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リップヴァンウィンクルの花嫁 の商品レビュー

3.9

52件のお客様レビュー

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2016/06/12

ほんと岩井俊二は天才だな、と思わせてくれた。 どこまでいっても先の読めない現代のおとぎ話。正直、ずっと後半のほうまで「これほんとに岩井さん??」って感じで読んでいたのだけれど、終わってみれば見事な着地。あれもこれも、ただの無駄話ではなかった。というつながりも見事。すべてを説明して...

ほんと岩井俊二は天才だな、と思わせてくれた。 どこまでいっても先の読めない現代のおとぎ話。正直、ずっと後半のほうまで「これほんとに岩井さん??」って感じで読んでいたのだけれど、終わってみれば見事な着地。あれもこれも、ただの無駄話ではなかった。というつながりも見事。すべてを説明してくれなければ納得できない!という人には向いていないかも。 途中までは、まさかこれで泣くとは思わなかったな。 と、ふと見れば映画化されているらしい。しかも大好きな黒木華ちゃんらしい。いかん、これは映画も見なければ!!

Posted byブクログ

2016/06/05

○様々な人生に出会う日々で自分を見つめ直す。淡くはじまり淡く終わる リップ・ヴァン・ウィンクルとは、”アメリカの小説家、ワシントン・アーヴィングの短編小説だった。リップ・ヴァン・ウィンクルという男がある日森の中に迷い込み、見知らぬ人たちと酒を酌み交わしているうちに眠ってしまい、目...

○様々な人生に出会う日々で自分を見つめ直す。淡くはじまり淡く終わる リップ・ヴァン・ウィンクルとは、”アメリカの小説家、ワシントン・アーヴィングの短編小説だった。リップ・ヴァン・ウィンクルという男がある日森の中に迷い込み、見知らぬ人たちと酒を酌み交わしているうちに眠ってしまい、目を醒ますとあたりには誰もいない。家に帰ると、アメリカはイギリスから独立し、妻は既に亡くなっていて、子供たちは大きくなっていた。寝ている間に二十年の歳月が過ぎていたという、浦島太郎のような物語だ。”(p191より) 主人公の七海も、p192で "そういえば今日はまるでリップ・ヴァン・ウィンクルのような一日だった。見知らぬ結婚式に参加して、見知らぬ人たちとお酒を酌み交わして。"と回想している。 恋愛に奥手な主人公・七海は、22歳まで彼氏がいないと言うことに焦りを感じ、SNSで探した鉄也と付き合うことになる。しかしその事実に向き合えず、別のアカウントを使ってSNS上で愚痴を吐くようになる。 結婚に憧れを抱きつつも、やはり鉄也のことが信じ切れずにいるうちにプロポーズを受け、結婚式を迎える。結婚式には、親族が呼べないため、代役をSNSで探し、安室という男に依頼し実現できた。しかしその後旦那の浮気が発覚する。その浮気相手の彼氏とされる男と会い襲われそうになるも、またも安室に助けてもらう。 後日旦那の実家に行った時に義理の母から「あれは嘘だ」とばれてしまい、離婚する。それが別れさせ屋だとあとで知った七海は、絶望するも、ホテルで出会った人たちや、結婚式のアルバイト代役で出会った人たちと話していく中で、少しずつ回復していく。 p192あたりで出てくる人たちは、いろいろな人生を抱えている。そんなに激しいわけじゃないけれど、ごくごく普通の人生。そんな人たちが、結婚式の親族代役というアルバイトを通して出会うことに面白みがあり、それもまた人生だと感じさせる。 人生のはかなさとおかしみ。 付き合うことと結婚と、幻想と誘惑と、疑いたくなる気持ち。 人間の性と、人間たちの表と裏と。 人生のすべてが凝縮されていたような、そんな本。 母は、駆け落ちし花巻から長野へ行き、父も再婚した。 そんな人たちにはなりたくない。と思いつつもうまくいかず、しかし、出会った人たちの生き方に共感し、自分自身の人生を歩もうと最後は決意できる。 めげない、とかそういうことじゃなくて、その人の人生まで、一生懸命歩もうということなのかな。 読後感は悪くないのですが、最後の展開が少し早すぎるかも。 ずっと淡い。 (2016年3月26日映画公開)

Posted byブクログ

2016/05/30

地に足がついてない七海が地に足がつくようになるまでの物語。 本当の事を話さないことがどんなに酷いことか全然解ってない七海にはらはらする。 そのふあふあした性格ゆえにかなり悲惨な目に合わされるのに本人はそれに気づいてないのが救いかな。 そのさじ加減が絶妙でした。 人生は奇想天外...

地に足がついてない七海が地に足がつくようになるまでの物語。 本当の事を話さないことがどんなに酷いことか全然解ってない七海にはらはらする。 そのふあふあした性格ゆえにかなり悲惨な目に合わされるのに本人はそれに気づいてないのが救いかな。 そのさじ加減が絶妙でした。 人生は奇想天外じゃないほうがいい。

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2016/05/28

いまの感じ。絵空事にも思えるけど、どっかにいそうな彼ら。体験的にはずいぶん遠いんだけど、どうかすると自分に置き換えられそうだし。あー怖。でもおもしろ。周りの人であっちゅー間に何者かに変わったりするんだよね、ホント。

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2016/05/23

+++ 「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」 声の小さな皆川七海は、派遣教員の仕事を早々にクビになり、SNSで手に入れた結婚も、浮気の濡れ衣を着せられた。行き場をなくした七海は、月に100万円稼げるというメイドのバイトを引き受ける。 あるじのいない大きな屋敷で待っていたの...

+++ 「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」 声の小さな皆川七海は、派遣教員の仕事を早々にクビになり、SNSで手に入れた結婚も、浮気の濡れ衣を着せられた。行き場をなくした七海は、月に100万円稼げるというメイドのバイトを引き受ける。 あるじのいない大きな屋敷で待っていたのは、破天荒で自由なもうひとりのメイド、里中真白。 ある日、真白はウェディングドレスを買いたいと言い出すが……。 岩井俊二が描く現代の噓(ゆめ)と希望と愛の物語。 +++ 想像していた以上に惹きこまれてしまった。穏やかな日常を送る人間はひとりも出てこない。登場人物の誰もが、事情こそ違うものの、何かを抱え、平凡とは言い難い人生を送っている。それなのに、全体に流れる空気は静かなのである。不思議だ。切なくて、危なっかしく、それでいて確固としていてあたたかい。寂しいけれどとても親密な一冊なのである。ただ、映像として見るのは(観ていないが)ちょっと苦手かもしれない、とも思う。

Posted byブクログ

2016/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画監督の岩井俊二、これも映画化されてるみたいだけど、 小説もおもしろく読む。 赤の他人が、依頼されて結婚式とかに家族として参列するなんて仕事としてほんとにあるんだろうか。 ”クラムボン”こと皆川七海の結婚、離婚、ここで終わらない奇想天外なその後の人生。 離婚後、住み込みで働いたラブホテルの同僚や社長たちもみんな一癖あっても基本あったかい人たち。 AV女優の真白との出会いと別れ(死別) ランバルの友達ですから安くしておきます。が口癖の絶対絶命の時も助けてくれる安室。(途中、こいつが一番怪しいと思ったけど) 読後感は爽やかだった。

Posted byブクログ

2016/05/10

小説と言うよりは脚本。まぁ、当然なんだが…。映画の予告を見る限りで期待して見る前に購入し読んだのだが映画を見るとたぶん化ける作品。稀代の映画監督は画を先行して書くのか、話を先行して撮ったのかそこら辺が気になるところ。そして黒木華と言う役者の演技力に気づかされるのだった…。

Posted byブクログ

2016/05/05

はじめの方は普通な感じかなと読んでいたが、いつの間にか夢中になって読んでいた。 章立てが細かいのが印象的。章タイトルもあるため主題が切り替わったことが非常に分かりやすく読みやすい。 章立てが細かいといっても章と章の間は自然に話が繋がっており、この試みはとても良いと思った。

Posted byブクログ

2016/04/24

映画を観たので併せて読んだ。 映画は小説の内容をうまく映像化している、というより本業が映画監督なので文章では骨子しか伝えきれていない、と言うべきなんだろう。 しかし黒木華の存在抜きにこの映画は成立しなかっただろうな。 彼女がいなかったら現代の問題点を様々にきりとった「社会派映画」...

映画を観たので併せて読んだ。 映画は小説の内容をうまく映像化している、というより本業が映画監督なので文章では骨子しか伝えきれていない、と言うべきなんだろう。 しかし黒木華の存在抜きにこの映画は成立しなかっただろうな。 彼女がいなかったら現代の問題点を様々にきりとった「社会派映画」の側面がクローズアップされてなんだかまとまりのない内容だと受け取られただろう。 でも彼女がいたから物語に説得力が出た。力が生まれた。 すごい女優を絶妙のタイミングで起用したな、と思う。

Posted byブクログ

2016/04/24

映画を観る前にと思って読み始めたので、登場人物はなんとなくキャストのイメージで読んでいました。 文章はすっきりとして読みやすいものでしたが、ちょっと物足りなさも感じました。もっと分厚い本でも良かったかなと。 個々を丁寧に描くというよりも、人と人の一瞬の触れ合いを描いた物語という印...

映画を観る前にと思って読み始めたので、登場人物はなんとなくキャストのイメージで読んでいました。 文章はすっきりとして読みやすいものでしたが、ちょっと物足りなさも感じました。もっと分厚い本でも良かったかなと。 個々を丁寧に描くというよりも、人と人の一瞬の触れ合いを描いた物語という印象で、七海の人生は真白との出会いによって奇想天外な生活に巻き込まれながらも、最初から最後まで世間とはずっと繋がっていて、強烈な出会いに恵まれて引っ張られて流されて歩き出してと、人生は人との出会いで溢れているんだなと思いました。 真白も、安室も、偽の家族も、本物の父も母も、それぞれが自分だけの人生を生きているんだなと。 偽の家族が本物の家族とは違う、一瞬の妙な絆で繋がっていたシーンが一番いいなと思いました。特に最後の偽父。

Posted byブクログ