等伯(上) の商品レビュー
★4.5 2021.12.02 感想は下巻にまとめた。 ↓↓↓内容↓↓↓ 能登七尾の畠山家に仕える武士の家に生まれた信春は、10歳で長谷川家の養子になる。養父は絵師でもあり、信春も若いころから絵仏師として名声を得ていた。だが信春は地方の絵仏師で埋もれるつもりはなく、京に出...
★4.5 2021.12.02 感想は下巻にまとめた。 ↓↓↓内容↓↓↓ 能登七尾の畠山家に仕える武士の家に生まれた信春は、10歳で長谷川家の養子になる。養父は絵師でもあり、信春も若いころから絵仏師として名声を得ていた。だが信春は地方の絵仏師で埋もれるつもりはなく、京に出て天下一の絵師になるという野望を持っていた。そんな折、畠山家の内紛に巻き込まれて養父母を失い、妻子を連れて生まれ故郷を出る。そうして各地を転々とし、信長との確執もありながらついには洛中で絵師として身を立てる。だがその後も、狩野永徳との対立、心の師と仰ぐ千利休の自刃、息子の死など、次々と悲劇が信春を襲う。そうして彼がたどりついたのが、六曲一双の「松林図屏風」だった――。直木賞受賞、長谷川等伯の誕生を骨太とに描いた傑作長編。
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良く言えば「どっしりと重厚感がある」、 悪く言えば「いつまでもグズグズしている」…。 全体的に画面が暗いイメージ。 ちょっとお腹いっぱい。とりあえず下巻へ。
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長谷川等伯。これまでテレビ(美の巨人たちなど)で、代表作の「松林図屏風」を見たことはありましたが、彼の人生についてはほとんど知りませんでした。 天才肌ですが不器用で一本気なこともあり、若いころから苦労が絶えません。戦国時代の時代の波にも翻弄されます。それでも、高い壁に阻まれる度...
長谷川等伯。これまでテレビ(美の巨人たちなど)で、代表作の「松林図屏風」を見たことはありましたが、彼の人生についてはほとんど知りませんでした。 天才肌ですが不器用で一本気なこともあり、若いころから苦労が絶えません。戦国時代の時代の波にも翻弄されます。それでも、高い壁に阻まれる度に、悩み成長していく姿に感銘を受けます。ラストでは、代表作「松林図屏風」が描かれますが、まさに命を懸けた作品だったのですね。 等伯は北陸七尾の出身で、作品の中にも出てくる地方社会の湿り気と粘着さに悩みながらも、生涯、故郷に思いを寄せ続けます。同じ日本海側出身の人間として理解できるところです。 信長、秀吉、利休などの有名人も登場するストーリーに引き込まれて一気読み。いいですね。
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絵の世界ではトップに君臨する狩野派に対し1人で立ち向かい名声を得た長谷川等伯とはどんな人物だったのだろう。そしてどうやって登り詰めたのだろうと興味をもって読んでみた。 上巻では、能登の絵仏師だった信春(等伯)が命を脅かされるような数々のできごとの中で妻と子を守り、都へ出て絵師を目...
絵の世界ではトップに君臨する狩野派に対し1人で立ち向かい名声を得た長谷川等伯とはどんな人物だったのだろう。そしてどうやって登り詰めたのだろうと興味をもって読んでみた。 上巻では、能登の絵仏師だった信春(等伯)が命を脅かされるような数々のできごとの中で妻と子を守り、都へ出て絵師を目指す姿を描いている。 次から次へと巻き起こる恐ろしい問題、しかしその中でも心温まる嬉しいできごとがいくつも訪れて、グイグイとストーリーに引き込まれてしまう。 著者は当時の政治権力図や世の中の動きをそうとう詳しく調べてこの小説を書いているように感じる。能登や京都の地理についても細かく丁寧に描写しており、光景が目に浮かぶようだ。 下巻はいよいよ等伯が活躍を見せるところであり、読むのが楽しみである。
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同郷の絵師ということで遅ればせながら。 歳を重ね、ようやく自分も歴史小説を読むだけの力がついてきたので。 長谷川等伯の波乱に満ちた人生。 一つ描くのに大きな葛藤、苦悩がある。 だからこそ出来上がった絵には魂が込められている。こうした作品が現代まで残っていると思うとなんか感動。...
同郷の絵師ということで遅ればせながら。 歳を重ね、ようやく自分も歴史小説を読むだけの力がついてきたので。 長谷川等伯の波乱に満ちた人生。 一つ描くのに大きな葛藤、苦悩がある。 だからこそ出来上がった絵には魂が込められている。こうした作品が現代まで残っていると思うとなんか感動。 歴史小説を読むといつも思うけど、本当に真っ直ぐな人が多い。心が澄んでるというか。物があふれ欲にまみれた現代からすると、とても美しく見える。 等伯の絵もっとちゃんと見とけばよかった。 今度見よ。 後半も楽しみ。
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上下巻合わせて約1000ページ。読書した満足感を得られる。 →https://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12085621661.html
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
長谷川信春、のち、等伯。 京で狩野永徳と天下一の画匠の名を競った人物だ。先祖代々狩野派として、狩野の画風を守り、発展させてきた永徳と、新進気鋭の長谷川の闘いだ。どのように長谷川が画に取り組んできたかがわかる一冊だ。 内容の半分は、有名な寺院や公卿屋敷の襖画の受注を巡っての永徳と等伯の競り合いだ。 人はそれぞれ重荷を背負いながら一日一日を懸命に生きている。大切なのはその生きざまであって、地位や名誉を手にすることではない。色々な政争にも巻き込まれながら、等伯は考え、反省しながら画も人間性も成長していくのだった。 利休の茶の道を曲げないために進んで死を受け入れたことにたいし、等伯は自分の考えをまた、ひとつ飛躍させることができた。志が高い者ほど、遠い苦難の道を歩き続けることができる。その先に何が待っているか分からないが、歩き続けることこそ人にできる唯一のことだと、等伯は感じたのだ。それは、画のために苦しむことができる我が身を喜ぶことだ。死んだ者の何もかも引き受けて捨身の筆を奮えばいいのだと。 この小説は、政争が多く、少しうんざりするところもあるが、それを吹き飛ばす心地よさは、なんといっても、等伯の息子の久蔵の成長ぶりだ。等伯や等伯の後妻清子への心づかいにほっとする。 そして、伏見城に、自分の命を懸けて描いた松林図屏風(国宝)を秀吉に献上した。それを見た、秀吉始め、家康、利家らは涙し、自分たちが如何に多くの人を傷つけ、如何に多くの業を背負って生きているか、痛感したという。なかなか、見事な終わり方だった。著者の他の作品も読んでみようと思う。 全二巻
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御朱印をいただくようになってから、寺社を訪れて美術品に接する機会も増えていきました。 長谷川等伯、と聞いても以前は「あぁ、智積院の…」という程度の知識しか持ち合わせていませんでしたが、こうやって小説で読むと、長谷川等伯という人の息遣いが感じられるようになります。 どういう時代...
御朱印をいただくようになってから、寺社を訪れて美術品に接する機会も増えていきました。 長谷川等伯、と聞いても以前は「あぁ、智積院の…」という程度の知識しか持ち合わせていませんでしたが、こうやって小説で読むと、長谷川等伯という人の息遣いが感じられるようになります。 どういう時代を生き、何を愛し、何を悔いて生きたのか…それを感じると、途端に等伯の絵に会いたくなります。 フィクションも含まれてはいるでしょうが、とても面白かったです。 僕は東京美術の『もっと知りたい長谷川等伯』を傍らに置いて、時に読み比べながら進みました。 上巻は、織田信長が本能寺の変で斃れ、豊臣秀吉が天下を取るまでの時代、治世が秀吉に変わったことにより信春(等伯)が罪を赦され、京都へ戻るまでを描いています。
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信長、秀吉、家康とその時代の権力者に仕えた等伯。絵師の間での壮絶なたたかいを描いた渾身の歴史小説です。等伯や永徳の絵がさらに魅力的に見られるようになります。
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何と無く歴史小説に近いのかと敬遠していたけれど、とんでもない。読み始めたら止まらない。 何より主人公、長谷川等伯のキャラクターが面白すぎる。天才のお話。
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