よだかの片想い の商品レビュー
顔にアザがある女性の物語。 島本さんの本は読みやすく、さらっと読める。 主人公の女性は、強いけど弱い。物語を通して成長していくが、まだまだ自分を知ることが出来ていない。 主人公に感情移入することは難しい。もちろん、僕自身顔にアザは無い。 主人公は小学生の時に、顔のアザがコン...
顔にアザがある女性の物語。 島本さんの本は読みやすく、さらっと読める。 主人公の女性は、強いけど弱い。物語を通して成長していくが、まだまだ自分を知ることが出来ていない。 主人公に感情移入することは難しい。もちろん、僕自身顔にアザは無い。 主人公は小学生の時に、顔のアザがコンプレックスだと知る。この時、誰もが(自分も他人も)コンプレックスだと認識してしまうものに、アザはなってしまう。 人は誰しも、大なり小なりコンプレックスがあると思う。 今回の主人公は、アザがあることで、過大にコンプレックスを感じ、しかし、そのコンプレックスを自ら改善する努力や、それを受け入れるだけの覚悟も無い。最初は中途半端な感情にいる。 こんなことを言えるのは、自分が男であり、アザがないからと言われればそれまでかもしれない。 主人公は最後に、アザを消さないことを決断する。 幼い頃に、アザを消す治療が痛くて、トラウマだったことで、逃げていた治療という選択肢と向き合って、消さないことを決断をする。
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顔に大きなアザがある女の子(アイコ)の話。芯が強く真っ直ぐに生きるアイコに好感を持った。映画監督の飛坂は彼女のそんなところに惹かれるが、気まぐれで自己中心的。自分が好かれていることをいいことに、突然の呼び出しや約束の反故をすることも多い。どれだけ相手のことを好きでも、ぞんざいな扱...
顔に大きなアザがある女の子(アイコ)の話。芯が強く真っ直ぐに生きるアイコに好感を持った。映画監督の飛坂は彼女のそんなところに惹かれるが、気まぐれで自己中心的。自分が好かれていることをいいことに、突然の呼び出しや約束の反故をすることも多い。どれだけ相手のことを好きでも、ぞんざいな扱いをされ続けると自分が磨耗してしまう。大切なのは、嫌なところが何個もあったとしても、一緒にいたい人と一緒にいること。それも大切だけれど、大前提は、お互いを尊重し合っていることだと思う。
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愛し愛される結末に解決を求めるのではなく、自らが自らであることを受け止め前に進む姿に心惹かれた。島本作品の女性はいつだって羨ましくなるほどに強くて美しい。
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身体的なコンプレックスを抱える者には共感できる内容。タイトルから終わりは想像できたが...。弱さの受容と依存、強さの社会性と自己防衛。人はそんなに器用には振舞えないし、分かってもらえるとも考えていない。そんな葛藤とストレートな恋情が描かれた良作。読後感も良です。
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強かった。アイコちゃん強かった。 自分のあざを消さない、という決断。別れという決断。 その選択をしたことで失うたくさんのことを思うと本当に逃げ出したくなると思うけど、自分を本当に愛するってこういうことなんだろうな、と思う。
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一緒にいることっていうのは相手をその間ずっと肯定すること、みたいなセリフが好き。登場人物みんな優しいけど人と人である以上分かり合えない部分があるし、社会で生きる以上世間的な目線を完全に捨て去って目の前の1人だけを見つめることは難しい。でもできるだけそうしたい。
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P208「私、登坂さんのこと、すごく好きでした。同じくらい好きになってもらえなくてもいい、て、そう思ってたんです。でもね、ずっとずっとそれじゃあ」「夢見たいでした。あなたに会えて、付き合えて」 P209出会った頃だったら、私はこの言葉だけで、一生、満足できただろう。でも、今は知ってしまった。求められることの幸福を。そうしたら、もっと欲張りになっていた。約束は守ってほしいし、私と会うことを一番楽しみにしていてほしい。相手にも、こちらが想うのと同じくらい、好きになってほしい。付き合っているのに、片想いみたいな現状じゃなくて。もう前の私には戻れない。それはわがままじゃなくて、自分にとって必要な変化だと思うから。
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読んでみたいと思っていた作家さんのひとり。 初めて読んだのが、この『よだかの片思い』 顔に大きなあざのある大学院生のアイコ。 「顔にあざや怪我をおった人」をテーマにした本の取材を受け、その本の表紙に。 それをきっかけに、恋愛には心を閉ざしていたアイコが、映画監督の飛坂に恋をする...
読んでみたいと思っていた作家さんのひとり。 初めて読んだのが、この『よだかの片思い』 顔に大きなあざのある大学院生のアイコ。 「顔にあざや怪我をおった人」をテーマにした本の取材を受け、その本の表紙に。 それをきっかけに、恋愛には心を閉ざしていたアイコが、映画監督の飛坂に恋をする。 ミステリーが大好き。 ほっこりした話が大好き。 そして、ラブストーリーが大好き。 この本はすっぽりとはまりました。 一気読み。 島本さんの他の本も読んでみたい。
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コンプレックスと恋愛を重ねた女性が 変化を感じながら感情を覚えていくお話。 文体はシンプルですらすらと読了。 起こり得そうな、でも少し手が届かないような そんなシチュエーションの設定が 親近感を覚える作品。 浸れる、とか呑み込まれる、といったような 惹きつけられる瞬間は無か...
コンプレックスと恋愛を重ねた女性が 変化を感じながら感情を覚えていくお話。 文体はシンプルですらすらと読了。 起こり得そうな、でも少し手が届かないような そんなシチュエーションの設定が 親近感を覚える作品。 浸れる、とか呑み込まれる、といったような 惹きつけられる瞬間は無かったが コンプレックスに対して共に歩む姿勢や 憧れに恋い焦がれる主人公の様子は共感しやすい。 「一緒にいるっていうのは、 相手を肯定しながら同じ場所にいること」 「もし原田君のことを好きになっても、 ならなくても、 今日という日を永遠に忘れない。」
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ちょうど主人公と同じく顔にアザを持っている人たちのニュースを見ていてそういうハンディ?を持っている人にぜひ読んでほしい作品です。 恋をしていきながら成長するリケジョの姿はとても好印象です。 等身大、普通の言葉で書かれていて誰しもが登場人物の誰かに共感できる物語です。
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