ニュータウンは黄昏れて の商品レビュー
21世紀を迎える直前にニュータウンにある中古住宅を購入しました。築10年のもので当時勤務していた所に近く、駅近くに立地していて、学校や商店街など自宅から数分の距離にああるので満足して購入しましたが、友人や知り合いに購入金額を言ったら信じてもらえないほどの額だっと思います。 貯金...
21世紀を迎える直前にニュータウンにある中古住宅を購入しました。築10年のもので当時勤務していた所に近く、駅近くに立地していて、学校や商店街など自宅から数分の距離にああるので満足して購入しましたが、友人や知り合いに購入金額を言ったら信じてもらえないほどの額だっと思います。 貯金をほとんど叩いて頭金に投入、その上で住宅ローンを組みました。住宅ローンを考慮すると当時の我が家の会計は赤字続きで苦労が続いたのを思い出します。繰り上げ返済を繰り返して、住宅ローンが終わって「抵当権削除」の書類が届いたときは嬉しかったのを覚えています。 そんな経験のある私にとって、垣谷女史の書かれたこの本は主人公の家族の気持ちがよくわかりました。また理事会の役員も2回務めましたので、理事会の雰囲気も手にとるようにわかりました。住み心地の良いニュータウンほど、出ていく人が少ないので高齢化が進んでいます。最後の解説に書かれているように、作者は実際に多摩ニュータウンを購入されたことがある様です。 実際に経験したから書ける小説は面白いだけでなく、ためになる部分もありました。ストーリーはニュータウンだけでなく、娘さんたちのある男性を巡っての出来事など、興味あるものが含まれていてドラマを見ているような気分になれました。通勤時間での読書タイムが待ち遠しかった1週間でした。 以下は気になったポイントです。 ・この家を買うときは家が担保だったから銀行はお金を貸してくれた、だけど売ってしまえば担保はなくなる。担保なしで残高分を貸してくれたりはしない(p37) ・集合住宅はさまざまな世代の人々が交流できるから素晴らしいと綺麗事をいう人もいるが、それは間違っている。この団地を買ったのが失敗だと思う要因は金銭的なものだけでなく、世代の違いによる考え方の違いが大きくて、それがストレスの原因となる(p72) ・女性は歳を重ねると、顔の造作そのものよりも髪型、服装、姿勢や太り具合などに美醜が大きく左右されるように思う。全身が醸し出す雰囲気が大事である(p113) ・ハングリーでないとモチベーションを保つのは難しい(p375) ・ハッキリしているのは、幸不幸も勝ち負けも自分で答えを出すしかなく、人それぞれで違う(p403) ・大規模団地は都市計画法に縛られている、学校・保育園・病院・道路・公園・緑地・図書館などとセットになって都市計画は推し進められている、解除を申し出てもなかなか了承されない。建て替えに成功した団地のほとんどが建て替え完了まで20年以上の月日を要している、途中で挫折した団地もかなりある(p412) ・何事も諦めた時点で終わりである(p474) ・マイホームの夢を叶えるためにニュータウンが郊外に生まれた、これを支えたのが、定年まで雇用を保障する終身雇用、勤続年数によって上がる年功賃金、そして不動産は必ず上がるという土地神話である(p507) 2023年6月15日読了 2023年6月17日作成
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またまた続く垣谷美雨(かきやみう)。 今回は昭和のあこがれ団地住まいの凋落と小娘三人のかかわった困ったちゃんのお話か。 発行は2013年のこの本、なにやら原田ひ香著の「三千円の使いかた」の裏本(?)かと思わされるエピソードがある。調べたら「三千円の使いかた」の初出は2017年なので、こちらのほうが先に著されているのだな。 いつものように物語の主軸が数本に分かれているのだが、日々の暮らしにまい進いしている55歳の主婦が魅力的に書かれていると思う。分譲団地のあれやこれやも、経験はないのだがなんか迫真に迫るしんどさで、いや、団地はむり~と思ってしまう弱いわたくし‥ それと、正直に書いてしまうと‥美大を卒業した人はいったいその後どのような職業に就くのだろうと疑問に思っていました。信ぴょう性はわからないが‥そういうことに少しだけ表記がありました。 これがオン大卒の女性だったら、結婚して自宅で音楽教室を開くのがよくあるコースと思っていたのですが。オン大卒の男性は、美大卒の人と同じように、卒業後どういう職業につくのかな?というのは今もわかりません。
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家を買いたくないと思ってしまった。。。 人と比べないで自分の幸せを見つけるべしなんだな、と強く思いました
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住宅について。誰もが一度は悩む問題ではないか。賃貸か購入か、一戸建てかマンションか、価格か立地か、人生で1番大きな買い物ゆえに失敗はできない。恐ろしく思いながら読み進めたのに、まさか著者の実体験からきているとは…リアルすぎて怖いよー!
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盛りだくさんの内容だった。 お母さんの話、その娘と同級生2人の話、ニュータウンに住む人、住んでいた人々の話。 5200万円で買った家が今は1500ま万円で売りに出されている。そんなに下がってしまうんだと驚いた。他人事ながら、それは厳しい。これでは幸せになることに貪欲になるだろうな...
盛りだくさんの内容だった。 お母さんの話、その娘と同級生2人の話、ニュータウンに住む人、住んでいた人々の話。 5200万円で買った家が今は1500ま万円で売りに出されている。そんなに下がってしまうんだと驚いた。他人事ながら、それは厳しい。これでは幸せになることに貪欲になるだろうな。
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身につまされる… 頼子が参加する理事会のシニア達の発言がいちいちリアルでささる コトリが自分のされたことを友達に同じことをした時に女は怖さを感じた 賃貸が分譲か 分譲は当然だが古くなる 自分のものになった時には既に補修が必要だ 賃貸は長期になると当然総額が分譲よりも高くなることもある 自分の生活スタイルや、子供がいるいないでどちらがいいとは一概にいえない
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ニュータウンが舞台であるものの都会のキラキラに憧れた一般人の話、という感想。 ステータスとか名声だけに惹かれていても一時的にしか幸せになれないよねえ
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バブル崩壊前夜に買ってしまったニュータウン戸建の詳細がとてもリアルだなぁと思っていたら、著者の実体験に基づく設定だと知り納得。 すっかり著者のファンな私だが、今回も面白かった。 解説で、この手の小説は「社会派エンタメ」というジャンルだと知る。リアルで、ためにもなって面白い、社会派...
バブル崩壊前夜に買ってしまったニュータウン戸建の詳細がとてもリアルだなぁと思っていたら、著者の実体験に基づく設定だと知り納得。 すっかり著者のファンな私だが、今回も面白かった。 解説で、この手の小説は「社会派エンタメ」というジャンルだと知る。リアルで、ためにもなって面白い、社会派エンタメ。もっと読みたい!
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バブル崩壊寸前に購入してしまったニュータウンの分譲団地。 夫の収入が下がり住宅ローンに四苦八苦しているパート主婦の頼子は、家を売却しようにも購入価格の3分の1にまで下がってしまっているので売ることもできず。 一方団地は老朽化が進み、理事会で建替えの話が出てくるも、建替え反対派の...
バブル崩壊寸前に購入してしまったニュータウンの分譲団地。 夫の収入が下がり住宅ローンに四苦八苦しているパート主婦の頼子は、家を売却しようにも購入価格の3分の1にまで下がってしまっているので売ることもできず。 一方団地は老朽化が進み、理事会で建替えの話が出てくるも、建替え反対派の意見や各家庭の事情が複雑に絡まり、話し合いも進まない…。 もうねー、読んでて胸が苦しくなるほどリアルでそして勉強になる本でした。 大規模集合住宅の建替え問題は各住民の事情が絡むからめっちゃ揉めるんよ。と聞いたことがありますが、なるほどこりゃ揉めるよなーと。 住む人たちの年代や家族構成や懐事情などまっったく違うのに、住まいという生活の根底に関わるもので足並みそろえるのなんて絶対難しいに決まってる! こういった住宅問題に加え、頼子の娘・琴里のボンボンモラハラストーカー気質男との結婚問題も絡んできて、お金のこと、生活のこと、住まいのこと、将来のこと…いろいろ考えさせられる内容が盛りだくさん。 登場人物はあまり誰にも共感できないというか、自分だけが可愛いある意味人間らしい人たちばかり。 内容も重ためなんですが、でもなんとなくシリアスになりすぎないというか、垣谷さんの文ってどこかユーモアを感じられるのですごく読みやすいんですよね。 最後もスカッとしたー!って感じられるようなラストでは決してないんですが、読んで良かったと思える作品でした。 将来の住まいのこと…自分がどうしたいのか、どんな老後を過ごしたいのか、まだ考える時間の余裕があるうちに真剣に考えてみよう〜
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面白かった!続きが気になって気になってあっという間に読み終えました。 同じ団地に住み管理の為の話し合いをもっても、購入時期、価格、家族構成、年齢などが異なる世帯が一緒になって一つの結論を出すのはいかに難しいかを痛感しました。 マンションの建設ラッシュ、特にタワマンが多く新規分譲さ...
面白かった!続きが気になって気になってあっという間に読み終えました。 同じ団地に住み管理の為の話し合いをもっても、購入時期、価格、家族構成、年齢などが異なる世帯が一緒になって一つの結論を出すのはいかに難しいかを痛感しました。 マンションの建設ラッシュ、特にタワマンが多く新規分譲されている今を思うと、団地とはまた違う立て替え問題が予想され、どういう問題が起きるかを想像してしまいます。 黛と琴里、同級生の考え方を見ていると、親の執着する対象に子供たちの考えも影響されるのかなと感じた。
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