境遇 の商品レビュー
ミステリーの要素はありつつ、ヒューマニズムにも重きを置くさすが湊かなえさんというような心理描写が光ります。
Posted by
生まれてすぐ施設に預けられた同じ境遇を持つ女性2人のきずなが感じられるストーリーだった。 寂しさを2人で励まし合い、共に強く生きていく2人の友情がとても素敵だった。 過去の過ちや不正を隠している人物たちが、自分の愛する息子・妻・親友を思って正直に打ち明けていくシーンが印象的だ...
生まれてすぐ施設に預けられた同じ境遇を持つ女性2人のきずなが感じられるストーリーだった。 寂しさを2人で励まし合い、共に強く生きていく2人の友情がとても素敵だった。 過去の過ちや不正を隠している人物たちが、自分の愛する息子・妻・親友を思って正直に打ち明けていくシーンが印象的だった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
湊かなえにしては読了後の後味はそこまで悪くなかった。施設で育った子供、ましてや犯罪者の子供なんて現実世界で出会ったことはないけれど、その子供には罪はないと信じたい。人生は自分の力で変えられると信じたい。
Posted by
境遇が似ている親友同士の陽子と晴美 「息子を返して欲しければ真実を後悔しろ」という脅迫状とともに陽子の息子が誘拐される その真実をめぐる物語
Posted by
『人は生まれた環境でその後の人生が決まるのではなく、人生は自分で作っていけるものだというメッセージを込めたい』というのが湊さんがこの作品に込めた思いだそうです。そうあるべき、そうあって欲しい。でも残念ながら実際の世の中は日本だけじゃなく、世界を見てもなかなかこの理想とはほど遠い現...
『人は生まれた環境でその後の人生が決まるのではなく、人生は自分で作っていけるものだというメッセージを込めたい』というのが湊さんがこの作品に込めた思いだそうです。そうあるべき、そうあって欲しい。でも残念ながら実際の世の中は日本だけじゃなく、世界を見てもなかなかこの理想とはほど遠い現実があるように思います。 『施設の子どもは、存在自体が非常識ってこと?』こんな問いかけから、愛人男性と別れた晴美。自分と同じように施設で一時期暮らした境遇を持つ陽子とは強い絆で結ばれていると信じています。それは陽子も同じこと。でも『私たちが親友になれたのは、同じ境遇だからなのかな 』という陽子に対して、晴美が何と答えたかがどうしても思い出せない陽子。そんな陽子に訪れた結婚の機会。陽子は悩みます。『誰と血が繋がっているのかわからない私は、何を受け継ぎ、何を引き渡せるというのでしょう。 結婚してもいいのか』これに対し晴美は、『ある日、突然、どこかから湧き出たわけじゃない。誰かのお腹から生まれてきたの。誰かと繋がっていることは確かなの。ただ、知らないだけ』と答え、陽子の肩を押します。陽子は県議会議員の妻となり、一児を儲けました。そして、陽子が描いた絵本が10万部を売り上げた時、大切な長男・裕二が誘拐され、ここまで順風満帆だった陽子の人生が激震します。 ミステリーなのでこれ以上書くのは控えたいと思いますが、この後の展開はかなり早い段階で結末の予想がついてしまいます。最後にもう一捻りが入るのですが、ちょっと強引な気もしました。また、そもそも子供が誘拐されているというのになんだか場に緊迫感がないというか、もっと皆さん焦りましょうよ!と言いたくなるもどかしさがつきまといます。そして、そもそも未成年者誘拐(3年以上7年以下の懲役)という大きな犯罪の動機があまりに弱過ぎるというかなんだかよく分からないようにも思えることなど、なんだかスッキリしない結末、読後感です。う〜ん。 でも、この作品を読んで、とても大きな収穫がありました。晴美の語りですが、『こう平静でいられるのは、陽子の母性が、自らの境遇ゆえに欠けているからなのか。それとも、境遇ゆえに人並み以上に強く備わっているからなのか。 』湊さんは、この「境遇」では実の母親に捨てられて養子として育った陽子の子育てを描く中で、母親となる人の『母性』がその生育過程で欠けたり、強弱がついたりするのではないかという点に焦点を当てています。そして、この作品の翌年に湊さんは「母性」を発表されています。この作品を経て、「母性」で一つの結論に至る湊さん。『母性』に繋がる『境遇』、人が人として生きていく中で、その基本となるべきものがどう形作られるのか、形作られていくのか。湊さんが、答えを模索されている様子が垣間見えるとても興味深い一節でした。 ということで、ミステリーとしては展開こそ今ひとつに感じましたが、湊さんがこの作品に込めようとされたこと自体は伝わってきたように思います。こうやって、作品間で作者の考え方の変遷が見れるというのも読書の面白いところだなと感じさせてくれた、そんな作品でした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
晴美と陽子の境遇が逆であれば、または晴美の調査がもっと奥まで踏み込んでいたらこの事件は発生しなかったのではないか。 まあ、正紀も誤認していたぐらいだから、それ程身寄りがいない人のルーツを正しく把握することは難しい。 ただ、この事件のおかげで正紀を含めた3人が前向きになれたのではないかと思う。 勿論、自身の境遇を誤って親友に押し付けてしまった晴美は後悔の念はあるだろうが、晴美と陽子の自身のルーツを知りたいという要求は満たしている。 この事件を経て、正紀の県議会議員人生は長く続くであろうと予測される。岩崎の人間性も良かった。 私の読んだ湊かなえの作品で最も読了後の気分が良かった作品。
Posted by
県議の妻である陽子は賞を獲って絵本作家としてデビューするが、あれよあれよという間にベストセラーになってしまい注目の作家となってしまう。しかしある日ひとり息子が誘拐される。犯人の要求は全てを明らかにして公表すること。それがなんなのか分からず親友で新聞記者の晴美に相談する。彼女らは児...
県議の妻である陽子は賞を獲って絵本作家としてデビューするが、あれよあれよという間にベストセラーになってしまい注目の作家となってしまう。しかしある日ひとり息子が誘拐される。犯人の要求は全てを明らかにして公表すること。それがなんなのか分からず親友で新聞記者の晴美に相談する。彼女らは児童養護施設で育ったという共通点を持っていた。 陽子は自分の出生について公表しろということだと解釈し、あるヒントを得てそれを追求していくとある事実がわかる。それを以前から決まっていた生放送のトーク番組で公表したのだが、そこからまた新しい真実がもたらされる。 犯人の動機にいまいち共感できないので納得感がなく終わってしまった。と言うか、身勝手。 パンチのある話ではなく印象に残るような話でもなかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
普通に読む分には、先が気になって面白い小説。 けど晴海の動機は自分勝手すぎると思ってもやもやした。 ドラマ用の書き下ろし小説らしいので、機会があればドラマも見てみたい。
Posted by
湊かなえ作品なので腹をくくって、「どこからイヤミス展開来るのかな」と今回も気構えていましたが、どうやらこの作品は感動系よりで、少々驚きつつもウルっとさせていただきました。 イヤミス展開が来ないということで、 「湊かなえの作品はなんだか怖くて読めない」 と食わず嫌いしている方にお...
湊かなえ作品なので腹をくくって、「どこからイヤミス展開来るのかな」と今回も気構えていましたが、どうやらこの作品は感動系よりで、少々驚きつつもウルっとさせていただきました。 イヤミス展開が来ないということで、 「湊かなえの作品はなんだか怖くて読めない」 と食わず嫌いしている方におすすめできる作品です。 この作品では、主人公の息子が誘拐されますが、重要なのは誘拐されたことではなくその理由。 そこに本作品において、すべてのドラマが詰まっています。 上記を把握した上で着目するべき点を間違えなければ初見でも十二分に楽しめます。 巻末の絵本「あおぞらリボン」の絵のタッチがいいかんじ。
Posted by
読みやすく一気読み。テレビ向けということで、展開もある程度想像つきましたけど面白かったです。安定の湊ワールドという感じでしょうか。
Posted by