小泉今日子書評集 の商品レビュー
書評を書くにあたり、評判の高い小泉さんの書評を拝見したかった。 良い意味で私とはレベルが違い過ぎて、書くこと自体の参考に。という目的は果たせなかった。 でも、この本で読んでみたいなと思う本にも出会えました。
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益田ミリ著『ほしいものはなんですか?』の書評の中で、小泉今日子の次の言葉が強く印象に残った。 ”子育てをしている友達と会っている時、お互いに少し気を使って会話を選ぶ瞬間がある。ないものねだりと分かっていながら、それぞれの環境を羨ましいと思ってしまうこの感覚、男の人には一生分からな...
益田ミリ著『ほしいものはなんですか?』の書評の中で、小泉今日子の次の言葉が強く印象に残った。 ”子育てをしている友達と会っている時、お互いに少し気を使って会話を選ぶ瞬間がある。ないものねだりと分かっていながら、それぞれの環境を羨ましいと思ってしまうこの感覚、男の人には一生分からないんだろうなと思う。アラサーとか、アラフォーとか元気な言葉の響きで自分たちを盛り上げているけれど、それなりの悩みがあるのだ。” 隣の芝生は青い的なこういった感情になるのは何も女性だけではない、と言いたくなったが、ここの文脈的に、子育てで家庭に入るか、社会でキャリアを重ねるかの二者択一をしなきゃならない女性ほどの人生の転換点は男性にはないだろう、という静かな主張はまあそうかもな、と妙に納得した。 書評を見ていくつか読みたくなった本があるが、その中で最も気になるのが「変愛小説集」だ。これは必ず読む。(「愛」ではなく「変」)
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この本は何かの雑誌で紹介されていて、気になっていました。 キョンキョンが書評? 書評といったら、日曜の新聞の真ん中らへんに載ってる、小難しい単語と抽象的な言い回しで作品にイチャモンをつけるアレじゃん。 と思っていましたが、この作品を読んで、書評のイメージが180度変わりました。 ...
この本は何かの雑誌で紹介されていて、気になっていました。 キョンキョンが書評? 書評といったら、日曜の新聞の真ん中らへんに載ってる、小難しい単語と抽象的な言い回しで作品にイチャモンをつけるアレじゃん。 と思っていましたが、この作品を読んで、書評のイメージが180度変わりました。 実際のところ、書評の善し悪しは私にはわかりません。でもこの作品を読み終えたあと、ブクログの読みたいリストはこの書評集で取り上げられた本で溢れかえっていました。 キョンキョンの書評集は、そんな読書欲をかき立てる作品です。
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私は小泉さんのファンでも何でもない。彼女は私の母とちょうど同じくらいの歳だ。彼女がアイドルとして活躍していた頃のことを、私は何も知らない。彼女に対して、これまで特別な興味を持ったことも無い。 会社の先輩が薦めてくださらなければ、おそらく私自身が自分の意思で、この本を手に取ることは...
私は小泉さんのファンでも何でもない。彼女は私の母とちょうど同じくらいの歳だ。彼女がアイドルとして活躍していた頃のことを、私は何も知らない。彼女に対して、これまで特別な興味を持ったことも無い。 会社の先輩が薦めてくださらなければ、おそらく私自身が自分の意思で、この本を手に取ることは生涯無かっただろうと思う。 本を開いて読み始める前に、動画サイトでアイドル時代の小泉さんの映像を探して観た。 初めて目にしたアイドルの小泉さんは、息を呑むほどの美少女だった。 大きな瞳がキラキラとしていて、白い歯がまぶしい。健康的で快活で、夏の青い海がきっとよく似合うだろうと思った。 どんな文章を書くのかな。 在りし日の可憐な小泉さんの姿を脳裏に思い浮かべ、どきどきして読み始めたのだが、前書きにあったのは意外な言葉だった。 >本を読むのが好きになったのは、本を読んでいる人には声を掛けにくいのではないかと思ったからだった。忙しかった十代の頃、人と話をするのも億劫だった。(中略)どうか私に話しかけないで下さい。そんな貼り紙代わりの本だった。 部屋の片隅に座り、目を伏せて本を読む、おとなしい少女の姿が思い浮かんだ。アイドル時代の映像を思い返す。弾けるような笑顔を振り撒いて歌う姿は、いかにも社交的で元気いっぱいだ。どう考えても、小泉さん自身が語る姿とは結びつかなかった。 元アイドルの、芸能人の女性が書いている本だから、と私は先入観にとらわれていた。書評の端々に華やかな人生が垣間見えるのではないかと思っていたが、それは違った。 一般人には理解しがたい、きらびやかな経験談など、この本にはまったく出てこない。小泉さんは誰もが体験するような人との交流や、日常の出来事に際して、自分の心の機微を冷静に観察している。そしてその機微を、自分の言葉で描き出せる聡明な女性なのだと感じた。書評はどれも、静かで穏やかな雰囲気に満ちていた。 特に印象に残った箇所を抜粋する。 >不倫だったり、自殺願望のある年下の男との恋だったり、どこか罪深く、だからこそ純粋なのかもしれない大人の恋愛。人生にどんなに悲しいことが起こっても、心に喪失感という大きな穴がぽっかり空いたとしても、通り過ぎた後に、たくましく生きている自分がいることを大人の女は知っている。過去も、涙も、秘密も、たった一人で受け止める。(「夏の吐息」小池真理子:書評) >四十代、死はそんなに近くはないけれど、ものすごく遠くもない。でも、人はいつか必ず死ぬということを自然に受け入れられる年頃なのかもしれない。(「無銭優雅」山田詠美:書評) >子育てをしている友達と会っている時、お互いに少し気を使って会話を選ぶ瞬間がある。ないものねだりと分かっていながら、それぞれの環境を羨ましいと思ってしまうこの感覚、男の人には一生分からないんだろうなと思う。アラサーとか、アラフォーとか元気な言葉の響きで自分たちを盛り上げているけれど、それなりの悩みがあるのだ。(「ほしいものはなんですか?」益田ミリ:書評) 小泉さんが読売新聞で書評を担当されていたのは、38歳からの十年間だ。20代の私は、小泉さんが綴るこれらの言葉を「そういうものなのかな」とは思うけれど、まだ共感することはできない。 ただ、誰かや何かを失ったときの寂しさや虚しさ、痛み、悲しみ、そういった人生の傷やへこみを、ふとした瞬間に懐かしみ、愛でることができる瞬間が、いつかは訪れるのかもしれないと思った。 歳を重ねていくことに、少しだけ前を向けるようになった気がした。
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自分が今まで読んだ本は載ってるか?と思ったけど殆どかぶってない。読みたいとしてブクログに登録したら本棚の数がすごく増えた。 キョンキョンが一冊毎にきちんと向き合って書いた書評はとても読みやすい。これが書かれたキョンキョンの年代と今の自分が近いからより共感するのかもしれない。 本を...
自分が今まで読んだ本は載ってるか?と思ったけど殆どかぶってない。読みたいとしてブクログに登録したら本棚の数がすごく増えた。 キョンキョンが一冊毎にきちんと向き合って書いた書評はとても読みやすい。これが書かれたキョンキョンの年代と今の自分が近いからより共感するのかもしれない。 本を読んだ感想というのは本当にその時の自分の映し鏡のようだ。その時に感じた思いを頭で考えて的確な言葉を模索し言語化すると、後で読み返した時に本の内容や当時の自分を鮮明に思い出せていいなーと思う。 そして、積ん読のままの本がいっぱいあるけど、それを読むべく手に取ったタイミングが自分がその本を求め、本から導かれたタイミングなんだと最近感じる。だから、この本を読んで、自分の直感を信じて本を選び感想を綴っていきたいと改めて思った❗️
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書評で一番大事なのは「この本を読みたいと思わせること」だと思うのだけど、これがなかなか難しい。 私も半年間だけど地元の文芸誌で書評の仕事をさせてもらったことがあるのだけど、決められた文字数で本の内容と感想をお知らせするというのは、簡単そうで実はそんなに簡単じゃない。 そういう意味...
書評で一番大事なのは「この本を読みたいと思わせること」だと思うのだけど、これがなかなか難しい。 私も半年間だけど地元の文芸誌で書評の仕事をさせてもらったことがあるのだけど、決められた文字数で本の内容と感想をお知らせするというのは、簡単そうで実はそんなに簡単じゃない。 そういう意味で小泉今日子さんは上手な書評家だと思う。物書きではなく本職は女優だという下地も良いのかもしれない。気負いなく、うまく書こうという感じもなく、素直に綴られているように思えたから。 短い書評の冒頭で、子どもの頃のエピソードだとか、39歳から48歳(書評が読売新聞に掲載されていた時の彼女の年齢)の独身子ども無し女性のリアルな感情が綴られた後に、本の紹介に入るという構成が時々見られるところも良かったし、連載をまとめて書籍化する時に新たに加えられたコメントがそれぞれの書評の後にあるところも良かった。 この書評を読みながら、気になった本をアマゾンの欲しいものリストに入れていたら、あっという間にリストの量が増えてしまった。 書評にしてやられ、影響されまくっている。書き手としてはきっと大成功だ。 個人的には既読の本も多数紹介されていたので、本の好み、ちょっと被ってるのかな?とも。 だからこそ未読のものをリストに入れまくってしまったのかも…
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読売新聞に掲載された、97冊の書評をまとめたものです。 勝手なイメージながら、本を読まれる印象のなかった小泉今日子さん。この書評集を読んで、様々な本を読まれていることに驚きました。 また、自分の思いを文章で表現するのも巧みですよね。 読んだことがなくても、つい読みたくなってし...
読売新聞に掲載された、97冊の書評をまとめたものです。 勝手なイメージながら、本を読まれる印象のなかった小泉今日子さん。この書評集を読んで、様々な本を読まれていることに驚きました。 また、自分の思いを文章で表現するのも巧みですよね。 読んだことがなくても、つい読みたくなってしまう。そんな本がたくさんあり、困ってしまいます。 普段読むのはミステリばかりですが、興味を持った本は何でも読んでみる。その姿勢が大事なのでしょうね。いい勉強になりました。
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小泉さんの素直な、でも時にはちょっと斜めな思いが伝わってきます。一度、飲みながらじっくり話をしてみたい、と感じる人ですね。
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ほんと、キョンキョンご書評を書いていたなんて知らなかったのだか、なぜか、書評された本を読んでみたい誘惑にかられた。これは、よい書評ということかな。
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ムクムクと本を読みたい気持ちになる書評。書評は、こうでなくては。仕事にたいして誠実で、自分のことも正直に書いていて、ますます小泉さんのことを好きになった。
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