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等伯(上) の商品レビュー

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41件のお客様レビュー

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2015/09/19

安土桃山時代から江戸時代初期にかけての絵師・長谷川等伯の生涯を描いたこの本、7月に読んだ「何者」と同じ時に直木賞を受けているが、文庫化なったので読んでみた。 能登地方で絵仏師としてそれなりの評価を得ながらそれに飽き足らず、狩野派への強烈な対抗心に追い立てられ都で修行することを焦る...

安土桃山時代から江戸時代初期にかけての絵師・長谷川等伯の生涯を描いたこの本、7月に読んだ「何者」と同じ時に直木賞を受けているが、文庫化なったので読んでみた。 能登地方で絵仏師としてそれなりの評価を得ながらそれに飽き足らず、狩野派への強烈な対抗心に追い立てられ都で修行することを焦るあまり、浅はかな行動から養父母を死なせてしまい、故郷を追われるように京都へ向かう。 敦賀から湖西の山中を経て比叡山に到る道行きは、かつてその辺りに住んでいたこともあって景色が目に見えるような親近感も含め、一気呵成に読み下す。 都に住み着いてからも、信長が権力を恣にしていく中、一難去ってまた一難の展開は恰も冒険小説の趣。 絵師としての才能に恵まれ、困った時には絵を描いて糊口をしのぎ、異常さや異様さの中に人間の本質を見極めようとする性により手痛い失敗をし都度悔やみながらも、それを忘れて同じ失敗をする。 そうした行動がこれでもかと描かれ、主人公の人物像を際立たせるが、私には危なっかしくて、いまいち魅力を感じるに至らず。 どうなることやら下巻に期待。

Posted byブクログ