とりかえばや物語 の商品レビュー
何となくあらすじは理解しているけれど、とりかえばやは、なかなか原文を読む機会がない。 聞くところによると、近年は高校の教科書にも載っているらしい。 漫画版も、原文を交えたダイジェストも、本書のような作家の現代語訳も読んでみると、やっぱり、一度は原文を読まねば、と思えてくる。 解...
何となくあらすじは理解しているけれど、とりかえばやは、なかなか原文を読む機会がない。 聞くところによると、近年は高校の教科書にも載っているらしい。 漫画版も、原文を交えたダイジェストも、本書のような作家の現代語訳も読んでみると、やっぱり、一度は原文を読まねば、と思えてくる。 解説にフェミニズム小説だとあるにだけれど、本当にそうなのかなあ、と疑問に思えるからだ。 男姿で宮廷生活を送るヒロインを春風、と田辺さんは名づける。 彼女の兄(原文ではどちらが上とはわからないのだろう)で、女姿で尚侍になってしまう人は、秋月、そしてこの兄妹を恋する軽薄貴公子を夏雲という。 夏雲はトリックスターというか、物語を駆動するために生み出されたような人物。 これは誰が現代語訳しようが、きっとそう。 田辺さんは、底が浅いけれど、憎めない人物、と描いていく。 逆に田辺さんの情の深さが思われる。 この、ジェンダーが逆転した兄妹に、しかし結局は振り回される話なんだよね。 たしかに、夏雲によって宇治にかくまわれた春風が、ただ待つしかない女の生き方に疑念を抱くのはフェミニズム的と言えなくはない。 一人のパートナーとの誠実な関係を望むのは、一夫多妻の時代の女性たちの願いであったのかもしれない。 ただ、それは「男」を生きることにした秋月にあっさり否定される。 「男」に目覚めた秋月は、恋の狩猟をして、複数の夫人、恋人を持つようになる。 初めて愛した女東宮も、大事にはされているのかもしれないが、大勢の中の一人に埋没する。 春風の一時味わった絶望は何だったのか、と思ってしまう。 こういうニュアンスは原文のものか、田辺さんが付け加えたものかわからない。 おそらく前者だろう、と思うけれど。
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後半はあるべき?姿に戻ったし、この時代ならこういう物語なのだろう。が、もしかれらが性同一性障害なら、という思いつきから、この人たちすっごい生きづらいだろうなぁ、なんてことを思ったり。 2018.11.3 130
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文句なしに面白かった!! ありのままでいたい気持ちが溢れていた。 本性に戻っても、春風は春風のままだった。 気高くかっこ良い。 文章がちょっと読みにくく最初は手強かったけど、ほぼ原典の忠実な訳と聞いて逆にびっくり!でした。
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一般的な とりかえばや物語 です。 読みやすいですよー。 って、今回手にとったのは、「田辺聖子」が書いたらどうなるのか? って事が興味を引いたから。 難しいことは何もなく、サラッと読めるのでオススメです。 私的には あ、こういうカンジか ですがw 出来れば…中高生に読んでもらいたいかな?
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いやいや、バレるでしょー、無理でしょー。 妊娠しながらも男装で宮中で公務って!秋月の喉仏は?とかツッコミつつ楽しく読めた。 それにしてもあの時代の女性は「女は親に従い、主人となった男に従い、老いてからは子に従え」なんて、なんて生きにくい時代だったのだろう。 とはいえ、春風は帝の妻...
いやいや、バレるでしょー、無理でしょー。 妊娠しながらも男装で宮中で公務って!秋月の喉仏は?とかツッコミつつ楽しく読めた。 それにしてもあの時代の女性は「女は親に従い、主人となった男に従い、老いてからは子に従え」なんて、なんて生きにくい時代だったのだろう。 とはいえ、春風は帝の妻となり子を産んだのでそれはそれでよかったのかな。 面白いのは男の姿に戻った秋月が光源氏のように、いろんな女性に手を出し始めるところ。男として目覚めたからには!といことなのだろうか。ゲスだなー笑
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初めて読んだとりかえばやは新釈の、氷室冴子様の「ざ・ちぇんじ!」でした。 それから中村真一郎様の本へ辿り着き、本屋さんでたまたま出会ったのがこの1冊でした。 新釈の無敵版から本来の話へ行き着き、さて…と思ったら、絶妙なオブラート加減が若い子向けな印象でした。 古典の世界へようこそ...
初めて読んだとりかえばやは新釈の、氷室冴子様の「ざ・ちぇんじ!」でした。 それから中村真一郎様の本へ辿り着き、本屋さんでたまたま出会ったのがこの1冊でした。 新釈の無敵版から本来の話へ行き着き、さて…と思ったら、絶妙なオブラート加減が若い子向けな印象でした。 古典の世界へようこそと、優しく誘ってくれる1冊です。
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漫画化されているものはいくつか読んでいるけれど、口語訳は初めて読んだ。 元々子供向けだった事もあって平易な言葉で読みやすく訳してある。 男女の姉弟がそれぞれ男装女装してそれぞれ男社会や女の園で生活しようとする、まるで最近の少女漫画に有りそうな話。 散々言われているけれど、これを...
漫画化されているものはいくつか読んでいるけれど、口語訳は初めて読んだ。 元々子供向けだった事もあって平易な言葉で読みやすく訳してある。 男女の姉弟がそれぞれ男装女装してそれぞれ男社会や女の園で生活しようとする、まるで最近の少女漫画に有りそうな話。 散々言われているけれど、これをこの時代に物語として成立させた事が本当に凄い。 平安時代の文学って自由だったんだなあ。 漫画化されているものはいずれもアレンジが加えられているので男君の結末に原典ではそうなのか!と驚くやら呆れるやら。 少々強引なハッピーエンドではあるけれど、やっぱり時代を越えても色褪せず魅力的で面白い物語。
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色々おかしいけど、一言で言うなら、まぁ相当面白い。 春風ちゃんと秋月兄さんは逆の性別で成人して、すごくうまく行ってた。 それが夏雲というチャラ男のせいでどんどん狂っていき、ついに春風ちゃんが男装不可になり、2人が元の性別に戻って相手の名前で世間に復帰。 すごく突っ込みたいのが、 どうして周りの者が気づくことが有ろうか、いや、ない。 いやいやいやいや、気づくでしょ!!!!!笑 反語使うなし笑 と吹き出しました。 冬日の姫も、まさか旦那が女だったなんて思わないよね。途中、設定のせいでめっちゃ複雑な様相を呈していた。笑 女が暇すぎた平安時代の様子を非常にわかりやすく描いたフェミニズム物語とも言えるかも。 才能を認められたかった女、いただろうしね。 それにしてもなんというか、、、 やっぱ源氏っぽさ香りまくってた。 面白い、けど、おいおい、な感じで平安文学楽しみました。
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さいとうちほさんの漫画、『とりかえ・ばや』が好きで、原作を知りたくて、現代語訳された読みやすい本を探して、この本に辿り着きました。 とにかく男たちが酷くてびっくり!笑 女性が逞しく書かれているのは、当時の作者の強い思いなのだろうなと思います。 そんな風に1000年も前の平安時代...
さいとうちほさんの漫画、『とりかえ・ばや』が好きで、原作を知りたくて、現代語訳された読みやすい本を探して、この本に辿り着きました。 とにかく男たちが酷くてびっくり!笑 女性が逞しく書かれているのは、当時の作者の強い思いなのだろうなと思います。 そんな風に1000年も前の平安時代に思いをはせることが出来るのが楽しかった。
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読了。びっくりした話であった。乱暴に概略を書くと、平安時代の貴族の話で、男の心を持った女主人公と女の心を持った主人公の異母兄が登場する。女主人公は、男と偽ってある貴族の娘と結婚するが、夫婦生活なし。貴族の娘、女主人公が、ともにプレイボーイに強姦されて、子どもを生むことになる。最後は、女主人公は、帝と結婚して幸せになる話である。むちゃくちゃな話であるが、文章がいいので、ぜんぜん下品でなかった。たぶん神様の話、神話と考えれば、なんか納得できた。アニメのアリオンを思い出した。さらに1000年前の物語であることに衝撃をうける。
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