べつの言葉で の商品レビュー
タイトルそのものズバリ☜!なエッセイ✎ . というのも英語で作品を発表していたジュンパ・ラヒリが イタリア語で作品を創るまでを綴ったエッセイなのです。 そもそもラヒリはベンガル人で母語はベンガル語だが 幼い時にアメリカに移住し英語で生活するようになった。 しかし20年前ローマに惹...
タイトルそのものズバリ☜!なエッセイ✎ . というのも英語で作品を発表していたジュンパ・ラヒリが イタリア語で作品を創るまでを綴ったエッセイなのです。 そもそもラヒリはベンガル人で母語はベンガル語だが 幼い時にアメリカに移住し英語で生活するようになった。 しかし20年前ローマに惹かれイタリア語を学ぶようになる そして40歳を過ぎてついにイタリアに移住し イタリア語に傾倒する。 . 自在に操ることができましてや評価までされていた言語を捨てるなんて!大胆! 長い間ベンガル語と英語の間で迷い苦悩していて それから逃れるためのイタリア語習得だったと語る。 . ラヒリの切実で脆い本心が 飾らない言葉で真摯に綴られており胸を打たれた。 先日より始めたメモはラヒリのコトバで埋め尽くされた。
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「なぜわたしは書くのか?存在の謎を探るため。(中略)ものを書くことはわたしにとって、人生を消化し秩序立てるただ一つの方法なのだ。」 作家が小説を書く、画家が絵を描く、作曲家が曲を作るというのは、こういう事なのだ。
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21編のエッセーと2編の短編 母語,言語の宿命を断ち切って自ら選んだイタリア語を身にまとう.その困難さや葛藤の真摯な記録.言葉を選び直して生きることは自分が変身することだという,そういう感覚は頭では理解するものの,共感しづらかった.ベンガル語,英語に引き裂かれたからこその必然だっ...
21編のエッセーと2編の短編 母語,言語の宿命を断ち切って自ら選んだイタリア語を身にまとう.その困難さや葛藤の真摯な記録.言葉を選び直して生きることは自分が変身することだという,そういう感覚は頭では理解するものの,共感しづらかった.ベンガル語,英語に引き裂かれたからこその必然だったのかな.作家だから当たり前のことかもしれないが,本当に言葉を大切にする人だと思った.
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著者が惹かれてやまないイタリア語を20年勉強した後に イタリアに移住し、イタリア語で書いたエッセイ。 両親が話すベンガル語を母、住んでいる場所で使う英語を 継母、自分で決めて勉強したイタリア語を養子に例えている。 この3つの言語による形づくられる三角形は額縁であり その中には鏡...
著者が惹かれてやまないイタリア語を20年勉強した後に イタリアに移住し、イタリア語で書いたエッセイ。 両親が話すベンガル語を母、住んでいる場所で使う英語を 継母、自分で決めて勉強したイタリア語を養子に例えている。 この3つの言語による形づくられる三角形は額縁であり その中には鏡があり著者が写し出される、がその姿は 明確ではなく空白であり不確かである、それを埋めたいと 思う衝動が著者を創造へと駆り立てる。 言語が変わろうとも、ラヒリはラヒリと分かる一冊です。
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素晴らしかった。 ラヒリ曰く、外国語を学ぶことは湖を泳ぐこと。考えてみたら言葉を生業とするひとが、別の湖畔を目指したくなるのは至極自然なことなのかもしれない。水で繋がっているのだから。 そして、その探求の始まりは、二重のアイデンティティからの逃避だと言う。生まれたときから英語...
素晴らしかった。 ラヒリ曰く、外国語を学ぶことは湖を泳ぐこと。考えてみたら言葉を生業とするひとが、別の湖畔を目指したくなるのは至極自然なことなのかもしれない。水で繋がっているのだから。 そして、その探求の始まりは、二重のアイデンティティからの逃避だと言う。生まれたときから英語を話す一流作家が、見た目から英語を母国語だと思われない。深いテーマを内包した秀作エッセイ。
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心が震えるほど素晴らしいエッセイ。 言語とは。母語とは。 言葉を持つ、全ての民族の人に読んでほしい。
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笑えたり、共感したり。作者のルーツにおける、もとい言語における孤独。私は国はひとつだけど、気持ちはよくわかる。あと、書く仕事をはじめた身としては、日々言葉に向かう苦労に共感した。表現語彙を積み上げていく、選定する、その作業。たまにイライラするけれど、世界が広がったとき、積み上げら...
笑えたり、共感したり。作者のルーツにおける、もとい言語における孤独。私は国はひとつだけど、気持ちはよくわかる。あと、書く仕事をはじめた身としては、日々言葉に向かう苦労に共感した。表現語彙を積み上げていく、選定する、その作業。たまにイライラするけれど、世界が広がったとき、積み上げられたときの感覚が嬉しい。それを外国語でやるというのだから、すごい。言語に向かい合う態度が違う。
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インド系アメリカ人の著者がイタリア語を学ぶこと通じ、マイノリティーの人生を語るエッセイ。 額縁の中の空白をうめるのが彼女の創作の源泉か。
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ベンガル人の両親のもとロンドンで生まれ幼い頃に渡米しているジュンパ・ラヒリの中には、両親から受け継がれたベンガル語と、完璧に話すことができる英語という二つの言語が流れています。 とりわけ彼女にとっての英語は作家としての成功へと導いてくれた言語でもありますが、彼女の物語の中で、他...
ベンガル人の両親のもとロンドンで生まれ幼い頃に渡米しているジュンパ・ラヒリの中には、両親から受け継がれたベンガル語と、完璧に話すことができる英語という二つの言語が流れています。 とりわけ彼女にとっての英語は作家としての成功へと導いてくれた言語でもありますが、彼女の物語の中で、他の国のルーツを持つ人の内面、かすかで繊細なやりとりなどが空気感を含めて描写されていることからもわかるように、この二つの言語は、彼女自身が内外に感じる所在なさ、存在としての不安を強く意識させるものでもあったようです。 『べつの言葉で』は、そんな思いを抱えていた彼女が初めてフィレンツェを訪れて以来恋い慕い、20年間学び続けたイタリア語で紡いだエッセイであり、アメリカを去ってイタリアで出会った人や風景、何より自ら「泳ぐこと」を選んだイタリア語への、湿度さえ感じられるような慕情で埋め尽くされています。 単調な紀行文に染まらず、短い文章ながらも(新しい言語でものを語ることの難しさは、本書にも丁寧に綴られています)落ち着いた速度で読み進められたのは、自身にとっての新しい海であるイタリア語でベースにある二つの言語への思いを並べ、その工程で生じる「(自分で感じてきた)不完全」が彼女にもたらすそれぞれの違いを素直で平明な言葉で表現する、という、まるで建物の断面を思わせるような構成のせいだと感じます。 彼女の初めての長編『低地』は、読書に夢中になる気持ちを思い出させてくれた作品でした。 このエッセイや今までの作品はもとより、インタビューを読んでも強く余韻を残すのは、彼女の人生に対する静かな視線と、誠実さです。 彼女はイタリアのことを「居心地がいい」と表現していますが、彼女の筆致は、私にも同じ言葉を連想させてくれます。
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「停電の夜」などの作品を書いた著者が、英語を捨てアメリカからイタリア・ローマへ移住。完ぺきではないイタリア語で日常生活も仕事にも臨んでいく日々をイタリア語でつづる。もちろん日本語に訳してありますが。 同じアメリカ人でありながら、スペイン語に堪能なご主人のイタリア語は、勉強には不熱...
「停電の夜」などの作品を書いた著者が、英語を捨てアメリカからイタリア・ローマへ移住。完ぺきではないイタリア語で日常生活も仕事にも臨んでいく日々をイタリア語でつづる。もちろん日本語に訳してありますが。 同じアメリカ人でありながら、スペイン語に堪能なご主人のイタリア語は、勉強には不熱心なのにインド系のアメリカ人である著者よりうまくネイティブのように聞こえるらしい。 著者の決断の深いところは、よくわからなかったけどすごい決断だなあ。
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