キャロル の商品レビュー
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キャロルとテレーズが出会うシーンにやられた。 大人の世界がまだわからないテレーズとか、出会いのシーンとか、もう共感するところがありすぎて、身につまされる思いで読んだ。 初めての恋を思い出す。 私の結末は、ハッピーエンドではなかったけれど。 とても真剣なふたりを感じられるラストにほっと胸をなでおろした。だいたい同性愛、しかもレズビアン小説って自殺とか自分を押し殺して無理に結婚したり、って結末が多いので、きっとそうだと予想していたから。 作家の他の作品も読んでみたい。
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簡単に言ってしまえば、レズビアンの話だが、純粋な恋愛小説といってよい。 異性愛と異なるのは周囲の偏見だけだし、異性愛だって条件によっては偏見を持たれることもある。 繊細な感情の揺れ動きが行動によく表れていて、とてもよい小説。
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映画もそうだったが、エドワード・ホッパーを思わせる世界観がとても好き。 人に恋する事の純粋さがストレートに描かれていて、どのラブストーリーよりも素晴らしいと思った。
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ハイスミスはナメクジホラーなど短編で見知っていたが、長編は初めて。冗長ではないが饒舌な文体で、作者の内面吐露のような部分も兼ねているようでもある。
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本当だ、恋が書いてあった。デパートでキャロルを見かけ(見つけ)、出合う場面。恋が始まる瞬間を目の当たりにしてドキドキした。そして、大人の恋は突然終わることもあるのだと、叩きつけられた。でも、最後の瞬間のテレーズに感動した。そうなって、よかった。
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クリスマス商戦の忙しいデパートでアルバイトをするテレーズが、美しいキャロルに出逢い、強く惹かれ恋をする。 ミステリー作家として有名なパトリシア・ハイスミスが描く恋愛小説。 こういった作品も残していたのだなと意外でもあるが、こういう恋愛小説も悪くないと思う。 この作品が単なる恋...
クリスマス商戦の忙しいデパートでアルバイトをするテレーズが、美しいキャロルに出逢い、強く惹かれ恋をする。 ミステリー作家として有名なパトリシア・ハイスミスが描く恋愛小説。 こういった作品も残していたのだなと意外でもあるが、こういう恋愛小説も悪くないと思う。 この作品が単なる恋愛小説でないのは恋愛をするのが男女でなくふたりの女性であること、レズビアンを扱う小説だというところだ。 正直に言うと、わたしの周りにはレズビアンを公言するひとがいないため、それなりに偏見を持っている。 レズビアン小説と知っていてパトリシア・ハイスミスの作品でなければ多分読むことはなかったのではないだろうか。 この作品は発表当時はハイスミスの名前ではなかったらしいので、現在こうしてハイスミス作品として発売されたためそこそこ偏見を持つわたしという読者にも読まれることになった。そして、読むことにより少しではあっても偏見がなくなる。 本って素晴らしい。 恋愛小説、それもレズビアンとなると面白おかしく過剰なまでにセックスシーンが書かれてポルノみたいな仕上がりになっていたら嫌だなと思いながら読んだのだけれど、そういうことは無かった。 ハイスミス自身がレズビアンであるためか、テレーズの心の動きを中心に描かれており、直截な描写は殆どされていない。 わたしのように文章で痴態描写を読むことが苦手なひとでも読めるありがたい一冊だ。 キャロルに出逢い、それまでリチャードという恋人がいたテレーズが本当にひとを愛する気持ちを知り、最終的には成長していく。 ラストは予想と違うものだったが、淀んでしまいそうなレズビアンを扱う小説としては良い終わり方なのかもしれない。 滅多に読まない恋愛小説だけれど、面白く読めた。
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翻訳物は読んでてツラいのだが、それなりにひき込まれた。 キャロルの美しさはテレーズの目を通してたっぷりと伝わってくるが、話の展開からテレーズもそうとう魅力的なのだろう、ということがわかる。 映画、絶対に見たいなぁ。
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先日映画を観て、私の中でベストムービーになった作品の原作。 映画ではテレーズからキャロルへの視点の変化が印象的だったが、原作では終始テレーズの視点で物語が進む。テレーズの若さゆえの不安定さ、起伏の激しさの描写が見事。 サスペンスがあまり好きではないのと、結末を知っていたこともあり...
先日映画を観て、私の中でベストムービーになった作品の原作。 映画ではテレーズからキャロルへの視点の変化が印象的だったが、原作では終始テレーズの視点で物語が進む。テレーズの若さゆえの不安定さ、起伏の激しさの描写が見事。 サスペンスがあまり好きではないのと、結末を知っていたこともあり、途中少し冗長に感じた。どちらかといえば二人の関係に焦点を絞った映画のほうが私は好みかも。 それでも、このような女同士の極上のラブストーリーを1950年代という時代に作り上げたハイスミスには尊敬しかない。 「男女のあいだでは決して起こり得ない感情」「絶対的な共感」が女同士のあいだにはある、とキャロルに手紙で語らせている。 それはまさに『キャロル』が描いているものだ。愛とは確かに普遍的なものだけれど、同時に、女ふたりの間にだけ生まれる化学反応のようなものがあるからこそ、この物語は美しいのだとと思う。
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原作のテレーズは、映画のテレーズよりもなかなかに面倒くさい女の子やな。でもその面倒くささは、未熟さや、恋に落ちてしまった人間のどうしようもなさであったりするのよな。
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いつもは読書で自分なりのイメージを作り上げてしまうので、映画は物足りなく感じることが多いですが、今回は映画を先に見たのでどちらの良さも味わえました。読みながら脳内で映像を再現しつつ人物の内面を補完できたので、いつもより2倍楽しめました。
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