象の墓場 の商品レビュー
コダックを舞台にした小説。 企業も個人も変わり続けないと、生き残れないってことだ。 さて今後どうするか。
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起因となる時代背景を古くすることで 現在では、さも当たり前なデジタル化を 一つの物語とした産業小説になっています。 先見を見極めた者が生き残り、乗り遅れた者の運命は…
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20161218 500ページを超える大作。写真がフイルムからデジタルへと変わり、大企業コダックが破綻して行くまでの、社内での詳細なやり取りを再現した長編小説。 実際に作者の楡氏がコダックの社員だったため、リアル過ぎる社内での社員同士の会話がほとんどなうえ、特に面白い事件や...
20161218 500ページを超える大作。写真がフイルムからデジタルへと変わり、大企業コダックが破綻して行くまでの、社内での詳細なやり取りを再現した長編小説。 実際に作者の楡氏がコダックの社員だったため、リアル過ぎる社内での社員同士の会話がほとんどなうえ、特に面白い事件や出来事も無いため、読み進めるのに珍しく時間が掛かった。 エンターテインメント性に欠ける分、面白味は少なかったが、リアルさは十分にあった。 解説では、デジタルの技術革新により、同様に廃れて行くビジネスとして、新聞、雑誌、テレビ、そしてAIの進化により自動運転に取って変わられる運転手が挙げられている。 いわゆる衰退産業のひとつに身を置く自分に取って身に詰まさられる内容だった。会社は大きくなればなるほど変わる事が難しく、如何に柔軟かつ迅速に変化して行く事が出来るかが、企業に一番求められている事なのだと改めて感じた。
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いかに巨大な企業でも時代の波に乗れなければ、すぐに淘汰される。過去にとらわれず、自分を変えることができるか。変化を受け入れられるか。これまでのやり方を捨てられるか。まさに我が社に突きつけられた課題。
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ソアラ(コダック)の物語。 コダックの社員だった楡周平が 物語にするのは、 自分の中に 大きな葛藤があったのだと思う。 自分のやって来たことの意味が 問われるからだ。 それでも、冷静に 客観的に とらえる努力をして 大企業が崩壊していく過程を書いたのは、すばらしいことだと思う。 ...
ソアラ(コダック)の物語。 コダックの社員だった楡周平が 物語にするのは、 自分の中に 大きな葛藤があったのだと思う。 自分のやって来たことの意味が 問われるからだ。 それでも、冷静に 客観的に とらえる努力をして 大企業が崩壊していく過程を書いたのは、すばらしいことだと思う。 コダックは、フィルムメーカーとしては 世界でトップ。 エクセレントカンパニーと言われていた。 フィルム、現像、そしてプリント。 三つの美味しい事業で成り立っている。 利益率は 1ドルの売上で70セントもあるという。 そこにも、デジタル化の嵐が 巻き起こり始めた。 物語は 1992年から始まる。 最上は、デジタルカメラをプロカメラマンに売っていた。 プロから見るとまだ使い物にならないと言われたが、 デジタルで撮った写真なので、電送できた。 確かに、新しい時代は やって来ている。 フィルムからデジタルへ時代の移行期。 ソアラは充分に利益を上げているので、開発力もあり デジタル化は避けられないと言うレポートが、経営者にはとどいていた。 つまり、フィルムと現像がなくなると言う大きな時代の変化が あったが、デジタル画像にしても、どうつかうのか? イメージがわいていない。 一方で、パソコン、ネットが急速に 発展していく。 それが 深く関連しているが、充分に理解できない状態となる。 『成功体験』とアメリカの株主優先の経営方法がソアラを追いつめる。 1995年 ウインドウズ3.0が 登場することで、 おおきな変化が起こる。 最上は 三河の堂島からアドバイスを受けて、 さまざまな商品を開発するが、残念ながら、突破できない。 中間管理職の悲哀が 綴られる。 さらに 登場したのが カメラ付き携帯電話。 それで、カメラのシャッター数は増大する。 カメラが 子供のある家庭と、老年に限られていたのが 若者が 参加してきたが、デジタル画像は ブログなどに使われて、 プリントはしないという ソアラの 三つの事業が消えざるを得なかった。 確かに、巨象が、崩れ落ちていく過程を 時系列に従って、中間管理職の最上の目線で正確に描かれていく。 ウインドウズ3と一太郎から パソコンを使っていたのだから、 確かにこの時代の歩みが、変化を伴っていること。 その変化に対応できない という企業のしがらみ。 そして、優秀な人材が去って行く。 デジタル化は、ますます さまざまな分野へ波及するのだろう。 『身につまされる』会社の崩壊過程である。 これを、変えていくには、トップの意識なんだろうね。 ここのなかにある 最上の いらだち、焦り、喪失感が なんとも言えず、沈没する会社にいてもがんばったことが、 人生にとっても有意義だったと言えるような物語になっていると思う。
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とてもリアルに、世界のエクセレントカンパニー、コダックの終焉を描いています。司馬遼太郎が、先にエバンジェリストが立つとも、時代の変化を後戻りしないものに固定するのは、技術、テクノロジーであると、花神の後書きに書いていました。その変化の中では、資本力、規模、人材、伝統を持つ大企業が...
とてもリアルに、世界のエクセレントカンパニー、コダックの終焉を描いています。司馬遼太郎が、先にエバンジェリストが立つとも、時代の変化を後戻りしないものに固定するのは、技術、テクノロジーであると、花神の後書きに書いていました。その変化の中では、資本力、規模、人材、伝統を持つ大企業が有利とは限らない。寧ろ、余りに確立した収益モデルがある場合には、そのモデルへの執着、慢心が自らの変化を遅らせる可能性もある。 誰がこの巨象の命を奪ったのか?企業競争は日常であり、そこに収益があれば必然。ところが変化の大きい場合、その決定的な刺客は、競争の意識さえなかった。1992(アルベールビルオリンピック)から2004年(放射線部門の売却)まで、デジタル化の浸透、そしてインターネットの決定的な普及のもたらした変化、その意味を振り返る良い機会になりました。
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久しぶりに読書。 知人に作者を勧められて適当に選んで読んだんですが、アタリでした。 こういうことって嬉しい。 ギリギリ、当時写真撮ったりしていた世代なので読み進めながらそうだったなって思い出したり、そんな背景があったのかって初めて知ったり、当時をトレースできたので比較的読みやす...
久しぶりに読書。 知人に作者を勧められて適当に選んで読んだんですが、アタリでした。 こういうことって嬉しい。 ギリギリ、当時写真撮ったりしていた世代なので読み進めながらそうだったなって思い出したり、そんな背景があったのかって初めて知ったり、当時をトレースできたので比較的読みやすかった。 デジタル化社会が人々に便利な生活を与えていることには間違いないけれど、それが幸せなのかは少し考えるようになりました。 便利さを追い求め続けていてもキリがないものね。まだ足りない、もっと便利にできる、って、そういうの幸せなのかな。 でもそれが技術の発達に繋がっているのも事実。 もやもや(まとまってない)。 変化に対応できる組織であることも価値があるけれど、歴史のあるものを守ることができることにも価値があると思う。存在し続けることにも大きな価値があると思う。 やっぱりまとまってないな。 しかしソアラを去った人たちはどうしているんだろう。その後、ソアラに残った人はどうなったんだろう。 それは私が調べればいいか。
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フィクションと言うよりは限り無くノンフィクションに近い作品だった。 コダックについての話だが、100年以上続く大企業であるが故に上手く業務転換出来ないところを非常にリアルに描いていた。 フィルムメーカーのような、ほとんど完璧と言える集金システムを確立してしまったら、それが通用し...
フィクションと言うよりは限り無くノンフィクションに近い作品だった。 コダックについての話だが、100年以上続く大企業であるが故に上手く業務転換出来ないところを非常にリアルに描いていた。 フィルムメーカーのような、ほとんど完璧と言える集金システムを確立してしまったら、それが通用しなくなった時にはどうしようもなくなる。 デジタル化の流れがこれからさらに加速すれば今までのやり方は全く通用しなくなるのは必然の流れだと思うので、どんな状況になったとしても生きていけるように自分の実力をしっかりとつけないといけないと痛感した。 今は時代の流れも早くなっているので一つの会社に身を置き続ける事を当然だと思わず常に自分を磨いて、時代の流れについていけるようにしたい。
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一九九二年、世界最大のフィルム会社ソアラの日本法人に勤務する最上栄介は、デジタル製品の販売戦略担当を命じられる。銀塩フィルム全盛の時代、最上は半信半疑のままデジタル製品の売り込みを模索するが、その奮闘を凌駕する速さで、写真業界にデジタル化の波が押し寄せる。技術の進歩によって駆逐さ...
一九九二年、世界最大のフィルム会社ソアラの日本法人に勤務する最上栄介は、デジタル製品の販売戦略担当を命じられる。銀塩フィルム全盛の時代、最上は半信半疑のままデジタル製品の売り込みを模索するが、その奮闘を凌駕する速さで、写真業界にデジタル化の波が押し寄せる。技術の進歩によって駆逐される産業と超優良企業の転落を、圧倒的臨場感で描き出す。
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201603/さすが楡周平。どのジャンルも読ませるな~。現実企業をベースにして、技術の進歩と産業の凋落が書かれてるので、わかってても沈んだ気持ちでグイグイ読み進んでしまった。随所で吐露される登場人物達の心情には、業種違っても、働いてる人(企業人・技術屋・商人問わず)なら深く頷いて...
201603/さすが楡周平。どのジャンルも読ませるな~。現実企業をベースにして、技術の進歩と産業の凋落が書かれてるので、わかってても沈んだ気持ちでグイグイ読み進んでしまった。随所で吐露される登場人物達の心情には、業種違っても、働いてる人(企業人・技術屋・商人問わず)なら深く頷いてしまうでしょう。
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