アウシュヴィッツの図書係 の商品レビュー
14歳から16歳まで、収容所で過ごした実在の人物のノンフィクションを交えたフィクション。 一貫して冷静に少女目線で描かれている。生き延びてくれて心から本当にありがとう!
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実話に基づいていることに驚く。 収容所の中なのに、どこかファンタジーのように 感じてしまうのは、、少女ディタの目線だからか。 絶望の淵で、本によってほんのひととき救われる、その場面に感動。 人間は、ストーリーによって救われてきたのだ。
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アウシュヴィッツで図書係だった少女の話を基にした小説。 当時の過酷な生活は、想像しても仕切れないものだなと改めて思う。理不尽な死がこんなに近いことなんてない。 『ごく当たり前の生活が、滑り台を滑るように地に落ちていった。』 『英雄的行為の大きさを評価し、名誉や勲章を与えるのは簡単だ。けれど、あきらめるという勇気は誰がわかってくれるのだろうか。』 戦争のもつ力の大きさと、それに抗えない無力感を感じることが出来る上の表現と、目に見えないものの繊細さと美しさを再考させてくれる下の文章に心奪われた。
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アウシュヴィッツ...もちろん名前は知っていた。 そこはナチスによってユダヤ人が大量虐殺された強制収容所。 有名なのは「アンネの日記」。 その程度の知識です。 本書は史実をもとに書かれたフィクション作品。 8月は先の大戦に関する書籍を何冊か読むようにしています。 本書で主人公として描かれる少女の名はエディタ・アドレロヴァだがそのモデルとなった実在の少女の名はディタ・クラウス(旧姓ディタ・ポラホヴァー)。 あの戦争を生き抜いた人々は多くの方がその生涯を閉じていかれているのも事実。 二度とあの悲惨な歴史を繰り返さない為に、思い出したくない辛い過去だと思いますが、少しでも後世に伝えていく為に形ある物として残して頂ければと思います。 その史実を見聞きすることが多くの犠牲の上に今を生きる我々の務めであり、二度と悲劇を起こさない責務だど改めて思いました。 説明 内容紹介 絶望にさす希望の光。それはわずか8冊の本――実話に基づく、感動の物語 1944年、アウシュヴィッツ強制収容所内には、国際監視団の視察をごまかすためにつくられた学校が存在した。そこには8冊だけの秘密の“図書館"がある。 図書係に任命されたのは、14歳のチェコ人の少女ディタ。その仕事は、本の所持を禁じられているなか、ナチスに見つからないよう日々隠し持つという危険なものだが、 ディタは嬉しかった。 彼女にとって、本は「バケーションに出かけるもの」だから。ナチスの脅威、飢え、絶望にさらされながらも、ディタは屈しない。 本を愛する少女の生きる強さ、彼女をめぐるユダヤ人の人々の生き様を、モデルとなった実在の人物へのインタビューと取材から描いた、事実に基づく物語。 著者略歴:アントニオ・G・イトゥルベ1967年スペインのサラゴサ生まれ。文化ジャーナリズムに携わって20年になる。日刊紙「エル・ペリオディコ」のテレビガイドのコーディネーター、映画雑誌の編集者などをつとめる。 内容(「BOOK」データベースより) アウシュヴィッツ強制収容所に、囚人たちによってひっそりと作られた“学校”。ここには8冊だけの秘密の“図書館”がある。その図書係に指名されたのは14歳の少女ディタ。本の所持が禁じられているなか、少女は命の危険も顧みず、服の下に本を隠し持つ。収容所という地獄にあって、ディタは屈することなく、生きる意欲、読書する意欲を失わない。その懸命な姿を通じて、本が与えてくれる“生きる力”をもう一度信じたくなる、感涙必至の大作! 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) イトゥルベ,アントニオ・G. 1967年スペインのサラゴサ生まれ。文化ジャーナリズムに携わって20年になる。日刊紙「エル・ペリオディコ」のテレビガイドのコーディネーター、映画雑誌「ファンタスティック・マガジン」の編集者などをつとめる 小原/京子 翻訳家・エッセイスト。山口県出身。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業。在京スペイン大使館で23年間、翻訳官、文化広報担当として、日本におけるスペイン文化の普及・啓蒙に携わる。イサベル女王勲章オフィシャル十字型章を受章。ベネズエラ、コスタリカを経て、現在スペイン・マドリード在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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1929年にプラハで生まれたディタ・クラウスは、両親と共にテレジンゲットーに送られたとき、13歳だった。 1943年12月、彼女の家族と他の多くの人々がアウシュヴィッツビルケナウに送られた。 父、ハンスはそこで亡くなる。 アウシュヴィッツが大量虐殺の現場であったという事実を隠すた...
1929年にプラハで生まれたディタ・クラウスは、両親と共にテレジンゲットーに送られたとき、13歳だった。 1943年12月、彼女の家族と他の多くの人々がアウシュヴィッツビルケナウに送られた。 父、ハンスはそこで亡くなる。 アウシュヴィッツが大量虐殺の現場であったという事実を隠すためにナチスによって設立された家族キャンプのブロック31でシオニストのフレディ・ヒルシュに会う。 ヒルシュは子供たちのブロックを守り、子供たちを啓発し救うために全力を尽くす。 大量殺戮の後、10代のディタと彼女の母親のエリザベスは、アンネ・フランクが亡くなったのと同じ収容所であるベルゲン・ベルゼンに連れて行かれる。 「死に囲まれていると喜ぶのは難しい。ベルゲン・ベルゼンでさらに数千人が亡くなった。その中には私の母もいる。」 1945年4月に英国軍により解放された。 エリザベスは解放後わずか数ヶ月で亡くなった。 「アウシュヴィッツの囚人以外の人は誰もそれを説明できず、実際、それらの恐怖を表現できる言葉は存在しない。」とディタ・クラウスは語る。 ヒルシュと子供たちは殺されてしまうため、学校と図書館を「無用の勇気」の行為と見なす人がいるかもしれない。 しかし、本を隠すためのディタの勇気ある行動は、教師と生徒がどのように人間性を維持しようとしたかを示している。 ディタ・クラウスは、「人々は理解しなければならない。これは人間が他の人間にやったことであり、年月が経つにつれ、人間が私たちに対して行った残虐な行為を理解する人がますます少なくなっている。 それらの残虐な好意を犯したドイツ人の世代はもはや生きていない。」と語る。
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一番の味方は自分。 というモルゲンシュタイン先生の言葉が強く頭に残った。どんな窮地に立たされても、臆することなく前を向いて進み続けるディタは、現代の私たちに足りない何かを教えてくれたような気がする。 命の尊さを改めて実感させられた。それはもちろん、家族、恋人、友達の命でもあり、そ...
一番の味方は自分。 というモルゲンシュタイン先生の言葉が強く頭に残った。どんな窮地に立たされても、臆することなく前を向いて進み続けるディタは、現代の私たちに足りない何かを教えてくれたような気がする。 命の尊さを改めて実感させられた。それはもちろん、家族、恋人、友達の命でもあり、そして自分の命でもある。 死んではいけない。と言う言葉がむしろエゴだと言われかねないこの時代でも、私はみんなに生きていてほしいと願う。どんなに今が辛くても苦しくても、必ず晴れる日が来る。寄り添い、みんなの助けを借りて支え合い、生きていて欲しい。 今、暖かい布団で毎日ご飯を食べ、生きている。ということがとても有り難く、幸せな毎日であることを忘れたく無い。 いつか、必ずアウシュビッツに行き、肌で実感したい。
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夜と霧から入ってアウシュビッツについての本は2冊目です。 劣悪な環境の中、ユーモアと想像力を忘れない女の子が本守り本に守られながら生き抜く話。 あとがきの文章がまたいいです。引用いたします。 『人間が生き残るために必要なのは、文化ではなくパンと水だ。しかし、ただそれだけでは...
夜と霧から入ってアウシュビッツについての本は2冊目です。 劣悪な環境の中、ユーモアと想像力を忘れない女の子が本守り本に守られながら生き抜く話。 あとがきの文章がまたいいです。引用いたします。 『人間が生き残るために必要なのは、文化ではなくパンと水だ。しかし、ただそれだけでは、人間性は失われる。もしも美しいものを見ても感動しないなら、もしも目を閉じて想像力を働かせないなら、もしも疑問や好奇心を持たず、自分がいかに無知であるかに思いが及ばないなら、男にしろ女にしろ、それは人間ではなく、単なる動物にすぎない。』 ちゃんと人間として生きような。
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文学は、真夜中、荒野の真っただ中で擦るマッチと同じだ。マッチ一本ではとうてい明るくならないが、一本のマッチは、周りにどれだけの闇があるのかを私たちに気づかせてくれる。
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「どんぐり文庫」で借りる。 辛すぎる歴史だけど、 人間の崇高さ、人類が本や言葉を紡いできた意味、希望の光、そんなこんなが心の奥に深く静かに染み込んでくる、そんな本。
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史実を基に肉付けしている小説。 後半に進むにつれ、当時の収容所の劣悪な描写がひたすら続き、読んでいて辛かったです。 開放された瞬間の収容者の 「どうしてもっと早く来てくれなかったの?」 という一言が印象的で、涙が出ました。 このあたり、小説としては主人公自身のセリフや感情をもっ...
史実を基に肉付けしている小説。 後半に進むにつれ、当時の収容所の劣悪な描写がひたすら続き、読んでいて辛かったです。 開放された瞬間の収容者の 「どうしてもっと早く来てくれなかったの?」 という一言が印象的で、涙が出ました。 このあたり、小説としては主人公自身のセリフや感情をもっと読みたかったところですが…。 あとがきに登場人物のその後が書かれていて、とても興味深く読めました。
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