世界システム論講義 の商品レビュー
タイトル通り、ウォーラーステインによって主張された「世界システム論」についての概説書である。 随分前に書棚に収めていたが、先日、的場昭弘氏の『資本主義全史』を読んで、もしやと思って本書を手に取った。 直感は当たっていた。 「世界システム論」とは、西洋資本主義体制による国際的分業制...
タイトル通り、ウォーラーステインによって主張された「世界システム論」についての概説書である。 随分前に書棚に収めていたが、先日、的場昭弘氏の『資本主義全史』を読んで、もしやと思って本書を手に取った。 直感は当たっていた。 「世界システム論」とは、西洋資本主義体制による国際的分業制のことを指していたのである。 世界システム論の目的は、各国史の積み上げを世界史とする旧来の史観を脱し、資本主義による国際的分業体制という観点を軸に近代以降の歴史を論じていくこと。つまり、一国史からの脱却だ。 この観点に基づくと、欧米各国が「進んで」いて、アフリカ等の諸国が「遅れている」という、それぞれの国が辿るべき進歩のルートを順番に辿っているのではなく、国際分業体制の中で欧米が「中心」となってしまったがゆえに、アジアやアフリカ等の地域が「周辺」となって同時代を進行してきた。ということになる。 なので、世界システム論に基づいて世界史を読み直そうとすると、どうしても資本主義が発生した西洋史を中心とした描写になる。 本書も大航海時代に始まるヨーロッパ近代の歴史の変転を、世界システム論の解釈を差しはさみながら進んでいく。 読み終わって、すぐに「世界システム論」はいつ頃提唱された議論だったかを確認した。 もう30年も前である。 今や世界史の潮流は「グローバルヒストリー」に移っているし、そのグローバルヒストリーですら例えばアジア史家からは西洋中心史観の誹りを免れず、今も様々な専門を背景に持った歴史家たちが「本当の意味での世界史」を追い求めているのが現状だろう。 そんな現状から何周かの周回遅れで本書を手に取ったわけだ。あまりに長いこと本棚の肥やしにしすぎたかな。 でも、著者自身がそれらの批判に末尾で抗弁している通り、現在の世界はどうあっても西洋資本主義のシステムを前提に構築されているのである。ゆえに、その切り口での歴史を学ぶことに意味はあると思う。
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先進国と途上国はそれぞれ別のルートで「進歩」しているのではなく、「世界」全体で一つの機能を成しているという立場に立って新大陸発見から冷戦までを描き直す 植民地政策や帝国主義、大英帝国の興亡などを新たに捉え直すことが出来て楽しかった 「イギリスは、工業化されたが、インドはされなか...
先進国と途上国はそれぞれ別のルートで「進歩」しているのではなく、「世界」全体で一つの機能を成しているという立場に立って新大陸発見から冷戦までを描き直す 植民地政策や帝国主義、大英帝国の興亡などを新たに捉え直すことが出来て楽しかった 「イギリスは、工業化されたが、インドはされなかった」のではなく、「イギリスが工業化したために、その影響をうけたインドは、容易に工業化できなくなった」のである。
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ウォーラスタインの世界システム論をベースに15世紀以降の世界史、資本主義史を読み解いていく。 どこまでがウォーラスタインの議論で、どこからが著者の見解なのか、境目がわかりにくい気がするが、一般の読者を対象とした入門なので、そのあたりまで知りたければ、専門書か、ウォーラスタイン本...
ウォーラスタインの世界システム論をベースに15世紀以降の世界史、資本主義史を読み解いていく。 どこまでがウォーラスタインの議論で、どこからが著者の見解なのか、境目がわかりにくい気がするが、一般の読者を対象とした入門なので、そのあたりまで知りたければ、専門書か、ウォーラスタイン本人の本を読めばいいということかな? 世界システム論を最初に知ったときには、すごく面白いと思ったのだけど、あまりにもマクロなアプローチで各論、具体論に入ると、だんだん怪しげになっていくところがあって、興味は薄れていった。 が、個別テーマの本をある程度読んだ今となると、もう一度、このマクロ的な議論がとても大事なものに思えてくる。 冷戦が終わって、同時にかつての植民地における東西両陣営による取り込み競争も終わって、30年以上経っているわけで、今の時点でもう一度システム論の観点から見ることはとても大切な気がする。 というわけで、これまで何度も読みかけて挫折したウォーラスタインの近代世界システム論を読むときがついに来たのかな? この本は本当に大雑把な議論なのだが、全体観が俯瞰でき、準備運動はかなり進んだ気がする。
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図書館で借りた。 世界システム論の講義録。元は放送大学の教科書だとかで、それを再編・文庫化されたものだ。 世界システム論と聞くと、アメリカのウォラーステイン(Wallerstein)が提唱したのが有名だが、この本はそこには深く言及しておらず、また理論的に"システム&qu...
図書館で借りた。 世界システム論の講義録。元は放送大学の教科書だとかで、それを再編・文庫化されたものだ。 世界システム論と聞くと、アメリカのウォラーステイン(Wallerstein)が提唱したのが有名だが、この本はそこには深く言及しておらず、また理論的に"システム"として捉えたりといった話は乏しい印象を受けた。広い意味での世界史講義といった印象。 システム論としては物足りないと感じたが、まぁそもそも「世界システム論」自体新しい理論でもないので、一つの世界史講義として楽しんだ。
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ウォーラステインが提唱した「世界システム論」という史観概念について解説されている。 世界システム論とは、歴史を国単位で捉えて、諸国が互いに不干渉な状況であるセパレートコース上での競争をおこなっているとする「単線的発展段階論」へのアンチテーゼとして生まれた。 つまり、勤勉国家が「先...
ウォーラステインが提唱した「世界システム論」という史観概念について解説されている。 世界システム論とは、歴史を国単位で捉えて、諸国が互いに不干渉な状況であるセパレートコース上での競争をおこなっているとする「単線的発展段階論」へのアンチテーゼとして生まれた。 つまり、勤勉国家が「先進国」、怠け者国家が「後進国」になっているとするのではなく、「中核国」が「周辺国」から収奪したために、「先進国」と「後進国」が生まれたというように、国単位ではなく、世界を一つの単位/構造体として捉え、構造体内の相互作用において全体の状況が作り出されているという考え方である。 近代初期においては、世界における西ヨーロッパの影響力は小さく、経済・文化・技術などあらゆる点において、アジア(特に中国)の方が進んでいた。 次第に、(火器などの暴力技術も含まれる)技術がアジアから到来し、一揆などに対応しかねた領主層が「国家」の存在を求めるようになり、封建制度から国家国民制度へと移行していった。 ここに、世界システムの萌芽が見られ、その後、西ヨーロッパ諸国は、大航海時代→植民地支配→工業化といった流れで世界システムを地球規模に拡大させ、常に新しい「周辺」を探し求める。 ・世界システムは「中核」と「周辺」が存在し、周辺から搾取した富によって中核が充足されるという構造がベースとなっていること ・現代社会において、世界システムから逃れた地域は存在せず、新しい「周辺」の拡大が見込まれないこと ・搾取するシステムである「工業」の姿変化してきていること(IT/金融に重点が移動) などを踏まえると、近代の世界システムから現代の世界システムへの更新を考えてみても良いではないだろうか。 <メモ> ・国家国民モデルが希求された背景として、ウォーラステインは「農奴統治のため」ゲルナーは「高文化教育普及のため」とそれぞれ違う観点で見ている ・ヘゲモニー国家の支配力の拡大/衰退の順序は、いずれも生産→商業→金融の順となる ・ヘゲモニー国家衰退の理由としては、生活水準の向上→生産における優位性低下となり、上記の衰退スパイラルに陥るため ・世界システムにおいて、「世界帝国」は存在せず「世界経済」のみ存在する。帝国モデルは支配体制としての効率が悪い ・ヘゲモニー国家において一番有利なのが「自由主義」。そのため、ヘゲモニー国家の首都は最もリベラルで芸術や亡命インテリの溜まり場となる
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ちくま学芸文庫 川北稔 世界システム論講義 世界システム論の本 南北問題やヘゲモニー国家の変遷については 資本主義論と重複しているため、世界システム論の必要性が理解できなかったが 奴隷貿易や奴隷制プランテーションにより イギリス産業革命が起きたとする ウィリアムズ...
ちくま学芸文庫 川北稔 世界システム論講義 世界システム論の本 南北問題やヘゲモニー国家の変遷については 資本主義論と重複しているため、世界システム論の必要性が理解できなかったが 奴隷貿易や奴隷制プランテーションにより イギリス産業革命が起きたとする ウィリアムズテーゼの論証は わかりやすかった 「だれがアメリカをつくったのか」の論考に驚いた〜植民地時代にアメリカに渡ったイギリス人は、年季奉公人(期限付き白人債務奴隷)、死刑を逃れた犯罪者、失業者とのこと 「世界システム論〜近代世界を一つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史を有機体の展開過程として捉える見方」 南北問題 *世界的な分業体制の中で、北の国が工業化して開発され、南の国が原料生産地として開発された *中核〜世界的な分業体制から多くの余剰を吸収できる地域。西ヨーロッパ *周辺〜食糧や原材料の生産に特化され、中核に従属させられる地域。東ヨーロッパ、ラテンアメリカ ヘゲモニー国家の変遷が世界大戦へ *近代世界システムが地球全域を覆い、新たな周辺を開拓する余地がなくなった *アフリカ分割を契機に、世界が帝国主義とよばれる領土争奪戦に突入 *帝国主義とは、地球上の残された周辺化可能な地域をめぐる、中核諸国の争奪戦 世界システムは、その地域間分業の作用を通じて、西ヨーロッパ=中核では国家機構を強化しつつ、周辺国では国家を溶解させる効果をもった ヨーロッパのシステムと中華システムの違い *ヨーロッパのシステムは政治的統合性を欠いた経済システム〜国民国家の寄せ集めにすぎない *ヨーロッパのシステムでは、各国は競って武器や経済の開発を進めた *中華システムの中核は、一帯をひとまとめにして支配すふ帝国となっていた ヘゲモニー国家 *中核地域のなかでも、圧倒的に強力の国 *17世紀のオランダ、19世紀のイギリス、第二次大戦後のアメリカ *世界システムのヘゲモニーは、生産、商業、金融に及び、崩壊するのときも この順に崩壊する *ヘゲモニーは長く続かない〜生活水準が上昇し、賃金が上がり、生産面での競争力が低下するため *ヘゲモニー国家は、自由貿易を主張する
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近代世界史がなぜヨーロッパを中心に展開していくことになったのか、それは世界は個別の主体(国家)による自由競争なのではなく総体として捉えるべきシステムであるから、という世界システム論で捉える本。元々は口頭の講義なのかとても読みやすいです。この書籍以降のアフリカ・中東の紛争と難民、欧...
近代世界史がなぜヨーロッパを中心に展開していくことになったのか、それは世界は個別の主体(国家)による自由競争なのではなく総体として捉えるべきシステムであるから、という世界システム論で捉える本。元々は口頭の講義なのかとても読みやすいです。この書籍以降のアフリカ・中東の紛争と難民、欧米のナショナリズムの状況だったり、中国の台頭、あるいは気候変動問題なども地球規模の相互作用の中で捉えるという意味では今では当たり前の話ではありますね。それでもヘゲモニー国家の変遷と各国の文化の成立要因が連動しているところなんかはなるほど、と面白かった
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感想 西洋の世界観の下に地球が一つのシステムにまとめ上げられる。ITCによって加速しているが、ローカルな動きも見られる現代。統一には限界があるか。
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現在の世界がどのようにして一つの価値観に支配されてきたか、500年ほどの近代史をもとに解説されていた。 歴史をあまり勉強してこなかった自分にはわからない部分もあったけれど、ざっと500年間をまとめてくれていたので大きな流れを掴むことができた。 イギリスの甘い紅茶文化がなぜ形成され...
現在の世界がどのようにして一つの価値観に支配されてきたか、500年ほどの近代史をもとに解説されていた。 歴史をあまり勉強してこなかった自分にはわからない部分もあったけれど、ざっと500年間をまとめてくれていたので大きな流れを掴むことができた。 イギリスの甘い紅茶文化がなぜ形成されたのか? インド経由のお茶と、三角貿易で得た砂糖が中核となるイギリスに集まったからということを知って、どんな文化にも歴史があるのだと感心した。 もちろん細かい部分でそれぞれの国の文化があるものの、ヨーロッパ的思想で統一化されている世界観と考えるのも面白かった。
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世界史の知識があまりないので、読みにくいところが多々ありましたが、高校地理の学習にも少し繋がるところがあって面白かったです。
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