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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 の商品レビュー

3.8

473件のお客様レビュー

  1. 5つ

    90

  2. 4つ

    177

  3. 3つ

    117

  4. 2つ

    23

  5. 1つ

    8

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2016/02/13

高校時代に仲良くしていた友人たちから突然縁を切られたという過去の闇を抱えたまま生きている多崎つくるが、大人になってからその過去を真実を探る。 村上春樹得意のシュールレアリズム路線ではなく、至って現実的なストーリー。自分の周りでもいかにもありそうな、普通の男の物語。こういう村上春...

高校時代に仲良くしていた友人たちから突然縁を切られたという過去の闇を抱えたまま生きている多崎つくるが、大人になってからその過去を真実を探る。 村上春樹得意のシュールレアリズム路線ではなく、至って現実的なストーリー。自分の周りでもいかにもありそうな、普通の男の物語。こういう村上春樹も面白かった。 --- memo 23 つくる自身は服装にあまりこだわる方ではないが、着こなしの上手な女性を見るのは昔から好きだった。美しい音楽を鑑賞するのと同じように。 28 「限定された目的は人生を簡潔にする」と沙羅は言った。つくるもそれに同意した。 78 「独創力とは思慮深い模倣以外のなにものでもない。現実主義者のヴォルテールはそう言っていますが」(灰田)

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2016/02/10

揺るがないはずであった友情を持った男女5人の物語。色彩を持たないという言葉は個性として色彩を持たないということは想像できたが、名前に色彩が入っていないという意味合いがあったことに驚かされた。笑 個を持たないという思い込みはそれほどまで他者に伝わっていない。何かに突出するだけが個性...

揺るがないはずであった友情を持った男女5人の物語。色彩を持たないという言葉は個性として色彩を持たないということは想像できたが、名前に色彩が入っていないという意味合いがあったことに驚かされた。笑 個を持たないという思い込みはそれほどまで他者に伝わっていない。何かに突出するだけが個性じゃないんやなぁと思った本。

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2016/02/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高校時代に仲の良かった5人組。しかし、大学時代に突如としてその4人から絶縁を申し渡される主人公の多崎つくる。なぜそのようになったのかを恋人である沙羅に促され探っていくことに。  全体の印象としては中盤辺りから『1Q84』と同じような雰囲気を感じ、これが村上春樹先生らしさなのか、と思った。沙羅やその他の女性が『1Q84』のふかえりのように妙に教訓的にしゃべっているのが印象的だった。  私自身は友達と距離を置くようになることが大人になることだとは思わないが、そういう考え方もあるのであろう。また、登場人物のシロはつくるがグループから隔絶されても一人で生きていけると信じているから決断したとしていたが、普通の感性の持ち主なら無理だろ、と突っ込んでしまった。  ただ、結末があいまいな感じで終わり読者任せにしてしまっていることが残念だった。沙羅との関係や沙羅が一緒にいた男性の正体。さらには、アカやアオとの今度などエピローグを少しでいいから描いてほしかった。

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2016/02/07

リストの『ル・マル・デュ・ペイ』の世界観がまさにぴったりな小説でした。哀しく、美しく、心に沁みる感じ。

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2016/02/06

村上春樹作品を読むのは2回目。 今回感じたのは、 心象の描写のうまさ。 つくる感じていることが、絶妙な比喩を駆使し、絶妙に描かれていると感じた。 特に、つくるの大学時代、つくるが死について考えているところ。つまりは、物語の前半3分の1くらいのところまでで、そう感じた。 とこ...

村上春樹作品を読むのは2回目。 今回感じたのは、 心象の描写のうまさ。 つくる感じていることが、絶妙な比喩を駆使し、絶妙に描かれていると感じた。 特に、つくるの大学時代、つくるが死について考えているところ。つまりは、物語の前半3分の1くらいのところまでで、そう感じた。 ところで、つくるの考えている自分像。 つまり、 「自分というものがない。 これという個性もなければ、鮮やかな色彩もない。 こちらから差し出せるものを何ひとつ持ち合わせていない。」 という、つくるが抱えている問題は、きっと生きている誰もが感じていることなのではないか。 少なくとも、以前の私、特に大学生頃までの私は、自分のことをそう感じていたし、そんな自分が嫌だった。 だから、エリの言った 生きている限り個性は誰にでもある。 という言葉は一つの救いの言葉だと感じたし、 自信と勇気を持ちなさい という言葉は、自分への激励だとも受け取った。 結局、シロのことにせよ、灰田や灰田の話した緑川のこと、謎に包まれたまま。 六本指についても、何の意図があったのかわからないまま。 沙羅との今後もわからない。 沙羅とはこれから会って話して、うまくいくのか。そもそも会えるのか。なんか、悪い予感しかしないのは私の勝手な憶測? でも、自分自身は色彩がないが周囲に彩ってもらってなんとか過ごせてた、 と思っていた受け身のつくるが、 自分の力で自分のこれからに色彩を持たせようとしている今のつくる(あるいは、何かを絶対に欲しいと初めて思ったことですで今までとは異なる彩りを持ち始めたといえるのかもしれないが)へと変わったことが、 この物語のひとつの結末であり、 はじまりなのかもしれない。

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2016/02/06

結論が明確化されない終わり方。 気になる。 きっとこの先はどうなるんだろうと、読者の想像を膨らますような構成にしているんだと思う。 きっとこの先はハッピーエンドであって欲しいと思うが、 そうではない気がしないでもない。

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2016/02/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ちょうどよいボリュームで ちょうどよいストーリー、 著者は村上春樹。 と、なれば、それは一気読みになる。 この先の展開はどうなるんだろう シロの死の真相は? 沙羅との今後は? あ、そいえば、灰田も気になるといえば気になる? いろんなことが曖昧なままふわっと終わっていくし 悪霊がなんちゃらとか出てきて「キャー」とか言ってるし つくる君はそれはそれは深く描かれているものの、他のメンバらはどんな人間なのかイマイチよくわからない(色彩豊か…?)とか 個人的には不満足感を得るには十分すぎるほどの要素を含んでいるにも関わらず、 一気読みになる。 おもしろいなー、すごいなー、てことです。

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2016/02/03

16/1/19 村上春樹の長編は全て読んでいる。この作品は特に読みやすいし、喪失→苦悩→?という村上春樹らしい作品なので、はじめて村上春樹を読む人に勧めたい。 悩みに寄り添い、成長する手がかりをくれるのが村上作品だと思っている。

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2016/02/01

自分の今の境遇と似通った所があったので、気になって読み始めました。まだ途中ですが、これからお話が広がっていくような雰囲気なのでゆっくり味わって読んでいきます。

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2016/01/31

[2016年5冊目] 主人公の多崎つくるが自らを取り巻く過去を紐解いていく話。人は自己だけでは自己を定義できない、という葛藤が感じられた。 この本を読んでいるとき、福岡伸一氏の著作にある生物学の「相補性」の説明が頭に浮かんできた。 『生命を構成する要素は単独で存在しているのでは...

[2016年5冊目] 主人公の多崎つくるが自らを取り巻く過去を紐解いていく話。人は自己だけでは自己を定義できない、という葛藤が感じられた。 この本を読んでいるとき、福岡伸一氏の著作にある生物学の「相補性」の説明が頭に浮かんできた。 『生命を構成する要素は単独で存在しているのではない。それを取り囲む要素との関係性の中で始めて存在しうる。状況が存在を規定する。自分の中に自分はいない。自分の外で自分が決まる。』 自己の存在を定義する要素、取り巻く要素は、とりあえず最低限身の回りに揃えることは難しくない(仕事や恋人など) ただ、本当に心動かされる、自分にとって真実だと感じられるものだけで周りを埋めることは至極難しい。 多崎つくるの葛藤が、読む人に少なからず色々な共感を呼び起こすと感じる。自分の向き合いたくない過去に思いを巡らすきっかけになるかもしれない良い小説。

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