向田理髪店 の商品レビュー
北海道の昔は炭鉱で栄えたが、今は過疎化が進む町の話。町おこしでアスパラ(メロンではない)を作ったり、映画ロケを誘致したり・・・ 特に驚くような事は発生せず、日常が進んでいく。 若者達は町の再生を夢見るが、当然のことながら試みは実を結ばない。 つまらなくは無いが、もっと地方と都会の...
北海道の昔は炭鉱で栄えたが、今は過疎化が進む町の話。町おこしでアスパラ(メロンではない)を作ったり、映画ロケを誘致したり・・・ 特に驚くような事は発生せず、日常が進んでいく。 若者達は町の再生を夢見るが、当然のことながら試みは実を結ばない。 つまらなくは無いが、もっと地方と都会の問題点を炙り出したりして欲しかったかも。
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【収録作品】向田理髪店/祭りのあと/中国からの花嫁/小さなスナック/赤い雪/逃亡者 *主人公の立ち位置がいい。若者たちの姿は、主人公たちの視点からしか語られないので、その内面は推し量るしかなく、主人公の希望と不安は同年代としてよくわかる。閉鎖的ではない小さな町をめざす若者たちの姿は希望だ。『許されようとは思いません』(芦沢央著)とは対照的。
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いかにもありそうな話であり、納得できるが、いまいち盛り上がりに欠ける。最近の奥田英朗作品だなぁと感じる。もう少し何かあれば・・
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夕張がモデルと思われる元炭坑町での連作短編。 先の見えない町に息子が店を継ぐために帰ってくる。跡取り息子達の町おこしは成功するのか・・・? 田舎町あるあるだけど大きな事件も起こり、希望が見えそうで見えなさそうな温かい気持ちになれたけれど、現実のこういう町の将来って本当にどうなる...
夕張がモデルと思われる元炭坑町での連作短編。 先の見えない町に息子が店を継ぐために帰ってくる。跡取り息子達の町おこしは成功するのか・・・? 田舎町あるあるだけど大きな事件も起こり、希望が見えそうで見えなさそうな温かい気持ちになれたけれど、現実のこういう町の将来って本当にどうなるんだろうと考えさせられた作品でした。
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★2016年7月15日読了『向田理髪店』奥田英朗著 評価B この物語で語られる話は、いかにもありそうでちょっと笑ってしまうこの辺りの取り上げ方は、いかにも奥田英朗らしいさらりとしている。 北海道の寂れた田舎町の理容店が舞台。札幌に出て、サラリーマンをやっていた向田康彦53歳は、父親がヘルニアを患って家業が続けられなくなった時を機会に、サラリーマンをやめ、理容学校へ通い家業を継いだ。炭鉱で一時期栄えた苫沢という町も、いまは寂れる一方。 町中の人たちが知り合いの田舎町で起きる小さな出来事をめぐり、様々な人生模様が紡がれる。向田理容店の23歳の一人息子和昌は札幌の大学を出て、サラリーマンをやっていたが、突然実家に戻り、理容店を継ぐと言い出した。 帰郷してきたバツイチの女性が開いたスナックに街中の男どもが集まって、ママに熱を上げたり、町が誘致した映画撮影に有名女優がやってきて、撮影期間中は町の人々がエキストラで使われる。40過ぎの跡取り息子に中国から嫁が来て大騒ぎになったり、田舎に住む独り身の老人が病に倒れると大都会に住む子どもたちは、その看病にいきなり難儀してしまう。などなど現代の田舎町で如何にも起きそうな事件が小さなさざ波を静かな田舎に起こす物語がちょっと悲しく、微笑ましい。
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北海道の寂れた小さな町にある理髪店。 町で起きたことは町の人みんなの知る事となり、逃げ場もなく窮屈な思いをすることもあるが、困った時の助け合いは家族のごとく温かい。 跡継ぎ問題あり嫁さん問題あり、映画の舞台になったりと小さな町にも話題は豊富。 面白かった!
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ここまでではないけど、田舎に住んでいる者としては日常にありうる話の数々。 おそらく、北海道の夕張がモデル? 数年前に訪れた夕張の様子を思い出しました。 来年帰ってくるという我が息子、まさに今、映画のロケ地として力を入れている我が町、年寄りの話や犯罪者の話など、あるあるネタ満載でし...
ここまでではないけど、田舎に住んでいる者としては日常にありうる話の数々。 おそらく、北海道の夕張がモデル? 数年前に訪れた夕張の様子を思い出しました。 来年帰ってくるという我が息子、まさに今、映画のロケ地として力を入れている我が町、年寄りの話や犯罪者の話など、あるあるネタ満載でした。
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+++ 次々起こるから騒ぎ。過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。 北海道の寂れてしまった炭鉱町。 息子の将来のこと。年老いた親のこと──。 通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。 心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。 可笑しくて身に...
+++ 次々起こるから騒ぎ。過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。 北海道の寂れてしまった炭鉱町。 息子の将来のこと。年老いた親のこと──。 通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。 心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。 可笑しくて身にしみて心がほぐれる物語。 +++ 向田理髪店、というタイトルではあるが、理髪店の物語というわけでもない。過疎の町の、決まりきった客しか来ない寂れた理髪店は、散髪の客だけではなく、茶飲み話のために立ち寄る人も多く、自然と情報交換の場じみた雰囲気になっている。通りに人も車も通らず、町自体に人が少ない苫沢町だが、存外あちこちで小さな事件が勃発しているのである。親の介護の問題やら、外に出ていっている子どもたちのことやら、町興しに関する意見の違いやら、さまざまあるものである。そして、そんな日常のことだけでなく、極まれには、映画のロケがやってきたり、東京へ出ていったご近所の息子が犯罪を犯してしまったりもするのである。プライバシーなどなく、新しい風も吹きこまず、変わり映えのしない日々を過ごしているかのような苫沢町だが、なんだかんだ言いながらも、みんなが助け合い思いやり合っている様子にほっとさせられる。若い世代が新しい風を吹き込んでくれる日もそう遠くないと思わされる一冊である。
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『地方消滅』も読んだが、この様な地方は今後も増えていく。それでも地方はまだまだ捨てたもんじゃないぜ、というのが作者の意図だろうね。 でも私はマイナス部分が気になる。もっとみんな地方の活性化を考えないと、この様なホッコリは出来ない都市がいっぱい出現するのでは。
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奥田さんの最新作。短編かと思ったら、連作だった。 財政破綻した北海道の町を舞台に、そこに住む人たちのちょっとした事件を面白、おかしくちょっと、ホロッとさせながら読ませる。奥田さんは相変わらず文体がうまくて一気読み。内容自体はそれほどだけど、いかにもドラマとかになりそうなつくり。
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