...

若竹七海さんを代表する探偵「葉村晶」が主人公を務める2編と、ノンシリーズの3編が収録されています。シリーズものならではの面白さと、ノンシリーズならではの面白さが感じられるミステリ短編集でした。 最初に収録されている「蠅男」と最後に収録されている「道楽者の金庫」が、葉村晶の登場する作品。 アラフォー、独身、彼氏なし、かつ不幸体質だという葉村晶。葉村晶シリーズを読むのは初めてでしたが、青春ミステリやライトミステリの探偵たちのような、甘酸っぱさや初々しさ、特異なキャラづけとは無縁。 なんとなく地味で、そしてこの年代ならでは……と書いてしまっていいかどうかあれだけど、気怠さというか、めんどくさそうというか、どこか諦観を交えつつ、依頼者や状況に振り回されていく語り口が、なんとも可笑しかった。 事件自体も入りからして珍しい。「蠅男」は母親の遺骨を運んでほしいという依頼。そして「道楽者の金庫」はこけしに隠されている、金庫を開けるカギの話。奇妙な依頼から、予期せぬ展開にキレイに流れ込んでいく。どちらも巧さが光る作品です。 対してのノンシリーズの3編も負けず劣らず技巧が光る。日本推理作家協会賞を受賞した、死刑囚に届いたファンレターの真意を探っていく短編「暗い越流」 行方不明になった雑誌編集長を探す「幸せの家」 教会に立て籠もった男の独白で綴られる「狂酔」 いずれも思いもよらない展開に引っ張られていって、その巧さに思わず唸ってしまう。そして、最後の最後に思わぬところから、ボディに重たい一撃を喰らわせてくるような、後味の悪さを残していくところが、これもまたたまらない…… イヤミス3編を、シリーズもの2編でサンドイッチされているので、最終的な読後感はややマイルドに収まっているのが、個人的に優しい構成だと思いました。 イヤミスの後味の悪さを楽しみつつ、シリーズものの安定した書きっぷりや、乾いたユーモアも楽しみつつ、そしていずれの短編もミステリの技巧にうならされる。若竹七海さんは初読でしたが、この一冊でそうした二面性と、ミステリ作家としての確かな実力を感じました。 第66回日本推理作家協会賞〈短編部門〉

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2020/10/08

今回も葉村晶がこけしに襲われたり、不幸すぎる…… でも、それが毎回楽しみだったりするのです…… 全編、安定感半端ない面白さだった。 酔狂のラストには久しぶりにびびったですよ。

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2020/06/15

短編集。全部葉村晶ものかと思って読んだら、あれれ?となり、よく見たら三編は葉村ものでなく、それでも不気味なイヤミスでした。葉村もの二作目で、やっとあの古本屋が登場します!

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2020/05/07

表題作の浮かび上がった事件と、そこから繋がってしまった悪意のどん詰まり感にゾワゾワする。 最後の頁の怖さは「幸せの家」「狂酔」も、それぞれ自分の想像力でダメージを受ける。 人の、感情は、蔑ろにしてはいけない。 「蝿男」「道楽者の金庫」は葉村晶シリーズ。 他三編と同じくゾワゾワする...

表題作の浮かび上がった事件と、そこから繋がってしまった悪意のどん詰まり感にゾワゾワする。 最後の頁の怖さは「幸せの家」「狂酔」も、それぞれ自分の想像力でダメージを受ける。 人の、感情は、蔑ろにしてはいけない。 「蝿男」「道楽者の金庫」は葉村晶シリーズ。 他三編と同じくゾワゾワするような怖さもあるけど、葉村の不運エピソードが毎度ながら痛そう・キツそう極まって、事件の惨さが中和されてる(気がする)。『悪いうさぎ』でのトラウマ・トラブルもまだ残ってた。ハードボイルドじゃなくてハードモード。

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2020/05/04

ハムラさんは相変わらず不運。 他のは所謂厭ミス的な感じの話なのだとおもうのだけれど、なんだかさわやかに読める。巧いんだな。

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2021/01/13

葉村晶シリーズ二編+ノンシリーズ三編収録の短編集。正に【短編の名手】の若竹先生らしく、短編ながら濃密なミステリーが展開される。登場人物の大半が年配なので各々の抱える事情が重苦しく、全編独白で綴られる「狂酔」は特に読み応えがあるが、ノンシリーズ全て終盤でイヤミスに転ずるのは些かワン...

葉村晶シリーズ二編+ノンシリーズ三編収録の短編集。正に【短編の名手】の若竹先生らしく、短編ながら濃密なミステリーが展開される。登場人物の大半が年配なので各々の抱える事情が重苦しく、全編独白で綴られる「狂酔」は特に読み応えがあるが、ノンシリーズ全て終盤でイヤミスに転ずるのは些かワンパターンの感が無きにしも非ず。葉村晶は従来通りの安定感だが、ここに来て更に洗練された最新作「不穏な眠り」と比較してしまうと、展開の弱さが少々目に付いてしまう部分も。MBB誕生秘話が明らかになる奔放な雰囲気のあとがきが一服の清涼剤。

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2020/01/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

短編ミステリ五話の構成。 一話目と五話目が葉村晶のお話。これは今まで通りとても面白いし、キレキレのキャラクターも健在してて良かった。 そして、他のお話もなかなかに癖のあるものばかり。良い意味で。 二話目の「暗い越流」の主人公が最後の最後で闇を見せる感じ、終始探偵側目線の葉村晶シリーズを読んだあとだったから余計にぞくっとした。 また「狂酔」では、一人の男が監禁されてる人々に対しひたすら語ってるという形で話が進んでいく。結末がとても悲しく、なんとも言えない気持ちになったが楽しめた。

Posted byブクログ

2019/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

葉村晶がMURDER BEAR BOOKSHOPで働く経緯を知ることができた。葉村晶がケガを負うのはいつものことだが、今回はとりわけ読んだ後、後味の悪い短編が揃っている。

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2019/03/03

全5話からなる若竹さんの短編集。内2話の主人公が葉村晶。これで葉村晶シリーズ読破です。 今回も読んでいて安心出来るというか安定の若竹さん、葉村晶シリーズでした。 葉村晶が登場する最終話の「道楽者の金庫」から静かな炎天に続くんだな~としみじみと思いました。 読み終わってから、50歳...

全5話からなる若竹さんの短編集。内2話の主人公が葉村晶。これで葉村晶シリーズ読破です。 今回も読んでいて安心出来るというか安定の若竹さん、葉村晶シリーズでした。 葉村晶が登場する最終話の「道楽者の金庫」から静かな炎天に続くんだな~としみじみと思いました。 読み終わってから、50歳、60歳になっても葉村晶シリーズが続くと良いなと思う今日この頃でした。。

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2019/02/15

女探偵 葉村晶が2話含まれる短編集 プロトタイプかな? お尻で腐乱死体を踏んづけたり、探偵社が閉鎖して古本屋を事務所にする元ネタが見られます 渋いハードボイルド交じりのミステリ本

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