アニバーサリー の商品レビュー
妊婦の水泳教室で教師をしている晶子は、3.11の震災をきっかけに生徒である望まない妊娠をした真菜を助けることになる。1章で晶子の人生を丁寧に描いているので、3章でお節介と言えなくもない晶子の行動が納得できるものの、2章で描かれている真菜の背景は何だか既視感があり、ありふれた物語の...
妊婦の水泳教室で教師をしている晶子は、3.11の震災をきっかけに生徒である望まない妊娠をした真菜を助けることになる。1章で晶子の人生を丁寧に描いているので、3章でお節介と言えなくもない晶子の行動が納得できるものの、2章で描かれている真菜の背景は何だか既視感があり、ありふれた物語のように感じる。3章の晶子と千代子、真菜の関係が良かっただけに、そっちの方をもっと読みたかったかな。結局、親は子供を選べないし、子供もそれは同様で、家族だからといって相性がいいとは限らない。絶対に正しい形なんてないんだな。
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80歳間近のマタニティスイムのインストラクターとその人の気になる妊婦さんそれぞれの生涯のお話し 東日本大震災のタイミングの出産なので、原発とかそれに関する内容も含む 前半で晶子さんの幼少期からの戦争体験とか、自分の子供に関する事がしっかり描かれているので、現代の行動に説得力があ...
80歳間近のマタニティスイムのインストラクターとその人の気になる妊婦さんそれぞれの生涯のお話し 東日本大震災のタイミングの出産なので、原発とかそれに関する内容も含む 前半で晶子さんの幼少期からの戦争体験とか、自分の子供に関する事がしっかり描かれているので、現代の行動に説得力がある 真菜さんは何というか、偏見というかフィクションの設定の王道通りの生き方なので、なんとも感情移入しにくい 最後の方での共同生活の描写は何だか心が動かされる 同情してるわけじゃないんだけどね、何だか感動したのです 僕も昔は「こんな時代に自分の子を世に誕生させるのは可哀想だ」とか思ってた事もありましたが 実際に自分の子が生まれてみると、そんなに悪いものではないとも思うようになった どんなふうに育とうが自由なんですよ 責任を持つべきは産んだ親だけであって、世間の意見なんて関係ないんだよね 色々な事で困窮してる妊婦さんやお母さん方に読んでもらいたい小説
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重くて読むのに時間がかかってしまった。 気楽な本ばっかりじゃなくて、過去を知る本をもっと読んだ方がいいんだろうな。私。 辛いけど未来は見える話。
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血が繋がってるからいつかはわかりあえるとか、我が子は可愛いから愛せるとか無責任なことばかり言う人への嫌悪感。その善意が、無邪気さが人を苦しめることもある。素直にそれを受け入れられない自分を責めてしまう人がいる。窪美澄はそんな者を救う。無理なものは無理でええんやで、と。だから尊い。...
血が繋がってるからいつかはわかりあえるとか、我が子は可愛いから愛せるとか無責任なことばかり言う人への嫌悪感。その善意が、無邪気さが人を苦しめることもある。素直にそれを受け入れられない自分を責めてしまう人がいる。窪美澄はそんな者を救う。無理なものは無理でええんやで、と。だから尊い。 窪美澄を読むと初めはグサリと突き刺さり穴が開いたり傷口が開いてしまう。しかし結果的に風通しが良くなり、楽になってる自分がいる。「アニバーサリー」を読んだ後はまさしくそういうかんじだった。 傷を治すのではなく、傷痕をコンプレックスと思わないようになる。自分の一部なんだと認めることができるようになる。それこそが生きていく上で最も大事なことなんだと気付かせてくれる。過去は傷と違って無かったことにできないのだから。
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とても重く、そしてとても温かい物語だった。窪美澄さんの小説はいつもそう。 娘として育ち、そして自分もまた母親になった人ならば、さらに思うことが多いかもしれない。 母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠し、たった一人で出産を迎えようとしている30歳の真菜。妊娠中友人に連れら...
とても重く、そしてとても温かい物語だった。窪美澄さんの小説はいつもそう。 娘として育ち、そして自分もまた母親になった人ならば、さらに思うことが多いかもしれない。 母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠し、たった一人で出産を迎えようとしている30歳の真菜。妊娠中友人に連れられて行ったマタニティスイミングの指導員である75歳の晶子との出逢いが、出産後の真菜の人生を変えて行く。 3.11の震災直後、放射能を避けるように自分が住んでいた土地を離れた人々がいた。今や遠い記憶になりかけているけれど、この小説を読んで、あの時の不安な状況を思い出した。 売れっ子料理研究家として忙しく働く母親を持った真菜は、母親の愛情を感じることが出来ずに育った。投げやりな学生だった1999年に世界は終わると思っていたのに、終わることなく世界は続いた。 そして時は流れ、出産を迎えようとしている2011年に震災は起こった。 終わりかけている世界でも、命は待ってくれることなく否応なしに産み落とされる。 母性って何だろう、と思った。 母親にしてみたら自分なりのやり方で愛情をかけているつもりでも、それを受ける側の子供からすれば、それを愛情だと感じられないかもしれない。親子という一番近く血の濃い間柄であっても、思いがすれ違うことは多々ある。 大人になって自分も親になった時に、その業を深く感じるものなのかもしれない。そして親の気持ちを、理解出来るのかもしれない。その上で、分かっていてもやはり自分の子どもとはすれ違うのかもしれない。 戦時中の飢えを知っているからこそ向上心を持った晶子の世代と、何でも与えられてきたからこその飢えを感じる真菜の世代では、どうしたって大きな隔たりがある。 私は真菜と同世代だから、やはり戦時中の飢えを想像することは出来ない。 でもその世代差を超えて全てを受け入れようもする晶子の懐の深さは、真菜だけじゃなくて、きっとこれを読む読者さえも救うだろうと思った。 重いけれど爽やかさも感じる、独特の読後感だった。
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マタニティスイミング講師の女性と料理研究家の娘の話。 それなりの年齢になったら 普通に結婚して 子供を産むんだと思ってた。 そうなってないことが辛くもあるけど 何の疑いもなく そう望めていた事は 幸せなことだったんだろうな。
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さくさく読んだ。 内容は決して軽いものではなく、家族、女性の仕事、震災、命、いろいろ考えた。 真菜の生き方は痛々しくて、辛かった。
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マタニティスイミングの講師晶子は、地震の日、気になる生徒を訪ねる。カメラマンの真菜は一人で子どもを産もうとしていた。
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一気に読んだ。 母親との確執、女性の生き方、葛藤、そして震災。どれも生々しく、どれも少なからず共感できる。それゆえに、少々鬱陶しい。これらのテーマは、あまり一変に並べられると主張訴えが多すぎるので苦手だ。そして、子を持つ親としては、小説で東日本大震災を書かれたものを読むのはまだ辛...
一気に読んだ。 母親との確執、女性の生き方、葛藤、そして震災。どれも生々しく、どれも少なからず共感できる。それゆえに、少々鬱陶しい。これらのテーマは、あまり一変に並べられると主張訴えが多すぎるので苦手だ。そして、子を持つ親としては、小説で東日本大震災を書かれたものを読むのはまだ辛い。あのときのどうしようもない不安や戸惑いがフラッシュバックする。 とても上手な作家さんだけに尚更なのかもしれない。
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20150916 現代に生きる女のかたちを肯定してもらった。解説含め、なんだか心が軽くなる。 幸か不幸か、なにが女の幸せか(なにを自分の幸せとするか)を自分で見つける時代です。まだ母親でもなんでもないけど、もやもやするね。
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