デューン 砂の惑星 新訳版(下) の商品レビュー
フランク・ハーバートによるSF大河、第3巻(最終巻)。 預言者"ムアッディブ"として全フレメンの中心的地位を確立したポールは、ハルコンネン男爵家、そして皇帝家へ決戦を挑むための最後の地固めを行う。それは、フレメンの一員として認めてもらうための通過儀礼として、...
フランク・ハーバートによるSF大河、第3巻(最終巻)。 預言者"ムアッディブ"として全フレメンの中心的地位を確立したポールは、ハルコンネン男爵家、そして皇帝家へ決戦を挑むための最後の地固めを行う。それは、フレメンの一員として認めてもらうための通過儀礼として、"産砂(サンドワーム)"を操る技を身に着けること、そして、「決闘による一方の"死"によって部族のトップを一人と決める」というフレメンの因習を打破して、フレメン軍の強さを確固たるものにすることであった。"決戦"がいよいよ幕を上げる――――。 ・・・なんともモヤモヤが残るラスト。テキストとしての締めは尻切れ蜻蛉感が強く、作中通して命題となっていた「いかに"聖戦"が繰り広げられる未来を阻止できるか」に対する解も、「え、それだけ?」と唖然としてしまうもの。続編のあるシリーズ作品なので仕方のないことなのかもしれないが、本作は本作で綺麗に締めて欲しかったように思う。 評価に違わない壮大なSF大河で、存分に楽しむことはできたのだが、なんとも読後感がイマイチな結果となってしまって残念至極。
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さて。 物語については上巻の方に大体書いたが。 下巻には附録と称して(日本語訳版)、3つの短い文章が載っており、それぞれが作品の世界の重要なファクターの研究という形をとっている。 一つは、デューンの生態学について。また一つは、デューンの宗教について。最後はベネ・ゲセリットについて。 最初の一つには、スピンオフと読んでも良いようなストーリーがある。 いずれも物語には直接描かれてはいない背景の記述で、どんな経緯があってこの物語に至ったのか、を語っている。 加えて巻末には用語集があり、フランク・ハーバードがこの世界をいかに緻密に構築しているかが伺い知れる。 いずれもこの世界をより知りたい読者にとっては興味深い情報だ。
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これは勧善懲悪の話と素直に受け止めてよいのか… アトレイデス家の人達は新たな征服戦争を始めようとしている…
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『風の谷のナウシカ』や『スターウォーズ』の元ネタともなった名作古典SF。 社会制度、宗教、生態など、世界観の構築が奥深い。 新訳版は昔に読んだ旧訳版とは全然印象が違う。前は重厚な大河SFという感じだったけど、新訳版は痛快娯楽SFとして読める。
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何度も第一巻の途中で挫折していたけど、やっと読み終えた。それもこれもヴィルヌーヴのDUNEのおかげです。イルーランによる聖典の抜粋が各章の冒頭にある形で、ある意味結果が分かっている(ポールは死なない、または死んでいたとしても崇められている)最後まで読むと、イルーランが不憫な気持ち...
何度も第一巻の途中で挫折していたけど、やっと読み終えた。それもこれもヴィルヌーヴのDUNEのおかげです。イルーランによる聖典の抜粋が各章の冒頭にある形で、ある意味結果が分かっている(ポールは死なない、または死んでいたとしても崇められている)最後まで読むと、イルーランが不憫な気持ちにはなる。ここに拠り所を見出したのだなあ…。ポールの全部持ちのヒーローというところや、ギルドのあり方とかなんかもう全ての宇宙SFの大元だった。ただやっぱり何だか読みづらい…。褥「しとね)とかルビ振っておいて…。
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年末年始になると、番組表ぶち抜きの「大河ドラマ」が目に付きますよね(最近減ったかな)。 もちろんテレビ局の「大人の事情」もあるだろうけど、きっと変わり映えしない一年の締めくくりにはスケールの大きな物語で視聴者の心を「リセット」して、来る年への希望を目覚めさせるのでは……なんてね...
年末年始になると、番組表ぶち抜きの「大河ドラマ」が目に付きますよね(最近減ったかな)。 もちろんテレビ局の「大人の事情」もあるだろうけど、きっと変わり映えしない一年の締めくくりにはスケールの大きな物語で視聴者の心を「リセット」して、来る年への希望を目覚めさせるのでは……なんてね。 ならば、この物語は絶好のリセット「ドラマ」です。 新人類としての力を持った主人公が、虐げられてきた種族が持つ救世主への願望を背景に、砂漠の惑星アラキスを舞台に戦いを繰り広げ、新しい時代へ扉を開こうとする。 宗教、政治、権力、武力、愛情、などなど幾重にも織り込まれる登場人物たちの思惑が、壮大なスケールを背景に爆発するも、本筋はわかりやすい冒険劇としての面白さが満点。 もちろん、宗教問題、レイシズム、マイノリティ問題、SDGSなど、あれこれ考えていただくのに素材はたっぷり提供されているけど、やはりここは純粋に楽しむことが一番。 まるで、宇宙スケールで描く戦国時代的冒険大活劇なんだから(最上級の誉め言葉です!) ハヤカワSFマガジン12月号にフランク・ハーバード「砂の惑星」シリーズ全編のあらすじが掲載されています。この物語の伏線回収を希望する方は、目指せ全篇読破!(ガンバって~)
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ムアッディブとして皆に認められフレメンの指導者となったポールは、スティルガーや再会したガーニーらととも砂漠の民を率い、ハルコンネンへの復讐、バーディシャー皇帝との対峙を果たす。自分の行動が伝説となる事を自覚しながら、未来の聖戦を避けるために行動するポールだが、自らの選択が正しいのか苦悩する。一応本作はこれで完結。本編の後にデューンの生態学・宗教、ベネ・ゲセリットの考察や用語集があり著者が本気で惑星アラキスの世界を作り上げていた事が窺える。フランク・ハーバートの創造した緻密な世界観を堪能させてもらった。
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デュニ・ヴィルヌーブ監督の新作「DUNE 砂の惑星」を観て、原作を未読だったことをハゲシク後悔。さっそく上中下3巻を取り寄せ、読んでみたら...コレが面白かったのなんの!!! なるほど、スターウォーズに繋がる要素もあれば、宮崎駿「風の谷のナウシカ」の世界観やキャラクターに通ずる要...
デュニ・ヴィルヌーブ監督の新作「DUNE 砂の惑星」を観て、原作を未読だったことをハゲシク後悔。さっそく上中下3巻を取り寄せ、読んでみたら...コレが面白かったのなんの!!! なるほど、スターウォーズに繋がる要素もあれば、宮崎駿「風の谷のナウシカ」の世界観やキャラクターに通ずる要素もあり、連綿と受け継がれる地球規模のSFの系譜に頭を垂れたくなる気分。どうして今まで読んでおかなかったんだろう! 願わくば、映画「DUNE」の後編の製作も必ずや実現されますように!
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「ドゥニ・ヴィルヌーヴのDUNEが公開されたら、それを観てから原作を読もう」と思い待ってました...!SFを最近読み出した身なので、次に何を読むかは「読むべき海外SF◯選」みたいなウェブサイトをいくつか並べて、よく出てくる作品で気になるものから読んでいたりするのですが、日本語のサ...
「ドゥニ・ヴィルヌーヴのDUNEが公開されたら、それを観てから原作を読もう」と思い待ってました...!SFを最近読み出した身なので、次に何を読むかは「読むべき海外SF◯選」みたいなウェブサイトをいくつか並べて、よく出てくる作品で気になるものから読んでいたりするのですが、日本語のサイトでは『砂の惑星』は全然お目にかからなかった印象がある。一方英語サイトだと必ずと言ってDUNEはランクインしているのだが、幸運にも(?)映画を見るまでに原作は手に取らなかった。 ヴィルヌーヴ版映画→『砂の惑星(新訳版)』上中下→ホドロフスキーのDUNE→ヴィルヌーヴ版映画(今ここ) 映像から入ったため、小説も情景・登場人物をありありと思い浮かべながら読むことができた。ボリュームを感じさせず、夢中になって一気に読んでしまった。こんなシリーズがあったなんて...!面白かったので、次作もと思ったら絶版とのこと。とりあえず図書館で予約できたので読めそうですが、是非新訳版もお待ちしています。 夢中になるくらい面白かったし、これは日本人は書けない作品だなー。書かれた時代も踏まえ気になる表現も許容範囲ではあった。ではあったのが、解説でも仄めかされているようにご都合主義だし、箴言が散りばめられ、もちろんポールが宗教的カリスマ・教祖となることを踏まえると一定は仕方ないが、カルトの熱狂が砂の下に見え隠れしているような感じがして、一歩引きたくなるような気持ちを感じ続けてしまった。残念ながら「脳内LSD/メランジ」を思う存分摂取することができなかったので評価は4★ とはいえ『砂漠の救世主』読みますー!
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上・中・下の三分冊で刊行された新訳版の下巻。壮大なるSF叙事詩が開幕した感のあるラスト。いやー面白かった、とこれからが楽しみ、とがいっぺんに味わえる贅沢な読後感だった。本作に影響を受けたであろう作品のタイトルが古今東西メディアを問わずいくつも思い浮かぶ。途方もない、伝説の大作小説...
上・中・下の三分冊で刊行された新訳版の下巻。壮大なるSF叙事詩が開幕した感のあるラスト。いやー面白かった、とこれからが楽しみ、とがいっぺんに味わえる贅沢な読後感だった。本作に影響を受けたであろう作品のタイトルが古今東西メディアを問わずいくつも思い浮かぶ。途方もない、伝説の大作小説なのだなと改めて実感。 反面、自分としては気に入っているリンチ監督の映画版が、いかに無理やり詰め込んでいるかということがわかり愕然とした。現在公開中の映画がどうなっているのか確認していないが、これは2時間とかの尺ではとうてい収まりきれる物語ではなく、ロード・オブ・ザ・リングのように何部作かに分けてほしい気がする。 映画化の流れに乗ってこのまま続編の刊行も希望するがはたして。
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