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プラハの墓地 の商品レビュー

3.6

28件のお客様レビュー

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2024/01/07

虚実入り混じった現代の情報過多社会そのもの。映画「幻滅」同様に、フェイクニュースに煽られる人々の様を描いています。人はなぜ破滅をもたらすと分かりきった嘘を信じてしまうのでしょう。世界はシモニーニに溢れています。

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2023/04/05

長らく積読していたが、ようやく読み終えた。疲れた。 エーコは、「フーコーの振子」でも陰謀論や狂信者を扱っていたし、「パウドリーノ」では天才的嘘つきを描いていたのだが、ここでは陰謀論の大博覧会の影の主人公を作り上げる。欧州近現代史の大事件の数々が一人の陰気な捏造家によってお膳立てさ...

長らく積読していたが、ようやく読み終えた。疲れた。 エーコは、「フーコーの振子」でも陰謀論や狂信者を扱っていたし、「パウドリーノ」では天才的嘘つきを描いていたのだが、ここでは陰謀論の大博覧会の影の主人公を作り上げる。欧州近現代史の大事件の数々が一人の陰気な捏造家によってお膳立てされていたという具合。 「パウドリーノ」も、フリードリヒバルバロッサは死ぬわ、コンスタンチノープルは陥落するわ、司祭ヨハネの国を目指して大旅行するわ、アサシンは出るわ、何でもありなんだが、読んで楽しく笑える話だった。 こっちは、ずっとどんよりした冬の空の下にいる感じで、気分が晴れるところがない。登場する陰謀論が、いまだに信者を集めているのも、気持ちが晴れない原因。大作だし、緻密な構成だし、凄いことは認める。

Posted byブクログ

2021/12/27

冒頭であまりにもユダヤ人やフランス人についての反感が述べられていたり、フリーメーソンについての話が出てきたので、いったんお手上げになり、解説を読んだ。 解説によれば、舞台は十九世紀のパリ。偽書として名高い「シオン賢者の議定書(プロトコル)」の成立が物語の中心にあるとのこと。 贋...

冒頭であまりにもユダヤ人やフランス人についての反感が述べられていたり、フリーメーソンについての話が出てきたので、いったんお手上げになり、解説を読んだ。 解説によれば、舞台は十九世紀のパリ。偽書として名高い「シオン賢者の議定書(プロトコル)」の成立が物語の中心にあるとのこと。 贋造と判断するための基準、複製とオリジナルの関係性についての長年の作者自身による考察が反映されているといえるようだ。 主人公は十九世紀にすでに老境にある反ユダヤ主義者で、その人物の内面から当時のパリを透かし見るような趣の作品世界である、ということをまず押さえてから、もう一度読書に挑戦ということにしたいと思う。 うーん、難しい。

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2021/02/03

内容としては、文書偽造技術を持つ主人公シモーネ・シモニーニの日記によるさまざまな事件の回想を語り手と読み進めていくもの。1830年~1898年の記録なので、2つの世界大戦前、革命を経てナショナリズムが広まった時代です。イタリア統一、ルイ・ナポレオン、ドレフュス事件、さらにシオン賢...

内容としては、文書偽造技術を持つ主人公シモーネ・シモニーニの日記によるさまざまな事件の回想を語り手と読み進めていくもの。1830年~1898年の記録なので、2つの世界大戦前、革命を経てナショナリズムが広まった時代です。イタリア統一、ルイ・ナポレオン、ドレフュス事件、さらにシオン賢者の議定書等世界史に詳しくない私でも知っている事件の裏に一人の人間が関わっていたというエンタメ性もあり一気に読み進めてしまいました。この本からエーコにハマっています。 個人的には語りの技術が抜群に好きです。どんどん語り手とともに深淵にのめり込んでいく感覚で読み進めました。フィクションと歴史との混ざり具合もまた真実味を増しています。

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2019/12/06

「薔薇の名前」以来のウンベルト・エーコ作品。 プロローグ迄だが、幸先の良い滑り出し。確か「薔薇の名前」もそうだったかと記憶している(但し後々ややこしくなって自分の理解力を超えてしまった部分が多々あった)。 エーコ作品は、細かい部分をキチンと理解してナンボの世界と思っているので...

「薔薇の名前」以来のウンベルト・エーコ作品。 プロローグ迄だが、幸先の良い滑り出し。確か「薔薇の名前」もそうだったかと記憶している(但し後々ややこしくなって自分の理解力を超えてしまった部分が多々あった)。 エーコ作品は、細かい部分をキチンと理解してナンボの世界と思っているので、焦らずにじっくりと読み込んでゆくつもり。(ここまでは読み始めの感想)。 (ここから読後)案の定「薔薇の名前」と同じ事に… 途中から何が何だか分からなくなってしまい(そうでなくても主人公には二重人格性があるのに)、最後の150ページ位はザーッと飛ばし読みとなった… エーコの問題なのか、訳の問題なのか分からないが、何故にこんなにも読みにくいんだろうか?それとも結局の所自分の日本語力の欠如のせいなのか…

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2019/02/03

1週間位かけて読みました。当初は全然内容が頭に入ってこないし、時間をかけても全くページが進まないことに驚愕。勉強してから再度読み直したところ、ぐいぐい入ってきました。後ろに年表があるのですが、1897年からのイタリアを主軸としたヨーロッパの歴史を読みやすく小説の形にした模様です。...

1週間位かけて読みました。当初は全然内容が頭に入ってこないし、時間をかけても全くページが進まないことに驚愕。勉強してから再度読み直したところ、ぐいぐい入ってきました。後ろに年表があるのですが、1897年からのイタリアを主軸としたヨーロッパの歴史を読みやすく小説の形にした模様です。主人公以外全て実在の人間っていうのもすごい。よく調べて肉付けできたな。挿し絵も沢山載っていて私物だそうです。内容はユダヤ人陰謀説です。そもそも今のユダヤ人って、昔のユダヤ人と人種違うんですよね?昔はもっとアジア人ぽかったらしい。

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2019/01/12

ウンベルト・エーコの本を読んでみたい。 と思ったけれど、分厚い本のうえ 概要が「憎しみと差別のメカニズム」・・・で ちょっとビビる。 そしたら この本のTwitterにリツイートが たくさんきてびっくり。 面白いことはわかっている!? ので、これはもう 読むしかないね! 下調べ...

ウンベルト・エーコの本を読んでみたい。 と思ったけれど、分厚い本のうえ 概要が「憎しみと差別のメカニズム」・・・で ちょっとビビる。 そしたら この本のTwitterにリツイートが たくさんきてびっくり。 面白いことはわかっている!? ので、これはもう 読むしかないね! 下調べをしたほうがよさそう ・ シオン賢者の議定書 - URLはこちら https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%B3%E8%B3%A2%E8%80%85%E3%81%AE%E8%AD%B0%E5%AE%9A%E6%9B%B8 『Wikipedia 』 :  ・ URLはこちら http://www5e.biglobe.ne.jp/~occultyo/seiji/protokor.htm 『「シオン賢者の議定書」とオカルティスト 』 :  ・ URLはこちら https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E7%A7%98%E5%AD%A6 『神秘学 - Wikipedia 』 :  ・ URLはこちら http://世界の不思議.net/71.html 『オカルティストとオカルティズム? | 世界の終わり 』 :  結局、暗い印象のこの本を読む気にはならなかった。映画になれば見たいけど。 2016/11/01  予約 11/9 借りる。11/23 読み始める。12/3 読まずに返却。 プラハの墓地 (海外文学セレクション) 内容と著者は 内容 : 陰謀渦巻く19世紀ヨーロッパ。 文書偽造の腕を買われた青年は、各国の秘密情報部と接点を持ち、 やがて史上最悪の偽書と言われる「シオン賢者の議定書」に行き着く…。 議定書成立の秘密と、憎しみと差別のメカニズムを描く。 著者 : ウンベルト・エーコ 1932年北イタリア生まれ。トリノ大学卒業。 記号論学者、評論家、哲学者、文学者、作家。ボローニャ大学名誉教授。 著書に「薔薇の名前」「フーコーの振り子」など。  

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2018/02/17

悪党達がうごめくこの奇妙な歴史小説。すべての始まりがプラハのユダヤ人墓地にあり、行き着く先もまたそこにある。読み応えありすぎた。

Posted byブクログ

2017/05/22

自分の世代のような筋金入りのオカルトおたくであれば、この世界への入り口が澁澤龍彦の秘密結社の手帖であったという者は多かろう。幸か不幸か澁澤のネタ本はフランス語であったので、英語文献を換骨奪胎した荒俣宏のようにすぐさまソースを見抜かれることもなく、ある程度権威を保つことができた。私...

自分の世代のような筋金入りのオカルトおたくであれば、この世界への入り口が澁澤龍彦の秘密結社の手帖であったという者は多かろう。幸か不幸か澁澤のネタ本はフランス語であったので、英語文献を換骨奪胎した荒俣宏のようにすぐさまソースを見抜かれることもなく、ある程度権威を保つことができた。私も詳細に調べたことはないが、多分ネタ本はLe Matin des magiciens(1960)あたりなのではないか。この本は邦訳されなかったので(出たのか?)澁澤はたぶん死ぬまで剽窃の度合いを喋々されずに済んだのである。 今澁澤の本が手元にないのであくまで記憶に頼っていうのであるが、この中にペラダンの項目があってそこにスタニスラス・ド・ガイタとブーラン神父との間に交わされた呪詛の応酬のことが書いてあったはずだ。この経緯をさらに深く追求した論及を寡聞にして知らないが(本邦ではオカルト情報はあくまで英米圏のソースを介して流入してくるのでこれは致し方ない)事の真相を知りたいのなら本書を繙けば十分である。欧州の世紀末オカルト業界がいかに陰謀論「産業」に組み込まれていたかが好く分かる。そもそも『シオンの長老の議定書』の偽作者を主人公に据えることでヨーロッパ近代史を陰謀論から読み直すというのが、エーコのこの著作の趣旨なのであるから。 『薔薇の名前』の邦訳でちょっとしたブームを引き起こしたエーコであるが、晩年の大著とも言える本書の出版(2016)が話題になった気配は見られない。ネット上のレビューを探しても数える程しか見つからないし、衒学趣味を非難する声もちらほら見られる。しかし按ずるにエーコの作品はどれもこれも読者のそれなりの教養を前提に書かれたものしかなく、ショーン・コネリーが主演した映画から関心を持って原作に向かっても手を焼いて中途で放り出した読者も多かったろう。あの作品は中世カトリック教会の叙任権論争のことを詳しく知っていないと背景がとても理解できるものではなかった。それと同じで『プラハの墓場』も通読するにはヨーロッパ近代史における反メーソン、反ユダヤの陰謀論の位置づけに関して一定の知識がないと難しかろう。エーコの本が例外なくそうであるように、その読者は西洋の知識人が想定されており、そこからアメリカ人やましてや日本人は初手から除外されているのである。 そう考えると『プラハの墓場』が謎解きの小説としては大して面白くないのも仕方ない。それ以外の部分で面白がるしかないのだ。例えば日本の左翼インテリが理想の日々として憧憬するパリ・コミューンが残虐な愚行の累積として描かれてるところなど思わずニヤニヤしてしまうが、作者の意図が浅はかなナショナリストの冷笑を誘うところにあることは忘れてはならない。その他、個人的には、パリのケイスネス伯爵夫人のサロンにブラヴァツキーが顔を出していた頃に接触があったロシア人間諜ユリアナ・グリンカが端役として登場するのが興味深かった。しかし何と言っても面白いのは前半の随所に散りばめられた料理に関するウンチクで、ピエモンテ風のボツリート・ミスト(茹で肉の盛り合わせ)に関する描写など垂涎することなく引用できない。 それには少なくとも牛の赤身肉半キロ、テール肉、ランプ肉、小さなサラミ、仔牛のタンと頭、コテキーノ・ソーセージ、雌鶏、玉葱一個、人参二本、セロリ二本、パセリ少々が必要だった。それぞれの肉を種類に応じた時間でゆでておく。しかしそれだけではなく(中略)食卓に出す大皿にゆで肉を盛り付けたところに、肉に粗塩を少々振り、煮たったスープを杓子で数杯分注ぎかけて、味を引き立たせる必要があった。付け合わせはほとんどなくジャガイモくらいだが、決め手はソースだ。モスタルダ・ドゥーヴァ(ブドウのジャム)、ホースラディッシュのソース、モスタルダ・アッラ・セナーバ・ディ・フルッタ(辛子入りフルーツソース)、そしてなんと言ってもバニュエット・ヴェルデだ(中略)。その材料はパセリ少々、アンチョビ四切れ、パンの柔らかい部分、スプーン一杯のケーパー、ニンニク一かけ、ゆで卵の黄身ひとつ分で、そのすべてを細かく刻んで、オリーブオイルと酢を加える。 どういう理由からかグルメ蘊蓄は後半になるとほとんど姿を消すが、前半は食い意地の張った読者には嘆息を誘う料理描写が目白押しである。ウミガメの捌き方などたいへん参考になる情報も記されている。ヨーロッパ近代史や陰謀論に関心はなくとも、その部分だけ抽出すれば食べ歩きの役に立つこと請け合いである。

Posted byブクログ

2017/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「シオンの議定書」成立を描く歴史小説。 19世紀後半のヨーロッパの歴史が良くわかっていないので、何が史実で、何がフィクションかがわかりませんでしたが、宗教派閥闘争、ユダヤ人排斥、国間紛争などが絡んでややこしいながらも面白かったです。 視点が、偽書作成の天才のシモニーニ、その二重人格と思われるピッコラ修道士、著者と思われる「書き手」の3人で、日記形式で歴史の裏側を語っていくのが、みんな同一人物だと裏を読みつつ、実は「書き手」は著者視点でした。 それにしても、上記の語り手以外は、全て実在の人物というのが信じられないほど、癖のある人物たちばかりで社会権力の怖さを感じました。 分厚い本で、読み難いながらも引き付けられるものがあり、読み終わった後の達成感と現代社会にも通じる裏事情の複雑さが心に残りました。

Posted byブクログ