日本会議の研究 の商品レビュー
基本的に古本を読み込んで書いた本。大手マスコミが手を付けなかったものによく取り組んだとは思うが、文章もちょっとあれだし、もう少し勉強しないと駄目だ。
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昨年から話題の一冊。日本会議の根っこには、生長の家という国粋主義的な新興宗教が関わっているという指摘は、それなりの説得力を感じた。また、いわゆる「国家神道」の時代に甘い汁を吸ってきた伊勢神宮や天台宗など伝統的な仏教や神道も含むいくつかの宗教団体が結託している様子などは、ある種の恐...
昨年から話題の一冊。日本会議の根っこには、生長の家という国粋主義的な新興宗教が関わっているという指摘は、それなりの説得力を感じた。また、いわゆる「国家神道」の時代に甘い汁を吸ってきた伊勢神宮や天台宗など伝統的な仏教や神道も含むいくつかの宗教団体が結託している様子などは、ある種の恐怖を覚えた。彼らは日本国憲法を骨抜きにすることで、国家神道時代の思想統制を復活させたいようだが、そんなことを許してはならないという思いを強くした。
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★今となっては当然に見える先駆取材★籠池問題もあって右派・日本会議がらみのトピックスは消費されつくしたように見えるが、きちんと調べたのは本書が最初なのだろう。書きぶりはやや拙い(というか盛り上げようとしてやり過ぎ)感じはあっても、地道なデータ取材が素晴らしい。取材できた人の例を長...
★今となっては当然に見える先駆取材★籠池問題もあって右派・日本会議がらみのトピックスは消費されつくしたように見えるが、きちんと調べたのは本書が最初なのだろう。書きぶりはやや拙い(というか盛り上げようとしてやり過ぎ)感じはあっても、地道なデータ取材が素晴らしい。取材できた人の例を長々と記しており、どれだけ普遍性があるのか分からないが、読み物としては数人を広く浅く取り上げるより面白いのかもしれない。 しかし学生運動を経て政治活動をしていた生長の家の面々が、運動・政策・教団の3方面から、地方議会を動かしたり集会を開いたりといった手間と時間のかかる(著者曰く民主的な)活動を今に至るまで続けられた手法を知りたい。中心メンバーは団塊の世代かその上で70歳を超える。理念はあったとしても、人材は2世中心で不足しているというし、カネはどこから来ているのだろう。 地道な活動が安倍晋三という偏った長期政権にたまたま食い込めて勢力を増したのか、逆に彼らがバックについていたからこそ安倍政権が誕生したのか。衛藤晟一と首相の関係の深さなど、正直なところ理屈では分からない。 反左翼という一点で、日本会議のもとに様々な宗教団体がまとまっているのも不思議。成功例が日本会議だけだからなのか。 そして生長の家の谷口雅春は天皇信仰があり、米国から押し付けられたものとして「反憲法」の立場だという。安倍政権の動向をみると後段は分かるとして、天皇制はないがしろにしているようにしか見えない。その整理はどうなっているのだろうか。
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今の日本の政治・市民社会において隠然とした勢力を保っている日本会議。 その内実を、徹底した文献調査、取材などから解き明かそうとするのが本書である。 この手の議論や書籍に対してなんとなく偏見を持ってしまっている人も多いかもしれない。 しかし、本書は(著者の主義主張が現れている部分...
今の日本の政治・市民社会において隠然とした勢力を保っている日本会議。 その内実を、徹底した文献調査、取材などから解き明かそうとするのが本書である。 この手の議論や書籍に対してなんとなく偏見を持ってしまっている人も多いかもしれない。 しかし、本書は(著者の主義主張が現れている部分も当然含まれてはいるが)基本的には客観的事実ベースで組み立てられていて、説得力がある。 日本の政治や市民社会の背景・裏舞台にあるものが分かる、貴重な資料。
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【久保田和男先生】 ベストセラーであり、大宅壮一ノンフィクション大賞の候補作である。「日本会議」とは現政権の支持団体として大きな影響を及ぼしている右派団体とされている。大阪の某幼稚園の校長もこの団体のメンバーであった。この事件が勃発する一年前に出版されたこの本の222頁には、某幼...
【久保田和男先生】 ベストセラーであり、大宅壮一ノンフィクション大賞の候補作である。「日本会議」とは現政権の支持団体として大きな影響を及ぼしている右派団体とされている。大阪の某幼稚園の校長もこの団体のメンバーであった。この事件が勃発する一年前に出版されたこの本の222頁には、某幼稚園がなぜ、「愛国教育」を行っていたのか、「日本会議」の活動の中で紹介している。私がこの本読みながら、著者の執拗な探究心に感心した。ポイントは、右翼団体としての日本会議が、とある巨大宗教団体の分派が、成長してものであること。その分派は、70年安保における、左派学生に対する対抗勢力として出発した人々が中心となっていること。かれらが、左派学生がとったビラ配り、街宣活動、セクト主義などを学んで、右派を束ねる巨大な組織に発展してきたことが理解出来る。本書の特徴は、その時期エリート然としていた左派学生に対する怨念として、この右派団体の活動が継続しているという整理である。これは、やや一面的な見方ではないかという読後感も得たが、人間社会の歴史の中ではありがちなことである。最後に一人の黒幕(ラスボス)をつきとめるという内容構成をとっているが、これは、読者をわくわくさせるものである。
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徹底した取材にもとづいて、安倍首相の権力基盤の源泉となっている日本会議(生長の家原理主義のネットワーク)の実態を炙り出している傑作。テーマが極めて政治的であるため、客観性を担保するための著者の1次文献に対するこだわりは執念といっても良いほどだ。 本書で目からウロコが落ちたのは、...
徹底した取材にもとづいて、安倍首相の権力基盤の源泉となっている日本会議(生長の家原理主義のネットワーク)の実態を炙り出している傑作。テーマが極めて政治的であるため、客観性を担保するための著者の1次文献に対するこだわりは執念といっても良いほどだ。 本書で目からウロコが落ちたのは、「ある意味安倍晋三は『小選挙区制の申し子』といえなくもない」という主張だ。 第一次安倍政権を誕生させる流れを作ったのは、自民党の中で長年尊重されてきた「総幹分離原則」を無視して同じ派閥から安倍晋三を幹事長に抜擢した当時の小泉首相である。それを可能にしたのは、公認権をはじめとする党内の人事権を執行部が独占する小選挙区制特有の仕組みである。小選挙区制は政権交代を可能とする二大政党制を想定して導入されたものだが、同時にそれまでの自民党の各派閥の影響力の低下という副作用をもたらした。「自民党をぶっ壊す」(壊し屋の象徴の一つとしてX-Japan好きも公言した)というキャッチフレーズもあったが、それを十二分に活用して首相の座をつかんだのが小泉氏だ。 小泉首相の時代の政治がもたらした帰結は別として、小泉氏は演説がうまく、カリスマがあった。靖国参拝など総裁選の公約を果たしていることからも、一定の保守派の組織票はあったとは思うが、小泉氏の権力の源泉はその無党派層を中心とする国民的人気であろう。しかし、安倍晋三にはそれもない。それゆえに日本会議や「生長の家原理主義者ネットワーク」をはじめとする「一群の人々」が安倍の周りに群がり、右翼団体の常套手段である「上部工作」が効きやすい状況ができたという著者の主張は説得力がある。 本書によって、「特定の特殊な思想を奉じる決して可視化されない人々が、その正体を明かさず国政の一大事に口出ししようとしている」由々しき事態に一石が投じられた。政治活動には時間とカネがかかるが、日本会議は人口ボリュームのある保守高齢者を押さえ、そしてそれを徹底して効率的に動員し、政治的影響力を最大化している。日本の民主主義の健全性を担保するためには、彼らの主張というよりは「運動手法」への対抗手段を考えないと、日本があらぬ方向に持っていかれる危険性があると思う。
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森友学園問題で垣間見えた日本会議の存在。安倍政権の閣僚の多くが所属する浸透度。その成り立ちから一群の中心人物像、活動実態を独自の膨大な調査で解き明かしていく。改憲の源流であり、非民主的な思想の実現に向け、民主的な活動を長年続けて力を蓄えていく過程は皮肉な現象であり、目立たない部分...
森友学園問題で垣間見えた日本会議の存在。安倍政権の閣僚の多くが所属する浸透度。その成り立ちから一群の中心人物像、活動実態を独自の膨大な調査で解き明かしていく。改憲の源流であり、非民主的な思想の実現に向け、民主的な活動を長年続けて力を蓄えていく過程は皮肉な現象であり、目立たない部分の積み重ねで、後戻りできない全体を構築する手法は危うさを感じる。劣化したマスコミでは捉えきれない対象として、著者は警鐘を鳴らしている。
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今更ながら、話題の本をやっと読んだ。 現閣僚の8割がこの関連団体に所属するとされ影響力が大きいだろうというのに、メディアでは断片しか報道されない。その団体の成り立ちや活動を、刊行物や証言等のエビデンスをとりながら、ファクトを積み上げていくことで論証していく。 現政権の動きの背景...
今更ながら、話題の本をやっと読んだ。 現閣僚の8割がこの関連団体に所属するとされ影響力が大きいだろうというのに、メディアでは断片しか報道されない。その団体の成り立ちや活動を、刊行物や証言等のエビデンスをとりながら、ファクトを積み上げていくことで論証していく。 現政権の動きの背景が少しわかった気になる。 読書メモ 1章 日本会議とは何か 皇室中心、改憲、靖国参拝、愛国教育、自衛隊海外派遣 宗教団体の多様性 2章 歴史 日本を守る会 生長の家 生長の家の学徒→民族派学生運動→日本青年協議会→日本会議の事務局 村上正邦 靖国神社国家護持法案の失敗 靖国問題の端緒は、政治と宗教 3章 憲法 生長の家の路線は改憲でなく反憲 最高裁長官が日本会議の会長へ 4章 草の根 地方発の草の根運動であるかのように擬態する。事務能力の高さ 2015/11/10 日本会議が主導する「美しい日本の憲法を作る国民の会」主催 武道館一万人大会 日本政策研究センター 全日本学生文化会議 5章 一群の人々 伊藤哲夫 日本政策研究センター代表 安倍総理のブレーン 生長の家が政治活動を停止したために日本政策研究センターを設立 百地章 日本大教授 憲法学者 静岡大学卒業 高橋史朗 明星大学教授 日本青年協議会を脱退表明後も幹部状態 第3のライン 生長の家政治運動 6章 淵源 安藤巖 長崎大学正常化運動 長崎大学学生協議会→全国学生協議会→日本青年協議会 鈴木邦男 早稲田大学学生連盟 理想世界100万部運動
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
諸般の事情でまとまった量の活字本が読めないことが数年続いていたが、読まねばならないという気力で一気に読んだ。 内閣の9割が日本会議メンバーという今、この本は必携。
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謎解きのような展開に少しの興奮感を抱きながら読み進めることができた。 舞台が実社会というのも大きな要素。 改めてメデイアで得られる情報は、 木の葉の一枚一枚でしかないことを痛感した。 本書で少し幹の情報に触れることができたように思う。
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