1,800円以上の注文で送料無料

象の墓場 の商品レビュー

3.9

22件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/05/14

デジタルの時代でPCに膨大な写真が保存されているが、みんなで見るという行為はほとんどない。 銀塩写真で作ったふるいアルバムを見返すことはあるのにね。 本編を読んだ後に解説の最後に書いてあった事 印象に残ってます

Posted byブクログ

2020/06/07

技術革新に対応できず飲み込まれた企業の話ではあるが、何よりも「変化」の難しさを強く感じた。 技術環境や市場環境の変化を強く感じ、危機感を何度も感じる状況下でありながら、株主/従業員/系列会社/取引先などを思うという大義名分のもとに、楽観視を強化し続けていく(続けざるをえない)大企...

技術革新に対応できず飲み込まれた企業の話ではあるが、何よりも「変化」の難しさを強く感じた。 技術環境や市場環境の変化を強く感じ、危機感を何度も感じる状況下でありながら、株主/従業員/系列会社/取引先などを思うという大義名分のもとに、楽観視を強化し続けていく(続けざるをえない)大企業のありかた。この結末を知っていれば、身動きのとれない大企業は何ができたのか。 変化を捉え、提言をし、イノベーションを起こそうという発言が、単に如何に重いものであるかを強く感じた。

Posted byブクログ

2022/08/09

フィルムからデジタルへ。 コダック倒産の物語をモデルにしたフィクションの小説です。 安定の楡さん。やっぱ楡さんの小説、大好きだわ。 楡さんが小説家になる前にコダックで働いていたとは知らなかった。 どうりで話がリアルな訳だ。 この小説の内容は、どこまで真実だったんだろうかと考えて...

フィルムからデジタルへ。 コダック倒産の物語をモデルにしたフィクションの小説です。 安定の楡さん。やっぱ楡さんの小説、大好きだわ。 楡さんが小説家になる前にコダックで働いていたとは知らなかった。 どうりで話がリアルな訳だ。 この小説の内容は、どこまで真実だったんだろうかと考えてしまう。 フィルム時代には、エクセレントカンパニーだったコダックが 来たるべきデジタルの時代を予測しておきながら、 その時代への適応にことごとく失敗し、 最後は倒産してしまうという実話は、 テクノロジーが様々な業界に侵食している今、 どの業界の人も(もちろん、自分も)他人ごとではない。 明日には、自分が働いている業界が消滅するかもしれない。 そんな危機感と面白さの両面を含んだ世の中に自分たちは生きているんだと、改めて考えさせられた。 それにしても、主人公、未来を見通す力があり過ぎて、 こんな奴おるんかと思ってしまう。 まぁ、小説だからいいんだけど。 倒産したコダックに対して、もがき苦しみながらも生き残った富士フィルム。 似たようなテーマ感で、生き残った富士フィルム側の小説もあります。 (ただし、こちらはダイナミックさに欠けるストーリー展開。。) ※奇跡の改革 https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4569768733#comment

Posted byブクログ

2020/01/26

“実話”に着想を得ている物語で、非常に興味深い内容であると思う。 「歴史」とでも言えば、「遠い昔」というように思ってしまうと思うのだが、そういうモノに限らずに「自身の人生の時間」の中で、後から振り返って「あれば歴史上の大きな動きということになるかもしれない…」という動きは起こって...

“実話”に着想を得ている物語で、非常に興味深い内容であると思う。 「歴史」とでも言えば、「遠い昔」というように思ってしまうと思うのだが、そういうモノに限らずに「自身の人生の時間」の中で、後から振り返って「あれば歴史上の大きな動きということになるかもしれない…」という動きは起こっているモノだ。 本作『象の墓場』は、世界的なフィルムメーカーに勤める最上という会社員が主人公だ。1990年代から2000年代に入るまでの経過が描かれる。 1990年代から2000年代に入る頃というのは、“写真”というモノの在り方、存在感が人々の中でドンドン変わって行き、フィルムの会社のような企業のビジネスが大きく変わらざるを得なかった、或いは「古くからの写真フィルム関係のビジネスが倒壊」とでも言うようなプロセスが進んだ時期である。 作中、「フィルムからデジタルへの橋渡し」というようなことで、最上達は色々なことを試みる…が…「成功」というようなモノから見放され、社会がドンドン変わって行く…作品の冒頭と、作品の末尾とで最上は新聞社の写真部員であるカメラマンと話すのだが、この対話が作中で描かれた1990年代から2000年代に入る頃の「変化」を如実に表すものかもしれない。そしてこの間に最上達の「苦闘の日々」が描かれる。 ハッキリ言えば…作中の世界的大企業のようなフィルムメーカーが辿らざるを得なかった運命、様々な模索が巧く運ばない他方でドンドン進んだ時代の変化というようなモノを、「自身の人生の時間」の中での経験として承知している。それでも本作は眼が離せなかった…と言うのは、「技術と人間と」とでもいうような、非常に大きなスケール、普遍的なことに想いを巡らせざるを得ないからだ。読後に深い余韻が残った。 なかなかにお薦めな感じの一冊だ!

Posted byブクログ

2019/11/14

コダックがデジタル化の趨勢についていけず右往左往する様を書いた小説。読みながら、京都の印刷会社が電子化の波に必至にくいついていこうとあがいた「活字が消えた日」を思い出した。あの本で印象深い「谷間の繁栄」がここでは銀塩写真。

Posted byブクログ

2019/05/12

その後どうなるか 分かってみると なんで もっと 違う方法を 取らなかったのかな 馬鹿だな。と思うのですが その当時の人たちは ミライなんて 分からない。 こうなるだろうと薄々わかっても  変えられない。 わたしも 10年後の 人たちに なんで やらなかったのかと 問われる時が ...

その後どうなるか 分かってみると なんで もっと 違う方法を 取らなかったのかな 馬鹿だな。と思うのですが その当時の人たちは ミライなんて 分からない。 こうなるだろうと薄々わかっても  変えられない。 わたしも 10年後の 人たちに なんで やらなかったのかと 問われる時が 来るのでしょうね。

Posted byブクログ

2019/05/07

題名の意味がよく判らなかったのだけれども、”象”とは、巨大な組織、ということだね。 コダックがモデルになっているそうで。結末を知っているだけに、ドキドキしながら、苦しみながら読みました。 十数年前、富士フィルムがフィルム製造をやめる、というニュースを聞いて、「え、社名に入ってるの...

題名の意味がよく判らなかったのだけれども、”象”とは、巨大な組織、ということだね。 コダックがモデルになっているそうで。結末を知っているだけに、ドキドキしながら、苦しみながら読みました。 十数年前、富士フィルムがフィルム製造をやめる、というニュースを聞いて、「え、社名に入ってるのに⁉」と驚いたけれど、その私が、今や当たり前に写真を画像データとして残し、加工し、送信している。自分の生活の急激な変化を、改めて見せつけられ、そちらにも驚き。

Posted byブクログ

2018/08/09

コダックをモデルにしたメーカーがデジカメかの波に乗れずに凋落する物語。 あまりにも図体がデカすぎる組織で、すでに完成されて収益構造の中で利益を稼いでいたが、デジカメが銀塩カメラに取って代わられることが分かっていても、しがらみにとらわれてうまく転換できず、凋落の一途を辿る話だった。...

コダックをモデルにしたメーカーがデジカメかの波に乗れずに凋落する物語。 あまりにも図体がデカすぎる組織で、すでに完成されて収益構造の中で利益を稼いでいたが、デジカメが銀塩カメラに取って代わられることが分かっていても、しがらみにとらわれてうまく転換できず、凋落の一途を辿る話だった。組織とは何か、新しい潮流に目を向けること、そしてそれを自分のものにすること、あるいはそれを読みきる力が必要であることを感じた。でも、それって難しい。

Posted byブクログ

2018/04/30

コダックの終焉を描いた物語 コダックがデジタルカメラの波にのまれていく様子をサラリーマンを主人公にその視点から時系列で描かれていきます。そのディテールはノンフィクションの様な臨場感。しかし、それが故に、小説としての盛り上がりにはちょっと欠けてしまいます。小説として読むのかケース...

コダックの終焉を描いた物語 コダックがデジタルカメラの波にのまれていく様子をサラリーマンを主人公にその視点から時系列で描かれていきます。そのディテールはノンフィクションの様な臨場感。しかし、それが故に、小説としての盛り上がりにはちょっと欠けてしまいます。小説として読むのかケーススタディとして読むのか…(笑) ストーリとしては、1992年から2004年までの間が語られています。1992年、デジタルカメラが一部プロで使われ始め、95年のWindows95の登場。レンズ付きカメラ、インターネットの広がり、APSカメラ、プリクラ、カメラ付き携帯電話、ブログ登場と言った時代の中で、2000年を過ぎたところから、一気に産業がしぼんでいきます。 デジタルカメラの終焉を予測していたコダック(本書ではソアラ)や主人公が紆余曲折しながら生き残りをかけて、新しいビジネスモデルを構築しようと、その時代の流れに挑みながらも、結局は飲み込まれていく展開となっています。 現状のビジネスを継続したまま、それを否定するビジネスを難しさ、歯がゆさ、苦悩がヒシヒシと伝わってきます。株主に対する対応では、長期の投資がままならないこと。さらに、販売チャネルに対する対応はにっちもさっちもいきません。 一方、巨大企業、巨大産業の中の「おごり」についても言及しています。いつの間にか消費者目線ではなくなっていたこと。長年のビジネスモデルの上に胡坐をかいていたことなど。 イノベーションが既存産業を破壊して、新しい価値を提供していく。まさにそれが起こるさまを破壊される側から語っているところが味噌! 会社名は残るかもしれない。しかし従業員としてそこで仕事の場があるかどうかはわからない。そんなニュアンスのメッセージも読み取れます。 明日は我が身!!怖くなる。 お勧め!!

Posted byブクログ

2018/01/28

 2012年、フィルム業界で世界に君臨していたコダックが破綻した。 この物語は、1992年から2004年まで、映像のデジタル化がじわじわとフィルムを浸食していき、他に追随を許さなかった大企業が崩れていく様子を描いたものだ。  写真は紙で楽しむもの。そんな常識が昔はあったわねと、デ...

 2012年、フィルム業界で世界に君臨していたコダックが破綻した。 この物語は、1992年から2004年まで、映像のデジタル化がじわじわとフィルムを浸食していき、他に追随を許さなかった大企業が崩れていく様子を描いたものだ。  写真は紙で楽しむもの。そんな常識が昔はあったわねと、デジタルの歴史はまだ浅いのに懐かしく思う。100年以上続いた常識が崩れ去るなんて誰が想像しただろうか。  でもコダックでの破綻はデジタルによる変化ではなく、その変化の波をうまく利用することができなかった経営不備のせいだと言われる。だってデジタルをいち早く開発したのはコダックだし、フィルムの時代は終わると自分たちで予言までしていた。デジタル商品の開発に投資するということは、現存の商売の邪魔をすることになるいう矛盾との闘い。デジタル化が進んでも、保存は紙だろうという期待に縋る甘い読み。小説の中で、会社に振り回され、不安の中で働くコダック(小説内ではソアラ)社員の奮闘ぶりが巧みに描かれている。かつてはコダックに籍を置いていた楡氏の実体験に基づく話なのか…。  この小説を読んでいると、苦しいほど身につまされる。テレビ業界、出版業界、広告業界だって他人ごとではない。未来永劫なんてものは存在しない。いかに次の時流に乗っていくきっかけをつかむか。多くの社員を路頭に迷わせることなく新しいビジネスに移行できるか。独占市場にあぐらをかく大企業(象)たちの明暗をわけるところだ。実際に、フィルムが廃れた現在でも富士フィルムは元気に生き残っている。  富士フィルムは果敢に新しい商機を探り、磁気テープ、光学デバイス、ビデオテープなどフィルムの隣接分野で商品を開発。さらにゼロックスとの合弁事業を通じて、コピー機やオフィスオートメーションなどの事業に進出した。今日、同社の年間売上高は200億ドルを超え、ヘルスケアやエレクトロニクスにも参入し、ドキュメントソリューション事業でも大きな収益を上げている。(他サイトからの抜粋)  ↑上記サイトではこうも言っている。  大いなる皮肉は、既存企業こそ破壊によるチャンスを最も掴みやすい立場にあることだ。結局のところ、そうした企業は新規参入者が必死に追い求めているものを多数持ち合わせている。市場へのアクセス、技術力、健全なバランスシートなどである。もちろん、それらの組織能力は制約にもなりえる。そしてほとんど常に、新しい市場において新しいやり方で競争するには不十分だ。新たな成長を追求するには、相応の謙虚さが必要となる。    

Posted byブクログ