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永い言い訳 の商品レビュー

4

195件のお客様レビュー

  1. 5つ

    46

  2. 4つ

    89

  3. 3つ

    40

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2022/12/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いい意味で複雑な人間の感情が描かれていて良い。 終盤の斜視の女の人が出てきてからの展開のスピード感とエピローグのスッキリ感がなかなか面白く、居なくなってしまった人と折り合いをつけるってなんだろうと自分も少し考えさせられた作品だった。

Posted byブクログ

2022/11/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 一気読みするほどには面白かったです。 書き出しの主人公・衣笠幸夫の若かりし頃の『永い言い訳』のセリフを引き出すためのエピソードが妥当だったのかは疑問に想いますが。 ただし、彼の人となりはうかがえます。 『・・・・・僕のビーフストロガノフへの思いはますます募った。 そのうち作ってみるわよ、と母は言った。 母はビーフストロガノフを、作らずに死んだ。』 息子と母、夫と妻の切ないエピソードは、涙を誘います。  また、ある男性が語った" 我が家 "の姿には考えさせられました。 『嫁さんの欠落、子供の欠落、そしてもちろん僕の欠落。 我が家なんてタイヤのパンフした乗り合いバスを、みんなして押しているようなものだ。あっちを直せばこっちがパンク、その連続で、バスはちっとも良くならないし、もはやどこかへ行くのが目的だったのか、それともバスを押すこと自体が目的なのか、わからなくなってるけれど、乗客は壊れたバスを自分たちで前に進ませる力の合わせ方だけは確実に掴んで行く。』  人々の矛盾した思いや行動に、共感もしました。 だけど、・・・衣笠幸夫(作家名・津村啓)は、わたしの好みではなかったかなぁ。どの作家とは言わないけれど、男性作家の描く夫は、可愛い女々しさがある。だから、愛しくて応援したくなる。(単なるわたしの偏見ですかね。)  なので、感動も面白味も味わったけれど・・・なんだかモヤモヤしてしまいました。

Posted byブクログ

2022/09/15

良いです。 読み始めて30ページくらいで、もう絶対いい作品だと思って、誰かに教えたくて堪らない気持ちになり、読了後の今も、沢山の人にこの作品のことを教えたい気持ちです。 人の心のどうしようもない弱さや醜さが気持ちいいくらいに巧みに描かれていて、そうそう分かる、と共感し、自分では...

良いです。 読み始めて30ページくらいで、もう絶対いい作品だと思って、誰かに教えたくて堪らない気持ちになり、読了後の今も、沢山の人にこの作品のことを教えたい気持ちです。 人の心のどうしようもない弱さや醜さが気持ちいいくらいに巧みに描かれていて、そうそう分かる、と共感し、自分では日頃イヤだと思っている感情のはずなのに、悪くないかもと思わせられてしまう。 私の好きな作品には、そういった共通点があるように思いました。 いくつか、特に響いた文章を。 「異性のほとんどはこうして、ひとたびどんなに深く交わろうとも、他人に始まり、他人に終わる。(中略)一度はあんなに夢中になって、肌の一部のように感じたひとが、音も立てず、この世のどこかで朽ちて行く。」 「人生が百八十度変わるのに、一日は、十分すぎる長さなのだということを。」 「0+1=1、1-1=0。けれど、1の足される前と後では、同じゼロでもその色合いはずいぶん違う。」 「真実が白日の下に晒されて、満ち足りた気持ちに浸るのは往々にして晒した当人だけである。」 「自分を大事に思ってくれる人を、簡単に手放しちゃいけない。みくびったり、おとしめたりしちゃいけない。そうしないと、ぼくみたいに、愛していいひとが、誰も居ない人生になる。簡単に離れるわけないと思ってても、離れる時は、一瞬だ。」 日々感謝の気持ちを忘れずに丁寧に生きていこうと思いました。 こうしてキレイにまとめている私は、きれい事ばかりに目を向けていたい人間なので、きれい事ばかりじゃないけど醜い感情も悪くないかもと思わせてくれる作品が好きなのです。 2016年6冊目。

Posted byブクログ

2022/08/13

直木賞候補。本屋大賞4位。 こうあって欲しいと思う展開が幾つも違って進んでいくので、話の筋に対してフラストレーションを何回も感じた。たぶん生き続けること(リアリティー)とはそういう瞬間の連続なんだろう。 いろんな人物の視点で物語が進むのは面白いが、各々の知的水準やそれに応じた語彙...

直木賞候補。本屋大賞4位。 こうあって欲しいと思う展開が幾つも違って進んでいくので、話の筋に対してフラストレーションを何回も感じた。たぶん生き続けること(リアリティー)とはそういう瞬間の連続なんだろう。 いろんな人物の視点で物語が進むのは面白いが、各々の知的水準やそれに応じた語彙力の設定が少しフラついている気もした。

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2022/10/19

この作者は本当に多彩だなと痛感させられる作品。 凄惨な事故で突然家族を失った男性という設定に、家族仲が冷え込んでいたらどうか?という要素を付け足すところに脱帽します。 本単体でもとても良い作品だと思いますが、 映画では描かれない登場人物の背景描写、心情の描写も丁寧で、映画と併せて...

この作者は本当に多彩だなと痛感させられる作品。 凄惨な事故で突然家族を失った男性という設定に、家族仲が冷え込んでいたらどうか?という要素を付け足すところに脱帽します。 本単体でもとても良い作品だと思いますが、 映画では描かれない登場人物の背景描写、心情の描写も丁寧で、映画と併せて読むとなお良いと思います。

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2022/05/30

一気に読み切ってしまった。久しぶりに。 解説を読んではっとした。人生いいことばかりじゃないし、嫌なことや葛藤を映し出してこその小説じゃないのか、だなんて陰気臭いことを思っていた一方で、世界は明るいものなのだと思っていたい自分もいて。 そんな二つの相反する気持ちや感情が揺れ動く登場...

一気に読み切ってしまった。久しぶりに。 解説を読んではっとした。人生いいことばかりじゃないし、嫌なことや葛藤を映し出してこその小説じゃないのか、だなんて陰気臭いことを思っていた一方で、世界は明るいものなのだと思っていたい自分もいて。 そんな二つの相反する気持ちや感情が揺れ動く登場人物たち。その二つの選択肢は、人生誰しも視界に入ってくるもので、どちらにハンドルを切っていくかはその時の状況、気分、経験、思い切りによって全てが変わってくる。 解説にもあったが"永い"言い訳。私たちは生きていく中でどうにかこうにか自分を納得させながら生きていく。生きていかなければならない。芯がなくなってしまった人間は、何に縋って生きていけばいいのかわからくなってしまうからだ。そんな永い永い言い訳を心の中で繰り返し、私たちは生きていかなければならないし、その言い訳を重んじられるのは自分自身なのだと、繰り返し述べたい。

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2022/05/19

実は先に映像作品を観てしまった。 映画よりも、いろいろな視点が入っていて、印象が少し変わってきた。 何より夏子の目線。 そして幸夫の言葉や、心の動きがよりくっきりしたな。

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2022/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

愛がなくなった夫婦。 妻が死んでも悲しくない夫。 まあ、そういうもんだよねと思う。 毒を吐く主人公の心情が分かる。 吐いた後に自己嫌悪に陥り、それでも自分は悪人ではないと思う。 自己否定しているように見えて、自己肯定。 変わりたいと思いながらも、これが自分だからと開き直る。 最後に彼が流した涙は、本当に純粋に妻を思っての涙なのか、それさえも疑ってしまうのだが。

Posted byブクログ

2022/02/27

人間の複雑な心の揺れを丁寧にあらわしていて、西川美和さんらしいと思った。 最後に赦しがあるっていうのは、嫌がる人もいるけど、わたしはきらいじゃない

Posted byブクログ

2022/01/24

わたしには難しかった。進まず最後まで読みきれない…またチャレンジします… 永い言い訳だけあって長い…

Posted byブクログ