アニバーサリー の商品レビュー
孤独な若い妊婦の真菜と大家族育ちのおばあちゃんコーチ晶子。 マタニティースイミングスクールで薄い縁を繋いだだけなのに、震災という大きな困難が二人を引き合せる。 昭和で平和も戦争経験した晶子、平成で豊かな地獄を送ってきた真菜。 女性が働きたいと願う動機も、働く事で抱え込む困難も...
孤独な若い妊婦の真菜と大家族育ちのおばあちゃんコーチ晶子。 マタニティースイミングスクールで薄い縁を繋いだだけなのに、震災という大きな困難が二人を引き合せる。 昭和で平和も戦争経験した晶子、平成で豊かな地獄を送ってきた真菜。 女性が働きたいと願う動機も、働く事で抱え込む困難も理解できる。 女性には勿論ダイレクトに刺さるが、敢えて男性に読んで欲しい。読書こそエンパシーだと思う。
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戦後を生きた女性と心を閉ざしたシングルマザーの話し。 古き良きなんて言われるものが全て素晴らしいとは思わないけど、豊かさと引き換えに失われたものってあるんだろうなぁ、なんて。 人との繋がりが如何に大事かって認識する一冊でした。
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3世代のそれぞれの女性。物語は震災が起きた日から始まり、それぞれの昔話へ。そしてその先に続いていく。戦争とか震災、親との確執、妊娠出産。劇的な展開があるわけではないけれど読みやすくさくさく読めた。誰にも感情移入出来る話ではなかったけど千代子さん好き。笑 岸本は結局いい人では無かっ...
3世代のそれぞれの女性。物語は震災が起きた日から始まり、それぞれの昔話へ。そしてその先に続いていく。戦争とか震災、親との確執、妊娠出産。劇的な展開があるわけではないけれど読みやすくさくさく読めた。誰にも感情移入出来る話ではなかったけど千代子さん好き。笑 岸本は結局いい人では無かった。
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長編のわりには、あまりおもしろくはなかった。 晶子の章は、昭和の時代を生きる女性のドラマのようでそれはそれでおもしろかったのだが、真菜の章はなんだか・・・。 真菜がどういう女性か最後までよくわからないというか。何を考えているのかわからないというか。 それに引き換え、千代子はさっそ...
長編のわりには、あまりおもしろくはなかった。 晶子の章は、昭和の時代を生きる女性のドラマのようでそれはそれでおもしろかったのだが、真菜の章はなんだか・・・。 真菜がどういう女性か最後までよくわからないというか。何を考えているのかわからないというか。 それに引き換え、千代子はさっそうとしたハツラツとした人で、こういう人といれば真菜も少しは明るくなるのではないかと思った。 ここまで書いてわかったけど、真菜には明るさがないのね。何を考えているのかわからないと私が思ったのも、明るさがないからだ。 お母さんは元気でないとね。元気になってほしい。
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東日本大震災は、多くの作家さん達にも衝撃を与えました。こちらの作品も震災後の執筆とのことで、当時の混乱した様子や、崩れた日常生活が、小説に読む事ができます。 第一章では、70歳をすぎても、お元気にマタニティスイミングのコーチとして、新米妊婦さん達のアドバイスを続ける女性、晶子の半...
東日本大震災は、多くの作家さん達にも衝撃を与えました。こちらの作品も震災後の執筆とのことで、当時の混乱した様子や、崩れた日常生活が、小説に読む事ができます。 第一章では、70歳をすぎても、お元気にマタニティスイミングのコーチとして、新米妊婦さん達のアドバイスを続ける女性、晶子の半生を。戦争直後から昭和の成長期を、彼女の当時の家庭生活を通して、描いていきます。これは、「ヤンババの出産・子育て知恵袋」の金澤直子さんの人生に近いものでしょうか。 第二章では、平凡な主婦だった母親が、その料理センスからお料理タレントとして成功していき、一般的家庭から乖離した少女時代を過ごしたカメラマンの女性、真菜。母親との隔たりは、今なお続いている。願わぬ妊娠をするが、一人で産み育てようとしている。 第三章で、震災は、多くの犠牲をだし、社会は混乱する。孤立した真菜へ、晶子や彼女の幼なじみの女性達が手を差し伸べる。最初は躊躇していた真菜も、その手助けを受け取る。 親から受けたい愛情は、子供によって違うのかもしれない。親の背中を見て、そんな言葉は死語かもしれない。それでも、一人では、できない時は、誰かの助けが欲しい。
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重い、重い、重い、、、、。 いろいろな場面が刺さりすぎて、 一晩置いて、解説を再読して今に至ります。 第一章の晶子の戦時中のシーンに入った時は、 「あれ、思ってたんと違う、読了できるかわたし!」 となったけど、 気づけばあれよあれよと言う間に窪美澄ワールド。 みんな多分背景...
重い、重い、重い、、、、。 いろいろな場面が刺さりすぎて、 一晩置いて、解説を再読して今に至ります。 第一章の晶子の戦時中のシーンに入った時は、 「あれ、思ってたんと違う、読了できるかわたし!」 となったけど、 気づけばあれよあれよと言う間に窪美澄ワールド。 みんな多分背景があって行動に至っていて、 誰も悪くないんだよな、、と思いつつ、 晶子と真菜の孤独に自分が重なって本当に辛かった。 ラストの真菜は周囲の手を借りて顔を上げれたけど、 本当の家族とは最後まで交われなくて、なんだか救われない思い。。 この本の女性たちの境遇にグサグサ共感するけど、 こういう時どう行動したら救われるのかな、の問いが最後まで自分で出せなかった。 小島さんの解説の 「自分が正解だと思ったしあわせの形が、大事な人を追い詰めることもある。」の言葉を胸に刻みます。 どんな状況であっても、 命あるものを祝福したいね。
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自分が真菜みたいに、子供の頃からタッパーの料理ばかり食べてたら、今の自分とは全く別人に育っていたんだろうなぁと思います。 様々な事情や考えがあって一緒にご飯が食べられないと思うんですけど、出来るだけ一緒にご飯を食べられるようにしたいと思いました。
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遅ればせながら最近、窪 美澄さんを知って嵌まってしまい過去の作品も立て続けに読んでいます。 この作品もとても良かったです。 マタニティスイミング講師の晶子。 有名な料理研究家を母に持ち何一つ不自由なく育ちながらも家族愛に恵まれないシングルマザーでカメラマンの真菜。 この二人が...
遅ればせながら最近、窪 美澄さんを知って嵌まってしまい過去の作品も立て続けに読んでいます。 この作品もとても良かったです。 マタニティスイミング講師の晶子。 有名な料理研究家を母に持ち何一つ不自由なく育ちながらも家族愛に恵まれないシングルマザーでカメラマンの真菜。 この二人が軸となり物語が展開して行きます。 現在75歳になる晶子が幼少時に体験した第二次世界大戦 晶子と真菜が遭遇した3.11の東日本大震災・福島原発事故。 晶子はマタニティスイミングの先駆者金澤直子さんがモデルになっておりそこに実際に起きた出来事が織り込まれているのでフィクションと言えどもリアリティーがあり、ストーリーにのめり込んで一気読みでした。 登場人物が少ない事もあり、それぞれのキャラが非常に解りやすく、特に晶子と真菜のシーンでは絶えず脳内映像で二人が動いていました。 窪 美澄さんの作品を読ませて頂いていつも感じる事なのですが、底知れぬ暗さの中に確実に力強さが存在していて救いがない場面でも強く引き込まれてしまいます。 おせっかいな晶子、自暴自棄で人に素直になれない真菜、この二人が出逢えた事の奇跡や 妊娠、出産、育児、そして生きて行く事、生きぬく事、色々考えさせられました。 タイトルも秀逸です。
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ばぁばと孫娘ぐらいに歳の離れた二人の女性が物語の中心となる物語。戦中は疎開、戦後は復興・高度成長に翻弄されながらも、力強くしなやかに生きてきた晶子。なんとかの予言は予言に終わり、この世の終わりは終わらず、途方にくれてしまった真菜はその後ふらり流され気づけば愛人の子を孕んでしまった...
ばぁばと孫娘ぐらいに歳の離れた二人の女性が物語の中心となる物語。戦中は疎開、戦後は復興・高度成長に翻弄されながらも、力強くしなやかに生きてきた晶子。なんとかの予言は予言に終わり、この世の終わりは終わらず、途方にくれてしまった真菜はその後ふらり流され気づけば愛人の子を孕んでしまった妊婦。晶子と真菜。どちらも必死に生きているだけなのに、外野がうるさすぎて。ただ、晶子のほうが図太くしもしぶとくもあって。真菜は無駄に繊細で。家族に恵まれなかったのは真菜の不運ではあるけど、どこかで運は開ける瞬間があるらしい。
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戦前、戦後、そして昭和から平成へ。女の求められる役割は時代と共に変わってきた。 この令和の時代、家族とは何なんだろうと考えさせられる。
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