けもの道の歩き方 の商品レビュー
前作の「僕は猟師になった」を大変面白く読ませてもらったその少し後、著者のドキュメントをテレビで見た。猟の際に獣と格闘し足に大怪我した著者が、手術すれば元通りになるにも関わらずあえて手術をせず障害を受け入れるという、野生動物に対する真摯な生き様に頭の下がる思いがしたものだ。 さて、...
前作の「僕は猟師になった」を大変面白く読ませてもらったその少し後、著者のドキュメントをテレビで見た。猟の際に獣と格闘し足に大怪我した著者が、手術すれば元通りになるにも関わらずあえて手術をせず障害を受け入れるという、野生動物に対する真摯な生き様に頭の下がる思いがしたものだ。 さて、本書。 猟師である著者の日々の生活、思想、日本の狩猟の現状や狩猟の対象となる身近な動物たちの生態などを詳しく教えてくれる。 そして獣害問題。里山の衰退による野生動物の増加と生活域の拡大、生態系の最上位にいた狼が絶滅したことや猟師の減少等によってますます深刻化している。外来生物の被害等も含め問題は山積だ。 ただ、里山の減少が社会の現代病のように思われているが実は理想的な里山が存続していたのは戦前の一時的なことで、それよりも古い時代にも獣害対策は大きな問題だったことは意外な事実で、現代の状況だけが特別に困難なのではなくて過去もそうだったように一つ一つ積み重ねていくことに対する希望のようなものも読み取れる。 自分も京都市近くに住み、しょっちゅう山遊びをさせて頂いている。また、自分たち家族が食べる野菜の少しくらいは借りた畑で作ったりしている。著者ほどの豊かな人生は送ってはいないけれど豊かな自然と恵みに感謝する気持ちが湧いてくる。 「僕が狩猟を続ける理由はいろいろあるが、そのうちの一つに自然界の生態系の中に入っていきたい、野生動物の仲間に混ぜてもらいたいという思いがある」著者がこの通りに生きていることに対するうらやましさとともに畏怖の思いを禁じえない。 動物の挿絵も美しい。
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運送業の傍ら猟師をしている筆者。「自分や家族が食べる肉は自分で調達したい」という純粋な気持ちで猟をしている。その体験を通して自然と人間との関わりや猟のルールを語る。 数多くの動物が登場し、猟を通して彼らの生態が紹介される。筆者が「ずっと森の中を歩いていると森のちょっとした変化に...
運送業の傍ら猟師をしている筆者。「自分や家族が食べる肉は自分で調達したい」という純粋な気持ちで猟をしている。その体験を通して自然と人間との関わりや猟のルールを語る。 数多くの動物が登場し、猟を通して彼らの生態が紹介される。筆者が「ずっと森の中を歩いていると森のちょっとした変化にも気づくことができる」というのが何となくわかる。人間も猟のために森に入って行くと、自然の中の一部になっていくようだ。 「獣害はあっても害獣はいない」や、人間の生活に影響された動物はその肉にも当然影響が出るため「完全な自然食」などない、などの言葉に説得力がある。そして植物と動物の食物連鎖の中に、人間もその一部として繋がりがあると思わされる。 動物の生態から昔話の類いが生まれていることや、所々笑わせてくれる描写もあり、非常に読みやすく、そして「自然の一部である人間」を考えさせてくれる良作。
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日々自然の中で暮らしているからこそわかる感覚的なことと、データなどの理論的なことがどちらも書かれていて、納得できる文章だった。データだけではなく現場を見ること、経験だけではなくデータも用いることで特にこうしたテーマは伝わりやすいのではないかと感じた。
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実際に狩猟を行っている著者が、現在の狩猟環境や狩猟に対する思いや葛藤を一冊にまとめてくれている。 実際に山で暮らしていないと分からない事々を読者にわかりやすく紹介してくれており、読んでから本書内容の諸々について読者自身が色々考えるきっかけを与えてくれる本で、僕みたいに山暮らしして...
実際に狩猟を行っている著者が、現在の狩猟環境や狩猟に対する思いや葛藤を一冊にまとめてくれている。 実際に山で暮らしていないと分からない事々を読者にわかりやすく紹介してくれており、読んでから本書内容の諸々について読者自身が色々考えるきっかけを与えてくれる本で、僕みたいに山暮らししていないが自然好きな人は読む価値がありだなって思った。 一番印象的だったのは、自然の多様化について美しい里山が本当に素晴らしいのかという問いで、自然環境は人間が結論付けられるものじゃないんだなって感じた次第であった。
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理想的な自然との付き合い方だと思った。前作より考え方が進んでいて素晴らしい。角幡くんにまったくなく、服部文祥に少し足りないのはこの人のような知性だ。
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畑の鹿害をなんとかしたくて読み始めた本。自然とのつきあい方を根本的に考え直した方がよさそう、と思いました。
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「ぼくは猟師になった」の人。 前の本は、猟師になったワクドキと、どうだいいでしょう(ニヤリ)的な、まあ一種自慢げな話だったけど、この本ではだいぶオトナになったというか、シカやイノシシにまつわる過繁殖とか生息域とか、環境問題などを憂える内容になっている。 まあ単眼的には行政の施...
「ぼくは猟師になった」の人。 前の本は、猟師になったワクドキと、どうだいいでしょう(ニヤリ)的な、まあ一種自慢げな話だったけど、この本ではだいぶオトナになったというか、シカやイノシシにまつわる過繁殖とか生息域とか、環境問題などを憂える内容になっている。 まあ単眼的には行政の施策への問題提起ではあるけれども、長期的には人間の活動そのものが引き起こす、自然破壊の問題につながっていく。 スギなどの針葉樹林だけでなく、広葉樹林も人間が改変してきた結果である。それらが荒れ果てて、獣たちの棲む場所がなくなったり、キクイムシが繁殖する。 人間が困るから害獣に認定されたりするのだが、だが獣は害をなしているのだろうか。 人間にとっては、その辺の答えは難しいところだろう。
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美しい景観の里山は人間が自分たちに都合よく作り上げた不自然な山だった。なるほどそうだったかもしれない。 動植物、自然環境に対する洞察、着眼に目からうろこが落ちる思いがする。さらに自分が食べる肉は自分で獲物を狩って自分でさばいて食べるという、基本的とも思える生き方や考え方に深く...
美しい景観の里山は人間が自分たちに都合よく作り上げた不自然な山だった。なるほどそうだったかもしれない。 動植物、自然環境に対する洞察、着眼に目からうろこが落ちる思いがする。さらに自分が食べる肉は自分で獲物を狩って自分でさばいて食べるという、基本的とも思える生き方や考え方に深く共感した。 市の図書館から借りて読んだけれど、これは蔵書として本棚に置きたい。
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数少ない日本の肉食獣としての誇りをだなぁ。日本人は生態系の頂点としてのノブレスオブリージュを失っていることが品格うんぬん。 人って獣を恐れるけれど、人間といういきものは大型生物として、強者なんだよね。そこには誇りがあるべきなのに、あまりに群れて多いから良さ薄弱なんだよ...
数少ない日本の肉食獣としての誇りをだなぁ。日本人は生態系の頂点としてのノブレスオブリージュを失っていることが品格うんぬん。 人って獣を恐れるけれど、人間といういきものは大型生物として、強者なんだよね。そこには誇りがあるべきなのに、あまりに群れて多いから良さ薄弱なんだよね。 脱ゆとり。 それは生態系レベルでの脱ゆとりを目指すべきである。 そう思った本。
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『ぼくは猟師になった』や千松さんのトークが面白かったので手に取った。 今作は、もとは連載モノなのでやや話が断続的だったが、心に残るフレーズや指摘が多い。 一見、一服の清涼剤的な一冊かと思いきや、出典を丁寧に整理しつつ自らの考えもふんだんに添えて、力のこもった作品なのかもしれない。...
『ぼくは猟師になった』や千松さんのトークが面白かったので手に取った。 今作は、もとは連載モノなのでやや話が断続的だったが、心に残るフレーズや指摘が多い。 一見、一服の清涼剤的な一冊かと思いきや、出典を丁寧に整理しつつ自らの考えもふんだんに添えて、力のこもった作品なのかもしれない。 林業・狩猟にかかわる政策についてとか、生物の生態や過去における人との付き合い方についての話は、それはそれで面白い。また、ヌートリアやハクビシン、カモといった関心ある生き物の生態等についてもまとめられていて勉強になった。 でもやっぱり、ワナにかかった獲物にとどめをさすときに脳裏に浮かぶという思い・感情(「気持ちのゆらぎ」)は、それにもまして印象的。 愛着をもっていたニワトリをキツネにくわえられて持ち去られたシーンで子供が号泣したという話、あるいはサルさえもいなくなると寂しいという話もそう。 また、原発による汚染には言及しつつも、「反原発」への違和感を唱えているのには説得力がある。いわく、都市偏重のライフスタイル(あたかも「都市に汚染が影響することだけがいやだ」といわんばかりの)自体問題だ、と。 現地で考えた環境倫理、といった風な良書。
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