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プラハの墓地 の商品レビュー

3.6

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2016/12/27

ウンベルト・エーコの遺作となってしまった小説だけに、今年ラストの55冊目として読ませてもらった。感想は、、、最高!『フーコーの振り子』と、『前日島』と、『バウドリーノ』を足して、3で割って、10掛けたように刺激的な時間だった!まさにエーコの集大成。こんな小説を読めるなんて、おれは...

ウンベルト・エーコの遺作となってしまった小説だけに、今年ラストの55冊目として読ませてもらった。感想は、、、最高!『フーコーの振り子』と、『前日島』と、『バウドリーノ』を足して、3で割って、10掛けたように刺激的な時間だった!まさにエーコの集大成。こんな小説を読めるなんて、おれは幸せ者だ。来年はエーコの評論も読んでみよう。あぁ、いい一年だった。皆さん、良いお年を。

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2016/12/22

ダッラ・ピッコラの死から読み進めない、あきらか女性の文に成って、だか主人公も3人代わっているのか、なりすまし偽のプロトコル。スケープゴートにされた、ユダヤ人、今ならイスラムの人か?国家なんて要らない。

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2016/10/31

[偽の蝕み]「偽書」でありながら、反ユダヤ主義の言説に決定的な影響を与え、ヒトラーも引用をした『シオン賢者の議定書』。この文章を執筆した人物のみを架空の設定とし、『議定書』がいかに著されていったかに迫った歴史小説です。著者は、イタリアの小説家であり記号学者でもあるウンベルト・エー...

[偽の蝕み]「偽書」でありながら、反ユダヤ主義の言説に決定的な影響を与え、ヒトラーも引用をした『シオン賢者の議定書』。この文章を執筆した人物のみを架空の設定とし、『議定書』がいかに著されていったかに迫った歴史小説です。著者は、イタリアの小説家であり記号学者でもあるウンベルト・エーコ。訳者は、京都外国語大学で教授を務める橋本勝雄。 これは小説なのかそれとも小説という形式だけを借りた思想史叙述なのか......。凄まじいディティールと時代描写で、近代ヨーロッパの暗い側面の歩みが透けて見える異色作だと思います。テーマ的にも、分量的にもかなり重い読書にはなりますが、陰謀や偽説というものがいかに創り上げられ、拡散し、そして最終的には社会を蝕むものかということが痛感できる作品でした。 〜ところが、誰かを生涯にわたって憎むことはできるのです。その誰かがいつもそこにいて、我々の心を燃えたたせてくれるかぎりは。憎しみは心を熱くしてくれるのです。〜 この著者の他の作品も読んでみよう☆5つ

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2016/10/18

19世紀初頭から末にかけて偽造文書作りをなりわいとした者を通じて描かれる、憎悪と歴史。 記憶を取り戻すため、日記を書くことにしたという体裁でスタートするが、どうも様子がおかしい。ときおり倒れるようにして眠ると、別の人間が自分の日記の続きを書いている。「語り手」はその2人の記述を...

19世紀初頭から末にかけて偽造文書作りをなりわいとした者を通じて描かれる、憎悪と歴史。 記憶を取り戻すため、日記を書くことにしたという体裁でスタートするが、どうも様子がおかしい。ときおり倒れるようにして眠ると、別の人間が自分の日記の続きを書いている。「語り手」はその2人の記述を補うように「物語」を書き足す。 エーコらしい、メタフィクションだといってしまえばそれで終りなのだが、エーコらしく、隅々に歴史や美術、当時の風俗に関する描写がちりばめられていて楽しめる。 語り手によるフィクションでありながら、実在する登場人物たちを華麗に操作しながら語られる、ある種の歴史であり、その意味で、虚構と事実と”語られたもの”との交錯がテーマ、ともいえるかもしれない。19世紀においては、それらはほとんど区別できなかったようだし(意図的に区別せず利用した場合もあったようだし)、その点は、実は現代でも同じだ(トランプ氏をみよ)。 社会が動くとき、そこには”作り出された”現実とともに、リアルな憎悪といった感情が必ず伴い、だからこそ、私たちは理性と言うものを発明せざるを得なかった。何もかもを放り出して理性を忘れた動物となるとき、人は想像もできないほど感動的に、残酷になれる。だからこそ、私たちは理性的な語りをし続けなくてはならないのだ。

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2017/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

かなり時間と労力を費やしたが何とか読破。 ヨーロッパ近代史についてほぼ無知だったので、耳にしたことのある人名や事柄を調べたりしながら読み進めていった。 ミステリーやスパイ小説の要素もあり、差別・宗教・政治・陰謀etc…。密度と知識の深さがすごい! 教科書では味わえない歴史のうねりが感じられる作品。 「主人公のシモニーニ以外は実在の人物」という事実が、 ある意味一番恐ろしい。 もう少し読書力をアップさせてから再挑戦してみたい。

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2016/10/10

自分にとって初ウンベルト・エーコの作品。英語版は挫折したので日本語版で読了。 ミステリー仕立ての展開で作品自体に面白さはあるのだが、やはり歴史的・社会的背景を知っていた方が楽しめる。その点、自分が完全に楽しめたかというと自信はない。

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2016/10/04

私には難しすぎて正直苦行だったけど(主要なヨーロッパ史が頭に入ってないとあかんなと),読んでよかったと思う。

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2016/07/12

エーコでなければその差別表現に物言いがついたかもしれないとも思う、偽書成立のメタストーリー。密度の高さ、知の海の深さに置いてけぼりにされながら、何とかすじだけでも、と追いすがる読書。

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2016/07/09

先頃亡くなったウンベルト・エーコの遺作である。 テーマは、ナチスのホロコーストの根拠とされたという、世紀の偽書「シオン賢者の議定書」。 稀代の碩学は、この議定書や他の歴史的な事件の背後に、一人の偽文書作成者、シモーネ・シモニーニを配する。彼が狂言回しとなり、数々の「陰謀」が如何に...

先頃亡くなったウンベルト・エーコの遺作である。 テーマは、ナチスのホロコーストの根拠とされたという、世紀の偽書「シオン賢者の議定書」。 稀代の碩学は、この議定書や他の歴史的な事件の背後に、一人の偽文書作成者、シモーネ・シモニーニを配する。彼が狂言回しとなり、数々の「陰謀」が如何に計画され、実行されてきたか、その裏側を明かしていく。 語り手はシモニーニだけでなく、ダッラ・ピッコラと称する神父がおり、さらに神の視点のような「解説者」が加わる。シモニーニは記憶に問題を抱える。自らが誰で何をしてきたのか確かめるため、回想録を記し始める。彼が書き物をしていないとき、ピッコラ神父が彼のノートに書き込む。だが神父自身も自分が何者なのか、よく覚えてはいない。そんな状態の2人の書き物の合間に、「解説者」がときどき現れて解説する。三者の傍白はそれぞれ違う字体で記される。 語り手が複数で、そして時に記憶が曖昧であるという構成は、物語に不安感と曖昧さをもたらす。陰謀とはそもそも、白日の下に晒されたりはしないものだ。テーマと相まって靄の中を行くように、読者も歴史の裏舞台を手探りで進んでいくことになる。 若き日のシモニーニは、身寄りを亡くし、悪徳公証人の元で働くことになる。ここで偽書作成能力を身につけたシモニーニは、その腕を活かして歴史的事件に荷担していく。 炭焼き党、イエズス会、フリーメーソン、ロシア情報部、黒ミサ教団。さまざまな団体と関わりを持ちつつ、あちらこちらで人を裏切りながら、報酬を得て、美食を楽しむシモニーニ。 イタリア統一、パリ・コミューン、ドレフュス事件。シモニーニは歴史を渡る。そしてクライマックスとなる「シオン賢者の議定書」偽造。 シモニーニは、幼少時、ユダヤ人を嫌う祖父から、ユダヤ人が如何に忌避すべき人種であるかをたたき込まれていた。彼の文才は、ユダヤ人に関する俗説から、人々がいかにも本当らしいと思えるようなユダヤ人像を造り出す。プラハの墓地に葬られたユダヤ人賢者が甦り、世界征服の議定を行うという形で文書はできあがる。 シモニーニの回想録が進むにつれ、彼がなぜ記憶を失ったか、そしてピッコラ神父が何者かが朧気にわかっていく。このあたりの謎解きはミステリの味わいも感じさせる。 だが、物語を覆う霧は完全には晴れない。物語の終盤で、足を洗って隠居生活に入るかに思われたシモニーニは、1つの任務を命じられる。彼はふらふらと成すべきことを成しに向かう。その先は明るいようには見えない。 シモーネ・シモニーニなる人物は、もちろん、エーコが生み出した架空の人物である。 だが、その他の主要人物はほぼ実在の人物だというから恐れ入る(シモニーニの祖父さえそうだというのだ!)。エーコは複雑な歴史の糸を巧みにほどき、どの時点でどの場所にシモニーニがいることが適当だったかを割り出している。 秘密結社の内情、美食家を唸らせるメニューの数々、パリの下町の様子、恐るべき黒ミサの乱痴気騒ぎ等、細部の描写もさすがは博覧強記の人といったところか。 しかし、全体として印象に残るのは、世論の熱狂の根拠のなさ、だろうか。 世には多くの陰謀が確かにあるのかもしれない。だが、どれが成功し、どれが成功しないかは紙一重だ。あるときはしがない偽文書作りが成功を収めるかもしれないが、一歩間違って彼が命を落としていれば、サイコロのまったく別の目が出たかもしれない。成功したものが正しいとは限らないし、成功しなかったものがまったくの悪だったかと言えばそれはわからない。 いったいに、歴史のうねりがどちらに向くかは実は些細なことが決めているのかもしれない。 私たちが今「正しい」と信じている通説は本当か? 100年経ったら、そんなばかげたことを信じていたのかと後世の人々が呆れるようなことなのかもしれない。 あるいは、誰かが信じさせようとしていることを、ころりと騙されて信じてしまうことがあるのかもしれない。そんなことが起きえないと誰が言えようか。 霞の中で、ラビリンスを行く心許なさを残して、物語は閉じる。 私たちはシモニーニとどれほど違うのだろうか。 *「薔薇の名前」は何とか読み通したけど、「フーコーの振り子」は挫折したっけなぁ・・・(==)、とつい遠い目をしてしまいました。エーコ先生、長いっす・・・。でも、完全に読み解けたとは思えないですが、なかなかスリリングな読書体験でした。合掌。

Posted byブクログ

2016/07/07
  • ネタバレ

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最後の一行 「ガヴィアーリが最後の注意をしてくる。『ここに気をつけろ、そこに注意するんだぞ』 まったくなんてことだ、私はまだ老いぼれじゃない。」

Posted byブクログ